小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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友好と新世界へ(6)


「あー、色々と大変だったな。今日一日」


そうぼやく俺だが、学校から数時間が経過した。今は夜となって祭りに来ている。全員、浴衣姿だ


「祭りだ!祭りだ!今日も楽しむぞぉ!」


「アザゼル、昨日の決着をつけましょうか」


「望むところだ!昨日は引き分けで終わったからな!」


と、言ってミカエルとアザゼルが揃って人ごみの中へと消えてしまった。


「父さま!もう一度、鯉すくいをやりたいです!」


「よし、やろうではないか!今度こそ鯉を手に入れて冥界に持って帰って飼うぞ!」


「はい!」


「―――本当なら、止めた方がよろしいんでしょうが。彼に『好きにさせろ。それにこの世界にいる間は

一般人としているように』と言われていますから黙認するしかないでしょうね・・・・・。・・・・・

楽しまないと損するって事ですよね」


楽しげにサーゼクスとミリキャスが鯉すくいっていう店に向かっていったところを見たグレイフィアが

サーゼクスたちの跡を追った


「私たちも行きましょうか?」


「はい、お母さま」


「ああ」


朱璃が朱乃とバラキエルと一緒に人ごみの中に入っていった


「ひぃぃぃぃぃぃっ!い、一杯いますぅぅぅぅ!」


「そりゃあ、祭りだからな。てか、何で女用の浴衣を着ているんだ?」


「可愛いから着ました!」


ビクビクと震えるギャスパーの浴衣を指摘すると俺が呆れる言葉を言った


「まあ、どうでもいいか。それじゃあ、俺たちも自由に祭りを満喫しよう。ホテルに帰る時は他の皆に

メールするんだぞ」


『了解!』


皆、あっち行ったり、こっち行ったりと蜘蛛の子のように散って俺から遠ざかっていく(何故か、二村と

花戒が匙を連れて行った。もしかして、あいつらが匙のことが好きな少女たちってことか?)


「んじゃ、俺も満喫しようかなぁ・・・・・。―――真羅先輩とガブリエルは祭りに行かないのか?」


黒い浴衣と純白の浴衣を着込む真羅先輩とガブリエルが未だに動かずにいるので訊いてみた


「ひょ、兵藤くんと一緒に見て回りたいと思って・・・・・」


「私もですー。一緒に見て回りませんかー?」


「そう言うことか。いいぞ、一緒に見て回ろう」


二人の言葉を聞いて俺は二人と祭りを満喫する事に決めた


「では、行きましょうー」


「行くのは良いんだけど、どうして俺の腕に抱きつく?」


「はぐれたら大変ですよ?」


うん、それは解る


「はぐれたら連絡すればいいんじゃね?それに、この機械にはお互い何処にいるか場所を示す機能もあるんだ

けど―――」


「それでは、行きましょうー」


「人の話を聞けよ!?」


俺を引っ張るように歩き出す!このおっとり天使は!人の話を聞きなさいって言うんだよ!


「・・・・・」


すると、無言で浴衣の袖の端を少しだけ摘まんだ真羅先輩。俺は不思議そうに先輩に振り向くと、パッと

袖の端を放して黙って俺についてきた。


「―――ほら、真羅先輩」


「えっ」


「手を繋ぎましょう」


「・・・・・」


差し出された手に虚を衝かれたようで、キョトンとした目で俺の手をマジマジと見た。そして、おずおずと

俺の手を弱弱しく握った。


「それじゃあ、行こうか」


二人を引き連れ、俺たちも祭りに来た大勢のヒトの中へと入っていった。


「まずは何をしようかなぁ・・・・・」


「昨日も色々とやりましたが、他にもやってみたいものがありました


「例えば?」


「あれです」


ガブリエルがとある店に指を指した。


『射的』


「チラッとしか見てないのですが、面白そうなので次に来たときはやりたいと思っていました」


俺たちはその店に赴くと天使の店員が出店しているようだ。その店員が俺に気づくと驚いた表情を浮かべた


「神さま!お久しぶりです!」


「確か、聖装飾品の店長だったな?」


「覚えてくれて光栄です!」


嬉しそうに頭を下げる天使にガブリエルが「神さま?」と聞いてきた


「ああ、言っていなかったな。俺ってこの世界じゃあ『神』と称されているんだ。何でもこの世界の

創造神とか皆を甦らせてくれたからみたいなんだけど」


「神さまの仰る通りです。私たちを甦らせて新たな人生を与えてくれたんですから」


「それじゃあ、この都市に住む住人たちから神と呼ばれるんですか?」


「そういうこと」と苦笑しながら真羅先輩の問いに答える


「昨日はメイビスさまやミカエルさまがこの店に訪れて驚きましたが、今度は神さまとガブリエルさまが

訪れるなんて信じられませんよ!」


「へぇ、そうなんだ。それで、この店から景品を取れたのか?」


「メイビスさまが3、ミカエルさまが2、景品を取りました」


「・・・・・この『大目玉』ってなんだ?」


台に立てられている装飾品のイラストが張られた板の中に『大目玉』と張られた大きな板があった


「それは倒してからのお楽しみです。メイビスさまもミカエルさまも挑戦しましたが、倒すことはできません

でした」


―――ほう、面白いな


「よし、やってみようか」


代金を店員に払い銃と7発の弾を受け取る。銃口に弾を詰め込んで『大目玉』に当てる。でも、一瞬だけ

揺らぐだけで倒れる気配はなかった


「無理ではないのですか・・・・・?」


「・・・・・いや、勘だけど倒せるかもしれない」


もう一度、銃口に弾を詰め込んで、『大目玉』に当てるとさっきと同じように一瞬だけ揺らいだ。

―――ここだ!


パパパパパパンッ!


残り全ての弾を瞬時で銃口に詰め、揺らぐ『大目玉』にタイミングを計って当てる。―――すると、

バタンッと『大目玉』と張られた大きな板が台か見事に倒れた


「おおっ・・・・・!」


「す、凄いです」


「恰好良いですー」


「一発がダメなら複数の弾で倒すしかないって思ったけど、思った通りだな」


天使の店員と真羅先輩が目を大きく見開いて感嘆の息を漏らした。ガブリエルはパチパチと拍手を送って

くれた


「で、では!景品を!」


そういって、段ボールの箱の中から紙袋を取りだした。


「これの中身は・・・・・開けてからのお楽しみか?」


「その通りです!家にお戻りに成られたら開けてください!」


「解った。それじゃあ、また何処かで会おう」


「はい!ありがとうございました!」


天使の店員に見送られるなか俺たちは歩き出す。


「中身は一体何でしょうね?」


「装飾品店を務めている天使だから装飾品だろうな」


「見るのが楽しみですー」


さて、次は何を・・・・・おっ、あれは


『冥魔生産の武器&装飾』


冥魔に住む悪魔も店に出しているのか!少し、物騒だが見てみるとしよう!と、俺はその店に赴く


「いらっしゃい!って、兵藤一誠!?」


「あ、その物言い。元旧魔王派の悪魔だな?珍しいな、一応はこの世界にも来れるようにしたんだけど、

てっきり来ないかと思った」


俺をそう呼ぶのは旧魔王派だけだと認知している。しかし、この世界に来るなんて驚いた。


「・・・・・一応、何度も此処に来ている。他の奴等もな」


「そうか。―――カテレアとクルゼレイは元気か?」


「日々、冥魔の為に、俺たちの為に頑張ってくれている。俺たちも冥魔と真魔王様の為に頑張っている。

俺も冥魔の為にこうしてこの世界の祭りに出しているんだ。他の奴等も一緒にな・・・・・」


・・・・・なるほど、上手く冥魔とザナドゥは交流しているようだな


「ところで、この店の一押しの品はなんだ?冥魔生産のだと見て興味があるんだ」


「・・・・・これだ」


壁に掛けられていた武器と飾りを手に持って台に置いて俺たちに見せた。―――悪魔文字が刻まれている

複数の武器と装飾品だった


「冥魔で行われているレーティングゲームでも使用されているものもある。悪魔専用に創られているもの

だから悪魔にしか使えないんだ」


「それじゃあ、商売に成らないんじゃ?」


「いや、この世界に住む悪魔には好評だ。これでも売れている方だぞ」


そうなのか。少し、安心した。と思った俺の視界に真羅先輩が台に置かれた複数の武器の一つ、

―――長刀を手にした


「あの、これは?」


「それか?その長刀は相手の力を吸収して成長するように創られた武器だ。成長するにつれ、形も変わって

いく。最終的にどんな長刀に成るかは持ち主の力と想い次第」


「能力とかあるのか?」


「今は無い。能力も持ち主次第なんだ」


全部、自分次第というわけか・・・・・


「―――この長刀には名前がありますか?」


「聞いてどうする?」


「この長刀を買おうと思っているからです。持ち主次第に成長する長刀・・・・・。面白く、楽しそう

じゃないですか。自分の手で育てるような感じで・・・・・」


長刀をギュと胸に抱え込む真羅先輩。そんな彼女の言葉を聞いて冥魔に住む悪魔は面白そうに口の端を

吊り上げた


「自分で名前を付けな。其処に文字が刻まれているだろう?それを呼んで最後に名前を付けたらお前の

武器となる」


「・・・・・解りました。じっくりこの長刀の名前を考えて付けます」


真羅先輩は代金を台に置きながら言った。


「兵藤一誠と戦ってみろ。もしかしたらだが、逸脱した能力を得るかもしれないぞ」


「ええ、そうしてみます」


「ほらよ。その長刀の鞘だ」


真羅先輩に長刀を投げ渡す。彼女は受け取り刃の部分に鞘を収納した


「それでは」


「じゃあな」


「ああ」


俺と真羅先輩、ガブリエルは悪魔の店から遠ざかった


「真羅先輩、どんな長刀に成るか楽しみだな」


「そうですね。私と共に成長する長刀・・・・・。育て甲斐があります」


「ベルゼブブに相手をしてもらうように頼もうか?」


「ベ、ベルゼブブさまと・・・・・!?」


驚愕の声音を発す真羅先輩に「そう、前魔王のベルゼブブ」と頷く


「俺の剣術の師匠はベルゼブブなんだ。他にも色々と武器の手合わせをしてもらっている」


「そ、そうなんですか・・・・・」


目をパチクリして口から「だから、強いんですね」と零す


「そういうことだ。で、どうする?」


真羅先輩の背後にとある人物が佇んでいることを未だに気づいていない真羅先輩に聞く


「・・・・・」


思考の海に潜ったようだ。すると、真羅先輩の後ろにいる人物は手に持っていた得物を音もなくいきなり

振りかざした。


ガキンッ!


「・・・・・っ!?」


「ほう、良く受け止めたな」


「おいおい。祭りの中で得物を振っちゃダメだぞ」


俺が注意した人物は腰まで伸びた深緑の髪を持つ女性―――ベルゼブブ。


「ん?その武器は・・・・・」


「ああ、冥魔生産の武器だ。その店員に話を聞くと面白い武器じゃないか。私も一つ買ったんだ」


ベルゼブブの手に持っている得物を見て呟くと、ベルゼブブもあの店で買った物らしい


「イッセーたちもあの店に寄って買ったと聞いて探したんだ。どうやらその長刀みたいだな」


「はい、そうです・・・・・。あの・・・・・」


「私は構わないぞ」


「―――え?」


それだけ言うと彼女は踵返して何処かへ行ってしまった。真羅先輩はベルゼブブが去った方向を見詰めたまま

呆然としてしまった。俺は彼女の肩を乗せて「良かったな」と微笑む


「ベルゼブブが相手をしても良いってさ」


「そう、なんですか・・・・・?」


「ああ、そうだ。だから今度、真羅先輩を俺たちの家に招く。その時にベルゼブブと交えてみればいい」


「・・・・・はい」


コクンと頷く真羅先輩に俺も頷く


「それじゃあ、祭りを満喫しよう」


『はい』


その後、いろんな店を訪れては食べて、遊んだりした。途中、アザゼルとミカエルがベ○ゴマ対決をしている

ところを見掛け、サーゼクスとミリキャスが輪投げをしてそれを後ろから微笑ましそうにグレイフィアが眺め

ていた。フェニックス一家たちは焼き鳥を食べていたり、綿飴を食べていたりしていた。(共食いか?)

グレモリー眷属とシトリー眷属たちもそれぞれ祭りを満喫しているようだ。


ヒュ〜・・・・・・ドオオオオオオオォォォンッ!


「おおっ!でっかい花火!ザナドゥの花火師は凄いのを作っているな!」


「これで二度目ですが、本当に綺麗です」


「そうですねー。また見られて良かったです」


河原に腰をおろして花火を見ている。色とりどりの火薬が夜空に咲く花となって俺たちを魅入らせる。


「あと一発で最後みたいだな」


「早いですね。残念です・・・・・」


「何万発の花火がもう終わってしまうのですね」


長かったような、短かったような・・・・・。あっという間に終わってしまうんだな


「あの、知っていました?最後の花火が咲いたと同時に願いごとをすると叶うって話を・・・・・」


「そうなんですか?それでは、花火が打ち上げられた時と同時に願いを込めてみましょう」


突然、真羅先輩がガブリエルにそう尋ねた。ガブリエルは微笑んで願い事をするようだ。―――そして、

その時が来た


ヒュ〜・・・・・。ドオオオオオオオオオオォォォォォォォンッ!


『・・・・・』


二人は両手を会わせて瞑目し、心の中で願い事を言ったと思う


「二人とも、一体どんな願いごとをしたんだ?」


興味津々で訊くと二人は『内緒です』と返答した。まあ、そういうと思ったよ


「帰るか」


二人に訊くと頷いた。皆に一斉メールをしてホテルに戻った


「さてと、中身が何だろう・・・・・」


ホテルに戻った俺たち。射的で貰った紙袋の中に手を突っ込んでテーブルに出す。真羅先輩もガブリエルも

俺の部屋に設置されている椅子に座り、興味津々で見ている。・・・・・大きな箱と二つの小さな箱が

出てきた。まず、大きな箱のふたを外すと、キラキラと輝きを発する数々の装飾と宝石が詰まってあった。


「うん、予想的中だ。どれもこれもきっと値が張る物ばかりの物だぞ」


「綺麗ですねー。それで、この箱は何なんですか?」


「・・・・・指輪だな。それも二つだ」


小さな箱を開けると二つの指輪が入っていた。


「その上、この指輪は婚約指輪だってよ」


小さな箱に挟まっていた紙を見て呟いた。


『婚約指輪・・・・・』


まあ、既に皆の分を買ったからいらないと思うけど、念のために一緒に保管しておくとしよう。そう決めて二人の顔を真っ直ぐ見た


「明日は俺たちの家に帰る日だけど、お土産を買いたいか?」


「そうですね・・・・・。記念にこの世界だけの物を買いたいです」


「私も何か買いたいですね」


「そうか。それじゃあ、他の皆にも明日聞くとしよう」


二人にそういうと不意に欠伸が出た。どうやら、疲れているようだな。何気に眠いし


「悪い。俺はもう寝るから」


「そうですか。では、私は部屋に戻ります」


「おやすみなさい。良い夢を・・・・・」


真羅先輩とガブリエルは自分の部屋に戻った。寝巻に着替えてベッドに赴いた




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