小説『傍観者』
作者:瑚蝶()

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(四番目)


愛しい愛しい私の弟
あなたは何を言いたかったの?
親の愛を知らないあなたはこの世界をどう見てたの?
私の友達もあなたの友達も死んだ・・・
あなたも後を追うように死んだ・・・
私はこの世界で孤独を味わっているのよ?
いつも四人で一緒だった
高いビルの屋上に集まって世界を見たね
人は愚かで儚い命をすぐに壊すけどすっごく暖かい所があったことをみんな知っていたのに・・・
みんなこの世界から消えた
私は一人でここに残っている
みんなこんなに孤独だったのかな?
冷たくて暗くて寒い
人の暖かさをこういう時に感じたいのに誰も私を見てもくれない
寂しい、寂しい!寂しい!!
もうやだ!
みんな待っていてくれてるかな・・・
私も行こうかな
この寒い世界から出て良いかな・・・
どうせ誰も気づいてくれないだろうな。
ヒュー
風が強い
私はジャンプするようにみんなが消えた闇に落ちた
落ちていく内に意識が遠のいていき視界が狭くなる
ベショッ
壊れた
四番目は壊れた。涙を流し五番目を作らず、未完成のまま壊れた。未熟な傍観者・・・

-4-
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