〜第八話 現れろ!俺の守護神(ガーディアン)!〜
チュン・・・・・・チュチュン・・・・・・
外から心地のいい鳥の鳴き声が聞こえてこの俺、小鳥遊悠騎は目覚める。
普段なら気持ちのいい朝で終わりそのまま起きることができるだろう。
しかし今、俺の目の前には超絶かわいい妹がいる。すやすや寝息を立てている姿がとても愛らしい。
添い寝の刑。ニコから俺へのペナルティらしい。
確かにこれは・・・・・・・・・・・・ペナルティだ。
いや、横に美少女(見た目は)がいたら普通は嬉しいんだが、仮にも妹だ。襲うなんてことはできない。義妹だから大丈夫?馬鹿め、俺はチキンだから襲うなんてできないんだよ!悪かったな!DTで!所詮俺は・・・・・・
「目の前に美少女という名のレア食材が落ちていても拾えないんだよ!」
「ふぇ!?なに!?どうしたの!?」
つい出てしまった心の声を聞いてニコは起床した。起こしてゴメンな。
「あっ・・・・・・いや、なんでもないよ。おはよう。ニコ」
とりあえずスマイル。人間、笑顔って大事だよな。うん。
「う、うん。おはよう。お兄ちゃん・・・・・・」
ピロロロロロロロッ♪ピロロロロロロロッ♪
ニコと軽い挨拶を交わしてから携帯が鳴った。このなんの変哲もない着信音は・・・・・・多分、康介だろう。
「メール届いたの?誰から?」
ニコが妙に気にしている。なんなんだいったい?
「康介からだよ。ほら、この前俺たちを追っかけてきた・・・・・・」
「うわっ、あのフナムシ野郎ですか。私あいつ嫌いです」
ニコが俺も聞いたことのないような毒を吐いてる!?「お兄ちゃんをお兄ちゃんと呼んでいいのは私だけ、やつには・・・・・・・・・・・・粛正してやるです」なんか雰囲気も怖くなってブツブツ言ってる。怖っ!
「わ、私はちょっとお手洗いに行ってくるです」
そういって部屋をでたニコは「やつを私の魔力で消し炭にしてやるです」なんて怖いことを言いながら俺の部屋を後にした。
「とりあえずメールの確認するか・・・・・・・・・・・・うわっ!なんだこれ!?」
最初に目に入ってきてつい驚いてしまった。
[新着通知300件]
普通ビビるよな。ほぼ一分おきにメールが送られている。差出人は・・・・・・・・・・・・全部康介。
「あいつ一体何のメールだよ・・・・・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
超驚愕。
なんとメールには画面いっぱいに『裏切り者』という文字が書かれていたのだ。コイツも結構ハイエンドだ!カオスすぎて怖っ!しかも全部のメールがこれなんだぜ?浮気された女かコイツは。
「朝っぱらからカオス・・・・・・学校行きたくねえなぁ・・・・・・はぁ〜・・・・・・」
ため息が尽きない俺の日常は今日も絶好調だった。
◆
あのあとも100通以上メールが届いた。女々しすぎるだろ康介。
メールを無視して家事を軽くこなした俺はニコと一緒に学校に登校した。
爽やかな風。ほんの少しの桜の香りがまだまだ春を感じさせる。
男子生徒からの恨みや妬みの視線さえなければ完璧にいい感じの登校風景だ。俺とニコを見て道にぶっ倒れた奴もいる。あっ!あいつ見たことあるぞ。たしかバスケットボール部で同じクラスの遠山君だ。そういや遠山くんはニコに一番最初に話しかけた男子だな。
俺とニコの登校姿を見ただけでぶっ倒れるってどんだけショックなんだよ。俺に負けるのがそんなに嫌か?
そんなことを考えていたら後ろから何かが近づいてきた。速っ!超速と言っても過言ではない速さだ。
どんどん近づいてくるのは・・・・・・超笑顔の康介。笑顔が表面上のものだ!怖えぇよ!
「俺の嫁ニコォォォォォ!!待ってろぉぉぉぉぉ!!今すぐそこの超絶リア充を殺してみせるからな!!」
やばい!目が真剣だ!康介は俺を殺るつもりだ!
「落ち着け康介!やめてくれマジで!」
「そうだ!私はお前みたいなクソフナムシ野郎の嫁になるなんて死んでもお断りだ!」
ニコもニコで怖えぇ!中二病モードで毒吐きすぎだよ!
「ニコちゃんに罵倒されたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!幸せだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫んだ康介は走りながら思いっきり前に倒れた。顔面!顔面やばいぞ康介!
「だ、大丈夫か!?康介!」
「に・・・・・・ニコちゃんに罵られた・・・・・・悠騎・・・・・・いや、義兄さん。俺もう幸せだから死んでもいい・・・・・・」
「そのまま死ぬがいいぞ。下等種族が」
「ぐふぉっ!!」
「康介ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
止めを刺された康介はそのまま失禁。こいつは今日遅刻だな。
「さぁ兄よ、学び舎に行こうではないか。この屍は道の端にでもどけておけばいい」
残忍なニコさんは「んしょっ」と可愛い声を上げながらゴミ捨て場に康介を運んだ。セリフ可愛いのに行動が鬼だ。人をゴミ捨て場に捨てるって・・・・・・・・・・・・
朝から無残なものを見た俺は既にグロッキー状態。これは保健室のお世話になるな。
「どうした兄よ、苦しそうだな。我の守護神に回復させようかの?」
ほぼお前と康介のせいだけどな!
重い足取りで俺は今日も学校に向かったのだった。