小説『俺の妹が中二病すぎて困る』
作者:陽ノ下 天音()

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〜第七話 さぁ!儀式を始めようじゃないか!(泣)〜

「‥‥‥‥‥‥」
「・・‥‥‥‥・・」
 ど、どうしようか。
 プロローグ以来のことだがとりあえず状況を整理しようか。
 ・俺は今、俺の部屋でニコと一緒。
 ・時間は午後十時。
 ・ニコはパジャマ状態。普段のフリルたっぷりの黒ドレスとは違い清楚な白のワンピース風パジャマ。
 ・ちらっと純白の布地が見えている。
 ・ニコ、中二病モード解除。
 ・ニコと俺、二人でベッドに腰掛けている。
 ・二人共赤面。
 状況整理終了。
 うん。普段の俺の過ごし方とは全然違うね。普段だったらこの時間はもうベッドインしてるのに。
 つーかこれなんてエロゲだよ。
 何この展開。そしてなぜ俺はこの状況を冷静に分析しているのだろう。
「初体験前の彼氏彼女かっつーの!」
「ふにゃっ!?ど、どうしたの?いきなり・・・・・・」
 やばっ、つい言葉に出てしまった。
「い、いや!なんでもないんだよ!本当なにも・・・・・・」
「そそ、そうなんだ!うん!そうなんだね・・・・・・」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
 いかん!また沈黙が!
 とりあえずこの沈黙をなんとかしないと・・・・・・
「な、なぁ!妹よ!?」
 ちょっと声が裏返っちゃったよ!?そしてなぜ疑問系!?
「にゃ、にゃにゃ、にゃにかにゃ?お兄ちゃん?」
 噛みまくりだ。にゃ多いな。
「なななんで添い寝をするんだ?」
 ニコがうつむいてしまった。
「仕方ないじゃない・・・・・・お兄ちゃんに甘えたかったんだもん・・・・・・」
 ぼそぼそ何か言ってるなコイツ。
「ぼそぼそ言ってちゃお兄ちゃん聞こえないぞ?」
「ふぇっ!?そ、その、ぎ、儀式を通して貴様を我の下僕にしてやろうと思ってな!」
 あれっ?コイツの設定だと俺コイツの眷属じゃなかったっけ?
 まぁ、適当に下僕にでもなんでもなればいいか。
「つ、つまりっ!我の魅力で貴様を籠絡してやるのじゃ!」
 籠絡とか使うんじゃない。
「さ、早速籠絡してやろうぞ・・・・・・」
 そういってニコはいきなりベッドの上に正座した。
「あっ、あの、その、よっよろしくお願いします!優しくしてくださいね・・・・・・」
 ・・・・・・やべぇ!超カワイイ!
 少し初々しい感じがあるのに目が艶やかでなんだか色っぽい。
 しかも上目遣い。上目遣いだぜ?ここにいるニコは可愛さというギミックを取り入れたを持った殺戮兵器だ。多分、康介や俺がニコと赤の他人だったら間違いなく惚れていただろう。
「こ、こちらこそ、よろしく・・・・・・です」
 雰囲気の違うニコにドギマギしながら俺は美少女と一夜を過ごすために部屋の電気を消した。

      ◆

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
 なんかデジャブな始まり方。
 暗がりの中、俺とニコは同じベッドの上で寝ている。
 同じベッドということはやはり一緒の布団に入っているのだが・・・・・・
 女の子特有の甘い香りが!やわらかさが!
 ・・・・・・あっ、胸はないんだった。
 ドゴスッ!!
「へぶぉっ!?」
 次は無言でエルボーか。今日は本当に痛めつけられまくってるよな。
 っていうかなんでニコは考えが読めるんだよ。
「すー・・・・・・すー・・・・・・すー・・・・・・ふにゃあぁぁぁぁぁ・・・・・・」
 なんだ寝てたのか。寝ながらエルボー打ったのかコイツ。
 なんだか子猫を見てるみたいで癒されるなぁ・・・・・・
「ふふっ・・・・・・お兄ちゃんだいちゅき〜・・・・・・あいちてる〜・・・・・・」
 赤ちゃん言葉でそんなこと言うなニコ!萌えるだろ!
「お兄ちゃんは・・・・・・あたしのものなの・・・・・・ちゃんと監禁して・・・・・・躾けなきゃ・・・・・・ふにゃあぁぁ」
 なんの夢見てるんだコイツ!?
 そんな心配をしていたらいきなりニコの様子がおかしくなった。
「ふぇぇぇぇ・・・・・・怖いよ・・・・・・お兄ちゃんまで・・・・・・ニコの前から・・・・・・いなくならないでよ・・・・・・ずっと、ずっと一緒にいて・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・」
「ニコ・・・・・・」
 ニコの頬を涙が伝っていた。
 ニコの夢に出てきたんだ。自分の過去が・・・・・・
「やっぱ兄として、出来ること全部やってやらないとな」
 俺はニコに抱きついた。ニコの背中から、そっと。
「お兄ちゃん・・・・・・だいちゅき・・・・・・」
 抱きついたまま俺は深く眠りについたのだった。
                                     第七話 完

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