小説『俺の妹が中二病すぎて困る』
作者:陽ノ下 天音()

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〜第五話 バスタイム in YUKIside〜

 風呂っていいよな。
 なにか嫌なことや衝撃的なことがあっても大抵のことなら風呂に入っていれば忘れる。
 風呂ってやっぱり日本人の文化だよな!
「日本人でよかったなぁ〜」
 俺は呆けた声でそんなことをぬかしていた。
 まぁ、いいよな。一人だし。
「我が兄よ、ここに貴様の鎧を置いておくぞ」
「あぁ。ありがとなニコ」
 鎧とは多分俺の私服とかだろう。
 言い回しが面倒くさいがやっぱりニコはよくできた妹だな。
 ・・・・・・おやっ?ニコが脱衣所から出て行かないな。
 しかもなんか『スルッ』だの『シュルッ』だのまるで服を脱いでいるような音さえも聞こえる。
 最初は幻聴だと思ってスルーしていたけどちょっと心配になってきた。
 一応ドアの方を見てみた。
 ・・・・・・おかしいぞ。すごくおかしい。
 普段ならフリルいっぱいのドレスがぼんやり見えるはずなのに・・・・・・
 ドレスの影が見えない。
 その代わり、装飾が一切施されていない人影が見える。
 なんかやばい!!
 そんな気がした俺は急いでドアを抑えに行った。
「我が兄よ、我も入ろうぞ」
 予感的中!!
「なっ、なぜ開けんのじゃ!?兄よ!兄よ!」
「今開けたら、このドアと一緒に新しい世界への扉が開きそうだからだよ!」
 近親相姦ってやつだろう。康介が喜びそうだ。
「新たな世界・・・・・・面白い!我がその世界の支配者になろうぞ!」
 あぁ!ダメだニコは近親相姦なんてしらない汚れ無き少女だったんだ!
 新たな世界を異世界かなんかだと勘違いしてやがる!
「やめろニコ!俺はまだ冒険したくない!」
 初めてが妹なんて恥ずかしいし、何よりニコの今後の人生を考えて大人の階段を上る冒険なんてしたくない!
「大丈夫だ!我が一緒に冒険してやろうぞ!」
 冒険の意味もわかってないだと!?
 しょうがない!最終手段だ!
「ニコ、新世界っていうのはな・・・・・・」
 俺の最終手段。それはニコにさっきまでの会話の本当の意味を教えてやった。
 冒険についてもちゃんと教えてやったぞ。
 話の節々でニコは「ふぇっ!?」とか「ふにゃあっ!?」とか声にならないような声をだしていた。
 話してる俺だって恥かしいのに・・・・・・
「・・・・・・というわけだ。わかったか?ニコ?」
「・・・・・・うん・・・・・・わかった・・・・・・」
 ドア越しにでもニコの顔が赤いのがわかる。
「わかればいいんだ」
 そういって俺はまた湯船に浸かった。
「お兄ちゃん、間違えちゃってごめんね」
 そう言ってニコは謝ってきた。
 元々、俺がニコにそういうことを言ったのが悪いのに。
「いやっ、俺こそそういう話してゴメンな」
「そんな!お兄ちゃんは悪くないよ!私が勉強不足だったのが悪いんだよ!」
 勉強って・・・・・・
「だからね、お兄ちゃん。反省の印に・・・・・・」
 嫌な予感がする!!
「私がお兄ちゃんの背中を流してあげる!!」
 予感的中!!×2
 バァァァァァンン!!
 ニコはドアを思いっきり開けた。
「しまっ・・・・・・」
 勢いよく振り向いた俺はニコの一糸まとわぬ姿を見てしまった。
 すごいつるぺただ・・・・・・
「つるぺたで悪かったね!!」
「うぐぉっ!!」
 石鹸を顔面に投げられた。今日だけで顎殴られるわ蹴られるわ石鹸投げられるわって、俺ついてないなほんと。
「っあ!忘れてた・・・・・・」
 中二病モードがとけていることにやっと気がついてニコは少し咳き込んでから、
「さてっ!背中を流してやろうぞ!」
 石鹸投げたことはスルーですかニコさん。
 っていうか!
「何言ってんだよニコ!早く戻れ!」
「うぅ・・・・・・人間界はやはり寒いのう。我もその煮えたぎる水の中に入りたいぞ」
 無視ですか!?やばいニコが入ろうとしている。
 とりあえず俺はニコに背を向けた。
「ほら!こっちを見るのだ!」
 湯に浸かったニコは俺に抱きついてきた。
 女の子特有のいい匂いがっ!
 胸以外は超柔らかい。ぷにぷにしてる。
 やばい!本当に未知の世界がっ!扉がっ!
「アァ、オレハ、ノボセテキタ、カラ、ソッ、ソロソロデル、カラナ!」
 やわらかさや匂いを堪能しすぎて言葉がカタコトになってしまった。
 が、ここで俺はミスを犯した。
 俺も服を着ていない。そりゃそうだよな風呂入ってるんだし。
 問題はそのまま立ち上がったことだ。
「ふぇ?」
 そんな声を上げてニコは硬直した。
 ニコの目の前に俺の・・・・・・まぁ、あれだ。その・・・・・・に、肉棒?がいきなり現れたわけだからな・・・・・・。
 あぁ、ついに妹に見られた。

「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」

 どうしよう!?やべぇ!すごい気まずい!
 しかも絵的に見て俺が悪いみたいになっている。
「はにゃ、ふ・・・・・・ふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!???????」
 やっと事態を理解したニコが叫んだ。かつてないほどに。
 俺も叫びたい、っていうか泣き叫びてぇよ!
「ジャ!ソソソ、ソウイウコトデ!マママ、マタアトデナッ!」
 急いだ俺がバカだった。
「うおっ!?」
 風呂の中で盛大にこけた俺はニコに覆いかぶるような体勢になった。
「お、おおお、おおおに、おにいちゃ・・・・・・」
 ニコの顔が真っ赤だ。もう覚悟しておこう。
「お兄ちゃんのエッチぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」
「ぐぶぉあっ!!?がふぅぅぅぅ!!?」
 横腹を思いっきり蹴られてから顔面パンチ。まさかのコンボアタック。
 超痛え!!
 でも今は考えている場合じゃない!
「じゃ、じゃあ俺は先に出ているからな!」
 そう言い残して俺は風呂場をあとにした。
 
「あれが・・・・・・お兄ちゃんの・・・・・・」
 

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