小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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新たなヴァルキュリア(ヴァルキリー)





「ブハハハハ!この座り心地、たまらんな!」


「さすがはダモン将軍、風格でございますな」


愉快そうに笑う軍服を身に着けた一人の男とその傍らに媚びるように話しかける一人の兵士


「帝国軍にとどめを刺し、ヴァルキュリアをも生け捕りにしたこれ以上の武勲はあるまい、元帥への昇格も

夢ではないのう」


これからのことを考えているのだろう。軍服を身に着けた男―――将軍の表情に笑みが絶えなかった。その

視線の先には銀の長髪に赤い瞳を持つ女性が腕に拘束具で縛られ、二人の兵士に銃を突き付けられていた


「将軍・・・・・。義勇軍が要塞を出て、どれぐらい経ったか」


「何だと?そうだな・・・・・。かれこれ三時間くらいか」


「そうか・・・・ならば十分だな」


女性が可笑しなことを言いだしたことにこの要塞の中で偉い将軍が不敵の笑みを浮かべながら言った


「女、状況を解っているのか?貴様は今、籠の中の鳥なのだぞ」


女性は表情を少しも変わらず口を開く。


「解っていないのは貴様のほうだ・・・・・」


刹那、女性の全身から青白い炎のように揺らめく光が発光し拘束具を強引に引き千切った。隣に女性へ銃を

突き付けた二人の兵士が突然の女性の変化に慌てふためく


「―――ヴァルキュリアの真の破壊の力・・・・・それは、その生命の最期の炎を

燃やし尽くした時に・・・・・発動される」


「「ひい!」」


「な、何をやっておる!撃て!撃ち殺せ!」


将軍の指示に二人の兵士が女性に向けて弾丸を射出する


「バケモノめ!」


「死ね!」


撃ち出された弾丸は女性の体を貫通した。女性は敢えて動こうとせずに弾丸を受ける。そして―――


ドオオオオオオオオオオオオオオオッ!


「「ぐわぁっ!」」


女性の周囲に青白い炎が燃え広がり、傍にいた兵士たちが燃え、さらに奥にいた将軍と兵士にまで燃え

広がった


「うわああああああああああああああああああああっ!」


「マクシミリアン様・・・・・さようなら」


女性は全身に青い炎に包まれてその身も燃やされつくすかと思った瞬間―――女性の足下が突然、真っ暗な

穴が開いた。女性はその穴の中に吸い込まれたと同時に・・・・・、


―――ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!


大規模な爆発が発生した!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



Phantom  Dragoon.



ガガガガガガッ!


「ふっ!」


「はっ!」


「せいっ!」


宴から数日が立った。俺は今ベルゼブブを相手に剣術の修行をしている。勿論、俺だけじゃない。和樹と

龍牙、信長、信奈、アーサーと一緒だ。六対一なのにベルゼブブは余裕で俺たちと渡り合っている。

―――本気でだ


「ははっ!おまえたちと剣を交わるのは楽しいな!」


「流石に剣術はベルゼブブが上か・・・・・!」


「能力が使われたら状況が変わるがな!」


「私もそれなりに自信があったんですがね・・・・・!こうも容易く攻撃を受け流したり、カウンターを

されると頑張らないといけない気が起きますよ!」


「なにも、剣だけが攻撃ではないんだ。ほら、足が止まっているぞ!」


そう言って素早くアーサーの足を足で払った


「くっ!」


「剣術では例えイッセーでも負けない!」


ガギィィィィィィンッ!


「なっ!?」


「おまえたちもだ!」


「「「「「―――!?」」」」」


ベルゼブブは俺が手にしているレプリカの剣を砕くと和樹たちが持っている剣も一閃して破壊した。


ジリリリリリリリッ!


「・・・・・丁度時間だな」


「はあ・・・・・」


「強いわねー」


「純粋な剣術はベルゼブブさんが圧倒的に上だね」


その場に腰をおろして俺たちは溜め息を吐く


「ふふ、おまえたちは強くなっているぞ。時間まで私と渡り合っているのだからな」


「全力でやっても勝てるのか解らないですね・・・・・」


「そうだなぁ・・・・・」


それほどベルゼブブの剣術は逸脱しているんだよな


「というか、レプリカを壊すなんて・・・・・。これ、一応は巨大な岩石と岩石に挟まれても

砕けないように造ったんだけど・・・・・」


「ちょっとしたコツを掴めばどれだけ頑丈な物でも容易く斬れるぞ」


「コツ?なんなの、そのコツって」


「と鼓動―――呼吸を読むことだ」


・・・・・呼吸?


「存在する全てのものは呼吸をしている。その呼吸を聞き、感じ、理解することができれば容易く相手を

無力化にできる」


「呼吸か・・・・・。それを理解すればもっと強くなれるんだな・・・・・」


「無論、鍛練や修行も忘れないようにな」


微笑みを浮かべるベルゼブブ。うん、綺麗な笑顔だ・・・・・


「それじゃあ戻りま・・・・・」


「・・・・・どうした?」


信奈が家に戻ろうと言葉を発しようとしたが途中で止めたことに信長が声を掛けた


「なに・・・・・あれ・・・・・?」


「「「「「「は・・・・・!?」」」」」」


信奈が指を上に突き指した。その先には―――空間に突如、バチバチと音を立てて大きく開いた!

その穴から何かが落ちてきた・・・・・人・・・・・?それも女性だ


「おっと」


金色の翼を出して落ちる女性に伸ばしてキャッチした。


「軍人さんだね」


和樹が謎の女性を見て開口一番に言った。他のみんなも頷いた。至極的簡単、軍服を着ていたからだ。


「あの穴は何時の間にか塞がったな」


「というより、私は色々と聞き覚えがあるんだが・・・・・」


「奇遇だな。俺もデジャブを感じている」


「そうだねぇ・・・・・」


スバル、ギンガ、クイントたちが謎の穴に落ちて此処にいたって言っていたしな・・・・・


「まあ、こいつも仲間に加えるんだろう?」


「勿論、救済するさ。それに、この人から生気が全く感じない。命が全くないと言っても等しいぐらいだ。

―――直ぐに華佗たちを呼ぼう」


一同は頷き謎の女性を抱えて家に赴いた



???side



・・・・・なんだ、この温かい感じは・・・・・?私は、死んだのではないのか・・・・・?



「げ・ん・き・に・なああああれえええええええええ!」


「―――!?」


突如、私の体に何かが入ってきた感覚が襲った・・・・・!その何かを確認をしようと目を開けた


「おっ、気が付いたか」


「良かった。もう少し遅かったら死んでいたんだ」


「ふう、疲れたにゃん」


「・・・・・・良かったです」


誰だ・・・・・、この者たちは―――


「あら〜ん?どうしたのかしら?」


「きっとワシら見て困惑しているじゃろう」


「―――!?」


私の視界を覆うほどのバケモノのような顔が映った!


バッ!


身の危険を感じ、直ぐに起き上がりバケモノから距離を取り、警戒しながら辺りを見渡す。・・・・・ここは

如何やら家の中のようだ。数々のテーブルがあり、本棚やソファーもある。見たこともない物もある。そして

―――私を囲むように佇む者たち。数はざっと十人程度か・・・・・。この数なら簡単に倒せる。だが、

ここから脱出する前に色々と問いださなければ・・・・・、情報が足りなさ過ぎる・・・・・


「あー、そんなに警戒しなくても大丈夫だ。てか、貂蝉と卑弥呼。急に顔を近づけるなよ。彼女はびっくり

して俺たちを警戒してしまったじゃないか」


「ひどいわ〜ん!私たちは心配して顔を覗いただけなのにぃ!」


「そうじゃ!そうじゃ!こんなか弱い漢女のワシらの顔をビックリして警戒するなんて可笑しいのじゃ!」


「・・・・・自分の顔を見てから言え」


・・・・・一人の男が私の前に赴き口を開いた


「俺は兵藤一誠。おまえは誰だ?」


「・・・・・セルベリア・ブレス大佐だ」


「大佐?やっぱり軍人だったのか・・・・・」


「私からも良いか?此処は何処だ。私は何故、生きているのだ」


「一つ目の質問を言うと此処は俺たち幽幻龍騎士団の本拠地であり、家だ。さらに付け加えるとこいつらは

俺の家族で仲間だ。他にもたくさんいるけどな。二つ目の質問はそこにいる赤髪と獣耳を生やした女性と

少女とセルベリアが驚いた二人の漢女と俺が助けたからだ」


幽幻龍騎士団・・・・・?そんな国や軍隊が存在していたか・・・・・?


「因みに言っておくけど、国でもなければ軍隊でもないからな」


「・・・・・では、何なのだ・・・・・?」


「眷属だ」


眷属・・・・・?


「まあ、そのことはおいおい話すけど、セルベリア。色々と聞きたいことがあるだろうけど、

それはこっちも同じだ。警戒を解いて話し合わないか?俺たちは敵ではないしさ」


「・・・・・」


・・・・・この者から敵意は感じない。それどころか自然体で私と接している辺り

害はないのだろう・・・・・


「・・・・・解った。こちらも色々と情報が欲しい。貴官の提案に乗ろう」


「はは、俺は軍人じゃないから普通に話してくれるか?まあ、此処にいる皆は色々な意味で『普通』

じゃないけどな」


「・・・・・バケモノがいるのだがあれは人間か・・・・・?」


指をバケモノに指して問うと激怒し出すバケモノたち


「だぁーれが!見ただけで人生が不幸だらけになってしまうバケモノですってぇー!?」


「だぁーれが!視線を合わしただけで死んでしまうほどの恐いバケモノじゃとー!?」


「・・・・・いや、そこまでは言っていないぞ」


「一応・・・・・人間だ」


苦笑を浮かべる兵藤一誠という男。・・・・・・この男はあの方とどこか似ている様な気がする・・・・・。

いや、気のせいだろう・・・・・、―――あの方に捨てられた私が何を考えているんだ。あの方は、

マクシミリアン様はもう、私を必要としていないのだ・・・・・



Phantom  Dragoon.



東ヨーロッパ帝国連合軍、ガリア方面軍、ガイア公国、ダルクス人、ヴァルキュリア人とその末裔、燃料と

動力、治療薬に欠かせない鉱物資源のラグナイトと液状のラグナリン・・・・・。


「うーん、やっぱりセルベリアは違う世界から来た存在で間違いないな。東ヨーロッパとかガリアという国は

存在しているんだけど、鉱物のラグナイトとその液状にしたラグナリンっていう物は俺が知って

いる限り存在していない」


「そうか・・・・・」


「それにヴァルキュリア・・・・・。・・・・・セルベリアはヴァルキリーなのか?ヴァルキュリアって別の

言い方だとワルキューレ、ヴァルキリーという。他にもあるんだけど全部名前に共通するのは『戦乙女』だ。

セルベリアはその『戦乙女』の末裔になる」


「ワルキューレ・・・・・?ヴァルキリー・・・・・?戦乙女・・・・・?いや、そういうのは解らない。

ヴァルキュリア人の特徴は銀髪に赤い瞳を持つ。私はそのヴァルキュリア人の末裔だからと幼いころから

研究機関に実験体とされていたから・・・・・」


そんな過去があったのか・・・・・。


「ロスヴァイセとセルベリア・・・・・。ヴァルキュリアとヴァルキリー・・・・・。

似ているけど違うのかぁ・・・・・」


「ロスヴァイセ?」


「私のことです」


俺とセルベリアの話を静かに聞いていたロスヴァイセが指を自分に指して言った。手招きするとこっちに来た


「彼女はヴァルキリーのロスヴァイセだ。分けあって今はヴァルキリーを止めたんだけどね」


「元ヴァルキリーのロスヴァイセと言います。セルベリアさん」


「改めて名乗ろう。ヴァルキュリア人の末裔、セルベリア・ブレスだ」


二人は握手をした。不意にセルベリアが口を開いた


「・・・・・髪は銀髪なのに瞳は赤ではないのだな・・・・・。ヴァルキュリア人の特徴が似ているが

違うんだな・・・・・」


「全員が銀髪ではないんですよ。ヴァルキリーの女性は・・・・・ですが、戦乙女の業界は厳しいのですよ」


いきなり暗くなったロスヴァイセ!確か、英雄や勇者の数が減っているから経費削減でヴァルキリー部署が

縮小傾向で大変だとか言っていたな・・・・・。今度、オー爺ちゃんにヴァルキリー部署に連れて

いってもらうように頼もうかな・・・・・?働きたいヴァルキリーがいたら新世界の警備担当をして

もらいたいし・・・・・


「セルベリアさん。異世界のヴァルキリーとは似て非なるヴァルキュリアの力、私は興味があります。

よろしければ私と勝負してくれませんでしょうか?」


ロスヴァイセがセルベリアに勝負を申し込んだ。俺も彼女の実力が気に成っていた。セルベリアの力、

ヴァルキュリアの力を・・・・・。だが、彼女は首を横に振った


「・・・・・申し訳ないが断らせてもらう。もう、私には戦う理由が無いのだ・・・・・。私は私を救ってく

れたマクシミリアン様の為に戦場を駈け、戦っていたが一度の敗北によってマクシミリアン様に捨てられた。

あの方の為に戦っていた私は捨てられて戦う理由が無くなったのだ。だから私はヴェルキュリアの

真の破壊の力を使って自爆をしたのだ・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


「私は何の生きる理由もなければ価値もない・・・・・。いや、既に私は生きる価値もないか・・・・・」


セルベリアは頭を前に垂らして暗い声音で言った


「すまない、助けてもらったことは感謝するが私はもう生きる希望が無い。私は死を望む。死にたいのだ・・・・・」


「・・・・・」


「私を人のいないところに連れて行ってもらえるだろうか?そこでもう一度、自爆して死んで―――」


パアンッ!


「・・・・・!」


命をまた捨てようとする彼女の頬を叩いた。その勢いでセルベリアは椅子から転げ落ちてしまう。床に

倒れ込んだ彼女に近づき口を開く


「生きる意味が無い?生きる理由が無い?生きる価値が無い?生きる希望が無い?―――ふざけんなよッ!?

生きる意味が無いなら生きる意味を探せば良い!生きる理由が無ければ見つければいい!生きる価値が

無いって自分で勝手に決めるな!生きる希望が無いなら―――」


彼女に手を差し伸べる


「俺がおまえの生きる希望に成ってやる!セルベリア・ブレス!」


「―――!?」


「俺はお前を絶対に捨てない!だから、俺たちと生きろ!俺たちとずっとこの家に住め!これは決定事項だ!

反論は認めない!」


「・・・・・っ」


瞳を潤わせて涙を流し涙に濡れる彼女に微笑む


「セルベリア、俺たちと未来へ進もう。辛いことや悲しいこともあるだろう。だが、それ以上に幸せで楽しい

ことがある。俺は皆の力が無ければ生きてはいけない。俺は皆が必要なんだ。誰一人も欠けずに何時までも

ずっと一緒に幸せに暮らしたい。その中にセルベリア、お前も入れたい・・・・・」


「・・・・・」


「セルベリア・ブレス、答えを聞かせてくれ」


彼女に問う。―――彼女の答えは・・・・・跪いて頭を垂らした。そして―――















































「・・・・・セルベリア・ブレス、この命が尽きるまであなたの為に生きることを誓います」


彼女は俺たちの新しい家族に成った




















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