一章 六話 メロディー
「れいな、ゆみ、楓。トランプ持ってきたからやらね?」
「うん。いいよ!やろ!」
笑顔で答えた。 二日目でトランプを持ってくるなんて。すごいな。 れいなちゃんが呟くと美紀ちゃん達は笑ってた。
不意に肩を叩かれる。
「ねぇ・・・私達も一緒にトランプしてもいい?」
振り向くと数人固まって女の子達が居た。髪は結っている。黒髪。スカート丈はあたしと同じくらい。緊張した様子で話しかけてきた。
「いいよ!皆でやった方が面白いもんね!」
さぁ入って入って。あ、机増やそうか。椅子足りる? 賑やかに話す雰囲気。
一人一人の会話。まるでメロディーのように心地よかった。
昨日まで静かだった教室。けれど今日は心地いい。
大人数でババ抜き。 ゆみちゃんはどんどん手持ちが少なくなる。凄いな。
皆楽しそうにカードを取る。クローバー。ハートの7。スペード。
あたしも笑顔になる。
中学卒業後、高校生活が不安だった。高校は未知の世界。そう思っていた。
けど違う。皆もしかしたら同じ不安を抱えていたのかもしれない。
「よっしゃ!ウチ上がり!終わりー!」
嬉しそう。美紀ちゃんは伸びをする。その後、何人か続いて上がった。
あたしはまだ。ハートの6が上がらない。
まわりが終わっていない事を見ると美紀ちゃんは暇そう。ブレザーからケータイを取る。
思いついたようにケータイをいじる。
写真とるー 美紀ちゃんはそういうと教室の隅に行った。