小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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記憶と死因




数十分後


俺は死んだ兵藤の遺体を背負い俺達はこの部屋から沈黙を保ったまま後にした。セラフォルー達は歩きながら

未だに泣いている


アザゼル 「・・・・・」


俺はこの黒い十二枚の翼と共に何が何でも全部背負う覚悟をしていた。だが、



アザゼル 「重いなぁ」


コイツから感じる重さがズッシリと背中越しに感じる・・・・・どうやら俺はこいつの死の重さに背負いきれ

ない様だ


サーゼクス 「代わろうか?」


アザゼル 「そういう意味じゃねぇよ。それにコイツは俺が運ぶって決めたんだ。渡さないぞ」


サーゼクス 「・・・・・そうか」


理解して言ったんだろうな。ありがとうよ


セラフォルー 「イッセーくん・・・・・」


ソーナ 「・・・・・」


レイヴェル 「こんな、こんなことってぇ・・・・・」


「・・・・・っ」


俺達の後ろじゃあセラフォルー達が亡霊の様に歩いていた。まだこいつと接して少ない筈なのにそこまで

コイツの事を想っていたのか・・・・・


サーゼクス 「彼等に成って言えばいいのか・・・・・」


兵藤の眷属に向けて発したんだと俺も理解した。しかし、俺の脳裏には最悪の光景にしか浮かべなかった


アザゼル 「言ったら言ったらで冥界が滅ぶかもしれないな。何せオーフィスと真なる赤龍神帝と名乗る少女

にヴァーリがいて世界一の魔術師である自称神魔導師の式森がいる。俺達は終ったかもな?」


サーゼクス 「穏便に進む事が出来ない様で残念だ」


そう言って嘆息をする。俺だってこんな事に成るとは思わなかったんだ・・・・・


アザゼル 「この後は一体どうする?」


サーゼクス 「・・・・・私の両親とフェニックス卿だけ知らせる」


はぁ・・・・・こいつが和平の懸け橋となると言った時は嬉しかったんだけどなぁ。それがこんなにあっさり

と終っちまうなんて


「サーゼクスよ。わしは疲れたから一足先に休ませてもらうのじゃが良いかの?」


刑務所から出て開口一番にオーディンが言った


サーゼクス 「ええ、構いません。レーティングゲームについては後ほどお知らせします」


「・・・・・もう、ゲームなんてどうでもいいことじゃ。孫が死んでしまったからの」


「オーディン様・・・・・すみません。失礼します」


哀愁を漂わせオーディンは用意された宿泊施設に帰って行った。ヴァルキリーは一度俺達にお辞儀をして

オーディンの跡を追う


アザゼル 「あんなクソジジイを見るのは初めてだ。この分じゃあ他の神話の神々や異種族の奴等も誠達と

関わっていると思った方が良いぞ。サーゼクス」


サーゼクス 「彼の死で和平が結べなくなったと・・・・・言いたいのかな?」


アザゼル 「一筋縄ではいかなくなったっと言うことだ。まあ、それも否定しないけどな」


サーゼクス 「・・・・・魔王領に戻ろう」


その問いに「ああ」と短く返してセラフォルー達を連れ魔王領に戻る



―――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ああああああああああああっ!!!イッセーくん!イッセーくん!」


「・・・・・」


「何と言う事なのだ・・・・・これは夢なのか?夢なら覚めてくれ・・・・・っ!」


「おお、おおおおおお・・・・・っ」


俺達の目の前にリアスの親とフェニックスの親が兵藤の遺体の周りに立ったり縋りついたりして涙を流して

いた


レイヴェル 「お兄さま・・・・・お兄さまっ・・・・・」


ライザー 「・・・・・クソが!何で、何で死んでいるんだよ!?」


「何故、死んでしまったのですか。貴方にまだ勝っていないと言うのに・・・・・勝ち逃げ何て卑怯

ですよ・・・・・っ」


ソーナ 「・・・・・」


「・・・・・・」


セラフォルー 「・・・・・イッセーくん」


この場にいる誰もが兵藤の死に悲しむ。だが、俺は気になってしょうがない事がある


アザゼル 「セラフォルー、お前は先に刑務所に行ったんだろう?一体何が起きたんだ。どうして兵藤は

      あそこまで傷を負っていたんだ?アイツの実力じゃあ傷どころか刑務所から脱走できるのも簡単

      な筈だ」


サーゼクス 「その上、何故彼女達もあの場にいたのだ?話しておくれ」


ああ、其れも気に成っていた。何で刑務所にソーナ・シトリー達がいたんだ?


セラフォルー 「・・・・・私達の所為なの、私達の所為でイッセーくんが殺されちゃったの」


サーゼクス 「それは一体どういう事だ?」


セラフォルー 「それは―――」


『その先は我らが代わりに語りましょう』


こいつが口を開こうとした瞬間この場にいる誰でもない声が聞こえた。その発信源は―――


『初めまして、我は無限創造神龍の錫杖に封印されているもの』


『我は幻想殺しの籠手に封印されているもの』


兵藤からだった。しかも身体を起こして眼球が無くなっている筈なのに血の様に赤い瞳と金色の瞳で兵藤が

俺達を捉えていた!


「イッセー・・・・・くん?」


『残念ながら我は主ではない。我は「幻想喰龍」ゾラードだ』


『我は無限創造龍神メリア』


幻想喰龍?無限創造龍神?聞いた事がない名前だ。それにさっき二つの名前が出たな確か新種の神滅具の名前

だった筈だ。兵藤の体を借りている奴等が封印されていたのか


サーゼクス 「私は四大魔王の一人『サーゼクス・ルシファーだろう?主の中から見ているから知っている。

       無論この場にいる悪魔と堕天使の名もな』そうか、では話を聞かせてもらえるかな?兵藤くん

       がどうして死んだのかを」


『解りました。ですが、説明するより直接我等の所に来て観た方が早いので此方に集まってくれますか?』


そう言われ俺達は怪訝になりながらも兵藤の身体に近づく。当然セラフォルー達も来させる。全員が近寄った

ことを確認すると


『では、私達の中に案内します』


両断された腕から金色のドラゴンの首が生え牙を俺達に覗かせ


『・・・・・は?』


バクンッ!


俺達を食らった!



――――――――――――――――――――――――――――――――



眼を開けるとそこは常闇の空間だった。だが、身体が見える様で周りを見回すとサーゼクス達の姿を捉える

事が出来た


ソーナ 「此処が・・・・・イッセーくんの中?」


「怖い・・・・・」


レイヴェル 「お兄さま・・・・・っ」


「大丈夫ですよ。レイヴェル、・・・・・しかしこの肌に感じるものは一体」


『それは主が今、感じている怒り、憎しみ、悲しみ、負そのものだ』


常闇の中からヌゥっと現れたのは―――獰猛で凶暴そうなドラゴンと金色の体に金色の翼を持ったドラゴン

だった!


レイヴェル 「イッセーさまが龍化に成られた時のドラゴン!」


「じゃあ、彼の中にドラゴンが宿っていたと言う事ですか・・・・・?」


『はい、ですが、主は人間です。これは紛れもない事実』


じゃあ、お前等の力でオーフィスを仲間にすることが出来たのか?


『それは違います。「無限の龍神」オーフィスは主の両親と友人で約束を守るために仲間に成ったのです』


アザゼル 「はあっ!?マジかよ!オーフィスも誠達と出会っていた上に友達だったのかよ!?」


い、いや・・・・・あいつ等の行動力は異常だ。オーフィスが禍の団のトップに成る前に既に出会って友達に

成っていたなら納得がいく


「約束・・・・・とは?」


『「主と友達になる」そう言う約束だそうだ。オーフィスは約束を守る為に禍の団から抜け主の友達に成り、

家族に成り、仲間になったのだ』


リアスの父親が問うと獰猛そうなドラゴンが答えた。そうか・・・・・そう言うことだったのか、

オーフィス。お前は・・・・・もしかして純粋な心を持っているのか?


『話は此処までにしましょう。では、主がどうして殺されたのか主の記憶で観ましょうか』


そう言うと常闇の空間が一気に変わり俺達が立っている場所は刑務所の中だった。しかも兵藤が事情聴取を

している場面だった


『これは記憶、触れても呼んでも意味がないので自由に行動をしてくださっても構いません』


そう言われるが俺達は一カ所に集まって動こうとしなかった


「では、禍の団の構成員ではないと言うのだな?」


一誠 「そうだ。じゃなきゃ、禍の団の情報を提供する訳がない」


「あの場に禍の団の組織のメンバーがいたが?」


一誠 「仲間に引き入れスパイとして活動してもらっているんだ。そのお陰で禍の団の情報がより詳しく

    集められた。あの時はただ、俺に会いたかっただけ見たいだ」


「・・・・・信じられるとでも?」


一誠 「貴方たちが決める事だ。俺が言ったって意味がないからな」


「・・・・・」


事情聴取のやり取りを聞いて俺は驚きを隠せずにいた。ヴァーリ―チームをそのまま禍の団から抜け出さずに

スパイとして活動させていたのかよ・・・・・?


「何故、スパイをさせるのか聞いても良いかな?」


一誠 「救済をするため」


『救済?』


この場にいる誰もが兵藤の口から出た言葉に疑問符を浮かべた


「一体誰を助けようとしているのだ?」


一誠 「旧魔王派を救済する為にだ」


『―――っ!?』


旧魔王派を助ける?お前は一体何を考えているんだ・・・・・


一誠 「旧魔王派は元々冥界の為に戦っていた悪魔達だろう?だけど、戦いを止めると言われて『はいそう

    ですか』と納得しない悪魔も必然的に出てくる筈だ。そして俺達が助けた旧魔王派の幹部から話を聞

    いた時、俺はこう思ったんだ『旧魔王派を救済しよう』と、俺は其れが可能にできる力がある。俺は

    その力を使い、旧魔王派を救済したいんだ」


「一体どうやって旧魔王派を救済しようと言うのだね?」


一誠 「至極簡単な事、それは―――旧魔王派の願いを叶える」


「・・・・・キミは何を言っているのか解っているのか?」


一誠 「何もこの世界を滅ぼそうと言っている訳じゃないんだ。俺が新たな世界を創ってその世界に

    旧魔王派に住まわせようと思っているんだ」


新たな世界・・・・・惑星を創るって出来るのかよ・・・・・?そんな事無理に決まって・・・・・ん?


「ただいま、事情聴取をしているので此方の部屋から見ていてください」


看守の一人が事情聴取されている兵藤の部屋の隣に招き入れたのはソーナ・シトリーと(サーゼクスから

聞いた)アガレス大公、次期当主のシーグヴァイラとフェニックス家の四人兄弟の末っ子のレイヴェルだっ

た。もしかして面会に来ていたのか?


「ふむ・・・・・キミの話は解った。では―――」


「おい、交代だ。お前はもう上がって良いぞ」


すると一人の看守が入って来た。どうやら上司の様で事情聴取をしていた看守が一礼して部屋から出て

行った。扉を閉めると振り返り看守は口の端を吊りあげて嫌な笑みを浮かべる


「まさか、こんな形でお前と会うとは驚いた」


一誠 「・・・・・誰だ?」


「ん?俺か?俺は旧魔王派の構成員だ」


『っ!?』


旧魔王派だと!?その事実に俺とサーゼクスは眼を大きく見開いた!


一誠 「まさか、冥界に旧魔王派の構成員がいるなんて・・・・・誰も思いもしないだろうな」


「『灯台もと暗し』だろう?偽りの魔王が輩出して以来、俺は旧魔王派になりながらもこの刑務所に勤め今に

至るんだ。そして、俺の役目は此処に収監された囚人たちを密かに禍の団に勧誘して旧魔王派に加えることだ

からな。まあ、勧誘を蹴った悪魔は記憶を消してそのまま収監しているがな」


一誠 「はははっ、サーゼクス達はこの事は知らないだろうな・・・・・擬装工作もしているんだろう?」


「おうよ!俺の手に掛かればばれる事は無いからな!」


胸にドンと叩き自慢気に言う看守・・・・・いや、旧魔王派の一人


一誠 「で、俺に何か用なのか?」


「オーフィスを連れ去った様じゃないか?オーフィスは力を集める為の象徴だ。どうだ、禍の団に返す気はな

いか?返してくれたらお前を此処から出して俺達の仲間にしてやるよ」


一誠 「残念だけどそれは無理な話と禍の団の勧誘は断るよ」


「はぁ・・・・・そうか、お前の実力なら英雄派のメンバーに成れると思っていたんだけどな・・・・・」


嘆息しながらそう言って兵藤に近づき瞬時で首に何かを嵌めた


一誠 「・・・・・首輪?」


「そいつは神器の力を封じ込める代物だ。此処には何人か神器の保有者の囚人もいるからな」


一誠 「―――っ」


「ご自慢の神器を使えない気分はどうだ?おおっと外そうと思うなよ?それは爆弾式で外せばお前の顔は木端

微塵だ。加えて言えば俺から一定の距離を離れても同じ事だ」


何て代物だよ!そんなものが刑務所にあるのか!?


サーゼクス 「爆弾式なんてそんな報告は無かった・・・・・禍の団が開発して紛れ込ましと言うのか・・・・・っ」


「さてと、勧誘を断れたから今まで通り記憶を消すだけなんだけれど・・・・・上層部から直々の通達が来て

な?お前を殺したら望みのままを与えてやると言われたんだ。だからさぁ―――お前、死んでくれるか?」


『―――っ!?』


俺達、特にサーゼクスが酷く驚きの表情を浮かべた。上層部が殺害の依頼をするなんて誰が思う事か


一誠 「そんなことすれば冥界は大変な事に成るぞ?」


「俺にとっては願ったり叶ったりだ。そうなればクーデターが起こり冥界は混沌と化となる頃に俺達旧魔王派

が其処に登場、そして俺達が偽りの魔王達を倒して冥界を乗っ取る。良いアイディアだろう?俺が考えた計画

なんだ。この刑務所にいる奴も参加の予定だ」


一誠 「・・・・・もしかして、この刑務所にいる囚人たちは」


「94%俺の誘いに乗った囚人と看守がいる。本当に苦労したんだぜ?甘い蜜を吸わせ続けるのがよ」


ほぼ全員じゃないか!?じゃあ、あの時氷漬けに成っていた悪魔は囚人もいたって事か!


「それじゃあ、御同行して貰おうか。お前の刑は死刑だからよ」


一誠 「・・・・・っ」


兵藤と禍の団の構成員は事情聴取から出て行って俺達が兵藤の遺体とセラフォルー達を見つけた部屋に向かっ

た。あいつ等はソーナ・シトリー達が来た事に気付いていないのかそのまま行ってしまった。少しして三人は

部屋を出て慌てる


レイヴェル 「た、大変ですわ・・・・・イッセーさまが殺されてしまいます・・・・・助けないと―――」


ソーナ 「待ってください!助けるにも此処に収監されている囚人たちは過去に犯罪を犯した上級、最上級

     悪魔たちなのです!その上、数は囚人たちと看守の方が有利です!私たちが助けに行っても返り討

     ちにあうだけです!」


「じゃあ、どうするのです!?私だってその事は理解していますがこのまま見殺しに出来る訳無いじゃない

ですか!」


ソーナ 「解っています・・・・・っ!・・・・・解っています!でも、一体どうしたら・・・・・っ」


考えを頭の中で張り巡らすソーナ・シトリーの背後からセラフォルーが現れた


セラフォルー 「あれ、ソーナちゃん?それにアガレス大公のシークヴァイラちゃんにえっとぉ・・・・・」


ソーナ 「お姉さま!?」


「魔王様!?」


レイヴェル 「フェニックス家の四人兄妹の末っ子のレイヴェル・フェニックスです。レヴィアタンさま」


まさか、此処にセラフォルーが現れるとは予想外らしく二人は度肝を抜かれたようだ


セラフォルー 「初めまして、レイヴェルちゃんね☆所でイッセーくんを知らないかな?此処の看守が誰もい

       ないから探しているんだけど・・・・・ソーナちゃん、知らない?」


ソーナ 「っ!お姉さま!お姉さまの力を貸して下さい!」


セラフォルー 「え?うん、ソーナちゃんの頼みならいくらでも聞いてあげるよ☆それで何をすればいいの

        かな?」


ソーナ 「イッセーくんが!イッセーくんが殺されてしまうのです!」


必死に力を貸す様に乞うソーナに不思議そうにセラフォルーは戸惑いながらも了承した。そして次にソーナか

ら口にした言葉にセラフォルーの表情がガラリと変わった


セラフォルー 「どう言う事?事情聴取するだけではなかったの?どうしてイッセーくんが殺されちゃうの

        かな?」


レイヴェル 「看守に紛れ込んだ禍の団の構成員がいたのです!しかも、この刑務所にいる看守と囚人の

       94%が禍の団の構成員の誘いに乗っています!」


「その上、上層部がイッセーさんを殺せば望みのままの褒美を与えると殺害依頼を直々にしたそう

なのです!」


セラフォルー 「禍の団?上層部?・・・・・嘘、上層部と禍の団が繋がりを持っている?」


ソーナ 「いえ、上層部は看守に禍の団の構成員がいるとは知らない様です。ただ、イッセーくんの殺害の依

    頼をしただけの様で―――」


セラフォルーの言葉に訂正するソーナ・シトリー、・・・・・此処はもう良いだろう。俺は踵を返して兵藤達

が向かった部屋に歩を進めると、フェニックス家の長男と三男、サーゼクスが俺の後ろについてきた。どうせ

なら男じゃなくて女が良かったなと思いながら部屋の中に入った。其処は―――


一誠 「神器が使えなくしただけで俺を止められると思うなよ!?俺は体術でも強いんだからな!」


ドガアアアアアアアアアンッッ!!!


「ぎゃあああああああああああっ!?」


「お、おたすけーー!」


「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


元気で無傷に兵藤が囚人と看守を千切っては投げ、千切っては投げをしている光景が俺達の視界に飛び込ん

できた


サーゼクス 「最上級悪魔と上級悪魔をこうも簡単に蹴散らすとは・・・・・」


アザゼル 「ああ、意外と最上級悪魔とやりあえれるんだな・・・・・あいつは」


あっ、数十人が吹っ飛んだ


「お、おい!?あいつ強いじゃんかよ!本当に人間か!?無傷で俺らに勝っているぞ!」


「お、鬼!悪魔!変態!」


一誠 「誰が悪魔で変態だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


「きゃああああああああああああっ!!!」


お、女でも容赦がないな・・・・・女だけ優しい奴かと思っていたのによ


ライザー 「強い・・・・」


「私でもこれだけの数の相手では苦労すると思いますのに彼は汗一つも&#25620;いておりませんね・・・・・」


禍の団の構成員も一緒にいる様だから囚人と看守を全滅していけば兵藤は―――


バンッ!


セラフォルー 「イッセーくん!助けに来たよ!」


レイヴェル 「目標は禍の団の構成員ですね!?」


ソーナ 「彼がイッセーくんの首輪のカギを持っている筈です!其れを奪い外せば助かる筈!」


「・・・・・いました!」


シーグヴァイラが指を突きつける先に禍の団の構成員がいた


一誠 「ソーナ!セラフォルー!レイヴェル!シーグヴァイラ姫!どうして此処にいるんだ!?」


『貴方を助けるためです!』


異口同音で救出だと言った。おーおー、愛だねぇ


「・・・・・まさか、偽りの魔王の一人が此処に来るとは計算外にも程がある」


「イッセーくんを返してもらうよ!」


「此処は過去、犯罪を犯した上級、最上級悪魔が収監されているところですよ?いくら偽りの魔王でもこの

数には―――」


禍の団の構成員がセラフォルーの言葉に嘲笑する瞬間―――部屋全体を凍らすんじゃなくて囚人と看守の悪魔

のみを数分の一の数に凍らした。


セラフォルー 「この数が―――なんだって?」


「・・・・・っ」


不敵に笑うセラフォルーに対照的に苦虫を噛んだような表情を浮かべた禍の団の構成員・・・・・それは一瞬

だけだった


「偽りの魔王達を捕まえろ!捕まえた奴は幹部クラスに昇格してやるぞ!」


『うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!』


攻撃の矛を兵藤からセラフォルー達に向けた、兵藤はセラフォルー達に向かいながら囚人たちを蹴散らす


ソーナ 「邪魔です!」


「囚人なら殺しても構いませんわよね!」


レイヴェル 「燃え散りなさい!」


セラフォルー 「ええええええい!」


炎、水、氷の魔力が放たれる。兵藤も漸く合流する事ができてカバーとサポートをしながら次々と蹴散

らす・・・・・だが、相手は戦いなれた上級、最上級の悪魔達、兵藤とセラフォルーに敵わないと解ると戦い

なれていないソーナ・シトリー達に集中攻撃を始めた。そして最悪の出来事が起きた


レイヴェル 「きゃっ!?」


「へへっ、捕まえたぜ?フェニックス家の御姫様よぉ?」


ソーナ 「レイヴェル!?」


「おおっと?行かせないぜ?」


「くっ、放しなさい!」


「ぎゃはははっ!これで俺は幹部だぜ!」


等々ソーナ・シトリー達が捕まってしまった


セラフォルー 「ソーナちゃん!二人共!」


一誠 「しまった!?」


「ふはははははっ!形勢逆転!良くやってくれた。計画が成功した暁に約束通り幹部に昇格しよう」


三人が捕らえられ攻撃ができなくなった兵藤とセラフォルーに不敵の笑みを浮かべながらあいつは言った


「兵藤一誠、彼女たちを殺されてほしくなければ無抵抗で我々に殺されろ。ああ、偽りの魔王のお前はその場

でじっとしていろ。愛しい妹を殺されたくなければな?」


一誠 「〜〜〜っ!」


セラフォルー 「卑怯者!ソーナちゃん達を放せ!」


「断るに決まっている。放したら再び攻撃するのだろう?彼女達は人質だ。兵藤一誠を殺した後、我々は禍の

団に向かい旧魔王派と合流する。そして上層部から望みのままの褒美を受け取らないといけないからな。諸君

今までキミ達を痛みつけた兵藤一誠を殺せ。ただし、唯で殺すなよ?偽りの魔王とその三人の少女たちに絶望

と後悔を与えながら殺すんだ」


その言葉に倒された囚人と看守がゆっくりと身体を起こし兵藤の許へ歩み寄った。兵藤はその場に佇み身体か

ら力を抜いた。そして・・・・・


一誠 「やれ」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!』


暴力の時間が始まった


「よくもやってくれたな!」


「お前も俺の痛みを味わえ!」


「私の顔を傷つけてくれたお礼をするわ!」


顔を両腕でクロスの構えを取り暴力の嵐を耐える。しかし、一人の男の悪魔が刀剣を手に持って兵藤に近

づいた


「その腕、邪魔だな。斬らせて貰うぜ?」


「兵藤一誠、彼女たちを殺されたくなければ大人しく斬られろ」


一誠 「・・・・・」


無言で両腕を突き出すと悪魔がニヤリと口の端を吊りあげ刀剣を持つ手を振りかざした。


ザンッ!


一誠 「〜〜〜っ!」


両腕が切断され断面から大量の血が噴きこぼれ出した。その光景にセラフォルー達は泣き叫ぶ。しかし、それ

だけでは終わらなかった。今度は別の悪魔が近づき兵藤の両眼をじわじわと近付けると瞬時で抉り取った!


一誠 「ぐおおおおおおおおおおおおっ!?」


「ふふっ、他人の眼玉を取るなんて久しぶりですねぇ・・・・・ああ、綺麗な瞳」


ウットリと顔になって血に濡れた手で抉り取った眼玉を観覧し始めた。こ、こいつ!気持ち悪い趣味を

持っていやがる!


「おい、今度は人間ダーツをやろうぜ」


刀剣を持った悪魔がそう言うと囚人と看守の手に刀剣が一本現れた。ありゃあ、確か『刀剣創造』って言う

神器だったな。ありふれた神器だが使い手次第では強力な刀剣が造れる神器だ


「人間、お前が的だ。動くんじゃねぇぞ?」


そう言って自分は二本の刀剣を造って兵藤に振り投げた。その先は上半身ではなく下半身―――脚に向かって

行った。結果、兵藤の脚が綺麗に切断され床に倒れ込む形になった


「おいおい、的を倒してどうするんだよ?」


「下手くそ!」


「ハッ!ワザとだよ!ワザと!こうする為にな!」


腕を突き出し魔力の波動を放った。兵藤の身体が起き上がりその場に佇むように浮かぶ。囚人たちは納得した

のか次々と兵藤の前に立ち刀剣を投げ放った


グサ!ドス!ドッ!ザシュ!ザンッ!


一誠 「っ・・・・・っ・・・・・っ・・・・・っ」


刀剣に刺さるたびに兵藤の体が血に染まって床に大量の血が流れ落ちる


レイヴェル 「いやああああああああああああああっ!!!」


『イッセーくん!イッセーくん!』


「酷い!余りにも酷過ぎる!こんな殺し方はいくらなんでも残酷過ぎる!」


ああ、俺も同感だ・・・・・っ!こんな事に成っていたなんてよぉ・・・・・!お前はそれでも救済

しようって言うのか!?


「もう良い。人間ダーツはお終いだ」


禍の構成員が手を上げ指示を下した。文句垂れながらも囚人と看守達は止めた。未だに浮かんでいる兵藤の

ところへ歩み寄る


「さて、言い残す事はあるか?兵藤一誠」


一誠 「・・・・・ああ」


「何だ?言ってみろ」


一誠 「・・・・・死ね、悪魔」


兵藤が怨念と言えるほどの声音を発した。それを聞いて禍の構成員は呆れたように息を吐き刀剣で兵藤の

心臓に突き刺した


「さようなら、兵藤一誠」


ドシャッ!


浮かんでいた兵藤の体が血だらけの床の上に落ちた


「目的は達成した。これより我々は禍の団の許に合流する」


「あいつらはどうする?」


囚人がセラフォルー達を指さす


「殺せ」


「ちぇ、もったいねぇな」


刀剣創造の所有者がセラフォルーに近づくが


「待ってくれる?魔王様の眼玉も欲しいの」


「ああ?お前の趣味って気持ち悪いんだけど」


「他人の目玉以上に綺麗なものは無いからね。それも生きたままの状態はまた格別綺麗なの―――」


兵藤から抉り取った眼玉を見ながら言葉を発した刹那、眼玉を持ったまま悪魔が動かなくなった。不思議に

思ったのか刀剣創造の所有者が肩を触れようとした瞬間だった。二つの目玉が勝手に宙に浮かびあがったと

思えば赤く光り始めた!


「なっ!これは一体・・・・・まさか!?」


禍の構成員は何かに気づいたのか兵藤の方へ振り向いた。その視線の先には上半身を起こし眼玉がない状態で

目を開いていた!


一誠 「停止・・・・世界・・・・・の・・・・・邪眼!」


ギャスパーの神器!?あんな状態でも発動できるのか!あの赤い光に浴びた囚人と看守の動きが止まった!

だが、セラフォルー達は動けていた!


一誠 「セラフォルー!」


セラフォルー 「うん!」


パキィィィィィィィィィィィィィィンッ!


瞬時で部屋にいる囚人と看守を氷漬けにした!ソーナ・シトリー達を捕まえていた悪魔も氷漬けと成って

ソーナ・シトリー達は脱出して兵藤の許へ駈け寄った。兵藤は力尽きた様に上半身を落とした。

目玉はギャスパーの神器の能力を使った後に砂と化と成った。すると突然周りの景色が元の常闇の様な空間に

戻った


『この後は魔王達が知っての通り、ソーナ・シトリーが助けを求めあの部屋から出て行ったところ魔王達と遭

遇して主の死を知り今に至ります』


そうか・・・・・と俺は金色の龍の言葉を聞いて深く、深く溜め息を吐いた・・・・・



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ハイスクールD×D 13 イッセーSOS (富士見ファンタジア文庫)
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