席に着くと、係の人のナレーションが入った。
「これから上映する≪春の星座≫についてのガイドブックを配布致します。お時間までもう暫くお待ちください。」
しばらくすると、私達の手元にもガイドブックがやってきた。
ペラッ―――
「≪春の星座≫春に見られる星座には、大きく分けると「しし座」「かに座」「おとめ座」が挙げられますが、
その他に「おおくま座」「こぐま座」「りょうけん座」「かみのけ座」「うしかい座」なども見ることが出来ます。(HP調べ)
また、「アルクトゥールス」「スピカ」「しし座のデネボラ」の三点で結ばれる≪春の大三角≫も見どころの一つです。
―――だってさ。」
「へぇ〜、すごいねキリト君!」
「なになに〜、他にも上映の際にはアロマの香りで皆様を極上の世界へお連れ致しますだってさ。これは本格的だな。」
「なんかますます楽しみになって来たね!あっ、」
そう話しているとホール全体が暗闇の世界に包まれていった。
と同時に上空、いや天井に満点の星空が広がった。
もうキレイだとしか言いようのない、完全に日常とはかけ離れた幻想的な世界だった。
流れ星や流星群、オーロラ、月の満ち欠け、火星、日月食など星座の他にも宇宙に関するさまざまな映像が映し出された。
途中に差し掛かってから香りだしたアロマは、身体全身を包み込むようなとても優しい香りだった。