小説『アスナの憂鬱』
作者:レノン()

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「ねぇ、お腹空かない?」

気づけば、お昼の時間をとうにまわっていた。

楽しい時間はあっという間だというけど本当にその通りだと思う。

「あっそういえば。俺もうペコペコだ」

笑ってキリト君は答えた。

こう見えてもこの彼はかなりの辛党なのである。

SAO時代もよくこれでもかというほどの激辛食をパクパクと食べていたものだ。

それを見こし、今日私が作ってサンドイッチにもチリソースをたっぷりと使っている。

キリト君仕様の一品だ。

だけどスープはマイルドなクリームスープ。

ずっと辛いものばっかり食べてちゃ身体に悪いもん。

と思い私は保温用のボトルに詰め、持ってきたのである。

「はい、これ」

そう言って私は、彼にサンドイッチとスープをコップに入れて渡した。

「おぉ!これはもしかしなくとも――バクっ。もぐもぐ・・・。」

言い終わる前に、よほどお腹が空いていたのだろうか。

すごい勢いでムシャムシャとかぶりついた。

「う、うまいっっ!!これは懐かしのあの味ですな・・・モグモグ」

そしてあっという間に一個を食べ終えると、そう絶賛してくれた。

これだけストレートに言ってもらえれば作った甲斐があったというもので、

「もぉ、そんなにがっつかなくても逃げていかないよ〜!」

といいつつ、素直に

「ありがとう//」

と言った。

誰かの為に何かを作って、それを喜んでもらえる。

「今度はユイちゃんにも何か作ってあげたいな・・・」

AIとして向こうの世界≪VRMMO≫でしか触れることの出来ないユイちゃん。

本当はこっちで3人一緒にいれたらどんなに嬉しいか・・・。

でもそんな贅沢は言ってられない。

ユイちゃんに会えるだけ感謝しなくちゃだよね。

そしてキリト君にも―――。

そんな感慨にふけっていると、食いしん坊な彼は

「おいアスナ、食べないんだったら俺がもらうぞー」

そう言って私の分まで食べようとしたキリト君を

「食ーべーまーすー!!」

と制圧し私たちは昼食を終えたのだった。





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