小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第10章 力を求めて

sideイッセー

エージとヴァーリが空を翔け、魔術師達と戦闘を開始した。

二人は魔術師達を圧倒していた。

魔術師達が魔法を放てば、エージはそれ以上に強力な魔法で押し潰した。

ヴァーリは軽々と魔術師達の防御障壁を砕き、拳を打ち込んだ。

「……強い」

俺は自然と呟いていた。
あれが俺のライバル、白龍皇ヴァーリと俺の親友のエージだなんて思えない。

「驚いたか?」

俺の左隣にやってきたのは堕天使総督のアザゼルだった。

「そりゃ驚いたさ……いつの間にエージはあんなに強くなったんだ?」

戦いを目で追いながら、俺は聞いた。

「アイツは眷族に戻った時、今度こそ仲間を守れるように強くなりたいと言った。俺とヴァーリが訓練をしてやったんだ」

気が付けば、俺の右隣には部長と木場とゼノヴィアが立っていた。

「激しい訓練で折れなかった骨は無い。腕や脚を切り落とされた事もあった。だが、エージは諦めずに努力した。仲間を守れる力を得る為にな」

エージ……

「お前らも自分のやるべき事をやれ。エージが時間を稼いでる間にな」

そうだ。ギャスパーを助けに行かなきゃいけない。エージと同じで大切な眷族の仲間だ。

「部長、行きましょう」
「そうね……テロリストから私の可愛い下僕を取り返さなくちゃね」

俺は主である部長を促し、ギャスパー救出に向かった。




sideエージ

次々と出てくる魔術師達。
俺は魔法で応戦するが、倒してもまた出てくるのではキリがない。

「はぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

特大の魔方陣を空に展開して雷を降らせる。雷は魔術師達を包み込み消し飛ばした。

だが、地面に魔方陣が浮かび、そこからまた魔術師が現れる。

「くっそ」

魔術師達を倒すより先に、魔術師達がここに転移してくるルートを塞いだ方がいいか。

「ヴァーリ!暫く俺のフォローをしてくれ!」

俺はグランドに降り立ち、地面に触れる。

俺を狙って魔法が放たれるが、ヴァーリが全てを半減の力で消滅させた。

「閉じよ」

グランド全体を覆う程の大きさの魔方陣を展開し、転移を封じた。

「あとは残りを……!!」

翼を広げ、飛び上がり辺りを見回す。

ドゴオォォォォォォンッ!!!!!!

突如、校舎から大きな爆砕音と煙があがった。

その煙を切り裂く様に二つの影が飛び出す。

一つは十二枚の漆黒の羽を持つ男。アザゼルさんだった。

もう一方は……悪魔の翼を広げて空を舞う露出過多な服を着た女性だ。
あれは……ヴァーリが連れてきた黒いローブの人だ!

「もう潮時かな」

後ろからヴァーリの声がした。

「おい、ヴァーリ。あの人は……」

そこまで言って、俺は言葉を呑み込んだ。
ヴァーリから感じられる圧力に一瞬怯んだから。

「古城英志、君がどちらを選ぶか……楽しみにしているよ」

小さな笑い声を残し、ヴァーリはアザゼルさんに向かっていった。

「待て!ヴァーリ!!」

俺はヴァーリを追おうとしたが、まだ残っていた魔術師達が邪魔をする。

俺は回避行動を繰り返し、尚も追い縋ろうとする。

「駄目だよ、行っちゃ」

俺の身体が止まった。

「今から英志には、私と遊んでもらうんだから……」

振り向き、そこに居たのは……

「梓乃……」

いつもと違う、紫色の着物を着た梓乃が立っていた。

「さあ……遊ぼうか!!」

梓乃が右手を突きだし、引っ張るような動作をしたかと思うと、俺の身体が見えない何かによって引っ張られる。

「なっ!?」

梓乃の目の前まできた瞬間、梓乃は拳を振り落とした。
その拳は俺を的確に捉え、俺は地面に激突した。

「ガハァッ!!」

重い一撃を腹にもらい、あばら骨が何本か折れた。

呻く俺を構わずに踏みつけようとしてくる梓乃の蹴りを転がって避けて、俺は態勢を整えた。

「ハァハァ……何すんだよ梓乃!!」

俺の叫びにかえってきたのは冷たい微笑みだった。

「うふふ……エージに目標が有るように、私にも目標が有るんだよ。それを叶える為に……私はヴァーリの誘いにのったの」

いつもは黒い瞳が爛々と赤く輝いて俺を見据える。

「お前も……禍の団に誘われてたのか!?」
「そうだよ……だから、今回のテロの邪魔はさせない」

梓乃は左手を真横に持ち上げた。そこに次元が歪んだ様に裂け目が生まれ、中から日本刀を引き出した。

鞘に入ったその刀を解き放ち、一点の曇りもない白刃が俺に向けられる。

「本気出さないと……死んじゃうよ?」

梓乃は本気だ。
嫌っていた鬼の力を使っている事から分かる。

あの念力の様な力と怪力は気を付けないといけない。

「お前も俺の大事な仲間だ……お前の目を覚ましてやる!!」

俺は梓乃と戦う覚悟を決めた。

「目ならとっくに覚めてるよ!」

刀を脇に持って梓乃は俺に向かって駆け出した。
人間離れしたその速度は、俺と梓乃の距離を一瞬で縮めた。

横一文字に振るわれた刀を避けて、俺も拳を打ち出す。

何度も組手をして梓乃の攻撃パターンは分かっている。それでもギリギリでかわす事しかできないのは梓乃の実力が本物だからだ。

刃が振るわれるたび背中を冷や汗が伝う。
まだ何かを隠している……梓乃はまだ切り札を有している。

それを警戒して迂闊に攻めいれない。

激しい攻防の中、梓乃は重心を崩した。

もらった!!

俺はその隙を見逃さず、拳を繰り出した。
拳はそのまま梓乃へ打ち……込まれなかった。

俺の拳は梓乃の身体に触れる直前で止まっていた。
あの念力の様な力か!

それが梓乃のフェイントだと気付いた時にはもう遅かった。

「かかったね」

梓乃は笑いながら呟いた。
俺は見えない何かに、空高く打ち上げられる。

痛みに耐えて態勢を整えようとするが、

「まだだよ」

また見えない何かを打ち込まれ、俺は吹き飛ばされた。


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