小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第11章 裏切りの報酬

どうも……古城英志です。
現在俺は部長と近所のショッピングモールに居た。
俺の両手には大量の荷物が握られている。いくら悪魔でもこの量はきついんだけど……

「さあ、行くわよエージ!」

部長は機嫌が良いようで、鼻唄を歌いながらどんどん歩いて行く。
俺は部長の後を遅れないように着いて行った。

「まってくださいよー」

なんでこんな事になってるかと言うと……




○三日前

俺が眷族に戻り数日が過ぎた頃、放課後の部室で部長が俺に言った。

「エージが眷族を離れた罰として、眷族のメンバーになにかお詫びをしなさい」

眷族を離れたのは俺に責任があったので、俺は反論せず大人しく従うことにした。

「お詫びって……なにすればいいんですか?」
「それは本人に聞いて決めなさいな」

部長は意地悪な笑みを浮かべ、俺は嘆息した。



一人目 兵藤一誠

「っていうわけで…なんかして欲しい事ある?」

取りあえずイッセーから始めることにした。
こいつの欲しい物なんかすぐに見当がつくからな。

「エロ本十冊!!」
「ハイハイ……予想道り」

俺は家から持ってきた大人の本をイッセーに渡した。

「おおおぉぉぉぉぉぉ!!サンキューエージ!!」

イッセーは歓喜の叫び声を上げ、走り去って行った。
イッセー……今夜は大変だな!

まず一人目。



二人目 木場佑斗

「一戦お願いしていいかい?」

木場に訊くと、コイツは俺との手合わせを要求してきた。
校舎を出てすぐの中庭で俺と木場は組み手をすることにした。

木場はコカビエルの一件で禁手化(バランス・ブレイカー)に至っている。
それを見てみたい気持ちもあったから、俺は木場の提案を受けた。

中庭に何重も結界を張り、俺と木場だけが結界の中に居る。
ここからはどんなに五月蝿くなっても誰にも邪魔されない。

「こいよ木場。古代龍が相手になるぜ」
「遠慮なく行かせてもらうよ……禁手化!」

力強く言い放ち、木場の手に光が収束する。
それは剣の形になり、禍々しくも神々しいオーラを纏った一振りの剣となった。

「僕のセイクリッド・ギアは『魔剣創造(ソード・バース)』だけど、聖剣の因子を取りこんだことで
聖剣も扱えるようななったんだ。その影響かな……僕の禁手化は『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』に変化したんだ。聖と魔……二つの相反する力を持つこの力は、神の不在によるバグみたいなものらしいけどね」

木場はその剣を軽々と振り回し、切っ先を俺に向けた。

「一人の剣士として、手合わせ願おうか!!」

両手で剣を握り、構えを取った木場。
俺は右手に蒼白の腕甲を装着した。
相手に対して間半身になり、左手を前に突き出し、右手は胸のあたりに持ってくる。
腰を落として相手を迎え打つ姿勢になった俺のもとへ木場は突っ込んできた!
鋭い突きを俺の喉元へ放つ!

「殺す気かよ!」

俺はその剣を左手で払う。そのままその左手で木場に拳を繰り出す。
剣を放し、宙に飛ぶ木場。
空中で回転し、短いナイフのような聖魔剣を幾つも投擲してくる。
防御障壁を創り出し、それを全て弾く。
柔軟で応用がきくいい能力だ。

地面に着地した木場は両手に剣を創り出し、俺に向かってくる!
今度は俺も地面をけり、木場との距離を縮めた。

「はぁ!!」

右手の剣を振るい、俺を切りつける。それを避けたが、その剣の刀身から炎が溢れる。
俺はその炎の炎圧に耐え切れず、横に飛んだ。
アイツの剣には属性まで付与できるのか!

「厄介だな……」

こっちから仕掛けるか……
俺は剣を構えなおす木場めがけ、お返しに火球を放った!
奴は即座に両手の剣を消し、幅の広い大剣を創り出し縦一文字に振りおろした。
火球を両断した木場は辺りを見回す。俺を探しているだろう。

「こっちだ!!」

俺は木場の真上に居た。
声に反応した木場が大剣を盾がわりにして防ごうとする。
俺は落下の勢いも利用した右の拳を振り落とす!

バキィ

儚い音を立てて大剣は粉砕し、俺の拳は止まることなく木場を殴る……っていない!?
大剣の下にいる筈の木場の姿はそこにはなく、拳は空を切った。

「ゼノヴィアに言われたんだ」

その声は俺の後ろから聞こえた、反射的に俺は振り向き間近に迫っていた刃を受け止める。

「真剣白刃取り……凄いね。初めて見たよ」
「俺だってまさか出来るとは思わなかったぜ……!」

俺は剣の腹を蹴り、聖魔剣を折った。
それを予測していたかの様に木場は距離を取った。

「ゼノヴィアに言われて僕は自分の長所……速さを磨くことにしたんだ」

そう言った木場の姿が掻き消える!
なんて速度だ!
四方八方から木場の斬撃を浴びせられる。
全てを避ける事はできず、俺の身体が徐々に紅く染まっていく。

大したスピードだ……でも!

「もう慣れた……ぜっ!!」

俺は剣を降り下ろそうとする木場の手を掴んだ。
驚きで木場の目が見開かれる。

ズドン!

木場の腹に俺の拳が突き刺さる。木場は苦悶の表情を浮かべ、その場に倒れ伏した。




「いたた……少
しは手加減してくれないかな?」
「馬鹿。手加減してなきゃ死んでるぞお前」

目覚めた木場を介抱しながら軽口を叩きあった。

これで二人目だ。



三人目ギャスパー

「か、可愛い服が欲しいですぅ」
「まず外に出ろ」

三人目のギャスパーは段ボールに籠り、俺にそう要求した。

「お前が自分で可愛いと思う服を選んでこいよ。俺は女の子の服に詳しい訳じゃないんだし」

頭を掻きながらそうぼやく。

「可愛い服は欲しいけど、外には出たく無いんですぅぅぅぅ!!!」

さっきからこの有り様だ。
そんな無理難題を押し付けられても困るんだけど……

「なら私が行くわ。それなら問題はないでしょ?ギャスパー」

俺が困惑していると後ろから部長が提案してきた。

「ぶ、部長が服を選んでくれるなら異存はないです……エージ先輩だけだと心配だから……」
「なんだとギャスパー!!」
「ひぃぃぃぃ!すいませぇぇぇん!!」

この引きこもりヴァンパイアめ!!
ニンニクを段ボールの中に突っ込んでやろうか!?

「じゃあエージ、三日後にデパートに行きましょうか。私へのお詫びもそれでいいわ」




○現在

という訳なんだ。
今、俺が持っているのはギャスパーの服と部長の服だ。
朝からずっと女の子向けの服を取り扱っている店を連れ回されている。

「あとは塔城さんと姫島先輩、アーシアさんにゼノヴィアにも聞かないといけないんだよなぁ……」

溜め息をつきながら部長の買い物に付き合い、昼食となった。

「はぁ〜疲れた〜」

部長が選んだのはこの辺りで美味しいと評判のイタリア料理店だった。
俺はテーブルに突っ伏し、大きく伸びをした。

「まだ時間はあるからどんどん買うわよ!」

そんな俺にお構いなしに意気込む部長。
勘弁してください……

「そういえば……ギャスパーはどうやって眷族になったんですか?」

兼ねてから気になっていた事を聞いてみた。
時間を停めるなんてチート能力が駒一つで収まる筈がない。
部長の顔が一瞬翳る。

「彼はグレモリー家が懇意にしている家からトレードを申し込まれて私の眷族になったのよ」

トレード、主である上級悪魔同士が互いの眷族、又は未使用の駒を交換する方法だ。

「向こうの主は切羽詰まった様子で私にギャスパーのトレードを懇願してきたの。どうやら時を停める彼の力が怖かったんでしょうね」

……時間を停められる。
それはどんなに恐ろしい事だろうか。時間を停められてる間は何もできないし、何をされても気付かない。

前の主が恐れるのも頷ける

「私は実際にギャスパーに会って、彼を眷族にすることを決めたわ。後悔はしていない、彼はこれから強くなると信じているもの」

部長の目は一点の曇りもなく、ギャスパーを信じて疑っていなかった。

「エージもギャスパーと仲良くしてあげてね。古代龍を宿しているからか、貴方は時間を停められないんだしね」

……ギャスパーも苦労してきたんだな。
先輩として、俺もアイツの役に立てるように為ろう。

俺がそう考えていると、注文した料理を持って店員が近付いてきた。
店員は俺と部長の前に静かに料理を並べ、奥に引き返していった。

「さ、早く食べましょう」
「はい」

昼食を食べた後、部長と俺はまた色々な店を巡り一日を過ごした。

これって部長とのデートになるのかな?




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