小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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コロシアムでの勝利を修めた俺は、エレベーターで魔王様の居られる最上階に向かっているのだが……

プレッシャーが……

上昇していくにつれて増していく重圧に俺は完全に気圧されていた。

だって魔王様だよ?堕天使の総督もいるよ?
しかも全員と一気に会議?

無茶言わないでくれぇぇぇぇぇぇ!!!!
俺は眷族と楽しく夏休みを過ごしたいのにっ!!

今になって、俺は緊張を隠せずにいた。
俺が狼狽えている間にもエレベーターは上昇を続け、遂には最上階に辿り着いてしまった。

機械的な音を発しながら扉が開き、廊下の先には大きな部屋の扉が見えた。

重い足取りでエレベーターを降りる。
正面の扉は装飾が施されていて、普通の身分の俺が入るのを拒まれている気さえした。

一歩一歩を踏み締めながら扉の前に到着した。

「大丈夫だ……」

自分に言い聞かせるように呟き、俺は扉を押した。
部屋の中は明るいシャンデリアが照らしていた。
中央には大きな丸テーブルが設置されており、それを囲んで椅子が六つ備えられている。
空席が一つあるだけで後は誰かが座っていた。

「よく来たね。歓迎するよ」

そう言ってくれたのは、部長と同じ紅い髪を持ち
気品に溢れた美青年。
サーゼクス・ルシファー様だった。

「あ、ありがとうございます」

緊張でアガッてる俺に更に声がかけられる。

「エージ君久しぶり〜☆元気してた〜?」

相変わらずのセラフォルー・レヴィアタン様。
今日もコスプレをしていらっしゃった。

「取りあえず座りなさい」
「分かりました…」

俺は空席に腰を下ろした。
右隣にはアザゼルさん、左隣にはレヴィアタン様が座っている。

正面にはルシファー様が座っていて、その右はミステリアスな美形の男性が。
左には机に突っ伏してイビキをかいている人が……寝ていた。


「大変だったなエージ。見事な勝利だったぞ」

ニヤニヤ笑いながらアザゼルさんは言う。

「……アザゼルさんのお陰で少しは強くなりましたからね」

『神の子を見張るもの(グリゴリ)』の訓練で俺は何度死にかけた事か…………

「では、エージ君も来たので……初対面の二人に自己紹介をしてもらおうか」

ルシファー様の瞳が俺を見据える。
押し潰されそうなプレッシャーの中、俺は立ち上がった。

「リアス・グレモリー様の『兵士(ポーン)』を務めさせていただいている古城英志です。
よろしくお願いいたします」

お辞儀をして顔を上げると、満足したように笑うルシファー様が映った。

「話しに聞いた通り、君の力は興味深い……是非調べたいね」

俺の顔をマジマジと見つめながらミステリアスな男性が俺に言う。
ちゅっとアザゼルさんと雰囲気が似てる………?

「アジュカ、彼は長い間眷族から離れていて冥界についての知識が殆どないんだ。
君も自己紹介をしてくれないか?」
「そういえばそうだったな。俺はアジュカ・ベルゼブブだ。よろしく頼むよ古代龍」

差し伸べられたその手を、俺はおずおずと握り握手を交わした。
アジュカ・ベルゼブブ様といえば……現在の悪魔社会の中心、『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を
造り上げたお方だよな。

科学者だからアザゼルさんとどこか通じる所があるのかもしれない。

「ファルビウムも、寝ていないで挨拶をしてくれ」

ルシファー様は机に突っ伏している人に声をかける。
たが、その人は俯いたまま手を上げて

「ファルビウム・アスモデウス。軍事面を担当してるよ。まぁ、適当に頑張ってね」

それだけ言うと、また寝てしまった。

「彼はのんびり屋でね。やるときはやるから安心してくれ」

ルシファー様は苦笑しながら俺に説明してくれた。
アスモデウス様は何だかマイペースな人だな……
だけど魔王だから強いんだろう。

「それで……俺に何か用でもあるんですか?」」

俺はずっと気になっていた。
いくら魔王の妹の眷族だからといって、そう易々と冥界のトップに面会ができるとは思えない。

ルシファー様は神妙な顔になり、告げた。

「……実は若手悪魔の君に依頼したいことがあるんだ」

依頼?
呆けた顔をしている俺をフォローしてベルゼブブ様が付け加えた。

「ここ最近、冥界の機密事項が何者かによって他の勢力に流されている。
俺たちが怪しいと睨んだのは……若手悪魔なんだ」
「要するに……俺に若手悪魔の中にいるかもしれない裏切り者を見つけ出してこいって事ですか?」

ルシファー様は頷き、続ける。

「流された情報は私達魔王のスケジュールや力ある悪魔のデータ。この情報の内容からして余程位の高い悪魔が裏切っている可能性が高い。グレモリー、アスタロト、シトリー、グラシャラボラス、大王家も大公家も例外ではない」

グレモリーはルシファー様、アスタロトはベルゼブブ様、シトリーはレヴィアタン様、グラシャラボラスはアスモデウス様を輩出した家だ。

「重要な情報を持つ者達にはある程度、監視をつけたりしたが……収穫はなし。だが、もう一つの可能性がある。今まで監視をつけていなかった者達……若手悪魔だ」
「部長と同期の悪魔に……裏切り者がいる」

俺の呟きにルシファー様は首肯した。
隣で黙っていたアザゼルさんも口を開く。

「情報の行く先は『禍の団(カオス・ブリゲード)』だろうな」

禍の団……テロに必要な情報を集めているのか?

「君には犯人を見付けしだい拘束してほしい。近いうちに若手悪魔が一同に会する行事がある。
そこが最大のチャンスだ」

ベルゼブブ様に言われ、俺は身構えてしまう。
魔王様直々の依頼なら……喜んで受ける。

「他にも、若手悪魔同士でのレーティング・ゲームが行われるの☆」
「ほんとですか!?」

レヴィアタン様の何気ない一言に俺は驚いた。
部長のために鍛えてきた力を使う時が来たのか!!
しかし、それも束の間。

「残念ながら、君は参加する事ができない」
「な、何でですか!?」

俺は椅子から立ち上がり、ルシファー様に詰め寄る。

「前々から話し合われていたんだが、先程の『デュエル』を見て確定した。君は強い。同期の悪魔の中で君に敵う敵はいないだろう。だが、かえって危険なんだ。圧倒的すぎる力は……人を殺す。君は捜査に専念してくれ」

そんな……部長を勝たせる為に強くなろうとしたのに。見ている事しか出来ないのか。

「エージ、いずれお前の出番がくる。それまで眷族のサポートでもしてろ」

アザゼルさんの励ましを受けて俺は渋々了承した、

「……分かりました」
「すまないね。若手悪魔のデータは後日渡すから、今日はもう解散だ」

魔王様との出会いと、依頼、レーティング・ゲーム等の内容でその一日は終わった。








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