小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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翌日、普通に登校した俺は自分に向けられる視線が異常である事に気付いた。
禍の団(カオス・ブリゲード)か?

不審に思いながら俺は学園の敷地に入る。
するとその視線はさらに鋭くなり、俺を射抜いた。
辺りを見回しても怪しい人影はなく、居るのは忙しなく様子の生徒達だけだった。
不意に俺の後ろから殺気を感じ、前のめりに条件反射で倒れ込んだ。

ビュン!!

さっきまで俺の頭があった場所を野球の硬球が物凄い速さで通過する。
あ、あぶねぇ……

「チッ……すいませーん」

小さな舌打ちの後、嫌々俺に声をかけてきたのは野球帽を被り、練習着に身を包んだ野球部員だった。

「ふざけんなぁ!!あぶねぇじゃねぇか!!!!」

そんな俺の声を無視して野球部員は通り過ぎて行った。
周囲の生徒達も俺を遠巻きに眺めてヒソヒソ囁いている。
なんなんだよ!!

俺は釈然としないまま教室に向かった。
教室に着いた瞬間、何者かが突っ込んできた!

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「おわっ!!」

俺目がけて突っ込んでくる人影を避けて、俺は廊下に退いた。
その人物は坊主頭の男、松田だった!

「ま、松田!いきなり何だよ!?」
「黙れリア充!お前に俺たちの気持ちは分からねぇんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

血涙を流しそうな勢いで松田は声を張り上げた。
困惑していると後ろからビリッと電撃のような鋭い衝撃が走った!

「おうぅ!!」
「リア充には死の報いをぉぉぉぉぉ!!」

後ろにはスタンガンを握った元浜が同じく恐ろしい形相で立っていた。
こいつら目が据わってやがる。

「お、俺が何をしたんだぁ……」

痺れる身体をどうにか起き上がらせ、俺は廊下の壁に寄り掛かった。
二人は俺の前に周り、ビシッと指を俺に突き付けた。

「とぼけるな!!昨日、お前がリアス先輩と楽しそうにデートしていたのを我らが
モテナイ同盟の同志達が目撃しているんだ!!くっそぉぉぉぉぉぉ羨ましいぃぃぃぃぃぃ!!」

……なるほど。
部長はこの学園のアイドルだ。そんな部長と俺みたいな普通の男子がデートなんてどう考えても可笑しい。
今日の変な視線もコイツらの行動も俺が部長とデートしたと思っているのか。

「残念ながら、それは誤解だ」
「なにぃ?」

俺の反論を元浜が感情のない声で聞き返してきた。
怖いぞお前ら。

「あれはただ部活の後輩の買い物を手伝ってもらっただけだよ。デートだったら俺も嬉しかったけどさ」

俺の言葉に嘘が無いと察したのか二人は何やら相談をはじめた。

「やぁ、エージ。おはよう」
「ん、おはよう。ゼノヴィア」

俺が手持ち無沙汰で立ち尽くしていると登校してきたゼノヴィアが現れた。

「みんなから聞いたよ。眷族から離れたお詫びをしているんだろう?」
「ああ。ゼノヴィアにも何かしないとな。何が良い?」

ゼノヴィアは無表情に内容を告げた。

「私と子作r「丁重にお断りします」……むぅ」

俺はゼノヴィアの言葉を遮り、発言した。
ゼノヴィアは残念そうな顔をしたが、気を取り直しまた俺に言った。

「ならエージの家に泊まりに言っていいか?」
「俺の家に泊まる?」

コクンと頷きゼノヴィアは続ける。

「うん。日本では友達同士、家に友達を呼んで泊って遊ぶものらしいじゃないか?
それを私は体験したいんだ」
「……それは基本同性の友達とやるものだと思うんだけど」

俺も年頃の男の子なんだ。
ゼノヴィアみたいな可愛い子と一つ屋根の下に居たら、間違いを犯しかねない。

「同性の友達を悪魔の闘いに巻き込む訳にはいかないだろう?
アーシアはイッセーの家で厄介になっているから邪魔するのは悪いからね」
「ゼノヴィアが気にしないなら…俺はいいけど」

俺はゼノヴィアの申し出を断り切れず、了承した。

「よし、なら今日早速エージの家に行くぞ」
「今日!?」

俺はゼノヴィアが何気ない一言に素っ頓狂な声を上げた。

「早いに越した事は無いからね。」

ゼノヴィアはそう言って教室に入っていった。

「待てよ、ゼノヴィア!」

慌ててゼノヴィアを追いかけようとした俺の両肩に手が置かれる。
ゆっくりと振り返ると完全に感情をシャットダウンした友人二人の顔がそこにあった。

「いや……ちょっと、今のは違うんだ…話せばわかっ!ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

朝の学び舎に俺の絶叫が響き渡った。

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