小説『ゼロの使い魔!?〜覚醒の邪竜〜』
作者:イザナギ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

題名:転生者とのお話

現れたのは、美人というか美少女。綺麗、美しい、というより可愛い。といった感じの女の子だ。
あまり強く意見するのは嫌だな。さて、どうしたものか。

「まず聞きたいのは、あなた何者?」
「おや?君はもうすでに僕のことを知っているものだと思っていたよ」
「いいえ、違うわ。私が知っているのは、ギムレーよ。‘あなた’じゃない」

……はぁ、なるほど。
つまり、僕が本当のギムレーじゃないことに気づいているわけだ。

「どうしてわかった?」
「本物ならすぐにでも変身してこの世を闇に染めるでしょうね。それに、仮にそうじゃないとしても、ルイズに従うはずが無いもの」
「結構。ではどうして近づいた?僕は本来のギムレーよりずっと強い。まぁもっとも、1000年級以上の経験は無い。けど、それでも200年分の経験はある。能力(チカラ)におぼれてるつもりもないよ?」
「ええ。でもいいでしょう?話を聞きにきたって。それに私だって経験はさほどないけど、能力におぼれてるわけでもないし、十分強い能力は持ってるもの」

なるほど、自信はあるみたいだね。それがどれほどのものか、気になる。
まぁ態々戦う必要は無い。今は、ね。……すごい好戦的な思考だなー。

「ふーん、じゃあ話ってなにかな?」
「最初に言ったでしょ?あなたは 何者?ってね」
「さて、どう答えれば良いのか。うーん、そうだね、参考までに聞くけど、君は何者だい?」
「それは……やられたわね」
「理解してくれたかな?境遇は?といわれたら転生者、としかいえないし、種族は?といわれたら元一般人現邪竜としかいえない。君も、似たようなことしか言えないはずだ」
「ふむふむなるほど、じゃあ次。あなたはいったい何が目的でこの世界に来たの?」

……何故?そういえば考えたこと無いな。
ハーレム?いや、目指しはするけど、できなくてもネオがいればいいし。
無双?いや、それだったらもっと違う世界を頼んだだろう。ネオは言うこと聞いてくれそうだし。
…………いや、そうか。そうだな、簡単なことじゃないか。

「簡単なことだよ、とても、ね」
「んむ?いいから言ってみなさい」
「……きっと、どこでもよかったんだよ。ただ、僕は、つながりが欲しかったんだよ。僕を理解してくれる人がいれば、どこでもいい。多分、転生できる、って知ったときはそう考えてたはずだ。……恥ずかしいけど、ね」
「…………ホント、邪竜にはまったく見えないわね。人間らしいわ」
「そりゃどうも。くくく、僕も、まだまだかな。こんな小娘に侮られる何て」
「侮ったつもりは微塵も無いんだけどね?」

そりゃそうだろう。僕だって真実、そう思ってるわけじゃない。
ただ恥ずかしくなっていっただけ。あっちもなんとなく悟ってるのか、微笑むだけ。……ちょっと癇に障る。

「君は?マイって言ったっけ?君はどうしてここにいるのさ」
「私は、まぁ昔は絆、なんて信じてたのよ。仲がよければ、どんな困難でも乗り越えられる!なんて。いいえ、多分今でも思ってるのかもしれない。けどね、私は、裏切られたのよ」
「………………」
「相手は旧友だったわね。頼ってきたら手伝ったわ。功績も全て譲った。少なくとも、自分から行ったこと意外はほとんど全部、ね。けど、仲がいい、なんて思ってたのは私だけだった。……本当は誰も私を好きになってくれたわけじゃなかった……!ただ私を利用していただけだった!失意のうち、死んでしまって、もう私には何も無い、って思ってたの。そのときに、声が聞こえたの」
「声?」
「そう、声。その声が、私をここに連れてきた。能力もくれて、強くなったわ。ある目的をなすために、全力で、ずっとがんばってきた。……その目的を、今、果たさなきゃ」

そういって、彼女は構えた。ペルソナ4で十拳剣と呼ばれた武器だ。

「なんのつもりだい?」
「こうしなければいけない。それが私に出された、やり直すための条件。転生者を攻撃、殺害すること。やらないと、また孤独になっちゃう。もう、そんなんはいやなんよ!」

そういって切りかかってくる。鉄の剣を取り出し、応戦する。
袈裟切り、唐竹、胴薙、それらの攻撃をすべて防ぎ、一撃死なない程度に放つ。
だが、効かない。当たったにもかかわらず、感触はある。顔を顰めているのはわかるから正確には効いているんだろうけど。だけどとてもやわらかい何かにあたっているかのような不思議な感覚。
まさか、これは。

「物理無効、いや耐性か!?」
「察しの、とおりや!」

む。元々の耐性も厄介だ。けど一番の問題はスキルによる耐性だ。元の耐性なら相手がどんなペルソナを装備しているかわかれば対処できる。けど、スキルまでは発動するまでわからない。自動スキルなんてわかるはずも無い。
弱点だ!と思って攻撃してスキルが無効、いや無効はともかく反射や吸収とか笑えないし。

「もっとも、スキル、使って、くれないと、予想すら、できない、けどね!」

そう、相手はペルソナ使い、どんなペルソナを装備しているかわからない。
スキルを使えば、ペルソナが現れる。アニメバージョンだったとしたらもっと確実だ。
だから相手が使ってこないことには対処できない。
……前途多難すぎるだろう!?どうしろっていうんだ!?神様!じゃなかった、ネオー!せめてどんなペルソナを装備してるかくらいは教えて!?って寝てるんだった。

「いい加減、当たりぃや!」
「やなこった!」
「しょうがあらへんな!」

そういうかと思うとカードみたいなものが現れ、チェンジと言ってそれを払うようにしたかと思うと、またカードが現れた。今度はそれを握りつぶした。出たペルソナはラクシャーサだった。

「疾風斬!」
「チェンジしてからも耐性もちとは恐れ入るね!」

範囲攻撃で若干避けづらいけど問題ない。もっとも多少の改造はされてるのか威力は高い。けど掠る程度ならノーダメージだ。そのため恐れず、手加減はせず剣を振るう。
大きく距離をとった隙に持ち替える。弱点である氷結魔法!

「ブリザー!(非魔改造)」
「チェンジ!ジャックフロスト!ブフーラ!」
「おっと、なら、エルファイアー!(非魔改造)」
「チェンジ!ジャックランタン!アギラオ!」
「甘い!いくよブリザー!(非魔改造)」
「チェンジ!ヤマタノオロチ!え、えと」
「遅い!先手必勝、ファイアー、流星!(魔改造済み)」

段々イラっとしてきたので手加減しつつ技を放つ。え?最後だけ魔改造されてるって?
だってイラっと来ちゃったからさ、つい。だからファイアーにしたんだけどさ?

「えっと、チェ、チェンジ!オニ!そしてデットエンドや!」
「遅いし、甘い!威力は高そうだけどあたらなければ意味無いよ!そして弱点が無くても問題なしだしね!エルウィンド!!」
「あっと、チェンジ、フォルトゥナ!アサルトダイブ!」
「危ないね、エルサンダー!」
「チェンジ、ヴァーチャー!デッドエンド!」
「ふん、リザイア!」
「え?ひゃあ!!」

だんだん面倒になってきたので、相手が把握していない闇属性を使った。
多分予想外だったと思う。なんせペルソナの闇や光は基本的に即死系だから、普通に攻撃ができる闇属性なんて思いつかないんじゃないかって思った。結果、大成功。
その隙にもう一度打ち込む。

「とどめだ、ブリザー!!」
「……チェンジ、バズひゃあぁ!?」

氷耐性のペルソナに変えようとしたみたいだけど、僕のが一歩速かった。
……勝ったのか、とも思ったけど、油断大敵。結構ヒヤッとするところもあったし。
すぐに移動し、鉄の剣を突きつける。本当に気絶していたようだ。まぁ攻撃系の能力も使ってきてたからそれも原因かな。

「負けたんか……?」
「ああ、君の負け。生殺与奪の権利は我にありってね」
「殺したいなら、殺してよ。私は失敗した。も、おしまいね……」

諦めたのか、こちらに対して注意を向けることすらしない。

「ふぅ、いくつか聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「好きにすればいいじゃない。勝者はあなたなのよ」
「じゃあ聞くけど、どうしてもっと強いペルソナを使わなかったの?」
「やっぱりというか……あなた、ペルソナのこと、知ってるのね。通りで弱点ばっかりついてきたわけ、ね」
「質問」
「使えないの。生憎と、私は自分のレベルより上のペルソナは使えない。私のレベルはあの世界でいう38。このレベルより下で、私のセーブデータで全書に登録されてるペルソナを使うことができる。……ああ、イザナギだけは別。あれは特別に最初から魔改造状態で使えるわ。……条件を満たせば、だけどね」
「条件?それは一体?」
「相手が、万能属性を即座に使えること。そして、相手が殺そうと向かってくること。この二つね」
「それ以外はレベルが下のペルソナしか引き出せない?でも聞いた話じゃヨシツネを使ったって聞いたよ?」

タバサが嘘をついたとも思えない。僕のことを利用したい、とは考えていたけど。嘘をつくなら僕でもわかる。

「タバサから聞いたのね?使えるかどうか試そうとしたの。結果は2秒から3秒しかもたなかったわ。スキルひとつ使えやしない。燃費も半端なく悪いし。だから、タバサのお母さんは治せなかった……」
「なるほど、納得。なら最後の質問だ」
「どうぞ。でもどうせあなたに殺されるなら、最後といわず、聞けることは全部聞いておいたら?」
「その心配は無い」
「え?」
「最後の質問だ。……僕の元に来る気は無いかい?」
「…………はい?」

あ、面白い顔だ。なんのために実力を聞いたり、手加減したりしたと思ってるんだか。
最初から殺す気は無い。一人くらい、付き添ってくれる転生者がいたって良いでしょ別に。

「なに言うとんのや!うちはあんたを殺そうとしたんやで!?どうしてうちを助けようなんていうん!?」
「理由?そんなの単純さ。気に入ったから」
「…………なん、やて?」
「気に入ったからだよ。心に巣くう闇も。誰かにすかれたいという思いも。生きたいという思いも、全部ね。実力もある。十分だよ。それに、可愛いしね」
「!?(///)」

あ、顔真っ赤になった。可愛いなー。実は関西弁でそれを隠してましたってところもいい!
面白くなりそうだ。ま、仲間になってくれたらだけど?

「……降参や。はぁうちも弱くなったもんやな。まさか、殺そうとした相手になんもかんも奪われちゃうって漫画の中でしかありえへんと思うとったわ」
「仲間になるってことでいいんだよね?あと、何もかもって従えただけでしょ」

そういいながら剣をしまうと、起き上がりながら言った。

「仲間になるってことで構わへんって。なにが従えただけ、や。抗う気も、情報も、自分も、自信すら奪われてもうたし。一番大事なもんまで奪われてもうた」
「それはなにさ?」
「ひ、み、つ、や」
「……まぁいいよ。乙女なら秘密のひとつや二つ持ってるもんだしね。……その口調とか」

そういうとしまった!という顔をした。

「ううう、黙っててくれる?」
「いいけど、戦闘中も口調崩れてたよね」
「嘘や!?」
「ホント、あと今も」
「あううぅぅぅ……」

こうして、転生者の仲間が増えました。やったね。

……さて、こっちに全力で向かってくるネオはどうしようかな。
なんて軽く考えていた僕でした。まさか日が昇るまで説教されるとかだれが思うのさ。
なにはともあれ、明日……いや、今日からタバサの母親を治しに行く事には賛成してくれた。

原作ブレイク上等ってね。やりたいようにやることにした。
マイに力を与えた存在も気になるしね。

後書き
ちょっと他の方面にネタがいったり、実はゼロ魔は原作詳しくないという事実があり、更新が遅れます。
この物語は基本勢いで始めたものなので、原作はあいまい。タバサの冒険の時期とかは若干わからないところが多いです。
更新が滞り、他の物語を書いてしまうこと、どうか了承してくださいますよう。災害でパソコンなどが壊れない限り絶対完結しますので。

オリジナルスキル
取替え 敵と戦う際、一番有効な武器に持ち変える。剣装備時、弓などで攻撃されて、遠距離武器をもっていたらその武器を持って反撃可能、ということです。今回は相手の弱点に自動で持ち替えていました。

-9-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ゼロの使い魔F Vol.3 [Blu-ray]
新品 \4600
中古 \3330
(参考価格:\7140)