〜第六話 死神の鎌の支配人〜
みんなこんな言葉を知っているだろうか?
仏の顔も三度まで。
しかしうちの仏は三回にもならないうちにお怒りになるそうだ。
その証拠に俺の目の前にはゴスロリ風ドレスを身にまとった仏が仁王立ちしている。
しかも手に持っているもの・・・・・・
「あの〜、ニコさん?ちょっと質問ですけど・・・・・・」
「なんじゃ?」
「その手に持ってるもの、す、スタンガンですよね?」
「違う!これは人間の作ったものではない!これは我らが邪の化身の魔力を雷として封じ込めた武器じゃ!
その名も・・・・・・『雷の機関銃〜サンダーガトリング〜』じゃ!!」
我が妹ながらハイエンドなネーミングセンス。
ちなみにハイエンドとは極上のサービスとかそういう意味らしいが俺の中では『超終わってる』って意味で使っている。
自慢じゃないけど俺は中学生の頃から全教科の評価評定で1以上をとったことはないんだぜ?
もちろん英語もその範囲内。だから俺はハローとハイエンド意外の英単語の意味を知らない。
まぁ知ってても変な使い方するのがオチなんだけど。
「我が兄よハイエンドの意味が違うぞ?あと我のネーミングセンスは悪くないぞ?かっこいいじゃないか」
人って自分が見えないものだよな。
っていうかすっかり忘れてた!
「なんでお前がスタンガ・・・・・・」
「サンダーガトリング!!」
細かいなコイツ。
「なんでお前が、さ・・・・・・さんだぁがとりんぐ?なんて持ってるんだよ?」
うわぁ超恥ずかしい。
昔を少し思い出してしまいそうな名前だからなぁ・・・・・・
「ちょっと棒読みなのが納得いかないが・・・・・・まぁいい。教えてやろう。兄よ、貴様我の一糸まとわぬ姿を見たであろう?」
うぐぅっ!!?
さっきの風呂のことは忘れようとしていたのにニコから掘り出してくるとは・・・・・・!
「今後ああいうことがないように常に護衛用に持っておこうということじゃ」
「っていうかあれお前から入ってきたんじゃないの・・・・・・」
「いちいちうるさいぞ!」
「▽?@%$!&=◆¥×○!?」
いきなりニコが俺にスタ、サンダーガトリングを押し付けてきた。
声にならない声を上げてダウン。俺超弱いな。
「って、ていうかニコ・・・・・・なんで怒ってらっしゃるのですか・・・・・・グフっ!」
ダメージ受けながらも頑張る俺ナイスファイト!
「ふむ・・・・・・では話をしよう。兄よ、単刀直入に言って貴様に責任を取ってもらいたいのじゃ」
「責任?なんの?」
「とぼけるでない。さっき言ったばかりじゃろう。我の一糸まとわぬ姿、それすなわち生まれたままの姿をお互いに見てしまったわけじゃ。我にも非があるとはいえ見られてしまったものは責任をとってもらわなければなるまい。これでも罪は軽くしたのじゃぞ?我は魔界の姫君。本当なら万死に値するのじゃがな・・・・・・」
「都合のいい魔界設定か・・・・・・」
「今、何と言った?」
やばっ!つい設定って言っちまった!
ニコは自分の設定を設定と言われることを嫌う。
言ったら最後何されるかわからない。
つい最近で一番ひどかったのは俺の部屋に鍵がかけられてニコがその中に引きこもったことだな。
その時に『神作ベスト100』が見つかったんだ。確か。
「今、我を愚弄したな!それもまた万死に値する罪だ!」
なんてレベルの低い罪だ。
「貴様には罰を与えなければな」
「はいはい。もう好きにしてくれよ・・・・・・」
「!その言葉を待っていたぞ!」
なんだいきなり!?
・・・・・・あっ!もしかしてコイツ風呂の時からこの言葉を俺に言わせるために!?
さすが天才!とか感心してる場合じゃない!
「や、やっぱ今の取り消し!無し!無しだから!」
「男に二言というものはないのじゃろう?」
ニコは大きく息を吸って俺に問いかけた。
「なぁ『死神の鎌の支配人〜デスサイズルーラー〜』よ?」
「その名前で呼んじゃらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
今の発言だけで傷穴をめちゃくちゃえぐられた。
そう。今のニコの発言でわかるように俺も元中二病だ。
しかも今のデスサイズルーラーっていうのは俺の設定の中で一番痛い設定だ。
「そんなことを言うな。あの頃の兄はすごく輝いていたぞ?」
輝いていたっていうか超浮いた存在でした。ハイ。
「特に貴様の必殺、『焔の悪霊〜フレイムゴースト〜』は相手を焼き尽くすまで燃え続ける恐ろしい」
「もうやめてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!それ以上言わないでよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
小鳥遊悠騎、十六歳。高校一年生で中学二年生の妹にマジで泣かされました。
惨めだ・・・・・・
あまりにも惨めだよぉ・・・・・・
「さて、一つ目の罰はこれで終了だ」
「まだあんの!?」
「当たり前だろう?切腹よりも辛い罰を貴様に与えてやろう」
現代日本に切腹とさっきの言葉責めより恐ろしい罰があるのか!?
ま、まさかっ!?
「お前の料理か!?」
「それじゃご褒美じゃろうが!!」
・・・・・・本当に人って自分のことがわからないよな。
「第二の罰は・・・・・・その、わ!私と添い寝の儀式をしてもらうんだからね!」
今話初の中二病解除。
第七話に続く