小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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混じり合う二つの時間




「やっぱり凄い人数だな」


「過去と未来の幽幻龍騎士団を合わせると100は超えるのは当然か。これも過去の

お父さんのしてきた事だけどな」


「ははは・・・・・」


クロノスの言葉に苦笑を浮かべる事しか出来なかった。


「お父さん・・・・・」


「ん?」


不意にお父さんと呼ばれて振り向いた。そこには黒い長髪の髪にメイド服を着ている少女がいた。

・・・・・この雰囲気は・・・・・オーフィスと似ているな。


「・・・・・オーフィスと俺の間に生まれた子供か?」


「フィリス。それが我の名前・・・・・」


「そうか、オーフィス!」


「ん・・・・・?」


モグモグと料理を食べているオーフィスを呼ぶ。トコトコとこっちに来てフィリスと対面した。


「オーフィス、この子が俺とオーフィスの間に生まれたフィリスだ」


「我とイッセーの子供・・・・・」


「お母さん・・・・・やっぱり」


「・・・・・我と同じ力を感じる」


「我、お母さんの強さを引き継いだ人間と龍神のハーフでもあり、神滅具も宿している」


「どんなものだ?」


「―――無限の力を具現化にした鎧『無限の龍神の鎧』」


「それってガイアとオーフィスの力を融合して鎧化にした力の片割れか?」


「そうだ。俺もお母さんと父さんの間に生まれた神龍と人間のハーフだから『真なる赤龍神帝の鎧』という

神滅具を宿している」


「我とオーフィスの力が受け継いだ事によって夢幻と無限の力を得られたと言う訳だな」


「新たな神滅具が3つも・・・・・」


「でも、『ドラゴンを呼ぶ笛』能力の前じゃあ力が半減する。そうなると苦戦を強いられる」


「それは厄介だな」


その神滅具は何が何でも破壊しないといけないかもしれない。俺の家族を此処まで

追い詰めたんだから・・・・・。


「お母さん・・・・・一緒に食べよう」


「ん、分かった」


オーフィスとフィリスが一緒に食べ始めた。他の奴等も見るとそれぞれの娘と息子と思う

未来の幽幻龍騎士団と雑談していた。するとヴァーリがこっちに来た。


「どうした?」


「本当に俺を毛嫌いしていてルシフェルと会話が出来なくてね」


「女がケツ龍皇の娘と言われて何も思わない訳がないよ。ヴァーリのおじさん」


「俺はただ女らしい部分は尻だと言っただけなんだがな・・・・・」


「それが未来では『ケツ龍皇とおっぱいドラゴンの部屋』有り得ないテレビの出演もしたんだ。

しかも鎧を着込んで」


「マジかよ・・・・・」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!

二天龍の名がぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!

 私の名がぁああああああああああああああああああああああああっ!』


「アルビオン・・・・・なんか、申し訳がない・・・・・・」


「オー爺ちゃんにヴァーリの事を『ケツ龍皇』と呼ばず世間に広げないように伝えておこう・・・・・」


「頼む・・・・・。アルビオンが可笑しく成ったら鎧を纏えなくなる」


流石にアルビオンに気を使うか、ヴァーリ。


「それで、赤龍帝の状況はどうなっている?」


「今では各勢力では知らないほど有名になっている。最上級悪魔と成って複数の女性と結婚して子供を生み

冥界と人間界にある家に住んでいる」


「グレモリー眷属は?」


「レーティングゲームランキング一位に君臨した。・・・・・本当ならお父さんたちがランキング一位

だったんだけど殺されてしまったから・・・・・」


「・・・・・」


「この時代の死んだ俺達の墓はどこにある?」


「・・・・・墓なら次元の狭間にある家にある。でも、そこには三大勢力が見張っているから

花を添える事すらできない。それに仮の墓もある」


「仮・・・・・?どこにあるんだ?」


「シトリー家、グレモリー家、フェニックス家、バアル家、アガレス家に慰霊碑として建てられている」


「・・・・・皮肉だな。俺達を殺した勢力に墓が慰霊碑としてあるなんてよ」


「・・・・・おばさん達はお父さんたちを殺す事なんて反対していたんだ。

それはグレモリー家もそうだった」


「じゃあ、何で未来の俺達を殺した」


「時は人を変える」


クロノスは真剣な表情で、ただそれだけ呟いた。時は人を変える・・・・・・。なるほどな・・・・・。


「サイラオーグは?」


「冥界に住む子供達のために頑張っているそうだ」


・・・・・そうか、サイラオーグは夢を貫き続けているのか。


「父さんたちが殺されて数日後、サイラオーグのおじさんが1人でこの世界に来て俺達の前に現れて

謝罪してきた。・・・・・泣きながら土下座までして俺達に謝罪をしたんだ」


『―――すまない・・・・・っ!本当にすまない・・・・・っ!俺は親友に、ライバルに、

お前達に申し訳がない・・・・・っ!俺はこんな事をする為に魔王になったんじゃない・・・・・っ!

なのに・・・・なのに・・・・俺はぁぁああああああああああっ!』


「・・・・・」


「それ以来、俺たちに会いに来る事は無かった。でも、父さんの親友でライバルだったサイラオーグの

おじさんにお世話に成った事もある。それにおじさんも本当はしたくなかったと分かっていたから

許しているんだ。それはシトリー家、フェニックス家、バアル家、アガレス家も同じだ」


「グレモリー家は?」


「―――許さない。特にドラグニルだけは・・・・・っ!」


ギリッ!と歯を強く噛みしめて拳を強く握りしめた。口から、拳から血が出るほどに・・・・・。


「・・・・・クロノス」


「・・・・・」


「俺達、幽幻龍騎士団は救済を求めている存在に手を差し伸べ救済する組織でもある。

それは俺の夢だからだ」


「父さんの夢の事は聞いた。俺はそんな父さんに尊敬していた。憧れていた」


「そして、俺は家族を傷つける存在を許さない」


「ああ、俺も俺の家族を傷つける奴は許さないでいる。父さんに教わっているからな」


「なら、幽幻龍騎士団に手を出し敵に回したらどうなるか教える必要があるよな?」


「恩を仇に返す勢力を許す訳がない」


「そうだな、俺も許すつもりはない」


「全てが俺達の敵とならば俺達の敵は世界」


「世界を倒す」


「それにはまず父さんたちの形見と母さん達の救済が必要だ」


「神器は魂でもある。なら・・・・・悠璃の力が必要だな」


「どうするんだ?父さんたちの形見を所有している人間は分かっているが・・・・・」


「明日、この時代のガイア達を助けると同時に俺達の神器と神滅具を所有している人間を拉致しよう。

救済する目的の組織が拉致なんてな・・・・・」


「・・・・・すまない」


「しょうがない、気にするな。これも家族の為だ。さて、俺も未来の子供達と話しをしてくる」


「ああ、そうしてくれ。そわそわとこっちを見ているからな」


未来の子供達の視線を感じつつ俺とクロノスは苦笑を浮かべた。そんじゃあ、話しをしようかな。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「では、手筈通りに」


「うん、そっちも気を付けて」


翌朝、昨日の内に三つのチームに別れて行動をする事に成った。1つはコキュートスの深奥に封印されている

ガイア達の救出、二つは俺達の神器と神滅具の強奪、三つ目は次元の狭間にある壊滅状態の家の奪還。俺は

クロノス、ガイア、オーフィス、ベンニーア、シア、フィリス、恋と7人で冥府に行く事に決めた。

念のために過去の幽幻龍騎士団は仮面を被っている。


「過去の俺達は冥府に行った事無いから案内を頼むぞ、ベンニーア」


(あいあいさー。任せてくだされ)


ベンニーアの足下から俺達の足下まで広がる魔方陣。・・・・・あっ、そういえばこいつの移動方法って


ヒュンッ!


トンネルのように潜り抜ける移動方法だと気付いた瞬間には俺は穴の中に落ちた。



―――冥府。



(到着ですぜ、旦那。ここが、ハーデスさまが統治している世界である冥府)


「・・・・・ここが」


オー爺ちゃんと同じオリュンポス―――ギリシャ勢力の神、死を司る神、ハーデスの世界。そう言えば

お父さんたちは此処に来た事があるのか?・・・・・まぁいい。俺達は歩を進める。冥界ほどの広大さは

無く、荒れ地が広がり、生物が生息できなさそうな世界だ。その深奥に古代ギリシャ式の神殿が姿を見せる。


(既にお気づきでしょうがこの世界はハーゼスさまと死神たちの住処ですので気を付けてくださいな。

ついでにあの神殿は『ハーデス神殿』。気にしないで進みましょう
)


「コキュートスはどこに?」


(神殿の地下です)


ベンニーアの言葉に頷いて『ハーデス神殿』に足を踏み入れていた。入って直ぐに俺達はベンニーアと同じ

仮面と服装の死神たちが群がり、俺たちに敵意の眼差しを向けて来る。まっ、当然の反応だな。

―――俺達は襲撃をしようとしているんだからよ。


(幽幻龍騎士団・・・・・目的はグレートレッドとオーフィスたちの奪還だな?)


「ああ、俺達の母さん達を返してもらう!」


(ふん、弱体化した幽幻龍騎士団など我等の敵ではない)


仮面で見えないが不敵の笑みを浮かべた声だった。見下していやがるな・・・・・。だがな!


「―――それは今日までの事だな」


(なんだと・・・・・?)


「幽幻龍騎士団は我等の手で再び最強の勢力と返り咲く!」


不意にガイアが仮面を取った。曝け出したその顔は死神たちを驚愕させるのに十分だった。


(ッ!グレートレッド・・・・・!?バカな!グレートレッドは既にコキュートスに封印されている筈!)


(こいつは偽物だ!グレートレッドの姿をした偽物に間違いない!)


「・・・・・」


「偽物かどうか・・・・・俺達の顔を見て死んで確かめるんだな」


俺とオーフィス、ベンニーア、恋は仮面を取って死神たちに素顔を見せた。


(な・・・・・なんだ・・・・・と・・・・・!?)


(そんな・・・・・バカな!?)


(オ、オーフィス・・・・・!それに・・・・・死んだはずの兵藤一誠!?)


(ど、どう言う事だ!我々との戦いで兵藤一誠は死んでいる!なのに、どうして目の前に―――)


ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


死神たちの足下から膨大な熱量を持った炎が噴火のように噴き出して一瞬で塵と化となった。


「―――さあ、行くぞ!」


俺達の背後に数多の魔方陣が浮かびフェンリルと数十体のゴグマゴグが現れそいつらとクロノス達と共に

コキュートスへ進む。



―――次元の狭間



次元の狭間はガイアとオーフィスの生まれ故郷。その故郷に廃墟と化となっている家が残っていた。花壇だと

思える広い場所には原型がなく荒れ地と化となっていて壮大な木があったのだろう木が切り株に成っていた。

そんな場所に十数人の悪魔と天使と堕天使が徘徊していた。


「・・・・・酷い・・・・・!」


「俺達の家をあんなにされていたとは・・・・・・」


遠くから魔力と気を消して見ていた和樹、ゲオルク、ジーク、アーサーの4人。


「・・・・・行こう。感傷に浸っている場合じゃない」


和樹の言葉に頷く2人。その瞬間、3人の姿が消失した。次に3人が現れたのは―――


「―――よくも、よくも僕達の家を壊したなぁああああああああああああああああああああっ!」


「「「「「「「「「「―――ッ!?」」」」」」」」」」


廃墟と化となった家にいる悪魔たちの目の前だった。突然の奇襲に体を硬直してしまい、和樹たちの怒りの

攻撃をその身に受けて絶命した。


「幽幻龍騎士団か!?」


「おのれ!この地を奪い返しに来たか!」


「増援を呼べ!此処で幽幻龍騎士団を―――」


「そうはさせません!」


「―――っ!?」


アーサーのコールブランドに斬られ悪魔と堕天使が絶命した。


「ちょっと待て・・・・・!こいつ等は違う!こいつらは・・・・・死んだはずの幽幻龍騎士団の

メンバーだぞ!?」


「な、何だと!?」


驚愕の事実に目を大きく見開かせる。あの時の戦いで死んだはずの幽幻龍騎士団が

どうして目の前に!と・・・・・。


「殺す!僕達の大切な物を奪ったお前達を魂ごと消滅してやる!」


「僕達の怒りを知れ!」


「我が魔法によって消えろ!」


「死ぬがいい!」



―――神器、神滅具の強奪チーム



フィーナとルシフェル、ヴァーリにレオナルド、悠璃は現在、一人の異国の男性を囲んでいた。


「お前達、誰だ?」


「私達とついて来てもらいましょう」


「・・・・・俺に何の用だ」


「正確に言うと貴方ではなく、貴方の力に用があるのです」


「・・・・・っ!?」


「どうやら、既に気づいていたようですね。―――現『黄昏の聖槍』の使い手」


「何故、その名を・・・・・!」


「そんな事はどうでも良い、私達と来てもらう」


「断る!」


手に持っていた槍―――聖槍を構えてヴァーリに突き刺す。


「・・・・・遅いな」


ドガッ!


「うぐっ!?」


かわした際に異国の男性の腹部に拳を突き出した。ただそれだけで地に平伏した。


「・・・・・弱い」


「ああ、曹操より弱いな。こんな弱い奴が神滅具最強の『黄昏の聖槍』の所有者だとは・・・・・」


「ぐっ・・・・・!何者・・・・・だ!?お前等は・・・・・!」


「ただのマニアさ。さて、聖槍は頂く」


ヴァーリは異国の男性から神滅具を奪った。


「こいつは曹操の息子に渡すか」


「ええ、そうしてもらえると有り難いです」


「ま、待て・・・・・!返せ・・・・・!」


「・・・・・悪いがこれは元々、俺達の仲間の槍だ。お前の物ではない」


そう言うヴァーリの足下に魔方陣が展開していた。ヴァーリだけではなく、フィーナ達の足下にも魔方陣が

展開していて一瞬の閃光が放ったと思えば皆の姿が消えていた。残ったのは

地に平伏したままの異国の男性だった。

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