小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第2章 堕天使と聖女と新入り悪魔

ドーナシークの襲撃から一夜明け、
めでたく?悪魔になった、俺こと古城英志は早速オカルト研究会の部室へ向かっていた。

俺はイッセーと同じ兵士だ。『変異の駒』が俺の身体の中で変化したらしい。
まぁ、新入りの俺には何がなんだか分からないんだけど……。

「おい、エージ!!俺の方が悪魔として先輩なんだから敬いたまえ。」

突然、威張りだすイッセー。後輩ができたのがそんなに嬉しいのか?

「先輩って……ほんの数日じゃねぇか。」
「それでも先輩は先輩なの!!」

こんな話をしている内に部室へ到着。中には入ると、メンバーは全員揃っていた。

「ようこそ。悪魔の世界へ……。歓迎するわ、古城君。」

リアス先輩がそう言うと悪魔の羽根を全員が出現させた。
俺の背中にも………うお!!ホンとにあるよ。

「一応、自己紹介をしておこうかしら。
あなたたちの主、リアス・グレモリーよ。家の爵位は『公爵』
よろしく頼むわ。」

リアス先輩は堂々として言い放つ。

「3年の姫島朱乃ですわ。 オカルト研究会の副部長を兼任しています。
悪魔ですわ。うふふ。」

姫島先輩は礼儀正しく礼をしてくれた。

「2年の木場祐斗。同じ、2年だよね。えーと、同じく悪魔です。」

木場は俺へ笑顔を向けてきた。

「……一年。……塔城小猫です。よろしくお願いします、古城先輩。
……悪魔です。」

塔城さんは小さく会釈する。

「そして、俺っ!!兵藤一誠だ!!目標は上級悪魔になって、ハーレム王になることだぁ!!」

イッセーは自分の卑猥な目標を恥じることなく言ってのけた。
その発言に他のメンバーは苦笑している。
最後は俺か……

「2年の古城英志です。悪魔になったばっかりですが、頑張ります!!」

今頃になって、悪魔になった実感がわいてきたよ。



〇深夜の街中

「だあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

俺こと古城英志は真夜中の町を自転車で爆走している。現在、悪魔のお仕事の真っ最中だ。
新入りの悪魔はこうやって俺たちと契約してくれそうな人間の所に行き簡易の転移魔法陣を配るのだ。

「悪魔になったからって……!!普通に疲れるじゃねぇか!!」

転生する前の俺は、悪魔は屈強な身体の持ち主で、無尽蔵の魔力を自在に操る存在だと思っていた。
だが、転生した今なら分かる。その考えが間違っていたことが!!
屈強な身体は鍛えなければ手に入らないし、魔力にだって底がある。
人間のころから変わったことと言えば、朝に弱くなった事と五感が研ぎ澄まされた事くらいだ。

「それに……いまだに俺の神器にどんな能力があるかも分かってないし。」

その通り。俺はまだ自分の神器がどんな物なのかも把握していない。
部長は言っていた。

「古城君が堕天使を打ち倒すことができたのはあなたの神器のおかげだわ。聞いた話だと……あなたは堕天使を魔力の砲撃で消したのよね?残念だけど今のあなたからは強力な魔力を感じられないの。」
「じゃあ俺は偶然発動した神器の力で堕天使を倒したんですか?」

軽くショックを受けながら聞くと、部長はあっさり頷いた。

「普通に考えて悪魔でもないただの人間だったあなたが、堕天使に勝てるわけないのよ。今回は運が良かっただけよ。」
「ですよね〜。俺みたいな貧弱なエロ餓鬼がポンポン勝てるほど世の中甘くないですよね〜。そりゃ……俺は弱いけど頑張ったんだ……頑張ったんだよぉ。」

完全にうな垂れる俺を見て、部長は俺の頭を撫でながら言い聞かせてくれた。

「ごめんなさい、少しいいすぎたわ。でも、ただ単に運だとは言えないわ。」

意味が分からず、首をかしげながら部長を見上げる。

「どういうことですか?」
「神器は人の思いに応えるの。所有者の思う力が強ければ強いほど、神器の力も増すわ。人間だったあなたの
強い思いに神器が応えてくれたのよ。」
「俺の…思いに……。」

確かにあのときは、あの堕天使が許せなくて、倒す力が欲しかった。
その思いに神器は応えてくれたのだろうか?

とにかく、俺の目標は広告配布の仕事を終わらせて契約をとること。もう一つは神器を使いこなすこと。
みんなの足手まといにだけはなりたくないしな。

「やってやるぞーーーーーーーー!!!!!!」

気合いを入れて。
目標を掲げた俺は今日のノルマをこなした。







オカルト研究会に入部して数日、その日の部室の空気は異様だった。
リアス先輩と姫島先輩は険しい顔で何やら相談していて、木場は部屋の隅で剣の手入れをしていた。
疑問に思いながらも、挨拶をしてソファーに腰掛ける。

「こんちはー」

それで俺に気付いたリアス先輩たちは、

「こんにちは、古城君」
「こんにちはですわ、古城君。今お茶をいれてきますわね」
「やあ、古城君」

リアス先輩、姫島先輩、木場の順番に挨拶を返してくれた。
どうやら塔城さんとイッセーはまだ来ていないらしい。

「どうぞ」
「ありがとうございます」

姫島先輩のお茶は旨いからな、毎回飲むのが楽しみだったりする。
やることがないので俺は最近購入した、神話の本を読むことにした。
これも勉強の一環なのだ。

暫くすると塔城さんとイッセーが部室にやってきた。
塔城さんは俺の正面のソファーに座り、イッセーは俺の隣に座った。

「遅かったな、イッセー」
「ちょっと松田たちと新しい、スポットを発見してさ。検証しに行ってたんだ。
いや〜いいもの見せてもらいました」
「何!?何を見たんだ!?言え!!あと今度俺も連れてけ!!」

いやらしい顔をするイッセーに真剣に詰め寄る俺。
そんな光景を見た塔城さんは

「……変態」

グハッ……。俺は床に膝をついて倒れていた。
クラスの女子になら何て言われても平気なのに……。
何で塔城さんの呟きは俺の心を蹂躙してくるんだろうか。
それはイッセーも同じようで、俺と同じような態勢をとっている。
だが、イッセーの唇が不敵につり上がる。そして、立ち上がった。

「小猫ちゃん、それは違うぜ。俺たちをそんじょそこらの変態と一緒にしてもらっちゃ
困る」

何が言いたいか分からない塔城さんは、少し顔をしかめる。

「俺たちにはなぁ……美学があるんだよ!!女子の着替えを覗いたり、パンチラを覗いたりするさ!!
男だからな!!!でも、決して女子の私物には手を出さない!!
体操服やスクール水着がいくら欲しかったって盗むような真似は
しない!!これが俺たちのポリシーであり、美学だ!!」

力強く言い放つ、イッセーに俺は感動した。イッセー、お前って奴は……!!
俺も負けちゃいられねぇ!!!!
ゆらりと立ち上がり、俺も発言する。

「その通りだイッセー!!俺たちはやっていい事とやっちゃいけない事の
区別がついてる!!
俺たちが覗くのはいわば人間の性!!逆らえない欲望なのさ!!」

息を合わせて力説する俺たちを冷たい目で見ている塔城さん、

「……やっぱりただの変態です」

痛恨の一撃を受けた俺たちはもう復活出来なかった。

呆れた顔をしながらも、リアス先輩は口を開いた。

「とにかく、全員揃ったみたいね」

何やら重苦しい雰囲気。さっきまでとは違い、気を引き締める。

「さっき、大公から『はぐれ悪魔』の討伐依頼が届いたわ。
リアス・グレモリーの活動領域に逃げ込んだため、始末してほしいと。」

その一言を聞いた瞬間、木場と塔城さんの目付きが変わった。

はぐれ悪魔……下僕になった悪魔が主を裏切り、各地で暴れまわる。
野良犬のようなものだ。はぐれ悪魔は天使、堕天使にとっても危険な存在で、
見つけ次第、殺すようになっているらしい。

「その『はぐれ悪魔』は町外れの廃屋で人間を誘き寄せ、喰らっているわ」

その一言に俺は歯を食い縛る。

「今日の夜、全員でこいつの討伐に向かうわ。
イッセーと古城君はこの機会に悪魔の戦いを経験しなさい」

-5-
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