小説『大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦!!【R-15】【完結】』
作者:はならむ()

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……互いが警戒だけで動こうとしない。
奴の動きを探ろうとするが全く掴めない。
余裕たらして棒立ちしているものだから何を考えているやも分からない。

「……貴様、なにが目的でこんな悪事を重ねる……宇宙征服か!?」

彼女は彼に今までの悪行の動機について尋問する。
それに対し、ラクリーマは口を開かないが、すぐに笑みと共に『クックック……』とあざ笑うのような小さな声を漏らした。

「宇宙征服……クックックックッ……ワハハハハっ!!」

「なあ!?」

「宇宙征服とかそんなたいそうなこと考えるワケがねえだろ!!
教えてやろうか?楽しいからに決まってるだろ」

「たっ……楽しいからですって……」

「……侵略するとき、略奪する時、相手を殺す時、俺はナニを考えてるか……?
クックック……この手を加えることで相手の全てを奪えると考えるとゾクゾクするんだよ」

“…………”

「殺される奴の断末魔や苦しみ、悲しみ、それが全て俺の身体にまるで雷が突き抜けるように駆けわたるんだよ、快感となってなぁ……」

牙をむき出しにしてそう語り――、

(俺は人殺しが楽しくて楽しくてしょうがねえんだよ!!それがワリィかよ!?ええっ!?)

その傲慢な表情、笑み、その紅く卑しい瞳……まさしく『悪魔』であった。

4人はもはや弁解の余地なしと悟った。コイツこそ悪の権化、快楽殺人鬼、そして――平和を愛する者にとって、最大の障害であると――。

「おい、青いタヌキ!テメェの言ってるのはあの地球人達のことか?」

「ぼっ……僕はタヌキじゃないっっ!!ネコ型ロボットだァ〜〜!!」


またタヌキ呼ばわりされて腹を立てるドラえもん。
しかし耳があってもなくても確かにタヌキにしか見えない容姿ではある。


「あの二人なら生きてるぜ」

「えっ!?無事なの!?」

「ああ、俺は嘘つかねえよ」


嘘か誠か、のび太達の生存を伝える。しかし、何の意図があってみすみす答えたのか……。

「ど、どこにいるんだ!?」

「さあな、どこにいるかは分からん。俺の部下が連れていってるんじゃねえかな?

それに――」

彼の顔は豹変、急に殴りかかる体勢になり、

(テメェらはここでくたばるから二度と会うことねえぞォーーっ!!)

「「「いいっ!!?」」」

何の予兆なしに全力でドラえもん達へ襲いかかった。
あの『鉤爪』を突出させ、降り下ろす――。

(ガキイィっ!!)

「「「エミリアさん!?」」」

彼女は鉤爪をなんと2丁拳銃を盾にして受け止めて鉤爪の餌食になるのを阻止した。
だが男と女の力の差か、持ちこたえているも顔を歪めていた。

「くぅ……あっ、あなた達は危ないから後ろに下がってぇ!」

ラクリーマは余裕溢れる様子で左拳を押し出そうとさらに力を入れた。

「やるじゃねえか。あのガキ共の盾になるとはさすがは正義感溢れる連邦よのォ」

「…………子供相手に……本気だなんて……最低ねぇ!!」

「くっくっく……けどな!!」


左手首からあのレーザー砲が4門出現、銃口が自動的にエミリアへ全て向けた。

「!!?」

「くたばりやがれ!!」

4本のレーザー光線が一斉発射され、彼女に全発命中するもシールドの作用で光の膜が光線をかき消した。

「バリアだと!?」

「あんたみたいな極悪党にはこのくらい準備が必要なのよ!!」

すぐに彼女は2丁拳銃のグリップをまるでトンファーのように逆手に持ち、素早い打撃を繰り出した。
それに合わせてラクリーマも応戦、まるでアクション映画さながらの白兵戦の応酬を重ねる。
女性でありながらここまで軽い身のこなしとその素早い格闘術をくり出すとは、さすがは『戦闘ランクA+』保持者である。


対するラクリーマは戦闘の鬼。幾多の相手を葬ってきたその常人を遥かに超える身体能力と戦闘センスを併せ持つ『闘犬』。
まるで軽くたしなむように余裕で彼女の動きに対応している。

本当なら彼の方が実力は遥かに上なのであるが、今の二人は互角のように思えるのはどうしてだろうか――。

右手で彼女の打撃をいなし、左義手の四指が高速回転し、彼女に不意打ちを浴びせる。

「!!?」

ガリガリと削りに削り、バリアを意図も簡単に破壊。しかし彼女の優れた反射神経でその場でしゃがみ、胴体が貫かれる難を逃れ、休む暇もなく彼の腹部に右手に持つ銃を突き押した。

「観念しなさい!!」

「けっ、それで勝ったつもりか!!」

銃を右手で払い飛ばし、後退。
彼女もすかさず銃を拾い上げ、ラクリーマへ向けた――。

その様子を後ろで見てたドラえもん達は唖然としていた。
瞬間的な動きが多すぎて目がついていけなかったのである。

「すげぇ……エミリアさん」

「あの男と対等に渡り合ってる……」

エミリアも息を切らしながらも、少しずつ整えようとする。

(おかしい。この男……手を抜いているように思えるけど……あたしの勘違いかしら……)

そしてラクリーマは無表情である。息を切らしている様子もなく。

『ジリっ……』と足に力をいれると彼女に向かって一気に駆け出した。
彼が突き出した右の張り手が彼女の顔に向かってくる。
避けようと後ろへ後退するが、

「えっ!?」

なんと右手が伸びたように後退したはずの彼女の顔を捉えて、直撃と共に一撃で押し離した。

乾いた音が鳴り響き、後ろに弾き飛ばされるエミリア。
しかしラクリーマはすぐに追撃を開始、彼女の腹部に強烈な右拳で殴打。地面に叩きつけた。

「がはぁ!!ゲホッ!!ゲホッ!!」

悶絶し、咳き込んで苦しそうであるが、容赦することなく彼は彼女の腹部を足蹴にした。

「俺って優しいだろ?誰だろうと差別しねえにしたこともないぜ」

全てのレーザー砲を彼女の顔に向けた。

「殺す時は老若男女、種族関係なく平等だ」

絶体絶命のエミリア。ドラえもん達は手持ちの武器をすぐにラクリーマへ向ける。だが気づかれているのか横目で睨まれる。

「手助けしたかったら早くこいよ。どの道お前らを二度と朝日を拝めねえようにしてやっからよ?」

完全に殺す気満々な彼に全員が圧倒されるも、彼女を助けないワケにはいかない。

「え……エミリアさん死んじゃうよ!!ドラえもん、助ける道具ないの!!?」

「ああっ、待ってあれでもないこれでもない!!」

「こんな時に焦んなよもう!!」

またポケットからたくさんの道具を手当たり次第に出すが、全く今の状況で役立つ物が出てこない。あの時に出た、『マイク』や『コショウ』など日用品なども飛び出した。

「そっ、そうだ。ジャイアン、今こそマイクを取って歌うんだ!!」

「こんな時に何いってんだよ!!」

「ジャイアンの美声を聴かせるんだ!!そうすればアイツも心を奪われるハズだ!!」

苦しまぎれの提案だが、一か八かの大勝負である。

「そうだよ!!ここなら心起きなく歌えるよ!!早くジャイアン、歌って!!」

スネ夫も便乗し、二人でジャイアンを煽ると段々その気になり、すぐにマイクを手に掴んだ。

「分かった。一か八か、あの男に俺の声で心を掴んでやるぜ!!」

ドラえもんとスネ夫は直ぐ様耳を塞ぎ、その場で伏せた。
そして彼はマイクを口元へ持っていき、大きく息を吸った。

(ホゲ〜〜っっ♪ボエ〜〜〜っ♪♪♪)

ついに放たれたジャイアンの最大の武器、歌声。音量、ダミ声が凄まじい程の超音波となりオペレーションセンター全域に響き渡った。
その影響下にいたラクリーマも無事ではなかった。

「ぐああああーーっ!!何だこの声はぁ!!こ、鼓膜が破れそうだァァ!!」

明らかに効いている。耳を押さえてもはや攻撃どころではなかった。

「ジャイアン、もう止めて、効いてるよ!!」

「そっ、そうかっ!?」

すぐに止めに入り、ジャイアンは歌うのをやめる。
ドラえもんはまたポケットに手を突っ込み、取り出すはまるで釣竿のような棒と糸の先には巨大な白い手袋がついていた。

「『ノビールハンド』、エミリアさんに届け!!」

それを倒れている彼女に向かって勢いよく振ると糸が伸びて一瞬で到着。手袋が彼女を掴み、そのままドラえもんの元へ引き寄せた。
しかし、ドラえもんは休むことなくポケットに手をやり、今度は小さなアンテナのようなモノとラジコンの送信機を取り出した。

「『ラジコンアンテナ』!!。スネ夫君、頼むよ!!」

『ラジコンアンテナ』をあの『コショウ』に取り付け、スネ夫に送信機を渡す。
「よぉし!!僕だって!!」

その卓越したラジコン操作でコショウが宙を舞い、ラクリーマへ向かっていった。

「なっ……なんだこれは!?」

ジャイアンの歌によりフラフラとなった彼の真上に見たことのない形の容器が制止、逆さまにして振ると中から黒い粉……すなわちこしょうが振り撒かれた。

「なんなんだこれは……ゲホッ!!ゲホッ!!ゲホッ!!ハハハ……ハックショイ!!!」

コショウ攻撃により、目や鼻に入りクシャミや咳きが止まらなくなる。

「効いてる……」

この凶暴な男でも、所詮人の子であった。

「エミリアさん!!大丈夫ですか!?」

「ぐっ……ええっ……お腹を殴られただけよ……大丈夫……っ」

起き上がるも腹部を押さえて苦しそうである。

「いっ、今すぐみんなであの男に攻撃して!!」

「ええっ!?」

「……あなた達の武器なら気絶で済むハズ。攻撃してこない今がチャンスよ、早く!!」

ジャイアン、スネ夫はショックガン、ドラえもんは空気砲で ラクリーマに狙いを定めた。

「くそぉ……謎な攻撃ばっかしてきやがって……?」

やっとクシャミが収まった時、彼が涙目をこらしてよく見るとあの三人がこちらに何を向けていた。

「いくよ二人とも!!ドッカーーン!!」

その声に反応し、巨大な口径から圧縮された空気圧、そしてジャイアンとスネ夫の銃口から放たれた光弾がまとめてラクリーマに命中。
しかし光弾は瞬間、左胸部のレンズが起動し、全て吸い込まれたが空気圧だけは吸収できず、直撃。豪快に後ろへ吹き飛ばされた――。

「……つ、ついにやったわ……」

彼は仰向けに倒れて全く動く気配がない。それを様子を見た全員は段々、高揚し――。


(やったァァ――!!)

大声を張り上げて全員で手を繋ぎ、歓喜を上げた

「……みんなよくやったわ、ありがとう!!」

「エヘヘっ!!」

「どうだ俺様の強さ思いしったか!!」
「ぼ、僕も頑張ったんだよ!!ねえっ!!」

勝利に酔いしれる4人。あの最強最悪の男をついに自分達の手で打ち負かしたのである、嬉しくないワケがない。

「ただ……あれほど猛威を奮ったこの男がこんなにあっけないのは少し気がかりだけど……倒したことに変わりないわね。さあ、あの男が起きない内に束縛するわよ。手伝って」

全員、あの男の元へ向かう。が――、

(! ! ?)

さっきまで倒れて動かなかった彼が瞬時に立ち上がる。まるで何事もなかったように……。
顔には鼻血と口からも少々血が流れている。

「お前ら最高だな。こんなに俺を楽しませてくれんのは……ククク」

身震いしながら笑っている。まるでさっきの攻撃が効いていないかのように。
そして彼らに見せたその表情とは……。

「今度は俺がてめえらを楽しませてやんぜ!!」


殺気以外は何も感じられない笑み。それは十分に彼女達に伝わった。


「みんなはっ離れて!!」

再び後退し、身を構える。
ラクリーマは右手を左腕を握りしめると、

(ブチッ……ブチブチブチ!!)

戦闘訓練の時のようにブラティストームをまた強引に引きちぎった。

「ひ……左腕が……うわあ……」

初見の者にとって、あまりにも驚愕な光景。
全員、同じことを思っていた。
ラクリーマは引き離した『左腕』を全力で振り投げた時、内蔵された自立回路が起動、レーザー砲、鉤爪、ドリル、使用できる内蔵武装全て展開、まるで先ほどのラジコンのように空中に飛びながら4人へ向かって突撃。
まるでそれ自体が生きてるかのように次々と攻撃を繰り出すブラティストーム。
4門の手首から突き出たレーザーで一斉掃射、鉤爪、ドリルで突撃……シールドがみるみる内に削られてドラえもん達は怖れおののき逃げるに必死だ。

エミリアは2丁拳銃で撃ち落とそうと必死で発砲するが、空しく光線を簡単に弾くほど頑丈だ。

今はなんとかシールドで守られているも、そろそろエネルギー切れが起こりそうでそうなれば……。
先ほどの戦況が一変した。


「はっ!!」

突然、飛び交う左腕に注意をとられていたエミリアの目の前にラクリーマが出現。

その瞬間、着用していたサングラスを強引に奪い取った。

「きゃあああああっっ!!」

視力の弱いエミリアにとって最大の弱点。普通の人なら平気であるここの明るさでも彼女にとってはあまりにも眩しすぎたのである。

「エミリアさん!!」

彼女はもはや目を開けられず、自分の位置を見失っている。一寸先の何も見えなくなるほど怖いものはない。
しかしあの男は情け容赦なく彼女の髪を乱暴に掴むとその丸太のような太く、固い脚で彼女を蹴り飛ばした。

「なんでこんなもん着けてンのかと思ってたがやっぱり視力が弱いのか、クカカっ。
兵隊のクセに目が悪いのは致命的だぜ」

ラクリーマは奪ったサングラスを右手で一瞬で握り潰し、彼女の元を移動した。

哀れ、エミリアはその場に倒れ伏せて、蹴られた痛みと何も見えぬ恐怖からかひどく怯えているようであった。
しかし相手は敵と見なしたら誰だろうと何も思わない男、彼女の胸ぐらを掴むと右手で一気に持ち上げた。

「まずは女から殺すか。一撃で殺してやるから安心しな!」

左腕が攻撃をやめて彼の元へ移動、引きちぎった箇所と連結。

「やめろ!!エミリアさんを離せ!!」

「ヤローっ!!俺がぶん殴ってやる!!」

ジャイアンは突撃しようとするが、ラクリーマは何と彼女の離さず持っていた銃の一つ『ユンク』を左手で奪い取り、ジャイアンに向け――発射。

「うわぁ!!」

「ジャイアン!!」
命中するもシールドのおかげで身体の直撃は免れたが、被っていた光の膜が完全に消えた。

三人はすぐに立ち止まるがラクリーマは彼らにその銃口を向け続けていた。

「そういやあ俺も、左腕を義手にする前へ専ら銃ばっか使っていたな。
最近は殴ってばっかだがな……この銃軽くて使いやすいな、借りるぜ」

三人は応戦しようと銃を彼に向けるが、今度はラクリーマはエミリアの背を彼らの方へ。それは彼女を盾として使うつもりである。
彼の汚いやり方に三人はついに怒り、

「この卑怯者――っ!!正々堂々と戦え!!」

「そうだそうだ!!」

怒号と非難を浴びせるが、本人は全く憤怒する様子が全く余裕そうな表情であった。

「卑怯者か……ククク……いい響きじゃねえか!」


「なっ何だと!?」

「お前らが卑怯と正々堂々とか言えるのはまだマトモな闘いをしてない証拠よォ。

正々堂々てのも響きはいいがそれで死んじまったらそこまでじゃねえか、勝負にあるのは勝つか負けるかなんだよ」

(卑怯だろうがなんだろうが敵を殺せればなんだっていいんだよ!!
戦いってのはどれだけ相手をブチのめしてナンボなんじゃあ、わかったかガキ共、ギャハハハハハッ!!
)

……まさに外道という言葉が彼に似合う。だが、間違ってはいないところもいくつかある。
悪くいえば所謂『卑怯者、外道』だが、『戦闘に関してはシビアである意味合理的』とも言える。
それは彼が今まで経験した幾多の戦闘から学んだことなのかもしれない。


「ところでホレ、どうすんだコイツ?
キサマらが撃てば俺がトドメ刺さずに済むんだがな?」

「くう……」

「これじゃあ……手が出せないじゃないか……」

早くしなければ奴のエジキに。今すぐにも助けたいが、ラクリーマが彼女を完全に盾にしている。
先ほどのドリル攻撃によりシールドは完全に破壊されているため発砲すれば確実に被弾し、ショックガンと空気砲は殺傷能力はないのだが、彼女に苦痛を与え、気絶、ケガをさせるかもしれない。そうなれば奴の思うツボである。

「あ……あたしは……どうなっても……いいから……あの子達だけは……っ」

震える声で嘆願する彼女に彼の反応は……。

「無理だな」

迷うことなく即答であった。

「ガキだろうが俺は敵と見なしたらぶっ殺す。まあ、あいつらも楽に殺してやるから安心しろや」

「この……外道がぁ……」

涙を流し始める彼女にラクリーマはニヤリと笑っている。

「外道ね。それを誉め言葉として受けとるぜ。
クックック……、じゃあ死ねや!!」

ラクリーマは彼女から奪い取った銃の口を頭の横に押し付けた――。

「ああっ、やっやめろ――!!!」

叫びも空しく、銃のトリガーに指をぐっと引――。


(――ぐぶっ!!)


――ラクリーマの指が引かれなかった、なぜ?

それは彼の身体に今起きているあの『症状』であった。

(また――血が込み上がってきやがった……だがこんなことに時間を取られるワケには……っ)

今まで耐えていたものの我慢の限界に。必死にこらえ、震える指で再び引き金を引こうとした――。



(そこまでだ!!)

彼の後ろには赤い軍服を着用した年相応の中年男性とその周りにはその数、百人は超える連邦隊員の集団がラクリーマに向けて、全銃口を向けていた。

ヴァルミリオン艦艦長であり提督の階級を持つ男、カーマインの登場であった。
“リーダーっっ!!”

別の方向からレクシーと残り百人程の戦闘員、その中にはオペレーター達とジュネ、ユノン、そしてのび太としずかが彼と合流。

彼らの後ろからさらに連邦隊員の集団がぞろぞろ現れて、アマリーリス員全員はラクリーマのいるところに追いやられ、怒涛の数の連邦隊員に囲まれる状況となった。

「お……お前ら無事か!!?」

ラクリーマは殺すハズだったエミリアをその場で離し、彼らの元へ駆けつけた。。

「本当にすまん、助けにいけなくて……」

「リーダー、俺らよりユノンさんを!!」


彼女は閉じていた重い眼を開けて、すぐにその場に立った。フラフラになりながらもラクリーマに寄りすがる。

「ユノン、大丈夫か……?」

「……ラクリーマ……ごめんね…………最後の最後で役に立てなかった……っ」

謝る彼女にラクリーマは必死で首を振った。

「そっ、そんなことねえよ!!無事で何よりだ!!」

先ほどの凶暴さはどこへいったのか、今の彼は戦闘以外の時のような優しさであった。

一方、エミリアもカーマインとクーリッジ、そしてミルフィに駆けつけられて保護を受けていた。

「エミリア、すまない。早く駆けつけていれば!!」

「エミリア大丈夫!!?」

「しっかりしろ!!」

カーマインはこの事を想定していたのか、所持していたスペアのサングラスを彼女の目に取り付けた。

「提督……ミルフィ……クーちゃん…………わたしは……」
「よくがんばったな……エミリア。それより生きててなによりだ……」


「ああっ……」


再開を喜ぶ三人。そして本命の再開はここにあった。

「の……のび太君、しずかちゃん……」

「だよね……?」

ドラえもん達の声にのび太達も三人に眼を奪われた。

「ドラえもん……スネ夫……ジャイアン!!!」

「みんな!!」

ついに5人は再開し、互いに寄り合い、喜ぶ。

「無事だったかぁ〜っ!!心の友よ!!」

「心配したんだからもお!!」

「ケガしてない!?ヒドイ目遭わされなかった!?」

「うっ、うん……」
「大丈夫よドラちゃん……」

過剰に心配するドラえもん達にのび太としずかは苦笑いした。

「けどどうしてみんなはここに……」

「どうしてって!?二人を助けにきたんじゃないか!?」

「助けに……?」

何故か話が噛み合わない5人がそうしている中、カーマインはついに追い詰めたアマリーリス員に注目した。

「お前達はもう逃げられまい。先ほど仲間も大勢捕まり、彼らと同じくこのまま大人しく逮捕されることを私は願う。

お前達を……このような悪の道から救えればと、心から願っている。だがそれでもまだ抵抗するというのなら――」

彼の重みの効いた最後の警告が静かな空気に響き渡った――。
ついにアマリーリスに終焉の時が訪れるのであろうか……。

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