【第6章】
【第五話 ラクトス、就職する】
時間はすこし遡る。
ラクトスが一人で中庭を横切っていると、番兵が声をかけてきた。
「そこの、目つきが悪くて眉間にしわが寄っている者!」
なんとも無礼な形容表現をされたラクトスは、しぶしぶ足を止めた。ここまで言われれば、自分以外の誰かだろうと無視することも出来ない。
「シェリア様がお呼びだ。少々失礼かとは思ったが、貴殿が何度呼んでも気がつかないために、致し方なく姫様からの呼称を使わせていただいた」
要は女王、大臣、小間使い経由で「目つきが悪くて眉間にしわのある者を連れて来い」と言われたのだろう。ちなみにこの番兵は、誰がラクトスを引き止めるかを決める際、不憫にも負け続けてしまった哀れな男だった。つい先ほどまで植え込みの影でジャンケン大会が催されており、番兵たちが自分と接触するのを必死になって避けようとしていたなどとは、もちろんラクトスは知る由もない。
ラクトスは怪訝そうに眉をひそめる。単独で呼び出されるような無礼を働いた覚えはない。番兵は「失礼!」と言うなりどこかへ逃げて行った。
取り残されたラクトスは頭を掻いた。
誰かが迎えに来るわけでもなく、ラクトスは一人で謁見の間に向かった。廊下や部屋に飾られている調度品やタペストリーは見事なものだが、骨董品といえば聞こえはいいものの、かなり昔からのものしか置かれていない。女王はああ見えて、無駄な浪費はしないとみえた。
王宮というのはもっと警備がしっかりした、ネズミ一匹の侵入も許さないような場所だと思っていたが、予想よりもグラッセル王宮は風通しが良かった。悪く言えば、ザル警備である。建物の造り自体は堅牢なのだろうが、どの通路も大きく窓が切り取られており、明るい中庭が見えるようになっている。隙を突いて矢が飛んでこようものなら、簡単に狙いを定められてしまうかもしれない。
しかし敵に狙われることを恐れて護りばかりを固めた城を築いては、今のグラッセルはなかっただろう。大切なのは王宮を人々の営みの中心部の平地に構え、窓やバルコニーから都を見渡せることだ。侵入者が上れないような高い塀を築くよりも、花の咲く生垣の周りに兵を配置し、時には番兵が人々に道案内をすることもある。
ラクトスが見たのは、そんな光景だった。ひんやりとした空気の渡り廊下を、風がさわやかに吹き抜けていく。三階や四階まで登れば都が見渡せ、人々の営みと石造りの古い町並みと緑とが調和しあっている。
いいところだ。しかし。
「…いくらなんでも、ゆるすぎるだろ」
王宮が人々の生活に歩み寄ろうとしているのはわかった。民衆もそれを歓迎し、王宮を身近に感じ、なおかつ敬意を持っているのも頷ける。しかしラクトスから言わせてみれば、それはどうしても「甘さ」を拭いきれないものだった。悪人が少し本気を出せば、転覆を目論める隙がいくつもある。これは不気味な事件が起こっても文句は言えないなと、ラクトスは思いながら先を進んだ。要は、この国は人を信用しすぎて平和ボケしているのだ。
女王の呼び方にしたってそうだ。まだ即位してからそんなに年数が経ってはいないものの、内輪で「姫様」という呼び方がまかり通っているのはどうだろうか。
兵士が転々と立っている通路を通り過ぎ、ラクトスは謁見の間に辿り着いた。入ってもいいのかと近くの兵士に視線をやると、どうぞどうぞというような仕草が帰ってきた。これでいいのだろうかと、ラクトスは苦笑する。そしてドアノッカーに手をかけた。
「入りなさい」
中からシェリア女王直々に返事があって、ラクトスは扉を開いた。謁見の間に足を踏み入れた瞬間、ラクトスは眉根を寄せた。
前言撤回。
この国は全てが平和ボケしているのではないようだ。
「なんのマネだ」
ラクトスは女王を睨んだ。シェリア女王は飄々とした様子で玉座に腰掛けている。謁見の間の中に兵士は一人もおらず、女王と大臣、そしてラクトスだけだった。昨日のように隊長はおらず、そうなれば兵士はこの中に一人もいない。
それは、おかしい。
「なんのことかしら?」
ラクトスは杖を強く握った。湧き上がる苛立ちを抑える。兵士がいないのは、ラクトスに対して警戒していないからなどではない。巻き込まないためだと、ラクトスは悟った。
「とぼけるな。左右に魔法陣二つずつ、発火の術式の気配が丸わかりだ。あとはこの絨毯。模様に隠れてはいるが、三重、いや四重に魔法陣が隠されている。捕縛用と、口封じ用ってところか」
それを聞くと、シェリア女王は不敵な笑みを浮かべた。
「では、得意の魔法で対抗してみたらどうです?」
「女王様の前で杖高々と振り上げるほどバカじゃないんでな。不敬罪でとっ捕まるのはごめんだ」
しかし、そんなことは言っていられなくなった。
突然、左右から炎の塊が飛んできた。左右の魔法陣が赤く光り、舐めるように炎が陣の上を走ったことを確認するまでもなく、ラクトスは構えた。小さな炎の塊は回転しながら速度を上げ、赤々と燃え滾る塊が容赦なくラクトスを襲う。仕掛けてあった分、ラクトスのいつも使うフレイムダガーよりも威力は大きい。当たれば大ヤケドどころでは済まない。
対応は速かった。ラクトスは杖を高く掲げると、口の中で小さく呪文を唱えた。
杖の先に薄紫色の怪しげな光が生まれる。生まれた光は杖の先を包み込み、杖は簡易の防御壁(シールド)を纏った。ラクトスは炎の塊を打ち返すように杖を振る。杖と炎が触れ合う直前、シールドと炎とが接触した刹那、眩しい光が放たれた。シールドが炎の魔法を相殺したのだ。
あっという間の出来事だった。焦げ臭い匂いと、わずかな火の粉がちりちりと音を立てながら床へと落ちていく。女王の脇に控えていた大臣から、「ほう」と感嘆の言葉が漏れた。
ラクトスは大臣を睨んだ。大臣の持っている杖が床に突きたてられたことで、魔法が発動したのだ。
大臣は口を開いた。
「なかなかやるな」
「足元に護りの魔法陣があるのもわかってたから、なにもしないってことも考えたんだが。でも結局、あんたが発動させるのが遅れたら、おれは丸焦げだからな。で、グラッセルってのは余所から来た人間にこんな歓迎の仕方をするもんなのか。説明ぐらいあったっていいだろ」
ラクトスは杖を下げて、シェリア女王と大臣に向き直った。
「最初に言っとくが、目つきが悪いのは生まれつき。眉間のしわは視力の低下で見えにくいせいだ。だからおれの表情が気に食わないからって、すぐに首を刎ねるのだけはやめてくれよ」
ラクトスの物言いにシェリア女王は怒りもせず、むしろ楽しげに応えた。
「あら、じゃあ口が悪いことについての言い訳は要らないの?」
「それは家が貧乏で育ちが悪いだからだ。これで満足かよ」
「この小僧、黙って聞いておれば!」
大臣が声を上げて、シェリア女王が手でそれを制した。
「いいのよ、じい。話が進まないわ、少し下がっていて。それにわたくしたちが無礼を働いたのは事実ですから」
「…は」
大臣は腑に落ちない様子だったが、すごすごと引き下がった。
シェリア女王は手を三回ほどぱちぱちと叩いた。今更ながらの拍手らしく、静まり返った謁見室には不似合いだった。
「先ほどの対応、見事でした。万が一のためにこちらが防護魔法を用意していることに気がついたのも、またよろしい」
「どうも」
ラクトスは口ではそう言ったが、ほぼシェリア女王を睨んでいるようなものだった。まあ怖い顔、と冗談めかして肩をすくめ、シェリア女王は顔を上げラクトスに尋ねた。
「あなたの名前、ラクトス=ゴアで間違いなくて? キャルーメル魔法修練所出身の」
「おれは中退した。出身っていえるほどじゃない」
女王はふうと息を吐いて姿勢を崩した。
「やはりそうですか。あなた、所長のガルシェは覚えていますね。以前ガルシェに魔法使いを数名遣してもらう予定だったのですが、そのときにあなたの名前が出たのです」
ラクトスは驚きに目を見開いた。
そんな話は初耳だ。
「なんでも、聞けばガルシェがあなたに話をする前に、あなたはキャルーメルを出て行ってしまったのだとか」
「あの野郎。タイミングの悪いおっさんだぜ」
ではあの時、もう少し我慢してキャルーメルに留まっていれば違う未来が待っていたかもしれないということだ。旅になど出ず、所長の提案を受けていれば、今頃は行きずりの冒険者としてではなく、宮廷の魔法使いとしてこの場にいたかもしれない。そんなどうしようもないことを考えて、ラクトスは奥歯を噛んだ。
その様子を上から見ていたシェリアの唇は満足そうに弧を描く。
「あなた、一般の家庭からあの名門修練所に入るにはそれなりの苦労をしたのでしょう? それなのにどこへ仕える訳でもなくふらふらしているのは、勿体無いと思いません? 聞けば特別奨学金の制度を受けているようですし、返す当てはあるのですか?」
痛いところを突かれた。ラクトスは舌打ちを我慢した。自分の事情を調べられているとは、思いもよらなかったのだ。
「そんなもん無えよ。でもいつか返す、必ず」
「いつか? いつかとはいつです」
シェリア女王はわざとらしく首を傾げてみせた。この不毛なやりとりに、ラクトスは苛立ちを隠せなかった。相手が女王だとわかっているが、つい嫌味の一つでも言いたくなる。
「あんたは所長に借金の取立てでも頼まれたのか」
「無礼な! 姫様がそのようなこと」
「じゃあなにが言いたいんだ。はっきりしろよ」
横から口を挟んだ大臣にラクトスは言った。シェリア女王は微笑んだ。
「つまりですね。わたくしは、あなたにここで魔法使いとして仕えてもらいたいと思っているのです。もちろん決定事項ではなく、今回の一件であなたの力量を見せてもらい次第ですが」
「は?」
予想していなかった展開に、ラクトスは思わずおかしな声を出した。その言葉の意味を噛み締めて、ラクトスは息を吐いた。額に手をやって考える。落ち着け、今なんて言われた?
王宮に、魔法使いとして、仕える?
胸が躍る、という感覚を初めて知った。今までに感じたことのない緊張感と期待が、体中を駆け巡る。思わず口角が上がってしまい、身体が痺れてしまうような衝撃だった。しかし、それも一瞬のことで、ラクトスはすぐに冷静さを取り戻した。鼓動は速くなっているが、自分は今、落ち着いて行動しなければならない。
冷静に考えて、こんなことはおかしい。この街へやってきたばかりの冒険者が、突然王宮の魔法使いになるなど、どう考えても不自然だ。所長の推薦があったと言っているが、それも本当かどうかわからない。なにより、力量を見るのに突然炎の塊を投げてくるような相手だ。自分は騙されているのではないかという疑いが、ラクトスの頭をよぎった。
「そんなにこの一件をなんとかしたいのか。そんな見え透いたエサをぶらさげても、簡単には食いつかないぜ。影武者なんて言って、お前らティアラをどうするつもりだ。一番欲の強そうなおれから順番に懐柔するつもりか?」
シェリア女王は大臣と目を合わせると、肩をすくめた。
「疑い深いですね。ただ単に、わが国は魔法使いを必要としているのですよ。人員確保は大切です。先ほどのことは確かに荒いやり方でしたが、貴方の実力を見るのには十分でした。あれはこのグラッセル王宮に魔法使いが召されたときに行う、試験のようなものなのですよ」
「まあ、抜き打ちではないがな」
大臣が一言付け加えた。
「キャルーメル高等魔法修練所の規模が大きくなるにつれ、他の魔法修練所の勢いは殺がれていった。しかしあの修練所からの出身者は、ほとんどがお勉強しかやってこなかった金持ちの、軟弱な魔法使いしかおらん。頭は知識でいっぱいだが、いざ事が起こってもあわあわと逃げ回るばかりだ。我々は、戦力として使える魔法使いを求めておるのだ。戦える魔法使いは、一師団の戦力にも値するからな」
その言い分は、ラクトスも納得できるものだった。
キャルーメル高等修練所では攻撃魔法の実習ももちろんあったが、ほとんどの門下生が教本通りのことしかしない。そして彼らは修了するのに最低限の技量をなんとか身につけ、それ以上のことはしようとはしなかった。魔法が使えるといっても、それは前もって掛け声があってからのことで、情けない話、有事の際に咄嗟に魔法で対応することが出来る者はおそらく少ない。
しかしここはあくまで王宮。南大陸随一の都だ。ラクトス程度の魔法使いなど、掃いて捨てるほどいるだろう。
「キャルーメルから人を流して、それでもまだ足りないだと。一斉リストラでも起こるのか?」
思い付きを軽く口にしてみただけだった。シェリア女王はそれには答えなかった。
「なぜ姫様がお前だけをここに呼び出したか分かるか? お前に決定権を与えるためだ」
大臣の言葉に、ラクトスはシェリア女王を見た。
「あなたがこの一件で実績をあげれば、修練所中退者だからといってとやかく言う者も少なくなるでしょう。わたくしとしては、出来ればあなたがたにこの件の始末をつけてもらって―――いいえ、絶対につけてもらわねばなりません。
そしてあなたにここに来てほしい。でもそれは、あくまでわたくしの意思。あなたの意思も、わたくしと同じでなければ。無理にここに残られても、危険因子になりかねませんから」
シェリア女王は紅く流れる髪を肩から払った。
「あなたにとっては、願ってもない話なのでは? 意地を張らず、一度よく考えてみてください」
ラクトスはその日に起こった出来事を、部屋の中でフリッツに話して聞かせた。あまりのことに、フリッツは口をぽかんと開けていた。しかし、次第に事情を飲みこみ、肩を小刻みに震えさせた。
「王宮に勤めるだなんて、すごいことだよ! やったね、ラクトス!」
「まだ決まっちゃいない。そういう話が出てるってだけだ。この騒動を片付けたらって条件つき」
本人よりはしゃぐフリッツをラクトスはなだめた。身を乗り出していたフリッツは、落ち着きを取り戻して静かに座った。
「ごめん。すごい話だったから、つい」
ラクトスは真面目な顔をして話し始めた。
「おれがなんでお前らについて来たと思う?」
フリッツは首を傾げた。
「ぼくたちが魔法使いを探してたからでしょ。それにあの一件で、ぼくたちと縁があったし」
「不思議に思ってたんだよな、なんで自分がついてきたのか。考えてもみろよ、お前らと旅して何か特になるか?」
「そんな言い方しなくても」
フリッツは眉を下げた。それを見てラクトスは苦笑する。
「悪ぃな。でも残念ながら、おれは損得勘定で動く人間だ。あのままキャルーメルに留まって仕事でも続けてりゃ、それなりの金は貯まってるはずなんだぜ? それなのにおれは、お前らと来たんだ」
ラクトスは視線を落とした。
「多分、あの街を離れたかったんだ。頭を冷やしたかったんだろうな。長男のくせに、ずいぶんと好き勝手やっちまった。おれは誰よりも家族を助けなきゃならないのに、そのおれがこんなところまでふらふら来ちまって」
ラクトスは七人きょうだいの長男だった。そのために、家計を助けようと日々勉学とアルバイトにいそしんでいたのだ。長男の自分が魔法修練所に通っているために、家計に負担をかけていたことを今でも申し訳なく思っているのだろう。
「フリッツやルーウィンみたいに誰を追うわけでもなく、ティアラみたいにどこに行くって目的もない。正直このままでいいのかって、焦ったりもしてた。そろそろここらが潮時だって思う」
ラクトスは顔を上げて、フリッツを見た。
「おれはこの一件を片付けて、認められれば、姫さんの誘いに乗ろうと思う。思ってみなかったチャンスだからな」
そう言ったラクトスの目は、今までにない輝きが宿っていた。希望が、すぐ近くにある。それがラクトスにいい表情をさせているのだ。いつもは気だるげに細められている目が、大きく見開かれている。
しかしフリッツは肝心なことに思い当たって、やや肩を落とした。
「ラクトスが王宮に勤めるってことは、もう一緒には行けないってことかあ」
「そういうことになるな」
ラクトスがパーティから抜けるなど、考えてもみなかった。
旅の最初の頃に、魔法使いを求めてキャルーメルへと向かったことが懐かしい。考えてみれば、ここまで来るのに思ったほど長く一緒にいるわけではないのだが、もうずいぶんと一緒に旅をしているような感覚だった。そこからラクトスが抜けてしまうということは、魔法使いという貴重な戦力がなくなり、同時に寂しさがあった。
しかし、これはラクトスにとってはまたとない好機なのだ。キャルーメルの魔法修練所を修了していても、王宮から声が掛かるなんてことはないに等しいのだろう。それを思うと、修練所を中退し、偶然にも王宮に居合わせ、このような申し出を受けることは奇跡に近い。修練所では不遇だったラクトスに、やっと巡ってきたチャンスなのだ。
そう考えて、フリッツは表情を明るくした。
「ラクトスが居なくなるのは寂しいけど、ぼくも協力するよ。頑張ろうね!」
「ああ、頼んだぜ」
ラクトスも歯を見せて笑った。
「それよりお前、自分の心配もしろよ」
「ぼくの心配?」
思い当たることがないフリッツに、ラクトスはにやにやしながら言った。
「お前、おれが抜けると男一人になるんだからな。力仕事は全部お前に回ってくるし、なにより肩身が狭くなる。せいぜいあの二人の尻に敷かれないよう、今から鍛えておくんだな」
「…そうだった」
フリッツは頭を抱えた。どう考えても、ラクトスが抜けて男一人になったフリッツが女性陣にこき使われる未来しか想像できないのだった。
その時、二人の部屋の扉を誰かが叩いた。フリッツは返事をして腰を上げる。
「二人とも、今すぐまた謁見の間に来てくれ。姫様がお呼びだ」
「なにかあったんですか?」
フリッツが顔を覗かせると、そこには隊長が立っていた。やや険しい面持ちだ。
「ついに、四人目の犠牲者が出てしまったのだ」
隊長は重々しく口を開いた。
女王からの呼び出しがかかり、フリッツたち四人は謁見の間に集められた。女王、大臣、隊長といつもの顔ぶれだった。女王の顔からは笑みが消え、口を真横に引き結んでいる。
「相手の様子を窺うのはここまでです。今度はこちらから攻めます」
シェリア女王は酷く沈痛な面持ちだった。事態を深刻に受け止めている。
「さて、ここからがあなた方の仕事です。作戦を授けます。明日の夜、心してかかってください。万全の状態で臨むように」
ついに動くときがきたのだ。
四人は互いを見て、頷いた。