小説『あたし達はがむしゃらに生きてくんだ!』
作者:和泉()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第一章 五話 友達


入学式から二日。行き方は迷ったが何とか高校に来れた。
教室のドアを開ける。昨日よりも空気が柔らかかった。

「楓!おっはよ!」
れいなちゃんに呼び止められた。横にはもう一人の女の子。 
髪はセミロング。目は細い。ニキビが目立つ。遠慮がちにあたしに目を合わせた。
同じクラスの子。さっき仲良くなったんだけど、ゆみって言うんだよ。 れいなちゃんが紹介するとゆみという女の子は小さくおじぎをした。
あたしは鞄を机に置く。 隣いい?まだ時間あるし話そうよ。 れいなちゃんが言う。隣机から椅子をかりた。ゆみちゃんも前の席から椅子を持ってくる。
どこ中? 部活やってた? 初対面らしい会話が続く。
すると教室から女の子達が数人入ってきた。皆すごく派手め。巨大なシュシュをつけ、髪はお団子や巻いている子。汚く染められた茶髪。つけまつげ。スカート丈は短い。Yシャツからはネックレスが見える。香水の匂いが頭を痛くした。
あたしはこういう女の子が少し苦手。オシャレには縁が無いと思っていたからなのか。
れいなが手招きすると女の子達はこっちへきた。ピンチ。体が硬直してく。
だが女の子達はあたしとみると明るく挨拶をした。

「おはよー。何か今日暑くね?」

「う・・・ん?」
驚く。思ったよりも優しい。

「何その語尾疑問形―!ウチさ。美紀っていうんだけど、名前なんて言うの?」

「えっ・・・?あたしは楓。」

「マジ?ウチの友達にも楓って子いた!偶然―!」
マジで?親戚じゃね? 美紀ちゃんが言うと巻き毛の子が
名前は親戚関係ねーよバカ 笑いながら言う。その会話を聞いてなんだか可笑しかった。 言葉づかいは汚い。けど何となく話しやすそうと思った。

-5-
Copyright ©和泉 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える