裏路地に突如表れた人物。
コカビエル戦の資料にあった聖剣デュランダルの使い手、ゼノヴィア!!
「……なんでお前が」
俺はゼノヴィアを指差しながら問いかけた。
「ん?引っ越しの準備の為に学校を早退してきたんだが、道に迷ってしまってな。
この辺りを通ったら悪魔の気配がしたので見にきたんだ」
淡々と質問に答えるゼノヴィア。
「引っ越しってお前……それにその制服」
「ああ。私はグレモリー眷族の悪魔になって駒王学園に通うことになったのさ」
そう言ったゼノヴィアの背中から蝙蝠の様な羽が生える。悪魔の翼だ!
「教会の聖剣使いがそれでいいのか?」
この子自由過ぎるだろう。
「私は後悔していないからいいんだ。それより、道案内をしてくれないか?
君はこの街に住んでいたんだろ?」
ゼノヴィアが俺の手を取って街道に連れ出す。
「分かったから手を離してくれ!」
お、女の子と手を繋いでる……ラッキーなのか?
「断る。離して逃げられると困るからな」
俺はそのままゼノヴィアと一緒にマンションまで歩いていった。
俺は今、ゼノヴィアの部屋にお邪魔していた。
何故かというと、マンションまでの道案内のお礼をしたいから部屋で待っててほしいと言われたからだ。
部屋といっても段ボールが散乱していて狭く感じてしまう。
しょうがない……後で手伝ってやるか。
「すまないな……こんなものしかないが」
戻ってきたゼノヴィアの手には近所のコンビニで買ってきたと思われる、アイスが二本握られていた。
その内の一本を俺に手渡し、ゼノヴィアは俺の正面に座った。
「ありがとう」
とりあえず礼を言って、俺はアイスの包装を剥がし食べ始めた。
「君にはファミレスでの借りもあるしな」
ゼノヴィアも同じ様にアイスを舐めていた。
妙にエロい。
「……ところで、何で悪魔に成ったんだ?」
俺は気になっていた事を聞いてみた。
するとゼノヴィアの表情が不意に暗くなる。
「……すまないが、君にはそれを教えられない」
……言いたくない事なんだろう。無理に聞くのも悪い気がしたので、俺は別の話題を振る事にした。
「みんなは元気にしてるか?」
眷族から離れた俺とは違い、一緒にいるゼノヴィアならみんなの様子を知っていると思った。
「ああ、みんな元気だ。強いて言えば、君が帰ってこない事で落ち込んでいる様だぞ」
……そうか。
早くみんなの所に戻れるといいな。
俺はアイスの棒をゴミ箱に捨てた。
「部長から話を聞いて、君が行方不明になっている事は知っている。眷族のみんなが君の帰りを待っているんだ。勿論、私もだ。強い仲間が帰ってくるのを楽しみにしているぞ」
ゼノヴィアの話を聞いて、俺は目が熱くなるのを感じた。
悟られないように急いで目を擦って誤魔化した。
「それにな、君が帰ってきたら頼みたい事がある」
「頼み?」
「私と子作りをしてほしい」
……………
あれ?
デジャヴ?
俺、今日だけで二回も子作りのお誘いを受けてる?
「教会を出たんだ。なら、今まで我慢してきた女の夢を叶えてみたくなってな」
俺はオーバーヒートしそうな頭で何とか考えを巡らせた。
「そ、それが子供を産むことなのか?」
コクンと首を縦に振り、肯定するゼノヴィア。
「子供を作る以上、強い子になって欲しいんだ。だからドラゴンを宿している君ならうってつけなのさ」
もう駄目だ……頭が熱い。
「なんならここで……始めようか?」
そう言って、ゼノヴィアは口にアイスをくわえて、制服を脱ぎ始めた。
次第に露になっていくゼノヴィアの肌。そして……ゼノヴィアが胸を覆う下着、ブラジャーに手をかけたとき。
堰をきった様に凄い勢いで鼻血を吹き出した。
必死に鼻を押さえて止める。
「勘弁してくれゼノヴィア……それ以上されたら俺が死ぬ」
俺の反応に呆れたような顔をしてゼノヴィアは制服を着てくれた。
「残念だ。でも、楽しみはとっておいた方がいいかな」
その後、俺はゼノヴィアの引っ越しの手伝いをして帰った。
……暫く、あっち方面には困らないかな。