小説『あたし達はがむしゃらに生きてくんだ!』
作者:和泉()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


一章 九話 変


「それ お前のクラス変だよ。」

「ん・・・」
変といわれ軽くショックを受けた。
前々から疑問に感じてはいたけれど、
自分以外の人に変と言われると確信になってしまう気がして言いづらかった。

「だってさ。もう高校生だろ?
そりゃ小中はイジメくらいザラにあるけどお前のクラスは何か変。
楓はもうそいつらを話さない方がいいよ。」

心配そうな兄の表情。大学一年生の兄は大人だ。
夜 親が寝静まった頃 兄の部屋に顔を出したあたしの心を読み取っている。

クラスが楽しくないなんて学費を出してもらっている親に言えるわけがない ということを。


「でもさ。その・・・佐々木さんをハブにしてる人ってクラスの女子全員なんだよね。」

苦笑いするあたしに兄はしばらく悩む。
するとパッと閃いた顔であたしを見た。


「じゃあさ。楓。お前部活入れ。」



「は?」

考え付かなかった発想。

「だってよ。楓は歌上手いんだし、中学校の時は軽音楽部なんてなかったけど高校にはどこでもあんだろ。
明日職員室行って先生に聞いてこいよ。」

「ええっ?明日?」
驚くあたしに動じず兄はにんまりと そう。明日。と言う。

「部活に入れば友達の輪が広がる。他のクラスでも友達が出来る。
そしたら嫌なクラスでわざわざ飯食う理由なんてないだろ。部活の人と食べるって言えばいいんだし。」

「そうだね・・・」

けど 出来ればクラスの人たちと仲良くなりたい


「・・・楓。お前どうせクラスの女子とまだ飯食いたいと思ってんだろ。」

「えっ?お兄ちゃん怖っ!イタコ?」

「誰がイタコだ。
あのなぁ、楓。お前のいる学校はもう中学校じゃないんだ。高校なんだ。
給食班になって給食仲良しこよしで食べなくてもいいんだよ。俺も実際クラスで食べてなかったし。」

「なんで?いじめ?」

「いじめじゃねーよ!軽音楽部で食べてたんだよ!」
苦笑いでツッコむ兄。

兄のベースオタクは高校一年生の時に軽音楽部に入ったからだ。
よく軽音部の人たちは高校も近いのもあってかうちで遊んでいた。
当時中学一年生だったあたしは男子高校生である兄の友達が少し怖かった。
けど皆、優しかった。可愛がってくれた。
兄は大学一年の今でも軽音部の友達を連絡を取っているようで。



・・・あたしも兄のようになれるだろうか


「明日、職員室行ってみる。」

「おお!そうか。頑張れ楓。」

-9-
Copyright ©和泉 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える