小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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俺たちが連れていかれた空間は不思議な緊張感に包まれていた。
次世代を担う若手悪魔が集結してるんだから無理もない。

顔を上げると上部に席が設けられていて冥界のお偉いさんが座っている。
更にその上の席には昨日お話しした魔王様四人が堂々と座っていた。
魔王様方は冥界の正装を着ているのでより一層威厳が増してる気がした。
レヴィアタン様も今日は流石にコスプレをしていない。

それにしても……不愉快だ。
魔王様以外のお偉いさん達は人間から転生してきた俺達を良く思っていない。
軽蔑する様な目で俺達を見ている。
いい気分な筈がないのだ。

各家の次期当主が先頭になり、その後ろに眷族が一列に並んでいる。
俺は一番後ろに並んだ。前にはイッセーが緊張した面持ちで立っていた。

俺は昨日の会談に比べたらこんな行事にプレッシャーは感じなかった。
隣の列は生徒会の一行が開始を待ち構えていた。

「はて……グラシャラボラス家の次期当主が見えないが?」

お偉いさんの一人の発言で他のお偉いさん方がざわつき出す。
それを制したのはアスモデウス様だった。

「その事は聞いてるよ。他の家の者に喧嘩を売ったのはゼファードルの方だし。
今回グラシャラボラス家は欠席って事にしといて」

今日も眠たげに欠伸を洩らしている。
ちゃんと顔を見るのは初めてだけどチャラ男にちょっと似てるイケメンだった。
魔王様は美形ぞろいだな。

「古城英志君も気にしなくていいよ。悪いのは弟だからね」
「はぁ……」

俺は空返事を返す事しかできなかった。
魔王様が俺の名前を出した瞬間、会場が静かになった。
俺みたいな無名悪魔が名を出されたからだろう。
お偉いさんの目つきが鋭くなり、返事をした俺を値踏みするようにジロジロ注視してくる。
やっぱりこんな所を直していかないと冥界はよくならないだろう。

「では始めようか。この会合はこれからの悪魔社会を担う若手悪魔の顔の確認と一人前の悪魔と成る
資格があるかどうかを見定める会合でもある」

口髭を蓄えた男がそう宣言する。
次いでルシファー様が声を発する。

「君たちは家柄、実力、どれをとっても他の若手悪魔とは一線画している。
お互い切磋琢磨して力をつけていってほしい」

俺は魔王様からレーティングゲームの開催を知らされているが、俺は出場できない。
それがひたすらに悔しかった。

その後は現在の悪魔のあり方やレーティングゲームの細かいルールや種類を説明された。

会合も終わりが近づき、次期当主はお偉いさん方から目標を聞かれた。

「俺は魔王に成る事です」

そう言い切ったのはサイラオーグさんだった。
その姿は自信に充ち溢れていて風格が感じられた。

「私はグレモリーの次期当主として、レーティングゲームの各大会で優勝する事です」

これが部長の夢か。
俺も部長の夢の為に頑張りますよ!!

他の次期当主も自分の目標を語って行き、残るは生徒会長のみとなった。

「私は冥界に下級悪魔、転生悪魔、分け隔てなくレーティングゲームを学べる学校を設立することです」

なるほど……生徒会長らしいいい目標だ。
俺はそう思ったが、頭の固い老人達はそう思わなかった。

「冗談だろう。そもそもレーティングゲームは上級悪魔の娯楽の一つだ。
それを身分の低い者達が学ぶ必要などない」

途端、お偉いさん方から笑い声が沸き起こる。

「エージ、会長は笑われるような事言ったか?」

怒りに拳を震わせ前のイッセーが俺に聞いてきた。

「我慢しろイッセー。あいつ等が文句を言えない位に俺たちが強くなればいい」

俺も内心は怒りで一杯だったが、言われている生徒会の人たちは歯を食いしばって嘲笑に耐えている。
俺たちが怒っても会長の名前に泥を塗るだけだ。

「シトリー家の跡取りともあろう者がそんな夢を見ているとはな。実に滑稽だ。
汚らわしい下級悪魔と転生悪魔は主に忠誠を誓い死ぬまで働き続ければいいのだ」

ライザー・フェニックスや上級悪魔の連中は血筋を重んじるが……
ここまで強く実感させられたのは初めてだ。

「ちょっと!いくらおじ様達でも私のソーナちゃんをいじめると許さないんだから!!」

ここで割って入ったのは魔王レヴィアタン様だった。
生徒会長のお姉さんだから妹の為を思っての行動だろう。

そんなレヴィアタン様の抗議の声は俺の心に残っていた躊躇いを吹き飛ばした。

「レヴィアタン様の言うとおりだ!さっきから聞いてりゃ汚らわしいとか身分が低いとか
五月蝿いんだよ!!俺は人間からの転生悪魔だ!いくら偉いからって何言っても許されると思うな!!
それに……夢も希望もない老害が、若者の夢に口出ししてんじゃねぇ!!」

俺の怒声に気圧され、お偉いさん方は黙り込む。
次第に俺に続くように他の眷族からも抗議の声が上がる。

そのどれもが、お偉いさん方の発言に対するものだった。

「ハハハ、やるなエージ君。冥界の上流貴族に喧嘩を売るとは大したものだ」

ルシファー様の声が響き、会場は一気に静かになる。

「先程の発言は確かに言いすぎていた。非礼を詫びよう」

ルシファー様に言われ、お偉いさん方は渋々従った。
立ち上がり俺たちにお辞儀をするが、その顔には反省の色が見えない。

まだ怒りが収まらないレヴィアタン様は言った。

「ソーナちゃんがゲームで勝って行けば文句は無いですよね!?」

それを聞いたルシファー様が不敵な笑みを浮かべたのを俺は見逃さなかった。

「そうだな……元から若手悪魔でレーティングゲームを行う予定だったが。
リアスとソーナの対戦を行ってみようか」

突然の提案に俺を含めたグレモリー眷族は唖然とした。

「リアス、ソーナ。何か問題はあるかな?」

部長と会長は迷わず答えた。

「「望むところです」」

それを聞いたルシファー様は頷いた。

「では開催は人間界の日付で八月二十日とする」

いきなり組まれたゲームの予定に、俺は驚くどころか高揚していた。










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