小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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翌日、俺たちはグレモリー家の広大な庭に集合していた。
身体中バキバキ痛むが、言ったところで自業自得と責められるので言葉にはしなかった。
全員動きやすい格好という事でジャージを着こんでいる。

「シトリー戦に向けて、今日から修行を開始する。今回、俺は各個人の成長を見越したプランを立てた。
成長速度に差が出るかも知れんが、頑張ってついてきてくれ」

アザゼルさんは昨日の二日酔いか真面目な顔をしているが顔色が悪い。
俺の怪我の半分はアザゼルさんのせいなので心配なんてしない。

「現段階でどれだけの力の差が付いているのか、お前たちの現在の実力を見るのも兼ねて模擬戦をしてもらう。内容は……エージVS全メンバーだ!」
「了解しました。……へ?」

あっさりとした物言いに危うく了承しそうになる。
聞き間違いだろうか?

「も、もう一回言ってください」
「だからエージ対それ以外のメンバーだっての」

……マジかよ。

「お前たち、全力で行けよ。エージが相手だからな」

アザゼルさんは呆けている俺を余所に部長達に指示を飛ばしていた。

「分かったわ。みんな準備しなさい」

それに部長も応じてみんなは戦闘の準備に取り掛かった。
部長……哀れな下僕に慈悲をください。




数十分後

「よし、移動するぞ」

アザゼルさんが床に描いた魔法陣から戦闘をしても被害が出ない場所に転移した。
本当にやるのか……

魔法陣の中央にきた瞬間、俺たちの身体が光に包みこまれて転移が始まった。

光が弱まって行き、視界がはっきりすると其処は見知った場所だった。
俺たちが転移してきたのは……駒王学園だった。
正確には……多分レプリカだろう。

その証拠に空は真っ白だった。
此処は……フェニックスのゲームで使用したフィールドだ。

体育館は吹き飛び、各所に戦闘の痕跡が見て取れた。
脳裏に嫌な記憶がよぎる。

俺がライザーに燃やされた場所であり、俺たちグレモリー眷族にとって初めての敗北を味わった場所だ。
当時、ゲームに参加していたメンバーは渋い顔をしている。

ギャスパーとゼノヴィアは居なかったから精巧なレプリカに感嘆の声を洩らしていた。

「廃棄される予定だったフィールドを一時的に借りたんだ。
ここでなら思う存分暴れても問題ない。ちゃんと医療施設も用意してあるからな」

確かにこの空間は丈夫にできてそうだ。

「開始は今から十五分後、リアス達は通信機を使用して連携を取れ。
リアスチームは各自どこからでもスタートしていいが、エージは校庭のど真ん中で待機だ。
アーシアは医療施設に運ばれた奴の治療えお頼む」

障害物の何もない校庭に俺を配置して様子が分かるようにするのか。

俺は渋々、グラウンドの中心に向かっていった。
言われた通りグラウンドに突っ立っている俺。

待っている間、一人でいるのはかなり寂しかった。




『予定の時間になった。では……戦闘開始!!』

放送のスピーカーからアザゼルさんの声が響き渡り、戦闘開始を告げた。

「さて………いきますか」

右手に俺のセイクリッド・ギア『古代龍の腕甲(エンシェント・ドライバ)』を装着。
暫く辺りを警戒するが、出てくる気配はなかった。

「様子見にでたのか」

俺はいったん構えを解き、校舎に向けて駆けだした!
部長達が拠点にするのなら、部室がセオリー。
でも、同じオカ研の俺を相手にそんな分かりやすい事はしないだろう。

その拠点を見つけ出し、各個撃破を狙うぜ!

校舎まで後少しの所で上空からの気配に空を見上げる。
屋上のフェンスの上に立ち、俺を見下ろしていたのは………

「いきなりかよっ!」

俺は全力で真後ろに飛んだ。

ドゴォォオォオォ!!

直後、俺の居た場所を轟音と共に強力な雷が落ちる。

「うふふ、流石によけますわよね」

姫島先輩だった。頬に手を当ててニコニコ笑っている。
昨日は散々な目にあったので、姫島先輩に見つめられると蛇に睨まれた蛙の気分になる。

「いきなり女王が出張ってくるなんて驚きましたよ」

態勢を整え、姫島先輩を見上げる。
相変わらずの笑顔で姫島先輩は言う。

「まだまだ驚くには早いですわよ」

姫島先輩の真意が分からない俺は怪訝な顔をしたが、直ぐに意味が分かった。
校舎の中から大量の蝙蝠が飛び出してきたのだ。
その一匹一匹の目が赤く輝いている。

その目には見覚えがあった。
ギャスパーの『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』か!

「忘れてないか!お前の眼は俺には効かない!」

俺は声を張り上げて、蝙蝠の大群に臨む。

「分かってますよ。僕は_______」

いつものギャスパーからは想像もできない冷静な声だった。
イッセーの血を飲んでパワーアップしたのか?

「_____囮ですから」

ギャスパーが言葉を言いきると、蝙蝠の大群にまぎれて何本も剣が飛んできた!

「なっ!?」

俺はそのトリッキーな連携に反応できずに数本の剣を身体に受けた。
ギャスパーの蝙蝠と木場の剣の合わせ技か!

俺は右手を蝙蝠に向けて魔法を発動、劫火が俺の右腕から生じた。
蝙蝠の大群は焼き尽くされる直前に光に包まれ消失した。

『ギャスパー、リタイヤ』

アザゼルさんのアナウンスであの光が強制転移の光である事をしった。
屋上にはもう姫島先輩の姿は無かった。

校舎の中か。

俺は校舎に足を踏み込もうとしたが、校庭の方からのプレッシャーに振り向いた。

グラウンドにはイッセーとゼノヴィア、木場、塔城さん。
校舎の中から感じられるプレッシャーは二つ、部長と姫島先輩。

おそらく俺がギャスパーに気を取られているうちに茂みからグラウンドに回ったのだろう。

「挟み打ちか」

俺は小さく舌打ちをすると、この状況から抜け出す方法を考える。
だが、その思考はアザゼルさんの声に遮られた。

『エージ、全力でぶつかれよ。お前が甘やかすとリアス達の成長は望めないと思えよ。
本気で戦う事がお前の今できる事だろうが』

………分かりましたよ、アザゼルさん。

「禁手化(バランス・ブレイク)」

俺を蒼白い光が包み、次の瞬間には俺は鎧を纏っていた。

「ドラゴンショットォ!!」

イッセーが倍加させた魔力砲を放つ。
俺はそれを片手で受けとめた。

「こっからが……俺の本気だ」

言うと同時に俺は一瞬で上空に舞い上がる。
両手に魔法陣を展開し、解き放つ。

右手から放たれた極大のビームは校舎を飲み込み、大きな爆発を引き起こした。
左手の魔法陣からは校庭に向け細いビームが放たれる。

校舎の爆発から逃れるために飛び出してきた部長と姫島先輩は、イッセー達と合流しようとするが
幾本のビームが校庭に降り注ぎそれを許さない。

姫島先輩が手を頭上に掲げた。体育館を吹きとばした一撃を俺に見舞うつもりだろう。
予想通り、俺の頭上から先程の落雷とは比べ物にならない質量の雷が落ちる。

勝利を確信した様な声が地上から聞こえる。
悪いけど……この程度じゃ俺は倒せない!!

「オオォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

気合い一喝。俺は魔力を一瞬開放して雷を弾いた。
翼を動かし、地上に向かって加速する。
地面スレスレの位置で急停止し、足で地面を蹴った。

俺は木場の後ろに回ってミドルキックを叩きこむ。

「えっ?」

木場は驚きの声と血を口から漏らしながら、吹き飛び、空中でリタイヤの光に包まれた。
他のメンバーも何が起こったのか理解できないようで唖然としている。

一番早く平静を取り戻した塔城さんは俺に殴りかかってくるが、俺には遅く感じられる。
拳を受けとめて、塔城さんの腹に拳を添える。

「虎砲」

一点に力を集中させ、瞬間的に打ち出す。この技の威力は極めて高い。
苦悶の表情を浮かべ、塔城さんが崩れ落ちる。

「くっ!デュランダル!!」

デュランダルを構えたゼノヴィアの隙をつき、腹部に拳を打ち込む。
魔力を消費しすぎた姫島先輩にはあいている手で魔力弾を命中させた。

『木場、小猫、ゼノヴィア、朱乃、リタイヤ』

一瞬の内に四人をリタイヤさせた俺は、残っているイッセーと部長に相対する。

「ここまでとわね……」

部長が呻く。俺は一気に距離を詰めた。
部長は反応できずに俺の魔力弾を零距離で受けた。

「がっ……」

部長は口から悲痛な声を上げると、地面に膝をついた。
俺の魔力弾が被弾した部分には僅かに滅びの魔力が漂っていた。
俺の魔力弾を滅びの魔力で打ち消したのか。

だが、それでも俺の魔力弾のダメージは大きいようで部長の身体が光に包まれていく。
完全にリタイヤする直前、部長はイッセーに言った。

「イッセー……見せてあげなさい」

そして部長の身体は光の粒子となりこの場から消えた。

『リアス、リタイヤ』

最後のイッセーを見ると、腕にリングをつけていた。
その顔はまだ諦めていない。
何かある。

「禁手化!!」

イッセーのリングが強く輝き、イッセーが赤い魔力に包まれた。
まさか禁手化か!?

「この『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』で、エージに勝つ!!」

赤い鎧に身を包んだイッセーは背中のスラスターを吹かして俺に突撃する。

『BostBostBostBostBostBostBostBostBostBost!!!!』

倍加を繰り返したイッセーの強烈な一撃は俺の顔面にクリーンヒットした。
重いパンチをもらい、少し怯んだが踏みとどまった。

再度俺を殴ろうとするイッセーの拳を今度は完璧にかわし、お返しのボディブロー。

「グハぁ……」

くの字に折れ曲がったイッセーの顎に、頬に、腹に、胸に拳を叩きこむ。
その度に鎧は砕け、どんどん薄くなっていく。
最後の一撃は……ナックルハンマーに雷の魔法をのせ脳天に打ちおろした。

雷が迸り、地面に大きなクレーターを創り上げる。
イッセーの鎧は完全に解除されていた。

『イッセー、リタイヤ』

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