小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第12章 初めての冥界

一学期が終わり、夏休みが始まりました。
夏休み!夏休みですよぉ!!高校生の夏休みは卒業出来るか出来ないかがかかった重要な時期なんだ。
ここで女の子と仲良くなって進展していかないと……また友人の卒業談義を聞くハメになる。

今年の夏休みの目標は、女の子と楽しく過ごす事だ!!

俺こと古城英志は自室のベッドの上で計画を立てている。

海、プール、行きたい所はいっぱいある。
だけど……一緒に行ってくれそうな人がいねぇぇぇぇ!!

notモテオの俺に、そんなデートみたいな事に誘える女の子なんていないんだよ!!
クッソォ!!木場だったら一声かけただけで女の子と遊び放題なのに……
まぁ、アイツは真面目だからそんな事しないけどな。

部長と姫島先輩は……駄目だ。俺みたいな奴がデートできる人達じゃない……高嶺の花だし。
今、同じ部活でお世話になってるだけ有り難く思わないとな。

塔城さん……誘った瞬間に殴られそうだ。

「……身の程を知ってください」

なんて言われたら俺は生きてけないぜ。

ゼノヴィアは……なんか一気に迫ってきそうで怖いな。ちゃんと段階を踏まないと……

考えれば考えるほどネガティブになっていく……
取り合えずもう寝よう。

明日に備えて今日はもう寝ることにした。





ボォォォォォォォォォォ!!

何かの音で俺は眠りから目覚めた。
重い瞼を上げると俺は列車の座席のような所に座っていた。

最近……こんなのばっかり何だけどなぁ……

これは寝ている間に部長達に拐われたパターンかな?
服も何故か駒王学園の制服に着替えられてるし……

「ンゴォォォォォォォォォ」

通路を挟んだ隣の席には……爆睡してるアザゼルさんがいるし……

「やあ、エージ。お目覚めかい」
「……ゼノヴィアか」

前の座席の上から顔を出したゼノヴィアは、俺に手を降って挨拶してきた。
欠伸を噛み殺しながら、俺も手を振りかえした。

「できれば……今の状況を教えてくれ」
「それは部長から聞いた方がいいと思うぞ。前の席に座ってるから行ってくるといいよ」
「分かった。ありがとう、ゼノヴィア」

立ち上がり、ゼノヴィアに礼を言って俺は車両の前方に足を進めた。

「あら、おはようエージ」

俺が歩いていると部長とバッタリ鉢合わせした。

「部長……おはようございます」
「ちょうど貴方の様子を見に行こうと思ってたのよ」

近くにある座席に部長は腰掛け、俺に正面の席に座るように促した。
部長に従い、俺も席についた。

「この列車は一体……何ですか?それと何処に向かってるんですか?」
「この列車はグレモリー家が所有する列車よ。これで冥界に向かっているの」
「冥界!?」

俺は目が飛び出しそうになるくらい驚いた。
俺の反応に部長は苦笑しながら言った。

「毎年、夏休みに私は眷族を連れて冥界に帰省しているの。もう冥界についてるから窓の外を見てみなさい」

窓の外を見ると、紫色の空と雄大な自然が広がっていた。

「おおおおおお!!すっげぇぇぇぇぇぇ!!」
「もうすぐグレモリー領につくから、降りる準備をしなさい」

荷物なんて持ってきてないんだけど……

「……大丈夫です。エージ先輩の荷造りは私がしておきましたから」
「おわぁ!!と、塔城さん!!」

後ろから声をかけられて俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。

「……これがエージ先輩の荷物です」
「丁寧にどうも……ありがとう塔城さん」

俺に荷物を渡した塔城さんはそのまま俺の隣に座ってうとうとし始めた。

「エージの分の荷物を用意するのが大変だったみたいで疲れたのね」

部長は立ち上がり、塔城さんの頭を撫でた。

「少し休みなさい小猫。エージはもう、何処にも行かないから」

そう言って部長は前方の車両に消えていった。
残された俺は、体重を預けてくる塔城さんを見守りながら到着を待った。





それから暫くして、グレモリー家の領土に列車は停車した。

「塔城さん、ついたよ。起きて」

余程疲れたのか、塔城さんは目を覚まさない。
ただ可愛く寝息を立てているだけだった。

「エージ、早く来なさい」
「すいません、部長。しょうがないか……」

既に他の眷族は列車から降車していて、車内には俺と塔城さんだけだった。
部長に呼ばれたが、塔城さんが一向に起きてくれないので俺は塔城さんをオブって行く事にした。

「急がないと部長に怒られるからな」

俺と塔城さんの荷物をグレモリー家の使用人の人が先に屋敷に運んでくれた。

列車から降りると、そこには軍服の様なものを着た人が大勢、ズラッと並んでいた。

グレモリーの兵隊さんかな……にしても凄い数だ。

「エージ、これから馬車で本邸に向かうわ。小猫は……寝てるみたいね」
「ハハハ、塔城さんも疲れてるんですよ」

俺も皆と同じように馬車に乗り込もうとするが、

「待てエージ。お前は俺と魔王領に行くぞ。リアス、エージを借りる」
「な、なんで俺なんかが!?」
「俺の付き人みたいなもんだ」

俺が露骨に嫌そうな顔をすると、アザゼルさんに襟首を引っ張られ列車に連れ込まれた。

「嫌だぁぁぁぁぁ!!助けてぇ!!」

俺は眷族の皆に視線を投げ掛けるが、誰一人として目を合わせようとしない。
クッソォ!いくらなんでも冷たいぞ!

魔王領って……俺はしがない新人悪魔だってのに……

俺は塔城さんを部長に預け、アザゼルさんと共に魔王領に向かった。

「いきたくねぇ……」





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