小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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俺達が職員会議室に入ると、既に先客が五人いた。

そのうち三人についてはアザゼルさんから聞いて、誰だか分かった。

一人は金色の羽を持つ柔和そうな顔をした男。この人が天界のトップ、ミカエルさん。その後ろには白い羽の天使の女の子が待機している。

もう一方は紅い髪の男。部長と同じ髪の色だ。この方が現魔王の一人、サーゼクス・ルシファー様。

そして可愛い顔をした女の子。これでも現魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタン様。もっと大人の女性のイメージだったよ。確かに可愛いけどさ……

中央の豪華なテーブルに全員が座っていた。

俺達が席につくと、給仕係の………ってグレイフィアさんじゃないか。グレイフィアさんは俺を見て若干驚いているようだった。まぁ、俺は行方不明になったからね。

茶を注ぎ、俺達のもとに運んできてくれた。
さっきの呼び出しの声はグレイフィアさんだったのか。

暫く無言で出された紅茶を飲んでいたら

コンコン

「失礼します」

そう言って、部長達が入室してきた。






sideイッセー

職員会議室の扉を開いた先には、特別に用意させたというテーブルを囲み、各陣営のトップが集まっていた。

サーゼクス様、レヴィアタン様、ミカエルさん、アザゼル。
白龍皇ヴァーリとその隣にはエージが座っていた。

俺達はグレイフィアさんに促され、壁側に設けられている席に座った。

学園の生徒会長で部長の親友の上級悪魔、ソーナ会長も席についていた。

全員が揃ったのを見て、サーゼクス様が口を開いた。

「ここにいる全員は最重要禁則事項である『神の不在』を認知している」

コカビエルが俺達に教えた『神の不在』アーシアやゼノヴィアは教会にいたからショックを受けていたな。

その場にいなかった会長もどうやら魔王様から知らせられたのか、驚いた様子がない。

エージも無言でサーゼクス様の言葉に耳を傾けている。

「それでは話を進めよう」

そして、三大勢力の会談が始まった。




sideエージ

会談は順調に進んだ。
ルシファー様とミカエルさんか話を進め、アザゼルさんはそれに茶々を入れるような事を言い、空気が悪くなる事は何回かあった。

「それではリアス、先日の事件の話をしてくれないか」

遂に部長の出番が回ってきた。

「はい、ルシファー様」

部長と生徒会長、姫島先輩が立ち上がり、先日のコカビエル戦の一部始終を話始めた。

部長の顔からは緊張しているのが分かった。
自分の発言で三大勢力で何かが起こるかもしれない。そのプレッシャーは大きいだろう。

「以上で、私、リアス・グレモリーからの報告は終わりです」

ルシファー様は頷き、部長に座るよう指示した。

「それでは、今回の事件について堕天使総督に説明してもらおうか」

ルシファー様はアザゼルさんを見ながら言った。

アザゼルさんは欠伸をしながら答え始めた。

「事件の首謀者、コカビエルは『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部だ。総督である俺や他の幹部に黙って、単独で行った。
奴の処理はそこにいる『古代龍(エンシェント・ドラゴン)』が担当した。
コカビエルは組織の軍法会議で『地獄の最下層(コキュートス)』で永久凍結の刑に処した。それだけだ」

それを聞いたミカエルさんが呆れ顔で言う。

「あなたが大きな戦争を起こしたくないとは聞いていますが。それは真実なのですか?」
「ああ、戦争なんて興味ないね。コカビエルはそれが気に食わなかったんじゃないか」

コカビエルはアザゼルさんの悪態をついてたからな。

「では何故、セイクリッド・ギア所有者を集めているのかね?私達は戦力増強を図っていると思ったんだが」

今度はルシファー様がアザゼルさんに訊いた。

「研究の為さ。俺は今の世界に満足している。戦争なんかしても、もうつまんねぇからな。だから俺は、天使と悪魔と和平を結びたい」

!!

アザゼルさんの発言で部屋がざわつき出す。
俺も驚いた。確かにアザゼルさんは戦争に興味はないだろうが、和平の申し出をするなんて思わなかった。

「私も悪魔と堕天使に和平を持ちかけようと考えていました」

ミカエルさんが微笑み、ルシファー様が続く。

「我々も同じ思いだ。種の存続の為にも、悪魔は新しいステージに進まなければならい。次の戦争が起これば………三大勢力は滅び、世界が終わる」

そして話は各陣営のこれからに移り変わった。
暫くトップ同士での話し合いが続き、俺も肩の力を抜いた。

「こんなところだろうか?」

ルシファー様が話の終わりを告げ、部屋の空気が若干和らぐ。

「さて、話し合いも良い方向に進みました。そろそろ赤龍帝殿の話を窺いたい」

イッセーの話し?

イッセーは何かを決意した面持ちで立ち上がり、口を開いた。

「なんでアーシアを追放したんですか?」

………なるほど。
イッセーが聞きたいのも分かる。
アーシアさん程の信仰心の持ち主を追放した理由を聞きたいのだろう。

「神の加護や慈悲、奇跡を司る『システム』というものがあるのですが……この『システム』を神以外が操るのは至難の業。天界の力あるもの全員で起動をさせてはいますが、加護も慈悲も届きにくくなってしまったのです。アーシア・アルジェントのセイクリッド・ギア『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』は悪魔や堕天使の治療が可能なものです。そのような力は『システム』に影響を及ぼすのです」

神の不在でそんな事がおこるのか。

「ゼノヴィアの件も、一部の天使以外の者が『神の不在』を知り、その者が本部に近い場所に居ると『システム』が異常をきたしてしまうのです。申し訳ありません、お二人を異端とするしかなかった」

ミカエルさんはアーシアさんとゼノヴィアに頭を下げて謝罪した。

二人は驚きの表情をしていたが、落ち着きを取り戻したゼノヴィアが

「謝らないでください、ミカエル様。私は教会で生きてきました。残念ではありましたが、教会に居ては叶わない夢もできました。私は今の生活に満足しているのです」

そう言った。
アーシアさんも手を組んで言う。

「ミカエル様、私もいま幸せだと感じています。大切な人達と楽しく過ごすことができていますから。憧れのミカエル様にお会いできて光栄です!」

ミカエルさんは二人の思いを聞き安堵したようだ。

「すみません。あなた方の寛大な心に感謝します」

よかったな!アーシアさん!!ゼノヴィア!!

「俺の所の部下がそこの娘を殺したとの報告も受けている」

アザゼルさんがアーシアを見ながら言った。

「アーシアも俺も、一度死んだんだ!あんたに憧れてる堕天使の女性があんたの為にアーシアを殺したんだ!!」

イッセーが怒気を孕んだ声でアザゼルさんに言いはなつ。
俺も殺されたしな……

ピクンッ

ん?
なんだこの感じ………
嫌な予感がするぞ

アザゼルさんとイッセーが何か言い合っていたが、それも気にならない程に何かの力を感じた。

そして、瞬間。
俺の身体は停止した。


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