小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

最強対決!幽幻龍騎士団VSバアル眷属!(7)


『サイラオーグさま!私を!私を身にまとってください!あの禁手ならば、あなたはきっと彼を遥かに

超越する!』


『獅子王の戦斧』がそう発言した。しかしサイラオーグの怒号が飛んだ。


「黙れッ!あれは・・・・・あの力は冥界の危機に関してのときのみに使うと決めたものだ!この男の前で

あれを使って何なる!?俺はこの体のみでこの男と戦うのだ!この体で、この肌で、この心が思うままに

最大の好敵手、兵藤一誠と戦うとそう決めているのだ!」


神滅具、『獅子王の戦斧』の禁手・・・・・か。―――面白い


「サイラオーグ。お前、まだ全力で戦っていないだろう?」


「なんだと?」


「全ての力を出し切らずに俺に負けるつもりか?全ての力を出し惜しみして負けたいのか?―――違うだろ!

お前の全力はこんなもんじゃない筈だ!俺もお前と全力で戦いと今日まで思ってきた!なのに何故、お前は

全力で戦おうとしない!?お前の気持ちは解る。でもな、全ての力を使っていないお前に勝っても嬉しく

ねぇんだよ!使え!神滅具を!使え!『獅子王の戦斧』を!俺は本当の全力のお前と戦うことを望む!」


俺の心からの叫び。じゃなきゃ、俺の気が収まらない!一拍して、サイラオーグが不気味な笑みを放った


「・・・・・・すまなかった。俺としたことが、これで全力で戦っているのだと、この戦いかたで俺は心から

楽しんでいるだと、そんな相手に失礼なことをしていたようだ。なんて、

愚かなことをしたのだろうか・・・・・ッ」


ドゥッ!


サイラオーグの体にさらに気迫がみなぎっていく。


「良かろう!このような戦いはもう二度とないかもしれん!お前と快く戦う事は俺も本望だ!

レグルスゥゥゥゥゥッ!」


『ハッ!』


獅子を呼ぶ、サイラオーグ。サイラオーグに応える獅子!巨大な獅子が全身を金色に輝かせて、光の奔流と

化してサイラオーグに向かう!


「良し、ではいこうか。俺は今日この場を死戦と断定するッ!殺しても恨むなよ。兵藤一誠ッ!」


黄金の光を全身に浴びるサイラオーグは高らかに叫んだ!


「我が獅子よッ!ネメア王よッ!獅子王と呼ばれた汝よ!我が猛りに応じて、衣と化せェェェェェェッッ!」


ドォォォォォォォォォォォッ!


フィールド全体が震え出す。周囲の風景を吹っ飛ばして、サイラオーグと獅子が弾けた


『禁手化ッ!』 「禁手化ゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」


眩い閃光が辺り一面に広がっていく。余りの神々しさに思わず腕で顔を覆う俺とオーフィス、ガイア、

ゾラード、メリア。・・・・・其の閃光が止んだ時、前方に現れたのは金色の姿をした獅子の全身鎧だった。

頭部の兜にはたてがみを思わせる金毛がたなびく。胸に獅子の顔と思われるものが有り、意思を持って

いるかのように目を輝かせる


サイラオーグ 「−−−獅子王の戦斧の禁手、『獅子王の剛皮』!兵藤一誠、俺に本気を出させてくれた事に

関しては心から感謝する。さぁ!今度はお前だ!兵藤一誠!お前の全力を見せろ!俺は全力のお前を超えた

時こそが、俺の夢―――魔王になる第一歩の足を踏む!」


「俺を糧にして夢に向かう・・・・・か、解った!お前の願いに応じて、俺も全力を出してやる!」


リインとアギトとのユニゾンを解いて「二人ともありがとう。和樹たちのところで見ていてくれ」と言うと


「絶対に勝てよな!」


「主、ご武運を」


二人はそう言ってこの場から消えていった。


「―――アザゼル!それと何処かで観ているであろうグレモリー先輩!俺たちの家の場所をずっと

知りたがっていたな!」


『急にどうした?まあ、お前が住んでいるところは何処なのか知りたかったけど、いま、

あそこにあるじゃねぇか』


「ああ、あそこに俺たちの家があるな。―――だけど、あの家は此処に移動して来たんだ」


『移動してきた?一体どこからだ?』


アザゼルの問いにガイアを見る。その瞳は「いいのか?」と言ってきたのが解った。俺は頷く


「今日は最高にいい気分だから教えてやるよ。俺たちが元々住んでいる場所を。―――ガイア!」


彼女の名を言う。―――刹那、彼女は全身を真紅に輝かせて、光の奔流と化となった。すると彼女の体に

異変が起きた。彼女の体が大きくなっていき、全身が違う形に変化していく。―――巨大な赤い体に成り、

腕が巨大な両翼に変わり、巨大な尾も生えてきて、口には凶悪な牙が生え覗かせて、目が鋭く、頭には鋭利な

一本の角が生まれた。そして変化が止まると全長百メートルは超える巨大な生物―――赤いドラゴンに

ガイアはなった


グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!


赤いドラゴンになったガイアは咆哮を上げた


『こ、こいつぁ・・・・・!?』


『し、「真龍」!?』


『グレートレッド・・・・・・!?』


「そう、『真なる赤龍神帝』グレートレッド。『真龍』又は『D×D』と周りから称されているドラゴン!

俺たち、『幽幻龍騎士団』はそのドラゴンが支配している次元の狭間に住んでいる!」


高々と俺は皆と暮らしている場所を教える


『・・・・・!じゃあ、倒されたというのは!?あのとき、あの公園であった赤い全身鎧を身に纏った少女の

声の持ち主は!?』


「ああ、あのときアザゼルたちと会ったのは―――俺だ。グレートレッドは倒されてなんかいない。

曹操たちはグレートレッドが生きていると気付いていたけどな。でも、半分ハズレだった。

京都でグレートレッドを呼び寄せようとしたけど、既にガイア―――グレートレッドはいたんだよ。すぐ、

目の前にな」


英雄派のところに視線を向けると曹操たちは驚愕の色を染めていた。いや、この会場にいるセラフォルーと

グレモリー先輩とレイヴェルの両親、ロスヴァイセと小猫以外の全員だな


「因みに言うとグレートレッドも俺のお父さんたちと友達だから」


『な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』


おぉー!やっぱり驚くよな!うん、大成功だ!


『一誠、我は何時でも良いぞ』


「イッセー、我も」


ガイアとオーフィスが「早くしよう」と促した。ああ、そうだな!やるぞ!


「サイラオーグ!良く見ていろ!俺たちのこの力を!」


ガイアとオーフィスは呪文を唱え始めた!


「我、無限を認め」


「我、夢幻を認め」


「我等は認めし者と共に生き」


「我等は認めし者と共に歩む」


ガイアとオーフィスが全身を深紅と黒に輝かせ、光の奔流と化して俺に向かう。そして、真紅と黒の光を

浴びた俺は彼女たちと呪文を唱える


「我、夢幻を司る真龍と無限を司る龍神に認められし者」


「我、認めし者と夢幻の力で汝を誘い」


「我、認めし者と無限の力で汝を葬り」


「我、愛すべき真龍と龍神と共に真なる神の龍と成りて」


『『『汝を我等の力で救済しよう』』』


『D×D』


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


眩い真紅と黒の閃光が辺り一面に広がっていく。余りの閃光にサイラオーグは腕で顔を覆う。そして、閃光が

止んだ時、前方を見たサイラオーグの視界に


「これが俺の力、『D×D』だ」


身体は真紅と黒の二色のドラゴンの姿を模した全身鎧。頭部と両腕、胸に龍の顔と思われるものが有り、

特に胸の龍の顔は意思を持っているかのように金と黒の瞳を輝かせる。ゾラードとメリアも俺の中に戻る


「はははははっ!今日は驚かされるばかりだ!まさか、グレートレッドまでいるとは思わなかった!その上、

「真龍」とオーフィスが鎧と化となった!凄い、凄いぞ!兵藤一誠!」


「さあ、サイラオーグ。一発打ってみろ。お前の力はどんなものか味わいたい」


「よかろう!俺の拳を受けてみるが良い!」


サイラオーグが姿を消した。次に俺の眼前に現れて拳を俺の顔面に力強く突き出した


ドゴンッ!


「なに・・・・・!?」


「・・・・・何かしたか?」


頭を覆う鎧には傷どころかヒビすら一切なかった。鎧の中に俺にもダメージが皆無だった


「これが、真龍と龍神の鎧ということか・・・・・っ!なんという防御力だ・・・・・!」


「―――今度は俺の番だ」


サイラオーグと殴って吹っ飛ばす。吹っ飛ぶ先に瞬時で移動して再びサイラオーグを殴り飛ばす。続けて吹っ

飛ぶ先に回り込んで殴り飛ばす。その繰り返しを何度も何度もした。鎧も次々と砕けていった


『なんということでしょうか!兵藤選手の姿がまったく見えない代わりにサイラオーグ選手が何度も吹っ飛ば

されている光景しか見えません!速い!速すぎます!サイラオーグ選手はまったく抵抗が出来ていません!』


『なんていう速さだ!俺ですら見えない速さだぞ!』


『今の彼の速さなら冥界・・・・・。いや、世界一を誇る速さでしょう・・・・・。私ですら目が

追いつけませんよ』


『―――あいつは、あいつは現時点で世界最強の人間かもしれない・・・・・っ!』


実況と皇帝、アザゼルの解説を聞きながらサイラオーグを殴り飛ばす!


「はっ!」


最後は吹っ飛んでくるサイラオーグにタイミング良く腹に踵落としをした。


「がはっ!?」


その際に地に叩き落されてサイラオーグの体は大きなクレーターを作る。既に鎧は殆ど無くなっていた。

胸に獅子の顔と思われるもの以外


「―――これで限界か」


俺がそう呟いた。


ガギャァァァァァァァァンッ!


俺の拳が修復されていったサイラオーグの腹部に打ち込んで難なく鎧を砕いた。サイラオーグは口から大量の

血を吐き出しさらに地は抉れて巨大なクレーターができた。あいつは動く気配はない。

―――これで終わりか?俺は少しがっかりしたその時だった。


『―――なさい!』


会場の方から突然、叫ぶような声が聞こえた。俺はその声がしたところに顔を向けると


『サイラオーグ!』


車いすに座っている女性が叫ぶようにサイラオーグの名前を言った。その傍らに―――ソーナとヴァイラ、

華佗がいた。そうか、間に合ったんだ


『立ちなさい。立ちなさい!サイラオーグ!』


彼女の表情は厳しく、誇り高く、気丈なもの―――。その声は応援などなく、息子を叱咤する母親のそれ

だった。その時、サイラオーグが、僅かに動いた。そして、顔を上げる。ボロボロと化した顔。目は虚ろ

だが、瞳の奥にまだ強い意志を感じる


『あなたはだれよりも強くなると私と約束したでしょう!』


―――っ。


サイラオーグの体が―――動いた。それは徐々に確かになっていき、手が動き、腕が動き、足が動いて、体が

持ち上がり始めた。


『夢を叶えなさい!あなたの望む世界を、冥界の未来のために、自分が味わったものを後世に残さない

ために、そのためにあなたは拳を握りしめたのでしょう!』


その言葉がサイラオーグに届いているものなのかはわからない。聞こえていないのかもしれない。・・・・・

いや、あいつ―――泣いている・・・・・。目から出る涙で頬を濡らしている


『例え生まれがどうであろうと結果的に素晴らしい能力を持っていれば、誰もが相応の位置につける

世界―――。それが貴方の望む世界の筈です!これから生まれてくるであろう冥界の子供達が悲しい思いを

味わわないで済む世界―――ッ!それを作るのでしょう!』


サイラオーグは彼女の言葉を聞きながら完全に立ち上がった


『さあ、いきなさい。私の愛しいサイラオーグ。あなたは―――私の息子なのだから』


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」


獅子が咆哮を上げた。



オオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ・・・・・!



それは雄々しく、しかし、何処か悲哀にも感じて―――透き通るほどに見事な獅子王の咆哮だった。会場が

大きく震えた。俺も心底打ち震えた。まだ俺はこいつと戦えれる。こいつと最高の戦いと決着がつけられる!

そう思っただけで俺は久しぶりに気が高まった。俺はいま、興奮している


「来い!サイラオーグ!」


「兵藤一誠ッ!負けんッ!俺はッ!俺には叶えねばならないものが有るのだッ!」


そう叫びサイラオーグが俺に向かってくる!ボロボロのぐしゃぐしゃの状態で


「俺だって!皆の為に、応援してくれている皆の為に俺は、俺はぁぁぁっ!負けられねぇんだよォォォォォォォォォォォッ!」


俺もそれに呼応して飛び込んだ!俺とサイラオーグの拳が同時にお互いの顔面に鋭く食い込んだ!さっきとは

比べ物に成らない拳!鎧は砕かれていないが生身の俺にダメージが伝わった!いや、この痛みは―――心に

くる痛みだ!いまのこいつはどれほどの想いが籠った拳を乗せて俺に挑んできているんだ!


ガンッ!ドガッ!ガガガガガガッ!バキッ!グシャッ!ドドッ!ドッ!ガンッ!ドゴンッ!ゴンッ!ガッ!


お互い夢の為に倒そうと殴り続け殴られ続けた!あいつは冥界の子供が悲しまない世界の為!俺は俺を信じて

くれる皆の為に!サイラオーグと俺はこの拳に想いを乗せて殴り殴られる!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


次の瞬間、俺とサイラオーグはフィールドから消えた。―――刹那、ドンッ!ドンッ!ドンッ!と色んな

場所から衝突し合う轟音が響いた


『両選手の姿が見えなくなりました!しかもフィールドのいたるところに激しい音が聞こえます!これは一体

どういうことでしょうかぁ!?』


『あいつ等は俺たちが見えないほどの高速で動いてぶつかり合っているものだと思う。今でもあいつ等の姿が

見えないまま激しくぶつかり合っている音が聞こえている』


アザゼルの言う通りだ。こいつは俺が本気のスピードについてきている!


「おおおおおっ!」


『ぐぅ!』


鋭い拳の一撃をサイラオーグの顔面に直撃した。あいつは吹っ飛んで背中から地に着地した


『サイラオーグ選手が吹っ飛んだぁぁぁっ!兵藤選手の姿も確認できました!』


「もっとだ!サイラオーグッ!もっと俺と戦え!お互いの夢のために!目標のために!」


「当然だ!兵藤一誠ぃぃぃぃっ!」


あいつは立ち上がり再び俺に向かってきた。そして俺たちは再度、激しい殴り合いが始まった


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


「はああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


ガッ!ガガッ!ドガガガッ!ドドドッ!バキッ!ブオンッ!ドッ!ガンッ!


お互い唯、殴った!唯、殴られた!ひたすら殴った!顔を、腹を、胸を、腕を、ただただ、殴り続け、殴られ

続けた。あいつの鎧が弾け、修復が間に合っても直ぐにそこへ拳が放り込まれ放り込む。身体に突き刺さす

俺の一撃がサイラオーグの肉体を破壊していく。サイラオーグの一撃が俺の心にダメージをあたえる―――


バキッ!ドゴッ!ガガガガガガッ!ドゴンッ!バキャンッ!ドドドッ!ガッ!ガキッ!ガッ!ガッ!

ドン!ドガッ!


そのたびにこのフィールドが大きく震えて、地が裂け、次元に穴が空く。馬鹿げる程に単純で、馬鹿げる程に

威力に満ちた打撃戦。防御なんて知らない。している暇なんてない。殴らなければ―――。一つでも多く殴ら

ないとこいつは落ちない―――。だから、殴るッ!相手の肉体をぶっ壊すだけでは終わらない!意識を!魂を

絶つ勢いでやらなければこいつは倒せないッ!


「うおおおおおおおっ!負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「はああああああああああああああっ!俺も負ける訳にはいかないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


バキッ!グシャッ!ドゴンッ!ドドガッ!ガガガッ!ドッ!バガッ!ドゴッ!


実況が叫ぶ。


『殴り合いですッ!壮絶な殴り合いです!壮絶な殴り合いがフィールド中央で行われておりますッ!華麗な

戦術でもなく!練りに練られた魔力合戦でもなく、超々至近距離による子供の様な殴り合いッ!殴って、殴ら

れて、唯それだけの事が!頑丈なバトルフィールド全体を壊さんばかりの大迫力で続けられておりますッ!

観客席は総立ちッ!旧魔王派英雄派も総立ちしてスタンティングオペ―ション状態となっておりますッ!

ただの打撃合戦に老若男女が興奮していますッ!よくやるぜ!二人ともォォォォォォォォォッ!』



『『『『『サイラオーグゥゥッ!サイラオーグゥゥッ!サイラオーグゥゥゥッ!』』』』』


『『『『『兵藤ッ!兵藤ッ!兵藤ッ!』』』』』


俺たちは会場にいる観客から声援を送られる。俺たちは拳をぶつけ合った際にお互い後ろに飛び退く


「サイラオーグッ!これで決着をつけよう!」


気を奔流と化として全身から放出しながら豪気砲の構えをとる


「いいだろう!この一撃でお前を倒す!」


サイラオーグも俺の真似をして気を奔流と化として全身から放出しながら気を集中し始めた。両手の間に

気が輝き始めた―――。俺たちは


「豪」


気を溜めていた両手を


「気」


相手に向けて


『砲!』


突き出した!



ドオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッッッ!!!!!



俺とサイラオーグから放出された膨大な気の塊が衝突し合った!押して押されの鍔迫り合い!俺とあいつの

気は互角だっていうことか!


『凄い!凄いです!こんな戦い方、私は始めてみました!』


『サイラオーグの膨大な闘気と兵藤の膨大な仙術の気を保有しているから出来る技だろうな。俺たちは殆ど

魔力で戦う。あんな戦い方はまず、仙術を習得しないと無理な話だ』


『この勝負、どちらかの気が無くなるまでの試合に成りそうです』


ああ、そうだよ!この技は気のみで戦う技、だからサイラオーグがこの技を使えるんだ!


「サイラオーグゥゥゥゥゥゥッッ!!!」


「兵藤一誠ぃぃぃぃぃぃぃぃッッ!!!」


お互いの気は未だに鍔迫り合いをしている。クソッ!さっきサイラオーグに見せた一発が仇となったか!?

俺の気がもうなくなりかけてきている・・・・・!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


「―――!?」


あいつの気が急に膨らみ始めて俺が放出している気を徐々に押し返していった!


「俺は負けんッ!絶対に、絶対にお前に勝つ!この一撃を込めてお前を倒す!」


「ぐっ!ううううううううううっ!!!」


サイラオーグの気がどんどん俺に近づいてきてくる!押し返そうと気をさらに出すが押し返される!

俺が負ける・・・・・?負けてしまうのか?気が今ので殆ど使い果たしてしまった。


『兵藤選手の気がサイラオーグ選手の気によって押されていきます!彼は此処で負けてしまうのかぁ!?』


実況がそういった。会場は静かに俺たちの戦いを見ている。やばい・・・・。もう、気が・・・・・。

みんな、悪い、俺・・・・・、負け―――


『ご主人さまぁぁぁぁっ!』


突如、恋が俺の名前を呼んだ。


『負けちゃダメ!絶対に勝つ!』


恋が俺に応援してくれた。次の瞬間


『勝て!兵藤一誠っ!』


『イッセーくん!頑張って!負けたら許さないわよっ!』


『そうだ!踏ん張れ!負けるなっ!』


『それがキミの全力なのか!?まだいけるだろう!』


『キミが勝たないでどうする!?勝て!勝つんだ!』


『頑張れぇぇぇぇ!』


『『『『『頑張れ!兵藤一誠!』』』』』


英雄派が


『貴様!此処で負けたら許さんぞ!』


『『『『『いけ!兵藤一誠!』』』』』


旧魔王派が


『頑張るんだ!一誠』


『そうです!あともう少しです!』


『そうだっ!頑張るんだ!』


『此処は正念場だ!いけぇぇぇっ!』


『頑張って!イッセーェェェェッ!』


『負けるなよっ!一誠!』


『イッセーェェェェェッ!』


『頑張れっ!』


『頑張ってください!イッセーッ!』


『此処で負けたら許さんぞっ!』


『頑張ってください!負けないで!』


『そうだっ!頑張れ!そこだっ!』


『行け!行くんだ!』


『『頑張れ!イッセーっ!』』


『イッセーッ!頑張れ!』


『お願い!負けないで!』


『貴方が負けたら私達は悲しむわよ!?』


『今まで鍛えた成果を発揮する時だぞ!』


『イッセーちゃん!』


『頑張るんだ!』


『いっけぇぇぇぇぇっ!』


『頑張って下さい!』


『頑張るんだ!イッセーッ!』


『そうだぞっ!負けるな!勝てっ!勝つんだっ』


『信じているよ・・・っ!』


『そうっス!イッセーが勝つ事を私たちは信じているっス!だから!』


『お願い・・・っ!負けないで!』


『イッセーくん、キミが負けたら皆が悲しむよ?だから、勝ちたまえ!娘たちを泣かしたら許さないよ!』


『そぉーですよぉー!必ず勝つと信じていますからねぇ−ーー!』


『頑張ってちょうだい!イッセーッ!』


『頑張ってぇぇぇぇっ!』


『イッセー!』


『頑張れぇぇぇっ!』


『そうよっ!頑張って!』


『勝って下さい!私たちも応援していますよ!』


『そうだぜぇい!頑張るんだっ!!!』


『頑張ってくださいっ!』


『頑張って!一誠くん!』


『一誠っ!』


『頑張ってください!』


『負けないで、イッセーェェェッ!』


『私たちはずっと一緒だ!』


『そうだよ!ずっと!ずっと一緒だよ!』


『離れていても心は繋がっている!勝ちなさいっ!』


『此処で負けたら許さないわよ!私も応援するわ!頑張りなさい!』


『勝て!兵藤一誠!貴殿の夢を此処で終わらすつもりか!?』


『イッセー!貴方は勝ちます!』


『一誠!まだ行けるだろう!?力を振り絞れ!我等の為に勝つんだ!』


『イッセー!頑張る!』


『『主!』』


『兵藤一誠、貴様、負けたら許さんぞ?』


『イッセーくん!頑張って!』


『イッセー!頑張りなさい!』


『そうだ!お前を信じている皆のために頑張るんだ!』


俺の家族が、愛しい仲間たちが、愛しい彼女たちが俺を応援してくれている・・・・・!みんなの気持ちを、

応援を無駄にしたくない!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


最後の力を振り絞って全身に闘気を奔流と化として放出して再び膨大なレーザーのように気を放出する!


「これで、最後だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


放出された気は形を作っていった。その形は段々ドラゴンのようになっていった


「これは―――!?」


「食らえ!サイラオーグ!これが最後の技、豪龍気砲だぁぁぁぁぁぁぁっ!」


グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!


気が龍と化となってサイラオーグが放出する気を呑みこみながらその気の体を大きくしていってサイラオーグ

に向かった。あいつは受け止めようと構えるが気の龍が口を開けてサイラオーグを巻き込んでいった。―――

だが、俺の目に信じられない光景が起きた


「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


豪龍気砲の中で全身に闘気を纏いながら俺に向かってきている!豪龍気砲が消えるとあいつは


「兵藤一誠ぃぃぃぃぃぃッ!!!」


右の拳に膨大な闘気を纏わせ発光させると俺に殴りかかってきた!


「サイラオーグ・バアルゥゥゥゥゥゥゥッ!」


俺も右の拳に膨大な闘気を纏わせサイラオーグに殴り掛かった!


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!』


ドガアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!!!


拳が交わし合い、サイラオーグの拳が顔を覆う鎧を砕きそのまま頬に直撃し、俺の拳がサイラオーグの頬に

直撃した!地が激しく抉れ、巨大なクレーターが生んだ。俺とサイラオーグはふらつき、ぐらぐらと体を

揺らすが―――まだ俺たちは倒れない。そう・・・・・だよな。俺たちはまだ、戦えるよな・・・・・?俺は

近づき拳を握りしめるとあいつも拳を握りしめた。そしてまた、俺たちは拳を突き出し―――


『・・・・・兵藤一誠・・・・・もういい・・・・・』


サイラオーグの鎧の胸部分にある獅子が声を発した。


『・・・・・我が主・・・・・サイラオーグさまは・・・・・』


獅子は目の部分から、涙を溢れさせていた。


「サイラオーグ・・・・・?」


あいつは―――。サイラオーグは、拳を突き出し、いままさにこっちに向かおうとしたまま―――意識を

失っていた。笑ったままだった―――。それでも瞳は戦意に満ち、ギラギラしたものを浮かべていた。


『・・・・・サイラオーグさまは・・・・・少し前から意識を失っていた・・・・・』


「・・・・・なんだと・・・・・。じゃあ、どうして前に進もうと・・・・・」


『それでも・・・・・うれしそうに・・・・・ただうれしそうに・・・・・向かって

いった・・・・・。・・・・・・ただ、真っ直ぐに・・・・・あなたとの夢を賭けた戦いを真に

楽しんで・・・・・』


獅子は慟哭した。・・・・・意地・・・・・だけで戦っていたのか・・・・・。意識を失ってまで・・・・・、前に・・・・・。


ただ、前に―――。


夢のために―――。


俺は知らないうちに涙を流していた。涙を拭かず意識を失っている最高の好敵手の体を抱きしめ叫んだ。



「・・・・・ありがとう・・・・・、サイラオーグ!俺はお前と戦えて本当に楽しかった!また、お前が

さらに強くなったら俺に挑んでこい!喜んでお前の挑戦を受ける!」


『サイラオーグ・バアル選手、投了。リタイヤです。ゲーム終了です。幽幻龍騎士団の勝利です!』


『『『『『『『『『『わああああああああああああああああああああっっっ!!!!!』』』』』』』』』』


最後のアナウンスがされ、会場が熱気に包まれた!俺はサイラオーグから離れ踵返す


『イッセー!』


『イッセーくん!』


俺の名を呼びながら駈け寄ってくる家族の許へ向かおうとしたが


ドサッ・・・・・・


地に倒れてしまった。アハハ・・・・・。気を使い過ぎたようだな・・・・・と心の中で苦笑して意識を

落としてしまった・・・・・

-119-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ハイスクールD×D 13【BD付限定版】 イッセーSOS (単行本)
新品 \0
中古 \9915
(参考価格:\4725)