小説『俺の妹が中二病すぎて困る』
作者:陽ノ下 天音()

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〜第二話 カオスすぎる!?〜 
 
「我が名は小鳥遊ニコじゃ。こちらの世界では不慣れが多いがよろしく頼む」
 初めての自己紹介がそれですか。ニコさん。
 廊下で妹と遭遇した時には驚きが隠せなかった。
 ・・・・・・っていうかなんで考えていることが読まれたんだろうか?
 色々疑問は残るがとりあえずあの後の事をプレイバックしてみよう。

      ◆

 おかしい。
 なんか目の前に幻覚が見える。
 なにかに俺は覆いかぶさっている。
 その何かとは黒ドレスに悪魔の尻尾、翡翠の目に綺麗な銀髪。
 そして洗濯板のような胸。
 間違いなく俺の妹の小鳥遊ニコだ。
「洗濯板なんて言わないでよぉぉぉ!!」
 おもいっきり顎を殴られた。
「へぶしっ!」
 心の声が読まれただと!?
 っていうか超痛い。
 じゃなくて・・・・・・
「なんでお前がここにいるんだよ!」
 なんかニコが『その質問を待っていた!』という感じで起き上がった。
「我が兄よ、忘れてはいるまいか?我はこの世のすべての定理を知っていることをな!」
 中二病モード全開でニコはそう断言した。
 あぁ、そうだ、忘れていたよ。
 俺の妹、小鳥遊ニコは頭がいい。
 いや、もはや天才のレベルを軽く越している。
 小学生で大学の問題を鼻歌混じりに解いちゃうんだぜ?
 中学に入ってからは天才学者ワイルズが生涯を費やして解いた「フェルマーの最終定理」っていう
問題を5分で解いたらしい。もう化物だ。
 まぁ、天才すぎて中学校生活に飽きて家に引きこもっていたみたいだが。
 ところで・・・・・・
「ニコが天才なのとここにいる事は関係なくね?」
「‥‥‥‥‥‥」
 おかしい、ニコが黙ってる。
 ニコの顔が妙に紅潮している。
「おい、ニコ?」
「えへへっ♪お兄ちゃんに褒められちゃった♪」
「ニコっ!ニコっ!」
「天才だなんて・・・・・・もぉ♪お兄ちゃんったら♪」
「おいニコぉぉぉぉぉぉ!!」
「っふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 ニコは声を上げて驚いた。驚き方可愛いな。
「にゃ、にゃに!お兄ちゃん!」
 噛みまくりじゃねーか。
「なんでお前がいるんだ?」
「そ、そそ、そ・・・・・・」
「そ?」
「そ、それは後で教えてやるのじゃぁぁぁぁぁぁ!!」
 そう言ってニコはダッシュで俺の元を去っていった。
 なんだったんだ、ニコのやつ。
 それはそうと・・・・・・
「なんであいつあんなに頬が赤かったんだ?」
 ちょうどチャイムが鳴ったので俺は急いで教室に入った。
 それはそうと今度康介に教えてやろう。
「『女の子とぶつかっても必ず転校生なわけじゃない』ってな」
 失笑しながら俺は席に着いた。
 
 ちょうど今担任の鬼崎先生、通称オニセンがやってきてホームルームが始まった。
「今日はみんなに転校生を紹介するぞこの野郎ども!」
 鬼崎先生はいつも語尾に『この野郎』を付ける。
 キャラ作りなのか癖なのか、いまいちわからないが面白いのでスルー。
 ん?
 今さっき転校生って言ったか。
「入ってきなさい。この野郎!」
 ガララッ
 教室の全員がどよめいた。
 俺はクラスの全員がどよめく前に驚愕した。
 だって・・・・・・俺の妹なんだから。
「転校生の小鳥遊ニコさんだ。この野郎!」
 訂正しよう。
 康介にちゃんと教えなければいけない
「『ぶつかった女の子は転校生』かよ・・・・・・」

      ◆

 とまぁ、こんな感じだ。
「ニコさんは年齢的には中学生だが、頭のほうは世界有数の天才らしい。
ニコさんの方からこのクラスに転入したいとの申し出があったそうなので
このクラスに転校してきたそうだ。わかったかこの野郎ども!」
 そういうことか。
 だからニコはこの学校にいたのか。
 ここでクラス一の情報通、横山さんがニコに質問をする。
「このクラス小鳥遊くんとはどういう関係ですかぁ?」
 あぁ!ダメだ!横山さんメモの用意してる!
 ニコぉぉぉ!!ただの兄妹だと言ってくれぇぇぇ!!
「彼は我が眷属。一生を誓い合った仲じゃ」
 オイぃぃぃ!!なに誤解招くような言い方してんだよぉぉぉ!!
 この発言でクラスがざわめく。
 「付き合ってるの」だの「小鳥遊はリア充だからみんなで殺そう」だの「僕は小鳥遊君を愛しているよ!」だの色々聞こえてきた。
 っていうか、今ホモがいたよな!?
 色々大変なことになっています。
 とりあえず・・・・・・
「だれか!このカオスから俺を救い出してくれぇぇぇ!!」
 俺の悲痛な叫びは誰の耳にも入らず、クラスでは俺の噂が生み出されていくばかりだった。
                              第二話 完

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