小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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時空を超え戦い!



俺とクロノス、過去と未来の幽幻龍騎士団はゲームの開始時間を面前にして、俺たちはドーム会場の

入場ゲートに続く通路でその時を待っていた。ゲートの向こうから会場の熱気と明りが差し込んできていた。

同時に観客の入り乱れた声も聞こえてくる。


「さて、クロノスたち。俺たちに実力を見せてもらうぞ?」


「ああ、俺たちの強さにビックリしてくれ」


「負ける気はないがな」


「それはこっちも同じだ」


お互い不敵の笑みを浮かべて拳を突き出して重ねた。過去の俺たちが参加するメンバーは俺、和樹、

ルシファー、アスモデウス、レヴィアタン、ベルゼブブ、メイビス、ヴァーリ、信長、ゼノヴィア、小猫、

ロスヴァイセ、セルベリア、龍牙、曹操、恋の16人なのだが・・・・・。


「別にこいつ等の息子と娘に合わせなくても良いと思うのは俺だけか?フィリスは良いとして」


「母上がいない私もいるので合わせてはいませんが?」


「まあ・・・・・確かにそうなんだけどよ」


フィーナの母親のソーナは応援席にいる。いや、此処にいない他の皆もこの時代のソーナたちと子供たちと

一緒に俺たちの応援をしてくれるそうだ。それに何でもグレモリー家、フェニックス家、シトリー家、

他の家の家族たちが集まっているそうだ。その未来の家族たちに俺たちの事を秘密にしてくれるように

頼んだから俺たちの存在は気付かない筈だ。


『さぁ、いよいよゲームの始まりです!東口ゲートからリアス・グレモリーチームの入場ですッ!』


「「「「「「「「「「わぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああっ!」」」」」」」」」」


「あー、懐かしいなぁ・・・・・サイラオーグと戦った時と似ているぞ」


「記録映像で見た。父さんたちは家ごと現れたんだよな?」


「おう、良い演出をしようと思ってしたんだ」


『そしていよいよ、西口ゲートからファントムチームとドラゴンナイトチームの入場です!』


「さて、グレモリーの奴等を先に倒して思う存分するとしようか!」


「過去の父さんたちでも負けないからな!」


「全力で来い!未来の幽幻龍騎士団よ!」


「勝ってやる!過去の幽幻龍騎士団!」


好戦的な笑みを浮かべて俺たちは歩を進めゲートを潜った―――。大歓声の中、俺たちが目の当たりに

したのは―――巨大の四方のステージだった。えっ・・・・・あのステージで戦うのか?俺たちの時と全然

違うな・・・・・。ステージの上には既にグレモリー眷属がいる。俺たちもステージに上がり

グレモリー眷属と対峙する。・・・・・おおう、未来だと成長しているなぁー。小猫、ゼノヴィア、

ロスヴァイセが一段と綺麗になっているし小猫は身長が黒歌と同じぐらいで髪を伸ばしているぞ。


「久しぶりね?」


小猫たちの姿を見ていたら未来のグレモリーが声を掛けてきた。クロノスたちは何も言わない。


「貴方たちの目的は分かっているわ。でも、その目的は冥界にとって危険極まりないの。お願いだから止して

ちょうだい。そして、静かに自分の家に住んで欲しい。貴方たちが行動を起こすと私たちもそれ相応の事を

しなければいけないわ」


「・・・・・」


「私たちは貴方たちを捕縛、または討伐の権利を持っている。この意味が分からない貴方たちではない事を

知っているつもりよ。できれば世話になった貴方たちの両親の子供に酷い事をしたくない。これは本心から

言っているの・・・・・」


「―――兄も兄なら妹も妹か」


「・・・・・何ですって・・・・・?」


「恩を仇で返すグレモリー家。さっさとゲームをしよう。そして返り咲かせてもらう。

―――俺たち、幽幻龍騎士団が最強の勢力にな!」


隠す必要もないと判断したのかクロノスが仮面とフードを全て取り払った。真紅の長髪に左の顔に大きな

傷跡がある素顔を会場に曝け出した。クロノスに続いて未来の幽幻龍騎士団も仮面とフードを取り払って

正体を明かした。俺たちは未だ、正体を明かさない。


『幽幻龍騎士団・・・・・だと!?』


『今まで沈黙していた組織がどうして・・・・・!』


『亡霊め・・・・・!』


「ああ、そうだ!俺たちは過去の亡霊の生き残りの集団だ!だがな、それはもう終わりだ!俺たちは

現ランキング一位のグレモリー眷属を倒して俺たちがランキング一位になりあの頃の栄光を取り戻す!

2代目、幽幻龍騎士団として!」


クロノスが大声を出して観客たちに向かって言う。しかし、観客から罵声が飛ぶ。


『ふざけるな!お前たちも地に平伏せばいいんだ!』


『討伐された組織の残党が!いい加減に捕まるか死んでしまえ!』


『お前たち幽幻龍騎士団が存在すると俺たちが怖がる毎日を過ごすんだぞ!』


『そうだ!そうだ!』


・・・・・これが俺たちの未来の1つだと言うのか・・・・・。俺たちは力を集めただけで他の奴等が

恐怖を抱くのかよ・・・・・。俺たちはただ、救済をしたいだけなのに・・・・・。


『救済とか何とか言っていたけど本当にそいつが救済されているのかよ!』


『あははは!救済なんて所詮は自己満足だよな!自分が神だと言いたかったんじゃないのか!?

―――各勢力に殺された兵藤一誠はよ!』


「・・・・・っ!」


クロノスから濃厚な殺意と敵意、怒気を感じた。クロノスだけじゃないフィーナもシアもフィリスも

ルシフェルも・・・・・全員だ。全員が今でも罵倒を言い続ける観客に怒りを露わにしている。

―――すると、


『良い加減にその口を閉じろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


『『『『『『『『『『―――ッ!?』』』』』』』』』』


「この声は・・・・・・」


『ゲームを穢すのなら早々に会場から出て行け!レーティングゲームは相手を

 罵倒するゲームではないんだぞ!』


会場の一番高い所に4人の男たちがいた。その1人が立ち上がり大きく口を開いて手に

マイクを握って言葉を放っていた。


「・・・・・サイラオーグのおじさん」


「サイラオーグ・・・・・」


それにアジュカ、ファルビウムもいるな。更に付け加えるのなら紅の髪を持つ3人の中で一番若い男もいた。

―――ミリキャスか。


「(・・・・・兵藤一誠)」


「(サイラオーグ?)」


「(未来の俺は夢が叶っているようだ。だが、これは俺が成りたかった夢ではない・・・・・。民が冥界を

救った英雄に罵倒をするとはあってはならない事なんだ。なのに・・・・・これが未来の現実だと

言うのか・・・・・)」


サイラオーグが未来の冥界を目の当たりにしてショックが大きいようだ。サイラオーグ、未来は未来なんだ。

過去に戻ってもこの未来のようにならない訳じゃない。俺たちの手で変えていけばいいんだ。

こんな未来にならないようにな。


『すまなかったな、幽幻龍騎士団。ゲームを始めよう。ルールは簡単だ。自分の眷属から3人を選び5回戦、

タッグマッチ戦をやってもらう。だが、連続で眷属を出すのは禁止する。そして、勝利条件は5回戦まで

他の眷属より勝利の数が多い事、敗北条件はステージから落ちる事だ。上空を飛んでも良いがステージと

一定の距離から離れるとその場で失格だ。プロモーションの際はステージで行う事が出来る』


「シンプルだけど分かりやすくて良いわ」


「縛られずに戦う方が好きだな」


「(俺も同感だな)」


心の中で呟き、肯定する。だって、声を出すとバレるだろうしさ。


『それでは、設けられた自分の陣地に移動し、誰を出すか作戦会議をしてくれ』


「・・・・・」


グレモリーが眷属を率いて自分の陣地へ赴く。そんな中、この時代の小猫、ゼノヴィア、ロスヴァイセが

自分の子供たちに視線を送ると何も言わずグレモリーに続く。


「それじゃあ、此処からは別々だな」


「そうだな、―――負けないぞ」


俺とクロノスは握手をして自分の陣地へ赴く為に別れる。


「1人だけ参加が出来なくなるな・・・・・」


「気にしないで、『この後』の事もあるし」


「・・・・・それじゃあ、最初は誰を出そうか」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『では、最初の3人の選手を』


「私からは『騎士』佑斗、『戦車』小猫、『僧侶』ギャスパー」


「俺は『戦車』灰音、『兵士』呂玲綺、『兵士』曹丕」


グレモリーとクロノスは決まったか。なら・・・・・俺も3人を出すか。


「・・・・・」


手を上げると3人の男女が立ち上がってステージに上がった。グレモリーとクロノスが選んだ3人も

ステージに上がると木場が曹丕の持っている槍を見て呟いたのが聞こえる。


「・・・・・神滅具『黄昏の聖槍』・・・・・やはり、キミたちの仕業だったんだね?」


「これは父上が持っていたものだ。俺は受け継いだに過ぎない」


「・・・・・その父親の二の舞に成る気かい?」


「ならないさ、俺たちは絶対にな」


「恩を仇で返す恥知らずのグレモリー眷属・・・・・私たちのお父さまやお母さまを殺したお前たちは

ただでは済まさない」


敵意を木場とギャスパーに向ける子供たち、俺と小猫の子供の灰音はこの時代の小猫と見詰めあっていた。


「お母さん・・・・・」


「・・・・・灰音、元気にしてた?」


「うん、皆も元気だよ」


「・・・・・そう、安心した。・・・・・その人たちが協力者なの?」


小猫はそう言って未だにフードと仮面を被っている曹操たちを見た。灰音はそんな3人に頷いた。


「とても心強い人たちだよ。僕たちの気持ちも理解してくれる」


「・・・・・キミたちはまたあの悲劇を繰り返す。僕たちはそれを望んでいない」


「望んでいようが望んでいまいがお前たちの知った事ではない。―――これは復讐だ。

俺たち幽幻龍騎士団を、家族を傷つけたらどうなるか、俺達から大切なものを奪った勢力への粛清だ」


『・・・・・準備はよろしいでしょうか?』


審判が声を掛けてきた。無言で返されるとそれが肯定の意味だと理解して審判は試合を開始した。

曹丕と曹操は木場、呂玲綺と恋はギャスパー、灰音と小猫はこの時代の小猫と2対1で戦う。


ギィンッ!ギャンッ!ガギギギッ!


聖槍を布で包んだ状態で戦う曹操が流石に未来の木場の相手に苦戦していた。


「誰だか知らないけど負ける訳にはいかないんでね!」


「俺たちを舐めるな!」


聖槍を突き出す曹丕。基礎体力は申し分ないが未来の幽幻龍騎士団は一つだけ足りないものがある。

―――経験。それも実戦での経験だ。曹丕の槍を余裕でかわす木場は足からも刀身を生やして

曹丕に斬りかかる。


「キミたちは戦い慣れていない!そんな実力で僕たちに復讐なんて止すんだ!」


ガキンッ!


「っ!」


「・・・・・」


曹操が曹丕を庇った。


「ち、ちち―――」


ドガッ!


「ぐっ!?」


いきなり曹操が曹丕を蹴りだした。そんな光景に木場が怪訝な表情を浮かべた。だが、そんな表情は直ぐに

無くなった。これはゲーム、同じ勢力が出ているのならどっちが負けても一人勝てばゲームに勝てると思って

いるんだろう。―――それが違うんだよな、木場。幽幻龍騎士団でも幽幻龍騎士団ではないんだよ。


「・・・・・」


曹操が俺を見てきた。小猫と恋の方にも見るとこの時代のギャスパーと小猫と戦っているがたまに灰音と

 呂玲綺に攻撃をしている。


「(流石に未来のグレモリー眷属は強い。苦戦を強いられるぞ)」


「(だから?)」


「(使っていいか?)」


神滅具の能力の事だろう。確かに過去と違って未来の木場は強い。無駄もないし隙もない。攻撃パターンが

読めない攻撃もしてくる。・・・・・何より、あいつが持っている刀剣はジークが持っている魔帝剣グラム。

さらに腰に帯剣している複数の剣もジークが所有している物ばかりだ。

・・・・・あいつがこの時代のジークを倒したんだろう。


「・・・・・」


すると、赤い双眸を怪しく輝かせたギャスパーの体から暗黒がにじみ出ていき、それが周囲を全部黒く染め

上げていった。同時にこの空間が暗黒に包まれ恋を捕縛しようと闇が伸びてきた。・・・・・なんだ、

あれは・・・・・。過去のギャスパーにはないぞ・・・・・!まさか・・・・・まだ目覚めていないだけ

なのか・・・・・!?伸びて来る闇に恋は白い宝玉をポケットから取り出して戟の柄に嵌めこんだと思えば

戟が神々しい光を発した。


ザンッ!


その戟でステージ、空間ごと覆う闇を一閃。―――だが、直ぐに暗黒が復活して何の無かったかのように

恋に魔の手が伸びる。


「(ッ・・・・・!なんだ、なんなんだ・・・・・!ギャスパーにこんな能力があるなんて・・・・・!

これが未来のギャスパーの力なのか!?)」


「(兵藤一誠・・・・・これはバケモノの類いだ。―――本気でやらないと負けるぞ)」


驚愕する俺に曹操が布に包んだ聖槍を木場に鋭い突きをしながら問い掛けてきた。


「(・・・・・顔を見せるなよ。小猫、恋。お前たちも本気でやって良い。ただし、曹操と同様に

 顔を見せるなよ)」


曹操の申し出に許可を下す。


「―――許しを貰えたから本気を出させてもらう。じゃないと負けるのでね」


「・・・・・えっ?」


「―――禁手化ッ!」


カッ!


曹操が力ある言葉を言うと槍を包んでいた布の隙間から神々しい輝きを放った。布が光を押さえこむ事が

出来なくなり解けていく。布が完全に槍から離れると曹操の身体に変化が訪れる。神々しく輝く輪後光が奴の

背後に現れ、曹操を囲む様にボウリングの球体ほどの大きさの七つの球体が宙に浮かんで出現した。


「・・・・・『黄昏の聖槍』・・・・・?」


「・・・・・でも、聖槍はあっちにもあります・・・・・」


「輝け、神を滅ぼすやりよっ!」


カァァァァァッ!


「・・・・・こっちに来る」


聖槍から膨大な閃光が溢れ出す。そんな閃光から小猫と灰音を呼び自分の背後に立たせると戟に橙色の

宝玉を嵌めた。すると、恋と小猫にまで届く膨大な光の奔流が避けるように広がった。闇の空間が膨大な

神々しい光の奔流に貫かれ―――消失した。


「うああああああああああああああああああああああっ!」


光は悪魔にとって毒。その毒を大量に浴びたギャスパーが苦痛の叫びを上げて全身に煙を立ち昇らせて

身悶える。


「こ、これは・・・・・!でも、なんで・・・・・!?」


「―――隙あり!」


「・・・・・っ!」


ザンッ!


目の当たりする事実に驚愕しうろたえる木場に好機を逃さず、曹丕は木場の腕を切断した。


「ぐっ・・・・・!」


完全な不意打ちに腕を切断され噴き出す血を押さえこもうと手で押さえ曹丕から離れる

木場だったが・・・・・。


「・・・・・」


ドッ!


「がっ・・・・・!?」


気配を消して木場から背後を向けてこっちに来たところで気を纏った拳を一撃。その一撃に木場の体内に

流れる気脈にダメージを与え、乱し、魔力を練れないようにした。


「―――10連衝撃破拳」


トドメと言った感じで小猫の技が炸裂した。小猫の拳に吹っ飛ばされていきながらトラックに

撥ねられたような衝撃を10回も受けて木場はステージ外に。


「・・・・・その技」


仲間の心配をしないでポツリと呟く未来の小猫。さらに仙術を使った事も見破っていて未来の小猫は過去の

小猫に正体を確かめようと攻撃を仕掛けてみる。既に、ギャスパーは呂玲綺に破られているため

グレモリー眷属は自分ただ一人のみとなっている。


「勝負です!」


灰音も参加した。曹操は曹丕、恋は呂玲綺と本気で戦っている真っ最中だった。猫又(とハーフ)の3人は

拳に気を纏って拳を突き出した。


「・・・・・さて、ここで経験を積ませたいところだが・・・・・」


「未来のリアス・グレモリーたちがもの凄く警戒しているな。もう一つの最強の神滅具『黄昏の聖槍』が

目の前にあるんだから当然だろう」


「神滅具って一つしかないもんね」


「小猫と戦っている未来の小猫もそれを確かめようとしているわ」


「ゲームが始まって早々、潮時ってやつですかね?」


龍牙の言葉に何も答えず曹操たちを見ていると曹丕と呂玲綺が倒された。直ぐさま、曹操と呂布は未来の

小猫と灰音に攻撃を仕掛けた。3:1:1なので灰音は良く保ったが、拳を突き出した瞬間に顔面に小猫の

拳が直撃して沈められた。


「つ、強い・・・・・」


「・・・・・当然」


小さな胸を張った。その行動が愛くるしいなぁ・・・・・。


「・・・・・」


不意に未来の小猫が拳を収めたと思えばステージに倒れているギャスパーの首根っこを掴んでステージから

降りようとする。


「・・・・・この勝負は私の負けで構いません」


「「「・・・・・」」」


そう言ってステージから降りて木場に近づくとギャスパーと同様に首根っこを掴んでグレモリーたちの所に

戻った。


「・・・・・どう言う事なんだろうね」


「体力の温存をする為か・・・・・?」


「それもそうかもしれない。だが、ゲームは始まったばかりだ。お前ら、過去のグレモリー眷属と一緒に

しない方が良い。間違いなく強敵だぞ」


皆は真剣な表情で頷いた。だが、これはこれで面白い。未来のグレモリーたちの情報が今後

役に立つかもしれない。

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