小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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「模擬戦はエージの圧勝で終わった訳だが……どうだった?」

医療室のベットは俺とアーシア以外の眷族が横たわっていた。
アーシアさんの治療のお陰で、部長達の怪我は全快している。
今日一日は安静が必要だが、身体を起こす事は看過してもらった。

アザゼルさんの質問に答えたのは部長だった。

「完敗だわ……あそこまでの実力を身につけていたなんて思わなかった」

それに木場も続く。

「前の組み手の時は禁手化もしてくれなかったからね。僕もまだまだだ」

他のメンバーも同じ様な事を思っていたようで、二人の言葉に頷いていた。

「それで…お前たちはこれからどうしたい?」

何時になく真剣な顔でアザゼルさんは医療室の面々を眺めた。
今まで俯いていたイッセーが、ポツリと呟く。

「強くなりたい」

そう言って顔を上げたイッセーの眼には強い意志が宿っていた。

「俺は馬鹿だった。エージと同じ様に、禁手化すれば互角に戦える。勝てるかもしれないって
思ってた。だけど……俺はボコボコにやられた。
ライザーの時は偶々うまくいっただけで、本来の俺の力はこんなもんだったって……実感した」
「イッセー……」

悔しそうに拳を握るイッセーの姿は、前の俺に似ている気がした。
敗北の苦渋に塗れて、どん底に居た俺に。

「赤龍帝って名前だけが広まっても、弱いんじゃすぐにやられる。
アザゼル先生……俺は強くなれるんでしょうか?」

悪童の笑みを浮かべ、アザゼルさんは頼もしく応じた。

「当たり前だろ?俺を誰だと思ってる?
エージだって俺が鍛えたんだからな。俺の言うとおりに鍛えれば……強くなれるさ」

俺もアザゼルさんとの地獄の特訓があったから強くなれたしな。
後はヴァーリと梓乃にも修行に付き合ってもらった。

他の皆もイッセーのやる気に触発されたみたいだ。
小さな咳払いをして、アザゼルさんは堂々と言った。

「じゃあ、ここで今から各個人の練習メニューの発表をする」

治療室の空気が更に引き締まった。

「先ずはリアス。お前は心技体、どこにも大きな欠点はない。悪魔のしてのスペックが高いんだ。
これからゲームで勝ち続けるのに必要なのは、基礎能力の向上とレーティングゲームの知識だ。
どんな状況にも対応できる冷静な思考と判断力を養え」

流石はアザゼルさんだ。細かいところまで分析してちゃんと個人に合った計画を立てている。

「次に朱乃だ」
「……はい」

返事をした姫島先輩は不機嫌そうだった。
前から思っていたけど、姫島先輩はアザゼルさんが苦手みたいだ。対応が冷たいというか……
それはやっぱり……堕天使が嫌いだからだろう。

「お前本来の力を使えば、今までの戦闘も少しは楽になったはずだ。
『雷』だけじゃ限界がある。迷っていないで力を制御できるようになれ」

あくまで冷たく言い放つアザゼルさんに、姫島先輩は嫌悪の表情を向けた。
それを軽くスルーしてアザゼルさんの視線は塔城さんへ。

「小猫も朱乃と同じだ。己の本質から目を背けるな。
後は基本的な訓練をこなせば力は高まって行く」

塔城さんの表情は暗かった。
それにアザゼルさんの言葉の意味が俺には分からなかった。

アザゼルさんが説明を続けようとしたとき、窓の外から大きな音がした。
建物全体が震動で揺れている。

「きたか」

アザゼルさんが意味深な発言をしたと思ったら、窓に何かが映った。

鋭い牙がのぞく口、強靭な皮膚、獰猛な眼光。
ランサスを見たことあるから何となく分かった。

「ド、ドラゴン!?」

俺は驚きのあまり叫んでいた。
それを見て嬉しそうに笑うアザゼルさん。

「ただのドラゴンじゃねぇぞ。ソイツは最上級悪魔だ」

最上級悪魔!?
レーティングゲームのトップ10に入ると授けられるあの最上級悪魔!?

アザゼルさんが窓を開けると、ドラゴンは声を発した。
低い、地の底から響くような声で。

「アザゼル、お前からの頼み事とサーゼクス様から聞いてきたが……どうゆう用件だ?」
「簡単な話だ。そこに居る赤龍帝を鍛えて欲しい」
「えええええええええ!?」

声を上げたのはイッセーだ。
そりゃ突然こんなドラゴンに自分の修行を任せるなんて出来ないだろう。

「ほう……確かに、そこの小僧から感じるのはドライグの力だ。いいだろうアザゼル。
このタンニーンに任せろ」

ドラゴン――――――タンニーンは快く引き受けた。

「待って下さいよ!?俺の修行は先生がしてくれるんじゃないんですか!?」
「ドラゴンの修行はドラゴンに任せた方がいいだろう?」

アザゼルさんは言うなりイッセーを捕まえようとしたが、イッセーはベッドから跳ね起きた。

「嫌だぁぁぁぁぁ!!強くなりたいけど、こんな怪獣と修行したら死んじゃうよぉぉぉぉぉ!!」
「イッセーを捕まえろ!!」

さっきまでの決意はどこ吹く風でイッセーは逃亡を図る。気持ちは分からなくもない。
俺は一瞬でイッセーの真横に移動した。
部屋の扉のドアノブに向けた手を俺は掴んだ。

「エージ!頼むから見逃してくれ!俺はまだ死にたくないんだ!!」

悲痛なイッセーの声に俺は躊躇うが、これもイッセーの為だ。
俺は心を鬼にした。

「……大丈夫、きっといい経験になるさ」

俺はその手を引きずってイッセーを窓辺まで連れてきた。
アーシアさんが心配そうにイッセーを見ている。

「心配ないよアーシアさん。いくらアザゼルさんでも修行で人は殺さないよ」
「……はい」

返事をしたアーシアさんは不安そうな顔そしている。

俺はそのままタン二ーンさんにイッセーを放り投げた。
大きな口を開けて器用にイッセーを咥えてタンニーンさんは翼を動かした。

「確かに預かった。返すのはゲームの二日前でいいな」
「それでいい。みっちり鍛えてやってくれ」

その巨体がゆっくりと宙に浮かび、タンニーンさんは飛翔した。

「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

イッセーの声が次第に遠ざかって行く。

生きて帰れるといいな、イッセー!

ドラゴンの登場に呆気にとられた眷族にアザゼルさんは説明を再開しようとするが、俺に言った。

「朱乃と小猫はエージに修行を見てもらえ。リアスとゼノヴィアは俺が見る。
木場は自分の師匠の所に行くんだよな」
「はい、一から鍛えてもらう予定です」

闘志に燃えるイケメン、木場。
木場は外見に似合わず、努力家で自分の強さを理解している。
俺もうかうかしていられないかもな。

ゲーム勝利に向けて、俺たちの修行が始まったのだ。








___後書き____

どうも波瀬です。
ちょっとエージを暴れさせすぎましたかね?

パワーバランスを考えてこれからもがんばって行きたいです。

後、テストにより更新が遅くなります。
更新を楽しみにしてくださる方、居たら申し訳ありません。















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