小説『真剣で私たちに恋しなさい!』
作者:黒亜()

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―秘密基地内


「モロ、そっちはどうだ?」


大和から通信が入る。


「異常なし。通信も良好だよ。」


師岡卓也は秘密基地で情報の整理を行っていた。
ここで全員と連絡も取れるようになっている。
何かあれば、すぐに対応できる用にだ。
戦闘員でない者も活躍する。


「何かあったら、自分の身優先で逃げていいからな。」

「大丈夫だよ。だって…」


秘密基地のビルの入り口。
そこには武神川神百代が立っていた。
とはいっても、力は未だ封印されているが…。


「で、この面子はなんだ…」

「ふ、貴様が弱体化したから来てやったのだ。感謝しなさい。」

「くっそ、腹立つな。」


もう1人立つのはマルギッテ・エーベルバッハ。
2人で秘密基地を守っていた。


「大体なんでお前が協力するんだ?軍が忙しくないのか?」

「そ、それはクリスお嬢様のお願いだというのもあるし……その、海斗を助
ける戦いでもあるんだろう?一応、借りがあるからな、あいつには。」

「ほぅ……お前まさか…」

「変な誤解はするな!あいつとはもう一度戦いたいと思っているだけだ!」

「…はぁ。」


―再び秘密基地内


「まあ、確かにあの二人なら大丈夫か。」

「そうそう安心してよ。」

「でも、すぐ言い合いになりそうだけどな。」

「それは否定しないけどね…。」

「他の部隊は?」

「京・岳人・キャップのチームも次々に暴動を鎮圧してるよ。やっぱり、京
の弓での援護が功を奏してるみたい。」

「流石、京だな。」

「ただ探索班やまゆっちはまだ見つけられないみたいだね。」

「そうか…」

「また何かあったら、通信入れるよ。」

「ああ、任せた。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜の町を移動する影3つ。
クリス、一子、大和のチームだ。


「モロ、なんだって?」

「順調だってよ。京のチームも活躍してるらしい。」

「それならこちらにも集中できるな。」

「…海斗は?」

「未だ影なしだ。」

「探しているのはまゆっちと総理直属の部隊だったか?」

「ああ。まさか総理が動くとはな。まゆっちの人脈は色々と超越してるな。」

「それだけの人数が捜してるんだから、見つかるわよね。」

「絶対やってくれるさ。俺たちは今出来ることをやろう。」

「敵の本拠地はそのチャイルドパレスとかいう建物で間違いないのか?」

「一週間で調べはついてる。そこで敵の親玉を討ち取ってしまえば、ゲーム
セット。暴動は治まるし、流川のことにも全力を注げる。」

「じゃあ、さっさと行きましょう!」

「ああ、同感だ。」

「道中、何事もなければいいがな。そう簡単じゃない。いつでも戦闘態勢は
整えておいてくれよ。」

「「もちろん!!」」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


Side 天使


「くそ……!海斗、どこだよ…。」


全然気づけなかった。
ゲームセンターにも顔を見せないから、心配ではあったけど…
まさか、こんなことになってんなんて!





「アミ姉、ちょっと聞きたいんだけど…」

「…なんだい?」

「さっきの女が確かに“海斗を助ける”って言ってたんだ。かと思ったら、
なんか意味わかんねー死体とかストラップで色々やってるし…一体、なんな
んだよ!海斗になんかあったのか?」

「うーん、話さないほうがいいかと思って黙ってたんだけど、そこまで辿り
着いてんなら言った方がいいか。結論から言えば、流川海斗はもうこっちの
世界にはいないんだよ。」

「は?どういうことだよ?」

「あいつは常夜で生まれ、そして帰った。私らはあたかもあいつが連中を裏
切ったかのように芝居をうってるってことさ。」

「なんだよ…それ…、いつの話だよ。」

「ちょうど私と辰だけで行った任務があっただろ。あのときさ。」

「なんで、ウチに教えてくんなかったんだよ!!」

「こうなると思ったからさ。」

「海斗はもう二度と帰って来ないのかよ…っ!」

「それはあいつの意思だから知らないけど、マロードはあいつが現れるって
いうのも想定してるみたいだよ。そのうえでの風間ファミリーと流川海斗を
ぶつける作戦だからね。」

「海斗が来るのか!?」

「さあね。念のためみたいなことを言ってたし、可能性は低いんじゃないか
ねぇ。そもそも、理由がないしね。」

「なら、ウチは海斗を捜す。」

「天!?」

「どうせ当日は自由行動なんだし、心配しなくても邪魔しようとするヤツは
皆殺しにしてやんよ。少しでもいる可能性があるなら、ウチは海斗を諦めた
くない…!」

「はぁ、勝手にしなよ。」





このまま別れるなんて、絶対にありえねー。
せっかく自分の気持ちに気づけたのに。
これからもっと好きになっていくはずだったのに。
全部なかったことになんて、ぜってームリだ。

…ウチを惚れさせたくせに。


「逃げられると思うなよ……」


Side out


川神の夜。
それぞれの思いを抱え、疾走する。

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