【第5章】
【第十二話 たった、ひとりの】
全て話すと言って、ルーウィンは観念した。
あたりはすっかり暗くなっていた。それでも、ルーウィンはここで話したいと言った。ステラッカの門が目と鼻の先にある。門に吊るされたお情けほどのカンテラが唯一の明かりだった。空には月が顔を出し、明るく照らしてはいるが、雲がかかってぼんやりとしていた。
二人は門の横に伸びる柵に腰掛けていた。街の外の夜はことさら静かだった。夜風が通り過ぎていく。二人とも全力疾走で長い距離を走ったため疲れており、弓矢の一件で気力も使い果たした。ルーウィンはもう逃げる素振りもなく、フリッツは逃げられることを警戒もせずに、二人は静かに移動した。話す元気がなかったためと、フリッツは訊きたいことを、ルーウィンは返す言葉をお互い考えていたのだ。
しばらく柵に座ったりもたれたりしたまま、黙って夜風に吹かれていた。嫌な沈黙でもなく、気まずくもない。ただ、ぼうっとしていた。相手は今、何をかんがえているのだろうと、ぼんやりと思った。
フリッツが先に口を開いた。
「どうして黙っていなくなったの?」
ルーウィンは答えた。
「人を殺したら、もう二度と会わす顔がないと思った。特にあんたやティアラには」
フリッツは息を呑んだ。ラクトスは復讐、という言葉を使っていた。
しかしルーウィンの口から、「殺す」という言葉が直接出て、それを聞いたのは初めてだった。今までに捨て台詞で殺してやると言っていたのは聞いたことがあったが、今回は違う。
カーソンを仇と見なした場合、彼女はどういった行動にでるか。
「ダンテと同じ目に遭わせてやるつもりだった」
ルーウィンは言った。それが答えだった。
ルーウィンはぼんやりとした月を見上げた。
「あたし旅の目的は、ダンテを殺したやつに仕返しすること。それ以上でも、それ以下でもない。ここに来て当てが外れて、ふらふらしてるところにあの男が現れた。そこで思い出したの、こいつもだ、って。隙を窺おうと思って、あいつをつけてた。そしたらなぜか、あんたたちがやってきた」
ルーウィンは苦笑した。
「どうせラクトスの差し金だろうけど。びっくりしたわ。とっくの昔にこの街を出て行ったもんだと思ってたから。あんたたちはずっとカーソンの近くにいて狙えない。これは根競べだなって腹括って、あたしは森の中に身を隠した。そして」
ルーウィンは首だけをフリッツに向けた。
「カーソンと間違えて、あんたを襲った。あの時あんたが言ったこと、だいたい当たってて、腹が立って仕方がなかった。あんたはあたしの歪んだ顔を見てもなにも言わなかった。もう少し恐がってくれたら、あたしはもっと楽だったのに」
ルーウィンが現れたあの夜。
フリッツは純粋に驚いただけだった。襲われたことに、ナイフを突きつけられたことに。命の危機を感じて体が緊張していたのもわかった。しかし月明かりの悪戯で、相手がルーウィンだとわかると、フリッツはあからさまに警戒をといた。いつ殺されるかどうかわからない状況は続いているのにも関わらず。
それがルーウィンには辛かった。自分が信頼されているのが嫌というほどわかったのだ。そんなフリッツを、自分は裏切ろうとしている。その想いが、結果としてルーウィンをさらに苦しませることになった。
「ごめんね」
フリッツは言った。ルーウィンはその言葉に眉を寄せる。
「ルーウィンが今まで苦しんでたこと、ぼく気がつかなくて」
「…なんで、あんたが謝る」
フリッツはルーウィンがいなくなり、その本当の目的が徐々に明かされていく過程で、今までにない自分への不甲斐なさを感じていた。まだ旅を始めてそんなに長い時間は経っていないが、それでもその中で色々あった。助け助けられ、ルーウィンのことが少しずつわかってきたと、仲良くなれたと思っていた。
しかし、それはフリッツの自己満足に過ぎなかった。そしてルーウィンと一番長く一緒に居たにも関わらず、彼女のことをなにもわかっていない自分が、情けなかった。
そんなフリッツの胸の内を知らないルーウィンは、首を横に振った。
そして今度は、自分が言わなければならなかった謝罪を口にした。
「今まで嘘ついてて、ごめん」
ルーウィンは項垂れていた。彼女が申し訳なさそうに、視線を落としている。そんなルーウィンは初めてだった。彼女に今まで謝られたことなどなかったのだ。フリッツは思わず驚いて、手をぶんぶんと横に振った。
「別にぼくは気にしてないよ」
「それは、あたしがまだカーソンになにも出来ていないからよ」
フリッツは言葉を失った。それは恐らく、正論だ。
「あんたは、あたしがダンテに会いたがってるって思ってたでしょ。それに協力するのと、気がついたら人殺しに加担してたのとでは大きな違いよ。きっと、あんたにとっては。あの時、あたしたちが初めて会ったとき、やっぱり助けるべきじゃなかったんだって後悔すると思う」
フリッツは腰掛けていた柵から立ち上がった。そしてルーウィンの前へと回った。
ルーウィンが顔を上げる。フリッツはその目を見た。
「後悔なんて、しないよ」
フリッツは微笑んだ。
「ルーウィンに会えて良かった。あの日ルーウィンに会わなかったら、ぼくはずっとあのままだった。毎日が平穏で、今までと何一つ変わらなくて。師匠と畑を耕したり、稽古をしたり。そしていつか、兄さんのことを風の噂で耳にする。その時ぼくはどうするか」
ルーウィンは大きな瞳を開いて、黙ってそれを聞いていた。
「きっと何もしない。何もしないんだよ、ルーウィン。兄さんの噂を聞いても、師匠に言われなきゃ両親のところへなんか行かないと思う。兄さんを追いかけるだなんて、考えもしないと思うんだ」
ことの成り行き上で、フリッツはルーウィンを助けた。彼女の逃走に巻き込まれた。それからは考える間も無く、フリッツは気づけばガーナッシュ、故郷のカヌレ、そして盗賊のアジトへと出向いていた。ルーウィンとの巡り会わせと、勢いと、このドタバタした一連の流れとがなければ、フリッツは今ここに立っては居ないのかもしれなかった。
「自分が変わったとは思ってないよ。ぼくはまだあの頃のままのぼくだ。でもルーウィンは、ぼくに踏み出すきっかけをくれた。あのタイミングで、きみがぼくの前に現れた。それってすごいことだと思うんだ」
フリッツは笑った。話していて、本当にすごいことのように思えてきた。
「ラクトスやティアラに会えたのだって、ルーウィンが連れ出してくれたお陰なんだよ。師匠を残すのはちょっと心配だったけど、でもあの生活はいつでも戻れる」
「戻れないかもしれない」
声を弾ませるフリッツに対し、ルーウィンは力なく呟いた。フリッツの頭は、一気に熱が冷めた。
ルーウィンは地面を見つめて、その表情は読み取れなかった。
「何もかもが戻るとは限らない。もし怪我でもして歩けなくなったら? あんたはあの修練所に辿りつくことすら出来ない。あんたが死んだら?」
フリッツは一瞬、言葉に詰まった。
「ぼくは死なないよ。そんな簡単に」
「でもダンテは死んだじゃない!」
ルーウィンは思わず叫んだ。
ルーウィンは表情を歪ませた後、自分で驚いたような顔をしていた。フリッツを突然の大声で驚かせてしまったことを申し訳なく思ったのか、次の瞬間には怒った肩は落ち着きを取り戻し、風船が萎んでいくように元気がなくなった。
「ダンテが死んで、あたしは一人になった。もう旅をする理由もなかった。でも、帰るところなんてどこにもない。あたしはダンテに拾われていて、故郷と呼べる場所はどこにもなかったから」
ルーウィンがダンテの弟子になった経緯を、フリッツは初めて知った。ダンテはただの師匠ではなく、彼女にとって養父にあたるのだ。
ルーウィンは再び落ち着いた声音で話し始めた。
「ダンテが死んでしばらくして、あたしはどうしたらいいのか、わからなくなった。でも」
旅することしか知らないのだから無理もなかった。しかしもう着いて行く相手も、目的もない。
自分がこの地上のどこにいていいのかわからない。なぜ生きているのかがわからない。
それはどんなに心細く、辛いことだろう。
生きていく理由もないのに、本能だけが働いて、ルーウィンは生き延びたのだろう。食べて、戦って、眠る。毎日が変化のない、単調なことの繰り返し。笑いあう相手が居ない。一緒に食べ物を分ける相手が居ない。お互いに背を預けて戦える相手が居ない。ダンテが居ない。
そして気がつけばルーウィンは、南下していた。
モンスターのレベルも格段に低くなって、わずらわしい冒険者もいなくなって、彼女は考えた。どうして自分は生きているのか。南へ転がり落ちていって、なにをするのか。
したいことなんか、ない。一緒に居たかったダンテは、もうどこを探したっていない。
そして一つだけ、やらなければならないことがあった。
「…それが、敵討ちだったの?」
フリッツが呟くように尋ねると、ルーウィンは頷いた。
敵討ちが、生きていく糧。彼女の生きていく理由。
そんなことって、そんな悲しいことってあるだろうか。
そう考えて、フリッツは胸をつねられるような感覚に襲われた。それでは、今回のことは、カーソンのことはどうしたらいいのだ。
「でも、カーソンさんは」
フリッツが思わずこぼすと、ルーウィンは悔しげに目を細めた。
「こいつは話を聞いてからじゃないと、だめだなって思った」
その理由をルーウィンは語らなかった。おそらくフリッツが想像したとおりだろう。
ダンテの仇が、ルーウィンが思い描いたとおりの悪党であれば、彼女はどんなに楽だったろう。なんに躊躇いもなく行動に移し、なんの躊躇いもなく手を下していたことだろう。
しかしフリッツは、そうならなくて良かったと思っていた。第三者の客観的な立場から考えれば、その復讐の先にはなにも見えない。復讐はルーウィンを人殺しにするだけで、彼女に明るい未来をもたらしてくれるわけではないのだ。
仇を仕留めても、ダンテはもう帰ってこないのだから。
そしてそんなことは、ルーウィン自身とっくの昔に気づいているはずだ。
「あたしは、これなしじゃ生きられない」
ルーウィンは呟いた。それはまだ、復讐を諦めないということだ。
フリッツと話をしてくれていても、彼女の決意が変わったわけではないのだと、フリッツは危機感を覚えた。彼女が隣に座って、こうして戻ってきてくれたことだけで安心してしまっていたのだ。
復讐をやめさせるという、根本的な解決にはまったく辿り着いていない。
「ダンテさんは、きっとこんなこと望んでないよ」
そんなこと、ルーウィンもわかっている。しかし口にせずにはいられなかった。
「わかってる。あたしほどダンテのこと知ってる人間はいないもの。裏切られても、仕返しなんてしなかった。笑って、心の奥で傷ついてるようなやつだった。仲間は死んでも裏切らない。そんなやつだったのに…」
ルーウィンは腿の上の両手を握り締めて、叫んだ。
「どうしてよ。どうしてダンテが裏切られなきゃなんないの!」
その声は夜の闇に吸われて、消えていった。
ルーウィンの息は荒い。目を見開いて、身体から湧き上がる怒りをなんとか押さえ込もうとしている。肩が震えているのは、そのためだ。恐怖ではなく、怒りと憎しみのため。フリッツは目を細めた。ルーウィンの声は悲痛だった。
泣いてはいない。涙はまったくこぼれもしない。
しかしその声は今にも胸が張り裂けてしまいそうで、痛切だった。声から血が出てしまうかと思うほどの、小さな悲鳴だった。
「ダンテがこんなこと望んでないのだって、わかってる。でも、あたしの気が収まらないの。ダンテの気持ちなんて考えてる余裕ないの。あいつらに奪われた、あたしの」
ルーウィンは唇を引き結んだ。
身体の震えは止まったが、それだけだ。
拳を再び、ぎゅっと強く握りしめた。
「たった、ひとりの…」
ルーウィンは言葉を振り絞った。零れ落ちたその言葉は、彼女の痛みの全てだった。
彼女には、ダンテ一人、ダンテ一つしかなかった。それなのに、そのダンテを奪われた。それはルーウィンから全てを奪うことと同義だった。
いや、全てを奪われたのだった。
フリッツは押し黙った。ルーウィンの気持ちは、痛いほどわかった。今までは彼女の気持ちを想像するしかなかったが、目の前で彼女が苦しんでいるのを見ると、それは嫌でもわかってしまう。しかし彼女の胸の内がこんなにも苦しく、痛く、悲痛な思いに囚われているとは。
フリッツの知る限り、ルーウィンは弱いところを見せたことがなかった。いつも怒るかからっとしているかで、思い悩むような素振りは全く見せなかった。
いや、もしかしたら見せていたのかもしれない。自分の観察力と想像力がないばかりにそれを見逃し、彼女の痛みに気づかなかっただけなのではないか。あるいはフリッツがそうしようもなく情けないことで、ルーウィンの頼る気を一向に起こさせなかったのではないか。
こんなに小さな身体で、こんなに大きな痛みと苦しみをいっぱいに秘めている。
自分がもう少し頼りになる人間だったならば、この苦しみを軽くする手助けが出来るだろうか。
彼女の助けになることができるだろうか。
「ぼくたちじゃだめかな」
気がつくと、フリッツは言っていた。ほぼ無意識に零れた言葉だった。
ルーウィンは笑った。
「あんたたちは、あたしには勿体無い」
しかし、その笑顔はどこかぎこちなく、辛そうだった。
「あんたたちと居て、わりと楽しかった。大変なこともあったけど、辛くはなかった。あんたたちと居ると、復讐なんて考えてるバカな自分が凪いで行くのを感じるの。今はまあまあ楽しいじゃない、これ以上何が欲しいの、って?」
ルーウィンは一瞬、目を瞑った。
「でも、だめだった。ひとりになったときとか、朝早く起きすぎたときや眠れない夜とか。あたしはこいつらを騙しているんだ、本当は一緒に居る価値なんてないんだ。ダンテをあんな闇に放って置いて、自分だけ笑ってるんだ。って、思っちゃうのよ」
そしてルーウィンはまた笑った。乾いた、偽物の笑顔だった。
本当の気持ちを有耶無耶にするものだった。強がりの笑いだった。
そして今のフリッツは、それに気づいた。ルーウィンは、自分たちを遠ざけようとしている。フリッツは首を横に振った。
「騙してたとか、そんなのどうでもいいよ。きっと二人も、そう思ってるから。それよりも、大事なのはこれからなんだよ。これからきみがどれだけのことをぼくたちに話してくれるか。それが肝心なんだと思う」
その言葉を聞いて、ルーウィンはなんともいえない表情を浮かべた。
まだ自分を誘おうとすることに対する驚き、そしてその愚かさに対する侮蔑。単純に手を取りたい気持ちと、それとは裏腹にそんなことをしていいわけがないという抑制。
色んな気持ちが交じり合って、ルーウィンは困惑した。
「これから、って。あんた、まだ…」
フリッツはしっかりとした声で言った。
「ぼくはルーウィンとまだまだ旅を続けたいと思ってるよ。ルーウィンさえ良ければ、だけど」
フリッツはルーウィンをまっすぐ見て言った。しかしルーウィンは逆に目を逸らす。
「話聞いてた? あたしは人を殺すために旅をしてるのよ」
「わかってる。でも、まだ、きみは人を殺していない」
フリッツは真剣な目で訴えかけた。その視線に耐えかねて、恐る恐る、ルーウィンがフリッツを見る。目があったところで、フリッツは顔の力を抜いた。
復讐はやめさせるべきだ。しかしそれよりも、もっと大切なことがあった。
フリッツたちがこの街に滞在していたのは、消えた仲間を探し出すためだ。ルーウィンを連れ戻すためだった。フリッツたちは、彼女が現れるのを待っていたのだ。
「道中まだまだ人手は欲しいでしょ。行けるところまでは、一緒に行こうよ。そのうちに、きみの考えが変わるかもしれないし。もしかしたら、変えられるかもしれない」
自分の今の気持ちを、まっすぐ彼女に伝えなければ。
「ぼくたちはまだ旅には素人の、駆け出しの冒険者ばかりだ。経験の多い熟練者の力が必要なんだよ。きみの力が必要なんだ。だから良ければ、一緒に来て欲しい。ううん、絶対、一緒に来て」
彼女を楽にしてあげたい、救いたいという気持ちはフリッツのエゴでしかないのかもしれない。
しかしルーウィンを一人にしたくなかった。
なによりこれからも一緒に旅をしたいという気持ちは、疑いようがなく本物だった。
気持ちをまっすぐにぶつけられ、ルーウィンにもそれは痛いほどわかっていた。
「…結果的に、あたしはまたあんたたちを利用することになるのよ」
「構わないよ。むしろ、望むところ。ぼくたちはお互い、皆で協力し合って自分の目的のために先へ進む。ぼくたちもルーウィンの力を貸してもらうから、それはぼくらが利用されることにはならないよ」
それでもルーウィンは言った。
「でも、もしあたしがまた他の仇を見つけたら?」
「そのときは、きみを全力で止めるよ」
ルーウィンは次の言葉を失った。
目的を遂げようとしたら、全力で止められる。
そんな旅の道連れなど、誰が欲しがるだろうか。しかしフリッツは真剣そのものだった。それでもフリッツは、嘘をつかなかった。そんな見え透いた嘘をついたところで、ルーウィンの気持ちに揺さぶりをかけることは出来ない。言葉そのものの意図しか持たない、なんの飾り気もない。
全力で止める。
それは他ならぬルーウィンのためなのだ。エゴであろうときれいごとであろうと。そしてそれが、最善であるとフリッツ自身信じている。
ルーウィンはしばらく固まっていた。
そして、ぷっと小さく噴出した。
「なにそれ。とんだ妨害ね。自分の目的をジャマするやつらと、一緒に旅しろって言うの?」
「そうだよ」
フリッツはこともなげに言ってのけた。
「がんばるから。ルーウィンに背中を預けてもらえるように、強くなるよ。ぼくたちで、ダンテさんみたいになれるように、がんばる。ラクトスもティアラもついてる。きみは一人じゃないんだよ」
フリッツは右手を差し出した。
「だからお願い。一緒に来て」
なんの計算もない。なんの思惑もない。なんの屈託もない。
最初に出会ったとき、どうしてマルクスの申し出を素直に受け入れたのか、自分でも疑問に思っていた。
あの時自分は疲れていたのだ。戦うことに、疑うことに疲れていたのだ。
見るからにひ弱そうだった。役に立つとは思えなかった。
それでもあの提案を大人しく受け入れたのは。
ああ、そうだった。
あたしは、疑わなくてもいいものが欲しかったんだ。
しょうもないけど、単純でまっすぐで、わかりやすいものに飢えていたんだ。
それはまだ、信頼や、安心や、そんなものにはほど遠いものだけれど。
そしてルーウィンは答えを出した。