小説『不揃いな勇者たち』
作者:としよし()

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【第6章】

【第四話 思わぬ再会】

 翌日。フリッツ、ルーウィン、ティアラの三人は中庭でくつろいでいた。ラクトスはどこかへ行ってしまっていた。
 その日はまだティアラが影武者になる予定はなく、いつもどおりの白い法衣に身を包んでいた。王宮の使用人には、ティアラは王家の遠い親戚の令嬢で、フリッツたち護衛を伴いはるばるやってきたのだという話になっていた。お陰で不審な目で見られることもなく、人々は皆目が合うと気軽に挨拶をしてくれる。広大な王家の敷地内である程度の自由を許され、思っていたほど萎縮することなく時間を過ごせていた。
 庭に面した渡り廊下から隊長がやってきて、軽く会釈をした。

「いやいや、昨日はすまなかったね」

 隊長は顔の前で軽く両手を合わせた。三人はベンチに座っていたが、隊長が来たのでフリッツとティアラは席を立った。しかし隊長は手で二人に再び座るように促し、自分は隅のほうに半分だけ腰掛けた。
 庭園は見事なものだった。庭師が細やかな心遣いで植木の一つ一つを丁寧に刈り込んであるのがわかる。公務の合間に窓から見える景色で少しでも女王を楽しませたいという思いからだ。庭の片隅では、壮年の庭師が片隅でゆっくりと鋏を入れている。
 庭師には聞こえないよう、隊長は声をやや落とした。

「ティアラ殿が姫様の服をお召しだったものだからね。影武者を用意したことがばれてしまっては意味がない。冒険者と姫様が街で一緒にいては、人目も引くし見抜かれてしまうだろう? それで少々荒っぽい方法に出させてもらったんだ。ずいぶん驚かせてしまったね」
「ほんとにね。あの時はどうしようかと思ったわ。もうちょっとやりようがあったでしょうに」

 ルーウィンが軽く睨むと、隊長は肩をすくめた。一方、ティアラは隊長に微笑みかけた。

「でも、こうしてわたくしのわがままを聞いてくださって、感謝しています」
「あなたを巻き込んだのは自分ですからね。当然のことです」

 フリッツは、これはチャンスだと思っていた。思い切って、自分から隊長に声を掛ける。

「あ、あの。兄のこと、もしも何か知っていたら教えてもらえないでしょうか」

 隊長は申し訳なさそうに眉を寄せた。

「いや、実は自分もよく知らないんだ。もう近衛兵隊に入るという打診はあって、それで顔を一度合わせたことはある。あれは男前な上に好青年だな。彼がまだここに居たら、自分なんてあっという間にお払い箱だ」
「そ、そんなことは」

 恐縮するフリッツに、隊長は快活に笑った。

「アーサーは本当にいい剣士だったよ。一度稽古で剣を交えたことがあったが、あれは本気ではなかったな。まだまだ彼の奥底で、力がうずうずしているのを感じたよ。こんな不穏なときこそ、彼のような者の力が必要だというのになあ。惜しい人材を手放してしまった」

 隊長は腰を上げた。

「きみもアーサーを捜しているだろうが、もしなにか分かったら、自分にも教えてくれないかい? こんなときだからこそ、我々も彼の力を必要としているんだ」
「わかりました」

 フリッツはそう返した。
 隊長が行ってしまい、フリッツはふうと息を吐いて姿勢を崩した。

「そんなに緊張しなくてもいいじゃない」
「いや、するよ。なんてったって、グラッセルの近衛兵隊長だよ?」

 ルーウィンはいつでも自由でいいなあと、フリッツは彼女を羨ましく思った。ルーウィンはベンチの背もたれに腕をかけ、足を組んでゆったりと座ったままだ。

「結局、あの人もお兄さんのことはよくわからないみたいね」
「うん。一応ここの兵士さんとか、もう一度詰所に行って聞いてみようとは思ってるんだけど」
「なかなか、お兄様探しは一筋縄にはいきませんわね」

 ルーウィンとティアラは顔を見合わせた。不思議に思って、フリッツは首をかしげる。ティアラが頷くと、ルーウィンはフリッツに向き直った。

「グラッセルまで来ちゃったわけだけどさあ、あんた、どこまで行く?」
「どこまで、って?」

 唐突な質問に、フリッツは首を傾げた。ティアラがルーウィンの言葉を繋いだ。

「お兄様を捜して、どこまで旅するのかということですね」
「それは、行けるところまでは行くつもりだけど」

 兄を捜す。それがフリッツの旅の目的だ。しかしこのグラッセルに辿り着き、その当てが外れてしまった今、フリッツは局面に立たされているのだった。

「南大陸の果ては確実に近づいてる。今までに見落としがなく、次に進むっていうんなら、それは北大陸にまで行くことになるのよ」
「…北大陸」

 フリッツは呟いた。言い慣れない響きだ。フリッツはベンチにもたれて空を見上げた。

「考えてなかったな。南大陸の中で、見つかるものだと思ってたし。とりあえずこのグラッセルが目的地で、八割方はここにいてくれるだろうって思ってたから」

 ここから先は、本当に当てのない旅になる。北大陸は未知の領域だ。そこまで進んでも、アーサーに会えるかどうかの保証はない。

「あたしはもちろん、ダンテの仇を捜してどこにだって行くわ。ティアラは元々北大陸の大聖堂に行きたいってことだったし、このまま進む。でもあんたとラクトスはそうじゃない」

 ルーウィンが言うと、ティアラは頷いた。

「北大陸は危険な場所よ。こっち以上にモンスターがうじゃうじゃしてて、荒れた大地が広がってる。代わりに街道に潜むケチな盗賊は少なくなるけどね。でも、モンスターの強さのケタが違うわ。街に辿り着く前にモンスターの餌食になることは珍しくない。むしろ、そっちのほうが多い」

 ルーウィンはベンチから立ち上がった。

「考えておくのね。あいつは、まあ言わなくたって考えてるでしょうけど。フリッツ、あんたはいったいどこまでお兄さんを追うのか、その限界はどこなのか。これ以上の危険を犯してまで、お兄さんを捜す意味があるのか。一度じっくり考えてみるといいわ」
「うん、わかった。考えるよ」

 ティアラも立ち上がって、スカートの埃を軽く払った。

「わたくしたちはもう戻りますけれど、フリッツさんはどうします?」
「ぼくはもう少しここにいるよ」
「では、また後で」

 ティアラは微笑むと、ルーウィンと共に戻っていった。二人が行ってしまったのを見届けて、フリッツは再びベンチの背にもたれかかった。
 青い空に、白い雲がゆうゆうと泳いでいる。不穏な事件が影を潜めているとは思えない、平和で緩やかな昼下がりだった。

「…考えてなかったなあ」

 南大陸の終わりが迫っているとはいっても、そうすぐのことではない。小さな街や村や、港町だってある。しかしそろそろ、そこでも見つけられなかったときのことを考えておかなければならないのは確かだった。
 自分が北大陸に行くなど、考えたこともなかった。しかし、皆と別れて一人故郷へと引き返してくのも、想像がつかない。一方で、ルーウィンとティアラはちゃんと考えていたのだ。

(…ラクトスはどうするのかな)

 フリッツの頭に、ふとラクトスのことが浮かんだ。ラクトスも、はっきりとした旅の終着点を決めていないはずだ。望んで旅立ったのだろうが、彼の場合はそのきっかけがいいものではない。修練所の在籍を賭けた決闘をし、それに勝ったのにも関わらず、キャルーメルの街から出たのだった。

(戻ってきたら、ちょっと聞いてみよう)

 しかし最終的な答えは、自分自身で出さなければならない。それはフリッツにもわかっていた。
 しばらくぼうっとしてから、フリッツは立ち上がった。考えていても埒があかない。一旦部屋に戻ろうと歩き出す。中庭を抜けて、建物の角を曲がった。下に敷かれた白いレンガをなんとなく目で追いながら歩いていた。そのため、向こうから荷物をうず高く抱えた人がやってくるのに気がつくことができなかった。

「うわ!」
「わあ!」

 出会い頭に派手にぶつかって、フリッツはしりもちをついた。相手もまったく無防備な状態でぶつかってしまったようで、なかなか体勢を立て直せずにいる。フリッツは慌てて相手に駆け寄った。

「大丈夫ですか?」
「なんとかね。でも大変だ、書類が散らばってしまった」
「手伝います。すみません、余所見していて」
「いや、こちらも無理な運び方をしていたからね。やっぱり無茶はするものじゃないなあ」

 青年はいそいそと芝生の上に散らばった書類をかき集め始めた。フリッツもそれに習う。羊皮紙や古めかしい巻物だった。書いてあるのは複雑そうな魔法陣や、魔法の理論のようだ。巻物がころころと転がったりして、全てを集めるのに少々手間取ったがなんとか片付いた。フリッツは両腕いっぱいに書物やら書類やらを抱えて、青年に差し出した。

「はい、どうぞ」
「ありがとう。助かったよ」

 ぶつかった青年の顔を、フリッツはそこで初めて見た。

「あーっ!」

 そして思わず声を上げてしまった。
 そこで出会ったのは、本当に意外な人物だった。再会した、といったほうが正しい。フリッツはあまりのことに驚き、しばらく口をぽかんと開けたままどうすることもできなかった。青年は王宮の魔術師が身に付けるシンプルな、しかしきちんと縫い取りされたローブを着ている。
 はにかんだ様子で立っていたのは、キャルーメル魔術修練所主席であったクリーヴだった。

「久しぶり。元気にしてたかい?」

 クリーヴが声をかけても、フリッツはまだ固まっていた。その様子を見て、クリーヴは少し悲しげに目を細める。

「……なんて、言えるような立場じゃないのは重々承知しているんだけれど」
「クリーヴさん」

 最後に別れたときとはまるで違う様子にフリッツは戸惑った。あの夜、追い込まれたクリーヴは突然豹変したのだ。召喚されたモンスター相手に死にそうな思いをしたこと、そしてラクトスに向けられた魔法の恐怖を味わったことをフリッツは克明に覚えている。
 しかし、目の前のクリーヴはまるで憑き物が落ちたかのように大人しい。騙されるな、とフリッツは心の中で頭を振った。最初に出会ったときも、彼は絵に描いたような優等生を演じていたのだ。

「時間、あるかい? 少し話がしたいんだ」

 そう尋ねられ、反射的にフリッツは頷いた。ここは王宮だ、下手なことはしないだろう。それに、今のクリーヴは本当に善人のようだった。話すくらいなら、大丈夫だろうとフリッツは思った。
 たった今やってきた道を引き返し、二人は中庭のベンチに腰掛けた。

「こんなところでまた会えるなんて、思ってもみなかったよ。まさかきみが、女王陛下のご親戚の護衛をやっているなんてね。本当に、ここまで旅をしてきたんだね」

 最初はぽかんとしてしまったが、すぐにそういう設定だったのだと思い出した。

「きみがここにいるということは、もしかすると彼も」
「はい。ラクトスも一緒にいます」
「そうか。旅をしているんだね」

 そう呟いたクリーヴの瞳は、酷く儚げだった。本当に、あの時のクリーヴと同じ人物なのだろうか。もしかすると、あの時のクリーヴにはなにか悪いものが取り憑いていたんじゃないか。そう疑ってしまうほど、目の前のクリーヴは穏やかだった。
 フリッツは何を話したらよいのかわからなかったが、混乱した頭でなんとか言葉を捜そうとしていた。

「えっと、クリーヴさんは」
「こうしてちゃんと働いているよ。今はまだ見習いで大したことはやらせてもらえないけど、ゆくゆくは順を追って色々と出来るようになるはずなんだ」

 それは見ての通りだった。彼が王宮で働いていることはその姿からも間違いないだろう。

「どうして、ここへ?」
「ぼくは元々グラッセルの貴族の出でね」

 クリーヴは続けた。

「あの一件があって、ラクトスくんは街を出て行った。そして、ぼくは残った。所長からは何も言われなかったけど、いつもひやひやしていたよ。いつか出て行けと言われるんじゃないかって、毎日小さくなってた。そうしたらついに、身体を崩してしまって。きっと、報いだったんだろうね。あんなことをしたんだもの」

 そう言ったクリーヴの横顔は、本当に寂しげで、切なかった。

「講義に出られなくなって、修了証書も貰えずに帰ってきたんだ。そうしたら、親戚から王宮を紹介されてね。修了証書がないから、すぐにちゃんとした仕事ってわけじゃないんだけれど。見ての通り、今は下っ端さ」

 それは多くの荷物をたった一人で苦労しながら運んでいたことからも窺えた。
 クリーヴが修練所を修了することができなかったと聞き、フリッツには衝撃が走った。どう考えていいのかわからなかった。当然の報いだと考えることも出来るが、それでは身を退いて街を出て行ったラクトスが報われないのではないかとも思った。
 クリーヴがあんなことをしなければ、二人とも無事に修了できていたのではないだろうか。ラクトスは希望通り、良い勤め先にその腕をかわれて魔法使いとして働くことができたのではないだろうか。そんな思いがぐるぐるとフリッツの頭を巡った。
 そんなフリッツの考えを察してか、クリーヴは視線を下げた。

「すごく後悔しているんだ。今だから言うけどね、ずっと虚しかったよ。彼にあんなことをしてしまって」

 フリッツは何も言えなかった。ただ、聞いていた。今更あの時の懺悔をしてなんになる。それもラクトス本人でなく、フリッツにだ。しかしクリーヴを見ていると、とてもそのようなことは口に出せなかった。
 クリーヴは地面の一点を見つめていた。フリッツの顔を見て話すのには勇気が要るのだろう。

「家族だけじゃなくて、親戚皆から応援されていたんだ。でもそれが辛かったよ、とてもね。押しつぶされてしまいそうだった。車輪の下にひかれたみたいに。なにがなんでも一番になりたかった。ううん、ならなきゃだめだったんだ。それで、あんなことを…」

 しかし、家族から応援されていたのはラクトスも同じだった。細々とした生活の中から修練所の月謝を捻出するのは、さぞ大変だったろう。しかし目の前のクリーヴは、ラクトスの家族の思いを踏みにじった。その事実を忘れてはいけないのだと、フリッツは自分に言い聞かせた。

「でも、だからといって、あなたがラクトスにしたことは」
「うん、わかってる。とても許されることじゃない。ぼくは彼の人生を狂わせてしまった。本来なら今頃は、修了証書を貰ってどこかいいところで魔法使いとして雇ってもらえていてもおかしくなかったはずだ」

 フリッツは再び黙った。クリーヴは自分がしたことの罪深さをちゃんとわかっている。ラクトスの可能性を潰したことを理解していた。そして悔やんでいる。
 クリーヴは立ち上がった。

「彼には言わないでいてくれないかな。申し訳ないやら恥ずかしいやらで、今は合わせる顔がないんだ」
「…わかりました」

 フリッツは頷いた。ラクトスの方も、好んで顔を見たいとは思っていないだろう。クリーヴは力なく微笑んだ。

「ありがとう。彼との事情を知っているのは、きみぐらいだからね。懺悔しても許されないのはよくわかっているつもりだ。それでも、きみに聞いてもらえたことで気分が少しだけ軽くなったような気がするよ。また話を聞いてくれるかい?」

 フリッツは首を縦に振りそうになったが、思いとどまった。

「ぼくが話を聞いてあなたの力になれるなら。でもこのことがラクトスの耳に入ったら、彼はいい顔をしないだろうと思います」

 クリーヴは視線を落とした。

「そうか。そうだよね」

 クリーヴは立ち上がり、大荷物を抱えはじめた。

「じゃあ、そろそろ行くよ。これでも仕事中だからね。また会ったら、声を掛けてもいいかな」
「それは、もちろん。お仕事頑張ってください」

 フリッツは難儀そうに歩いていくクリーヴを見送った。彼がいなくなってから、しまった、荷物を半分持ってあげればよかったかなと思ったが、すでに遅かった。そんな気を利かせられないほどに、フリッツはクリーヴとの再会に動揺していたのだ。この日のクリーヴは悪人などではなく、相変わらずの好青年だった。フリッツはどちらが本当の彼なのかわからなくなった。
 彼は彼なりに、色々大変なことがあったのだろう。周りの期待と、それに応えようとする自分と、完璧にうまくはいかない現実と。しかし、それがラクトスにした仕打ちの正当な理由にはならない。ラクトスは修練所を中退しているというのに、方やクリーヴは結局修了証書を貰うことなくグラッセルの王宮に勤めている。彼のことだ、すぐに上司や周りの信頼を勝ち得て、正式な魔法使いになるだろう。

 今クリーヴに会ったことは、ラクトスには言わないでおこうとフリッツは思った。同じ敷地内に彼がいると知っては、ラクトスは嫌がるだろう。それに修了証書をお互いに手にすることが出来なかったのはおあいこだが、状況が違いすぎる。クリーヴがグラッセルの王宮で働いていると知れば、ラクトスは悔しい思いをするだろう。そんなことがわかりきっているのに、わざわざラクトスの気分を害すことはない。

「世の中って、不公平だ…」

 フリッツはベンチに腰掛け、流れていく雲を見ながら呟いた。










 扉の向こうの足音を聞き、開かれると同時にフリッツは顔を上げた。

「お帰り。けっこうかかったね」
「まあな」

 相変わらず、ラクトスはそっけない返事をした。時刻は夜になっていた。ラクトスはその日一日あまり姿を見せなかったが、フリッツはそれを別にそれをどうとも思わなかった。ふらりと居なくなっては静かな場所で一人魔法書を読みふける。ラクトスにはよくあることだ。
 フリッツは視線を膝の上の木刀に戻す。ベッドの上にボロ布やらクリームやらを広げ、フリッツは剣の手入れをしていた。あくまで木刀なのでなにを斬るでもないが、一応念のために手入れするのが習慣になっている。いつも背負っている真剣は、近くの壁際に立てかけたままだ。刀身に顔を近づけ、熱心にボロ布で磨いていた。

「なあ、お前に言っときたいことあるんだけど」
「なに?」

 ラクトスが前置きなんて、珍しいなと思いながらもフリッツは作業を続けた。ラクトスはしばらくフリッツの作業の様子を見、自分のベッドに仰向けに寝転がった。

「おれ、就職するかも」
「へえ、そうなんだ」

 布が刀身をこする音しかしなかった。キュッキュと小気味良い単調な音が部屋に響く。開け放した窓からは花の香りと夕餉の匂いがやってくる。窓の外は明るい月夜だった。
 ラクトスは組んだ腕の上に頭を乗せ、窓の外を見やった。
 しばしの沈黙が流れた。
 フリッツの手が、やっと止まった。

「…はい?」

 しばらくして、ラクトスの言葉を咀嚼したフリッツは気の抜けるような声を出した。




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