小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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堕天使に襲われ、悪魔であるリアス先輩に救われた。古城英志。
人生最大のピンチを乗り切った俺は、今さらなる恐怖に襲われている。

「ねぇ、昨日どこ行ってたの?早く帰ってくるって言ったよね?晩御飯作って待ってるて言ったよね?」
「はい、言いました……。お願いだから包丁をしまってください………。」

鬼と化した幼馴染に包丁を突き付けられていた。
こいつの名前は鬼山梓乃(きやましの)3歳からの腐れ縁で、13年の付き合いだ。家がお隣なのも何かの呪いに近いと思う。
親も仲が良く、昔は互いの子どもを結婚させようとしていたらしい。そんな早くに人生決められてたまるか!
俺の親も梓乃の親も帰りが遅く、いつも梓乃は俺の家で朝食、夕食を作ってくれている。
それはありがたいけどね。
綺麗な黒髪を頭の両端でくくっている。所謂、ツインテールと呼ばれる髪型だ。
顔は普通にしてれば可愛い部類に入るのだろうが、性格に難がある。
こいつの特徴はとにかく怖いのだ。俺がなにかするたびに包丁やら何やらを持ち出してくる。

「門限はちゃんと守ってくれないと困るよ?義母様や義父様にも頼まれているんだもの…。」
「な、なにを?」
「英志の管理。」
「お、俺の人権は!?」
「そんなものないよ?」

おいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!
可愛く首を傾げながら言う台詞じゃないぞ!!
くそぉ!!親父たちめぇ……!!頼む相手が違うだろぉぉぉぉぉ!!!
息子が死んでもいいのか!?

「やっぱり、無理やりにでも私と同じ学校に通わせるべきだったね。そうすれば、毎日一緒に家を出て、帰ってこれるのに……。」

そうなのだ。梓乃は俺とは別の学校に通っている。都内の金持ち学校で一時期、梓乃は俺をそこに入学させようとしていた。

「あんな馬鹿みたいに高い学費払えるわえないだろ!?」
「私が負担するよ。」
「いや、さらっと言うな!!俺は今の駒王学園の生活を満喫してるからいいの!!」
「そういうこと言うんだ……。」
「オイ、無言で包丁を首元に持ってくるな。」

さらに表情が険しくなる。やばい……。

「なんでそんなに拘るのかな?何かその学校に行くメリットがある?」
「それは、元女子校で可愛い女の子が沢山いるからさ!!」

即答してから、俺は選択を誤ったことを悟る。
朝から古城家に俺の絶叫が響いた。

「朝からついてねぇ……」

駒王学園に登校した俺は自分の机に突っ伏している。

「おいおい、エージ。顔色悪いぞ。お前も不調か?」
「松田〜、飯奢ってくれ〜。朝飯食ってないんだよ〜」
「奢ってやんなくもないが……。代償は何だ?」
「俺の秘蔵コレクション3冊でどうだ?」
「よっしゃー!!500円までだぞ!!!!」

あのあと怒り狂う幼馴染から逃げるように家から出たので、疲労が激しい。ろくにやすめなかったな。
今日は学校に泊めてもらおうかな…………。

そして放課後、イッセーと旧校舎のオカルト研究会の部室へ向かう。

部室では、俺たち以外の昨日のメンバーが全員揃っていた。

「みんな揃ったみたいだから、活動を始めましょう」

部室に到着した俺とイッセーはソファーに座り、リアス先輩の授業を受けていた。

「いい、私達悪魔にとって光は猛毒よ。受ければ身体が焼けるような痛みに教われるわ」

現在の授業内容は悪魔の性質についてだ。
まぁ、俺は悪魔じゃないんだけど……。
そう思いながら俺は姫島先輩が出してくれたお茶を啜る。
正面に座って話をしているリアス先輩の隣には、今日もまた無表情に
和菓子を食べている塔城さん。やべっ……睨まれた。
木場の奴は部屋の隅の椅子に座り、俺たちに笑顔を向けている。何故だろう、
無性に腹が立つ。

「古城君、話を聞いているのかしら?」

無意識に木場を睨んでいたら、リアス先輩から注意されてしまった。

「うっ……。すいません………。」
「はぁ。今の話はこれから悪魔になるなら重要な所なんだか
らしっかり聞きなさい。」
「はいっ……。でもまだ悪魔になるって決めた訳じゃないんですけど………」
「分かっているわ。可能性よ、可・能・性。」

なんかほとんど俺の運命が定められてる気がする……

そんな感じで今日の話し合いは終了。

リアス先輩たちはこれから悪魔の仕事があるとかで、俺一人で帰ることになった。

夜道を一人で歩いていく。時刻はとっくに梓乃と約束した門限をすぎている。
今日はメールで遅れるって連絡したけど………。大丈夫な筈だ。
俺は家へ最短距離で帰るため近道をすることにした。いつもは歩いてかえるが、今日は走って我が家を目指す。
脇道に入り何回か曲がり角を曲がれば、直ぐに家につく。

「これなら、なんとか怒られずに済みそうだ」

最後に裏路地にある広いスペースから出れば、あとは真っ直ぐ進むだけだ。
だが、俺は裏路地にある広場で足をとめた。

「くくくっ、自ら死地に向かってくるとは………。余程あの世に逝きたいらしいな」

その広場の中心にはスーツをきた男が立ちはだかっていた。
その身体から発せられるプレッシャーの様なものは一度向けられた俺に
直ぐに理解できた。殺意だ。
このスーツの男から、天野夕麻と同じような殺意を感じ俺は身構える。

「おまえ…!!堕天使だなっ!?」
「いかにも…」

静かにそう告げた男の背中から漆黒の翼が生える。男は続ける。

「我が名はドーナシーク、レイナーレの命により……。貴様を始末しにきた」

レイナーレとは堕天使としての天野夕麻の名前なのだろう。俺が生きていて困る奴はあいつしかいない。

「潔く死んでいれば良かったものを。どうやって蘇ったか知らんが、今度こそ消えてもらうぞ」
「お断りだね。俺にはまだやりたいことがある」

強気で返すも、声が少し震えてしまった。
ドーナシークはゆっくりと右手を真横に突きだし、光の槍を作り出した。
あれで俺は一回殺されたんだよな!!食らうわけにはいかない。
俺はドーナシークに背を向け、走りだした。だが真横を何が通ったと思ったら
すでにドーナシークは俺の目の前に回り込んでいた。

「なっ!!」
「遅い。」

ドーナシークが投げた光の槍は俺の左脚を貫いた。

「がぁあぁぁぁ!!」

脚を抑え、その場に倒れ伏す俺をまるでゴミを見るような目で捉えるドーナシーク。

「下級な存在はそうしている方がお似合いだぞ。
先日の悪魔の時はグレモリーの娘に邪魔されたが、やはりこれこそが我ら堕天使の在るべき姿なのだ」
「てめぇ……!!」

先日の悪魔……………。イッセーのことか!?
痛みを堪えて、ドーナシークを睨み付ける。

「まだ、そんな目ができるか。情報どおりしぶとい。では、二度と蘇らないよう
首をはねるとしよう。」

ドーナシークはまた光の槍を造りだし、俺の首に突き付ける。

「安心しろ。いづれこの街の悪魔は我々によって一掃される。順番が変わるだけだ。」
「悪魔を……一掃?」

こいつは何を言っているんだ?

「死に逝く前に教えてやろう、今我々が行っている計画が上手くいけば……。
堕天使の幹部が動く。そうすればこの街の悪魔だけでなく、人間も殺されるだろうな」

俺の街の人達が殺される?こいつらに?関係ない人まで?

「話はここまでだ。では……死ね」
「……ざけるな」

俺の首に降り下ろされた光の槍は、俺の首を切り落とす前に砕けた。
驚きにドーナシークは目を見開く。
俺はゆっくりと立ち上がり、この糞野郎を見る。

「ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

俺は自分でも驚く位の声量で怒りをぶちまけた。いつの間にか俺の身体からは蒼白いオーラが溢れていた。
抑えられる筈かなかった。こいつらは、俺の家族を、友達を、関係ない人まで
殺そうとしているのだ。

「馬鹿な!!この魔力は……!!」
「てめぇら堕天使は……絶対に許さねぇ!!!!!」

俺の身体から溢れるオーラが右手に収束していく。
ドーナシークは危険と認識したのか、翼をひろげ、空に逃れた。
だが……

「逃がすかぁ!!」

俺は怒りに任せて拳を、飛行しているドーナシークへ振るう。
俺の拳から放たれたオーラは、一直線にドーナシークへと向かっていく。

「こんなことが!?我ら堕天使が人間ごときにぃぃぃぃ!!!!!」

蒼白いオーラはドーナシークを呑み込み、消し飛ばした。





「………君!!……城君!!古城君!!」
俺を呼ぶ声に目を覚ますと、目には紅が飛び込んできた。この色は……

「リアス先輩………?」

ビルに寄りかかって座りこんでいる俺の顔を、
心配そうに覗き込んでいるのは、リアス先輩だった。
その隣では姫島先輩が俺の傷の手当てをしてくれていた。

「一体何があったの!?大きな魔力を感じて来てみたら古城君が倒れていたわ」

そうか……俺はあのあと気絶したのか。情けないな。

「堕天使に……襲われました。」
「やっぱり………奴らはもうあなたが生きていることを知っているのね。
よく、無事だったわ」

そう言ってリアス先輩は俺を抱き締めてくれた。突然の出来事に俺の心臓は激しく音をたてる。
姫島先輩が不審そうに聞いてくる。

「でも、一体どうやって堕天使から逃げたのですか?生身で逃げ切るのは不可能だと思いますわ」
「それは……俺が。堕天使を…………倒したからです。」
「!?」

二人は驚いたように、俺を見る。そして俺は、決断した。
戦う覚悟を決めた。

「リアス先輩………俺を、古城英志を、あなたの眷族にしてください」

こうして俺の悪魔としての人生が始まったのだった。

-4-
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