小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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決戦、グレモリー眷属VS幽玄龍騎士団VS英雄派+兵藤一誠! In京都(3)



和樹side


ドゴォン!ドオオンッ!


「ほらほら、さっさと倒れてよね!僕はゲオルグにも相手をしないといけないからさ!」


「ぐおおおおっ!?」


僕から放たれる魔力弾が縦横無尽に一方的にヘラクレスと言う巨漢の男に直撃させる


「ちぃ!こなくそっ!なんて馬鹿げた魔力だ!めっちゃくちゃ痛いぞ!?」


「その割には元気だね?まあ、軽く撃っているからそれぐらいかな?」


「軽く!?この魔力と数が軽くだと!」


「本気でやったらここの空間が消えてなくなるどころかこの空間の外にまで消滅しちゃうよ?」


そう説明すると目元をひくつき、冷や汗を流し始めた


「世界一の魔術師って言うのは本当のようだな・・・・・。こんな奴をゲオルグの奴は挑もうとしているの

かよ・・・・・!」


「さて、キミの神器の禁手を見せてくれないかな?他のみんなも禁手して負けちゃっているからさ。キミも

同じようにしてあげる」


「―――俺は絶対に負けねぇよ!体力と防御力がない魔術師になんかによォォォォォッ!いくぜ!

禁手化ゥゥゥゥゥッ!」


ヘラクレスが叫びその巨体が光輝きだした。光がヘラクレスの腕、足、背中で何かゴツゴツした肉厚のように

形成されていく。光が止んだとき、ヘラクレスは全身から無数の突起物を生やしていたあの突起物・・・・・

まるでミサイルの形だ


「これが俺の神器、攻撃と同時に相手を爆破させる『巨人の悪戯』の禁手ッ!『超人による悪意の波動』

だァァァァァァアアッ!」


うーん、少しみんなから離れようかな?邪魔しちゃあ悪いし


「ハッハッー!仲間を巻き込まないように俺の気を逸らそうってか!いいぜ!乗ってやるよォォッ!」


と、この場を離れようとした僕に標準を僕に合わせヘラクレスのミサイルが発射の態勢に成って、一気に

撃ちだされた―――


「掛かったね!」


僕は振り返り僕とヘラクレスの周りにドーム状の結界を創った。すると撃ちだされた筈のミサイルが僕から

逸れて全てヘラクレスのところに向かった


「なっ、なにぃぃぃぃぃぃぃ!?」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!


無数のミサイルはヘラクレスに直撃した瞬間、巨大な爆破を巻き起こした。激しい爆風はドーム状の結界内で

収まった。爆煙が消える頃にはボロボロの姿のヘラクレスが視界に入った


「こ、この野郎ぉぉぉぉぉ!」


「自分の能力を自分で食らってバカだね♪この結界は反射する効果の結界なんだ。つまり放った攻撃はそのま

んま自分に返ってくることだよ」


「それだったらお前も同じじゃねえのか!?お前が魔力を放ったら自分に返ってくる!違うか!?」


ヘラクレスの問いに僕は頷き肯定する


「へっ、間抜けな奴だ!御自慢の魔術、魔法も使えないんじゃあ意味無いな!肉弾戦なら俺の方が上だぜ!」


禁手を解いたのか体中の突起物が無くして僕に迫って来た。


「木端微塵に成りやがれッ!世界一の魔術師さんよ!」


危険で怪しげな光に包まれた拳が僕の顔面に突き刺されそうになった―――刹那


「はっ?」


彼の拳は空振った。何故なら一瞬で彼の背後に移動したからだ。そして僕は彼の背後にトンと手を添えて


「確かに放った攻撃は自分に返ってくるけど―――ゼロ距離から放ったらさすがに返らないよね」


「う、うおおおおおおおおおおおおっ!」


「雷散」


バチチチチチチチチチィィィッ!


「がああああああああああああああああああああッッ!!」


ヘラクレスの身体中に膨大な電気が駆け巡った。数分後、全身黒焦げに成ったヘラクレスが意識を失い仰

向けに成って倒れた


「よし、終わり。さーてと、次はゲオルグだね」


結界を解き、ゲオルグのところに向かう



―――――――――――――――――――――――――――――――



レヴィアタンside


「んー、どうやって倒そうかなぁ・・・・・。(この姿でイリナと合うのは初めてなんだよね

(仮面付けているけど))」


「随分と余裕ね?」


「余裕だよ。貴女、弱いみたいだし」


「これでも私は天使長ミカエルさまのAよ!そう簡単に負けはしないわよ!」


うん、知っている。イッセーくんから聞いているよ


「じゃあ、この攻撃は見切れるかな?」


手の平を彼女に向けた。冷気が漂い始め


「零嵐」


ブワッ!


冷気を帯びた嵐がイリナを閉じ込めた


「さ、寒いっ!?」


「マイナス0℃の嵐だよ。早く出ないと氷漬けになっちゃうよ?」


「そ、そんなっ!?は、早く出ないと・・・・・!」


天使の証とも言われている純白の翼を展開して羽ばたき上空に飛んでいった。―――でも、それは失敗だよ?


「―――翼が!」


パキパキと純白の翼に氷が発生して覆い尽くそうとしていた。氷が翼の根本まで覆うと彼女は飛べることが

できなくなり、地上に落ちて行った。だけど、その間でも彼女の体にも氷が発生して覆っていく様子を捉えた


「い、いやああああああっ!」


あー、あー、とうとう氷漬けになっちゃったよ・・・・・あっ、砕けちゃったら死んじゃうよね?って、今頃

気づいた時には既に彼女と地上の残りの距離は2メートルまで落ちていた―――


ガシッ!


刹那、ニ枚の巨大な金色の翼が私の零嵐を吹き飛ばして氷漬けのイリナを受け止めた。翼の出所を見ると九尾

の体の上に乗っかっているイッセーくんの方に伸びていた。


「(レヴィアタン)」


「(イッセーくん、どうしたの?)」


イッセーくんが念話で話かけてきた


「(ルシファーと龍牙が相手をしている二人の動きを止めてくれないか?)」


「(うん、解ったよ)」


イッセーくんと念話をやめてルシファーと龍牙が戦っている二人のもとへ行こうとした。―――私の視界の端

にイリナを覆っていた氷が無くなっていても未だにイッセーくんの翼の上で寝転がっているのが映った。私は

不思議になって近くによると


「すぅーすぅーすぅー」


ビキッ!


この子は戦闘中なのにあろうことかイッセーくんの翼の羽を布団のように包まって寝ていた!


「(悪い、イリナをどかしてくれると有り難い)」


うん、イッセーくんに言われなくても今しようと思っていたところだよ。翼の羽をゆっくりと動かして彼女の

耳元に近づき


「起きろぉぉぉぉぉ!」


叫ぶ!自分だけずるい!私だってイッセーくんの翼で寝たいのにぃ!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ガイアside



「どうした、それが貴様の実力か?」


「くっ!」


ブオンッ!ガッ!


「遅い」


「―――っ!」


恋とやらの武器を掴み嘆息する


「貴様、我の一誠を返してもらう」


「ご主人様は渡さない。恋とずっと傍にいる。恋もずっとご主人様の傍にいる」


「残念だがな。一誠は我々、幽幻龍騎士団の『王』だ。同時に我々の愛しい男、掛け替えのない家族、

仲間だ。貴様等、英雄派には渡さない」


「関係無い。ご主人様はずっとこっちにいる」


純粋な思いを持つ奴だな。どうしてそんな奴が英雄派に所属しているのか理解できん


「なら、我等と共にくるか?そうしたら一誠とずっと一緒にいられるぞ」


「・・・・・」


勧誘するとフルフルと首を横に振った


「恋、みんなを裏切ることをしたくない。優しいみんなと離れたくない」


「そうか。お前はテロリストでありながらも良い奴だな。そう言うところは我等と少し似ている」


「似ている?」


「ああ、教えてやりたいところだが。我等は一誠を連れ戻そうとして此処にいる―――直ぐに片づけさせてもらうぞ」


こいつの武器を放し距離を取る。あいつは全身からオーラを奔流と化として武器を構える。


「・・・・・行く!」


ドンッ!


地を蹴ると砂煙が起きた。そのまま猛スピードで我に向かってくる。速いな。しかし、我に取っては


「やはり遅い」


「シッ!」


我は腕を横に振って、恋も武器を横に振って通り過ぎた。我と奴の間に静寂が雰囲気が漂った。そして一拍

すると


ブシャアアアッ!


体から血が噴き出した。血を噴き出したのは


「・・・・・恋が負けた?」


そう呟くと同時に地に倒れ込む恋だった


「筋はよかった。だが、まだまだだな」


倒れた恋を一瞥して言った


「(メイビス、こいつに回復を)」


「(解りました)」


「さて、お前はどうする?ヴァルキリー。我と戦うか?」


巨漢の男と戦う筈だったヴァルキリーを視界に入れる。その傍には金髪の少女たちを守っている様子だ


「いえ、倒れた木場くんたちを―――」


「その必要はない」


ベルゼブブの声が聞こえた。その方向に振り向くと


「イリナさん!」


金髪の少女が悲鳴混じりの叫びを発した。その原因はベルゼブブたちが傷ついたグレモリー眷属を抱えている

からだ


「連れてきた」


「この子は気絶しているだけだから安心して」


我等の旅館に泊まりに来た木場、ゼノヴィア、イリナと言う奴等を金髪の少女の元に置いた。すると金髪の

少女の近くに上空から何か落ちてきた。落ちてきたのはヴリトラを宿す人間だった。一誠が放り投げて

きたのか?


「ヴァルキリー、グレモリー眷属は既に戦えない状態だ。何もしないと言うなら守ってやる。どうだ?」


「・・・・・貴女の言う通りにします」


「利口で助かる・・・・・ん?オーフィス、そいつらは?」


「・・・・・イッセーに頼まれた」


ズルズルと手足が氷漬けにされている金髪と黒の男女を引きずって来た


「この者たち、我の蛇で操られていた」


「なるほど、イッセーが術者を探しても見つからないわけだな」


これで一誠も戻ってくるだろう。九尾を救済してな


「誰か和樹に伝えろ『戻って来い』ってな」


もう少しでこの戦いは終わりそうだ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――



一誠side



やっぱりみんなは凄いなぁ・・・・・。流石は自慢の家族たちだ


「おっと、感心している場合じゃないな」


倒れた仲間たちを金色の翼で(武器も)回収して治療する


「ゲオルグ、曹操のところに行っても良いか?残っているのは赤龍帝の成神だけだから」


「お前の家族が攻撃してくるのでは?」


「その時は俺が守ってやるよ」


恋たちを治療し終わりゲオルグの近くに置き、八坂から離れて成神と対峙している曹操の許に歩む。あいつは俺が近づいた事に気づき話かけてくる


「キミの家族は強いな。瞬く間に恋たちを倒すとは信じられない光景を見たよ」


「だろ?俺の自慢の家族だ」


自慢げに言うと苦笑する曹操だがゲオルグに「魔方陣はどうだ?」と訊く


「もう少しだな。しかし、これでグレートレッドがくるかどうか」


「来ないなら来ないというデータを得られる。他の方法を試すだけだ」


「そうはいうが、これをするのにも大がかりなことをしたんだ。自分としては成功させたいよ」


「俺だって出来れば良い結果が欲しい」


「こなかったら骨折り損のくたびれ儲けだな」


『それを言わないでくれ』


二人に即答された!すると恋たちが目を覚ました


「よ、目が覚めたようだな。何処か痛いところは無いか?」


「いや、大丈夫だよ・・・・・。彼女は強いな」


「くそっ!あの魔術師・・・・・!」


俺の家族にやられて悔しいのか恨めしそうにガイアたちを見詰めていた―――刹那、膨大な光が発生した。

光が発生しているところを見ると成神の宝玉がいっそう輝いていた


「・・・・・なんだ?」


曹操たちも気づいたようだ。俺たちは成神の様子を見守った。宝玉から光が照らされ、何かを映し出して

いく。それはしだいに人の形をなしていき、一人、二人、と増えて言った。そして数が総勢千人は超えそうな

規模だった。ま、まさか・・・・・。あの人たちは痴漢をした人たちなのか・・・・・?


『おっぱい・・・・・』


『お、おっぱい』


『おっぱいーん』


『すごい、おっぱい』


『大変なおっぱい』


不気味な大群が呪詛のようにおっぱいおっぱい口走り始めた。おいおいおい!変態の見本市に

成っていないか!?


『おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい』


不気味な大群が呪詛のようにおっぱいと呟きながら、のろのろとおぼつかない足取りで動き出していく。

何かの陣形を取っていった。


『『『『おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!』』』』


これは酷いっ!それしか言えない異様な光景だった。おっぱいおっぱい言いながら―――儀式めいた様相で

円形に並んでいく


「・・・・・おっぱいゾンビか?」


曹操がそう呟いた。だよな。ゾンビのようにも見えるもんな。すると―――おっぱいゾンビは円形を

形作ると、今度は人の形を崩して地面に融けていった。そして、円形に光りが走り出し、中央に紋様が

刻まれていく。広大な一つの魔方陣と成っていった


「(和樹、アレは一体何なんだ?何の魔方陣なんだ?)」


「(・・・・・ごめん、僕にも解らないよ。見た事無い魔方陣だし、さっきの光景を見て僕たち混乱して

いるところなんだ)」


世界一の魔術師である和樹も知らない魔方陣だと・・・・・!?


「―――召喚ッ!おっぱいぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」


突然おっぱい!と叫び出す成神。あ、頭が痛くなってきた・・・・・・。俺は頭を抱えていると魔方陣が

輝きだした!紋様に刻まれた文字には「おっぱい」と書かれているし、おっぱいの形をした象形文字まで魔方

陣に描かれている!?あいつはどこまで胸を求め、探求するつもりなんだぁぁぁぁぁぁ!?魔方陣の中央に

何かが出現しようとする。一瞬の閃光のあと、魔方陣から現れたのは―――紅髪のグレモリー先輩だった!

しかも着替え中だったのか上下下着―――


「見ちゃダメよ」


「ダメ」


・・・・・二人に視界を塞がれてしまった。しょうがなく俺は聴覚を集中して聞くことにした


「な、何事!?ここはどこ?ほ、本丸御殿・・・・・?きょ、京都?あ、あら、イッセーじゃないの?

どうしてここにって、私がどうしてこんなところに!?しょ、召喚されたの!?え?え?」


うん、もの凄く狼狽しているな。グレモリー先輩


「な、何なの!?光が私を包んでいくわ!」


突如、グレモリー先輩が驚愕の声音を発した


「(なあ、二人に目を塞がれて何も見えないから一体どう状況なのか解らないから教えてくれるか?)」


「(一誠様、グレモリーさまの胸が神々しい輝きを放っております)」


・・・・・はっ?リーラの解説に俺は呆けてしまった


「(成神がグレモリー先輩の胸を突かせてとお願いしているよ)」


「(あっ、グレモリー先輩がブラジャーを脱いだようです)」


こ、こんな時まであいつは胸を・・・・・。


「(いま、グレモリー先輩の乳首を突きましたよ。そしたらグレモリー先輩の胸から輝きを放ちながら天高く

昇っていって、この空間全体を桃色に照らしました・・・・・あっ、グレモリー先輩が消えました。魔方陣も

消えましたよ)」


龍牙の解説と同時にジャンヌと恋が手をどけてくれた


「・・・・・なんだったんだ、あれは?」


俺は見えなかったから解らなったけど曹操たちは呆然としていた。―――成神の鎧の各部位に有る宝玉から、

赤い閃光が溢れ出ている。これは何が起こるな・・・・・・と思った。


―――刹那だった


「どうせ俺も変態ですよぉぉぉおおおおおおっ!」


あいつが急にそう叫び出した!しかも何か知らないけどヤケクソ気味で!


「いくぜぇぇぇぇぇぇぇええっ!ブーステッド・ギアァァァアアッ!」


あいつの気迫に反応したか、体を包む赤い閃光は極太のオーラを辺り一帯に解き放ち始めていった!

まさか・・・・・新しい力をこの土壇場で―――


「いこうぜッ!赤龍帝をッ!俺たちの力をッ!グレモリー眷属の底力、とくとぶっ放してやるぜェェッ!」


『Desire!(デザイア)』


『Diabolos!(ディアボロス)』


『Determination!(デイターミネイション)』


『Dragon!(ドラゴン)』


『Disaster!(ディザスター)』


『Desecration!(ディシクレイション)』


『Discharge!(ディスチャージ)』


宝玉が数々の声音を鳴り響かせていき、壊れたかのように『D』を繰り返し始めた!そして、あいつは高らかに

叫んだ!


『DDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD!!!!!!!!!』


「モードチェンジッ!『龍牙の僧侶』ッ!」


成神はそう叫んだ。すると成神の肩から背中にかけて赤いオーラが集まり形を成していく。すると出来上がっ

たのは背中のバックバックと、両肩に装着された大口径のキャノンだった。


ブゥゥゥゥン・・・・・。


静かな鳴動が始まり、キャノンの砲口に集まっていった。『僧侶』特有の攻撃か・・・・・!


「・・・・・あれは、マズイな・・・・・」


曹操がぼそりと呟いた。あいつもキャノンに集まるパワーを察知したようだな。俺は成神の前に立ちはだかる


「大丈夫なのか?」


「心配するな。任せておけ」


「そうか、任せる」


一応心配はしてくれるんだな。ありがとうよ


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBOostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』


「吹っ飛べェェェェェェェェッ!ドラゴンブラスタァァァアアアアアアッ!」


ズバァァァアアアアアアアアアッ!!


肩のキャノンから極大な一発が俺たちに放射された―――。


「お前の攻撃は一切通用しないのにお前はまだ学習していないようだな」


『幻想殺しの籠手』を纏い成神が放ったキャノンの一撃を受け止め消失させた


「兵藤ォォォォォォォォオッッ!


あいつは俺の名前を叫び、背中のキャノンをパージした。何だ・・・・・?


「モードチェンジ!『龍星の騎士』ッ!」


ドラゴンの翼を羽ばたかせて、俺に向かってきた。だけど、それでもまだ―――


「―――装甲パージッ!」


成神が叫ぶと、赤龍帝の鎧の各所がパージされていった胴体から、腕から、足から、頭部から厚い装甲が外れ

ていった余計なものを捨て、最低限の装甲だけで飛んで成神の赤龍帝の鎧はほっそりとした全身鎧と化とし

ていた。・・・・・スピードを得るために防御力を捨てたか!俺も縮地の技を使い成神に向かい衝突し合う!


「成神、防御を捨てスピードを得るのは良いがその防御力だけだと負けるぞ!(ベルゼブブ、エクスカリバー

を借りるぞ!」


空間を歪ませ穴を開き瞬時で手を突っ込みエクスカリバーを抜き放つ!


「パワーアップ早々悪いが、これで終わりだッ!」


成神を蹴り飛ばしオルタも手に持ち成神に斬り掛かる!


「モードチェンジッ!『龍剛の戦車』!ッ!」


また変わるのか!?となると『女王』もなれることになるな!そのことに勘づきながら成神に振り下ろす

瞬間、赤いオーラが発生して成神を包みさっきパージした分の装甲を修復させていくのが解った。だが、

オーラの形成はそれだけに留まらず更に鎧をぶ厚く、肉厚にしていった!


ガキンッ!


エクスカリバーとオルタは成神が盾代わりにした右のぶ厚い籠手に一撃を与えた。―――だけど、両断する

どころか途中で止まった!


「―――なっ!エクスカリバーを受け止めるだと!?」


「おっぱいドラゴンなめんな、このクソ野郎ォォォォォォォォォォッ!」


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBOostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost

BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBOostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』


あいつは極大な左の拳を俺目掛けてぶっ放してきた!俺は瞬く間に二振りのエクスカリバーを籠手から抜き

放ち盾のようにしたが―――。


「こんにゃろォォォォォォォッ!」


バギンッ!ドンッッ!


「―――っ!?」


成神の拳がインパクトした瞬間、膨大なオーラを噴出させながら、拳の勢いが猛烈に増してガードしたエクス

カリバーとオルタが鈍い音を立てて破砕しそのまま俺の腹部に突き刺さって成神の一撃を食らい。下へ勢い

よく吹っ飛ばされる!


「ぐぅぅぅおおおおおおっ!!!」


何とか体勢を立て直し地上に着地する


「はぁ、はぁ、がはっ、・・・・・くそっ、エクスカリバーとオルタが・・・・・!」


刀身を失った剣を見て俺はショックを受けた。特にオルタは和樹が創ってくれた時からずっと使ってきてきた

からそのショックが大きかった!


「ご主人様!」


「イッセーくん!」


恋とジャンヌが駈け寄ってくる。ガイアたちも念話で俺の安否を確かめてくる


「『悪魔の駒』のルールを逸脱したキミだけの新たな特性か・・・・・。まるでイリーガル・ムーブだな」


曹操が成神に話かける


「イリーガル・ムーブ?」


成神が疑問を口にすると、曹操が答える


「チェス用語さ。不正な手を意味する。その攻撃は明らかに『悪魔の駒』のシステムに不正するような手にみ

えたからね」


不正な手か。確かにその通りだ。あれ、ゲームじゃ使えそうにないな


「(和樹、ごめん・・・・・)」


「(ううん、気にしないでよ。僕が創った剣が成神の攻撃を半減して一誠を守ってくれたんだ。誇りに

思うよ。それにまた創り直せば良いよ)」


「(ああ、ありがとう・・・・・)」


「あんた、このまま全勢力と激戦するつもりか?」


成神が曹操を問うと首を横に振った


「冗談。この戦力では長期戦に向かない。一人の力が強くても、さすがに各勢力が協力した兵力には勝てな

いさ。そちらに大損害は出せるだろうが、此方は全滅だ。不意打ちを狙った一点突破の方が効率いい。―――

まあ、幽幻龍騎士団が英雄派に属してくれば話は別だが」


『断る!』


あはははっ・・・・・。


バジッ!バジッ!


空間を震わす音が鳴り響く。この音は良く覚えている。―――空間を裂く音だ!其方の方を見上げれば

―――空間に穴が生まれつつあった!


「どうやら、始まったようだ」


曹操が嬉しそうに笑んだ。―――違う、グレートレッドは、ガイアは今、此処にいる。他の誰かがこの空間に

入ろうとしている!


「あの魔方陣、そしてキミの膨大なパワーが真龍を呼び寄せたのかもしれないな」


曹操は成神に皮肉気にそう言った


「ゲオルグ、『龍喰者』を召喚する準備にとりかかって―――」


そこまで言い掛けて、曹操は言葉を止めた。その目が細くなり、次元の裂け目を見て、疑問の生じた表情と

成る


「・・・・・違う。グレートレッドではない?・・・・・あれは、それにこの闘気・・・・・ッ!」


ああ、この感じはまるで美猴に似た闘気だ


オオオオォォォォォォォォン。


空間の裂け目から姿を現したのは―――十数メートル程の、身体が細い東洋タイプのドラゴン。緑色の

オーラを発しながら夜空を舞う姿は幻想的だった。曹操が叫ぶ


「―――西海龍童。玉龍かッ」


「(ウーロン、懐かしい)」


「(あいつまで来るとはな・・・・・)」


ガイアとオーフィスが懐かしそうに念話で呟いた。六大龍王の一角だったな。曹操は玉龍の登場に驚いたが、

その視線はすでにドラゴンではなく、ドラゴンの背に向けられていた。俺もそこに目を向けた。そこには

―――小さな人影らしきものが一つ。お、人影がドラゴンの背から降りた。小さな人影は高さなんてなかった

かのようにスッと地上に降り立った。


「大きな『妖』の気流、それに『覇』の気流。それらによって、この都に漂う妖美な気質がうねって

おったわ」


小さな人影は年老いた男性の声音でこちらへ一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。小さい。本当に身体が

小さい。子供・・・・ではないな。だが、背丈は幼稚園の年長児程しかない。金色に輝く体毛、現れたのは

法衣を纏った・・・・・猿の様な人物だった。顔がしわくちゃだ。それに黒い肌・・・・・。妖怪?猿の

妖怪か?その姿と顔はなんとなく美猴に似ていた。


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