小説『ドラゴンクエスト―ダイの大冒険― 冒険家の歩き方』
作者:amon()

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決着の時!!小さな勇者ダイ誕生!!の巻



≪SIDE:クロコダイン≫


「……もう、たくさんだ……!」

 光と闘気を放ちながら立つダイが、静かな声でそう言う。

「目の前で、大切な仲間が傷ついていく……。大切な仲間を、守る事も出来ない……!」

 言葉を紡ぐダイ。その身体を覆う光が、奴の額に集結していく。

「もうこれ以上……仲間を、傷付けさせないッ!!」

「むぅッ!!」

 ダイの額に、不思議な紋章が浮かび、それが一層強烈な輝きを放つ!

「ぐぅ……!!」

 あの紋章は一体何だ……!?それに、ダイから発せられるこの強烈な圧力とパワー……先程までのダイとは違う。あれが、奴の真の力なのか!?

「来いッ!!クロコダイン!!!」

 ダイは素手の状態で構え、俺を睨みつけてくる。

「……ッ!」

 何を気圧されている、クロコダインッ!!ダイとの決着を望んだのは他ならん俺自身ではないか!!

 それに闘気こそ凄まじいが、ダイは素手――鋼鉄の肉体に加え、獣王の鎧と真空の斧で武装した俺が怯んで何とする!!

「行くぞぉ!!ダイッ!!」

 俺は委縮する身体に喝を入れ、ダイに向かって走る。

「喰らえぃッ!!!」

 その勢いを全て乗せ、ダイの首目掛けて渾身の力で斧を振り下ろす――だが。

「ッ!!」

ガシィッ!!

「バッ、バカなッ!?素手で止めたあッ……!!?」

 あり得ない……!この俺の渾身の力を込めた斧の一撃……どんな巨大な鋼鉄の塊であろうと一息で断ち切れるであろう一撃を……!片手で……それもダイのあんな小さな手と腕で受け止めるなど……!!

 パワーもそうだが、今のダイの肉体には……鋼鉄以上の強度があるとでも言うのか!?そんな、バカな……ッ!!?

「ぐ、ぬぅぅぅ……っっ!!!」

「ぐ、ぐぐぐ……ッ!!」

 お、押せない……!魔王軍随一のパワーを誇るこの俺が、こんな小さな人間の少年を押し込む事が出来ないだと……!?

「ぐぅぅ……だああああッッ!!!」

「何ィッ!??」

 ダイは真空の斧の刃を握力で砕き、そのまま握り込んでしまう。

「うおおおおおーーーーーッッッ!!!」

 次の瞬間――俺の視界は天地が逆転し、身体が凄まじい勢いで宙を飛んだ。

「うああああッッ!!??」

 広間の壁に叩きつけられ、床へと身体が落ちる。

「ぐ……!」

 ダメージこそ大したことはないが、俺の心には動揺が広がっていた。

 俺の巨体を片手で軽々と投げ飛ばす圧倒的なパワー……俺の渾身の一撃を受け止めて傷1つ付かない恐るべき肉体強度……こんなもの、普通の人間が持てる訳がない。俺とて多少なりとも闘気を操る能力を持つ……闘気で肉体を強化する術がある事ぐらいは知っている。

 だが、幾ら闘気で肉体を強化したとしても、それだけであんな少年がここまで劇的にパワーアップするなど考えられん!

 ダイは……唯の人間などではない。何か人智を超えた恐るべき力を秘めている。

 俺は、その人智を超えた存在と戦っているという事か……!!

「……ハハッ!」

 だからどうした!ダイが強敵である事など、最初から承知していた事だ。だからこそ、俺は奴との対決に全てを懸けたのだ!

 ダイが今、秘められた力を全開にして向かってくるというなら……望む所だ!!

 俺も持てる力の全てを、ダイにぶつけてくれるわッ!!

「ダイッ!!!最後の勝負だぁーーッ!!!」

 『獣王痛恨撃』――この俺の、全身全霊を傾けた最大最強の技で!!!



≪SIDE:ポップ≫


「むうううううううううう……!!」

 クロコダインの奴、右腕に物凄いエネルギーを集中していやがる……!間違いねえ、あれは奴のとっておきの大技だ。

「『獣王痛恨撃』……!」

「っ!マァム!気が付いたか……!?」

 声が聞こえて振り向いてみると、苦しげではあるが意識を取り戻したマァムが顔を上げていた。

 ようやく感覚が戻ってきた身体を起こして、俺はマァムの方に向かう。

「ポップ……来てくれたのね」

「マァム……ごめんな。俺は……」

「もういいのよ。それより、ダイが……!」

 そうだった!

「うがあああああああッッ!!!」

 クロコダインの雄叫びが響く。見れば、奴の右腕が倍近くまで膨れ上がり、その掌にはエネルギーの塊を掴んでいる。あれは多分、攻撃的生命エネルギー……闘気って奴だ。

「マァム、さっき『獣王痛恨撃』とか言ってたよな……?」

「ええ、クロコダインの技よ……!さっき、1度使ったの……。ダイは辛うじて避けたみたいだけど、大きなダメージを負ったわ……!」

 オレが宿屋で腐ってた時に感じた揺れは、それか……!城から離れててあの揺れだったんだ、至近で喰らったダイやマァムにはどれ程の衝撃だったか……想像するしかないオレにも、とんでもない技だって事は分かるぜ。

「ッ!!」

 ダイの目付きが変わった!腰に付けたナイフを抜き、逆手に構える。

 あの構えは……もしかして!?

「……マァム!出来るだけ、あの2人から離れるぞ!」

「え……!?」

「ダイも大技で迎え撃つつもりだ!近くにいると巻き添え喰らうぞ!」

 マァムに肩を貸し、ダイとクロコダインから離れる。クロコダインの大技とダイの“あの技”が激突したら、この広間がふっ飛んでもおかしくねえから、あんまり意味がねえかも知れねえけど、間近で受けるよりマシだ。

「もう一度喰らうがいいッ!ダイ!!俺の全身全霊を傾けた『獣王痛恨撃』をぉぉッ!!!」

「うおおおおおッ!!」

 クロコダインが闘気の塊を掴む掌を振りかぶると同時に、ダイも逆手に持ったナイフを後ろに引き絞った体勢で走り込む――!

「ぶちかませぇッ!!ダイ!!オレ達の先生の……“あの技”を!!」

 俺が叫んだ次の瞬間――

「『アバンストラッシュ』!!!!」

 ナイフを振り抜いたダイと、掌を突き出したクロコダインが交差する!!

「うわああぁぁッ!!??」「きゃあああぁぁッ!!??」

 オレとマァム、それに広間にいた騎士達や王様も、衝撃波に吹き飛ばされ、閃光に目を眩ませる。

 そして……衝撃と閃光が治まり、開いたオレの目に映ったのは……ナイフと掌、それぞれを繰り出した状態で硬直したダイとクロコダインの姿……。

「き、決まったのか……!?」

 ダイの『アバンストラッシュ』は、まだ完成していない……。

 オレにはよく分かんねえけど、『アバンストラッシュ』の完成には、アバン流刀殺法『空』の技『空裂斬』を習得しなければならないらしい。『空裂斬』を覚えていないダイの『アバンストラッシュ』は……完成版の『アバンストラッシュ』には威力が劣るって話だ。

 でも……さっきのダイのパワーで撃てば、幾ら未完成の技でも強力なはず……!

「……ぐっ」

 先に動いたのはダイ――顔を歪めて、床に膝をついた。まさか……ダイが押し負けたのか!?やっぱり、未完成の技じゃ太刀打ちできなかったのか!?

「……グ……フフフッ……『アバンストラッシュ』……か……」

 俺がダイの負けかと絶望しかけた時、クロコダインも動き、そう言った。

「……み、見事な技だ……。俺の……負けだ……!」

 と、次の瞬間――

「がはあッ……!!」

 クロコダインの右脇腹が鎧ごとばっくりと割れ、大量の血を吹き出し、口からも血を吐き出した。

「や、やった……!」

 ダイの『アバンストラッシュ』は、決まっていたんだ……!ダイも『獣王痛恨撃』を喰らってダメージを負ったみたいだけど、それでもクロコダインのダメージの方が遥かに大きい。あれは、明らかに致命傷だ。

 この勝負……ダイの勝ちだ!

「グゥゥ……フ、フフフ……!敗れはしたが、納得のいく敗北だ……!」

 流れる血を抑え、痛みに顔を歪めながらも、クロコダインは笑っていた。

「クロコダイン……!?」

 ダイが、クロコダインに声を掛ける。

「俺は……戦士として、武人として……正々堂々、戦う事が出来た……っ!悔いはない……寧ろ、誇らしくさえ思う……!!」

 そう言うと、クロコダインが俺達を見渡してくる。

「ダイ……ポップ……ロモスの騎士達……お前達には、教えられたぞ。人間という、種族が……仲間を、思いやる……素晴らしい心を持つ……者達である事をな……!ガフッ……ハァ、ハァ……!」

 ヨロヨロと身体を揺らしながら、クロコダインは広間の壁に空いた大穴に向かって行く……。

 そして――

「……さらばだ、勇者達……!負けるなよ……勇者は常に、強くあれ……!!」

 奴は、自ら壁の外に身を投げた――次の瞬間!

ウオオオオォォォ…………!!!

 轟音と共に断末魔の叫びが響き渡り、それまで外から聞こえていた戦いの音が止み、辺りが静けさに包まれた……。



≪SIDE:OUT≫


「ハァ、ハァ……今の、雄叫びは……」

 俺は、あれから再び出た死者に『ザオラル』を掛けながら、響いてきた雄叫びに振り向いた。

 あの声は、先ず間違いなくクロコダインだろう……。進撃の時の雄叫びとは違う……何か物悲しく、それでいて晴れやかな印象を受ける叫び声だった。

 その声が響くと共に、周囲のモンスター達が一斉に動きを止める。

『……ギュゥゥ』

 どいつが出したかは分からないが、その悲しげな鳴き声を切っ掛けに、固まっていたモンスター達が動き出し、一斉に撤退していく。

 その顔からは、戦意が完全に失われている……。恐らく、さっきのはクロコダインの断末魔の叫びだったんだろう。

 ボスを失った百獣魔団のモンスター達は、森へと逃げて行った……。この戦いは、ダイ達と……ロモスの勝利という訳だ。

「や、やった……やったぞお!!魔王軍を追い払ったぁっ!!」

「「「「「ワアァーーーー!!!」」」」」

「俺達、勝ったんだ!!勝ったんだぁーーーーッ!!!」

 周りの兵士達が、凱歌を上げ始める。

「……ぅ、うぅ……!」

「お……?」

 どうやら、『ザオラル』を掛けていた兵士も蘇生した様だ……。タイミングが良いと言うべきか……。

「良かった……」

 これでもう、死人が出る事もない……。

――――――
エイト
HP:8
MP:0
Lv:102
――――――

 危うく……俺も、死人の仲間入りをするところだったな……。

「ぅ……」

 安心したら……急に意識が……。

「っ!?エイト殿……!?エイト殿!しっかり……!!」

「…………」

 傍にいた医療班員が、何か言っていた様だが……聞き取れず、俺はそのまま気を失った……。





『あ、もしかしてこのバックの中か?』

 俺は、夢を見ていた……。22年前、俺がこの世界に転生した当時の夢を……。

 転生し立てで幼い俺が、バックを開けて中に入っている薬草と、あの世への案内人さんからの封筒を取り出している。

『…………』

 幼い俺が、案内人さんの手紙を読み始めた。今の俺もそこへ近づき、覗き込む様に手紙を見る。

 懐かしい場面だが、俺は手紙の中のある項目が目に留まった。

14・死亡について――ドラクエ世界には蘇生呪文『ザオラル』『ザオリク』が存在するが、肉体が腐敗したり灰になってしまうと蘇生は不可能なので注意。また、仮に肉体が残っていても死亡から丸1年が経過してしまうと、蘇生は不可能となるのでこれも注意。

「ああ、忘れてたなぁ……これ……」

 思わず頭を掻いてしまう……。

 20年以上前の事なので、仕方ないと思いたいが……『ザオラル』や『ザオリク』での死者蘇生は、肉体が腐敗したり灰にならない限り、丸1年は有効だった事をすっかり忘れていた。

 覚えていれば、先ずクロコダインを倒してから、死んだ兵士達を集めて順に蘇生させ、MPが切れたら休んで次の日に蘇生させる、という合理的な手段も取る事が出来た。

 出来たんだが……。

 合理的……合理的手段、か……。

「何か、違う気がするな……」

 確かに、合理的なのは間違いじゃないが……生命って、そういうものだろうか?

 後で纏めて生き返らせればいい……そういう問題か?“何か”が違う気がする。

 その“何か”とは何だ?と聞かれても、はっきり説明できないが……何と言うか、それをやってしまうと、生命が物凄く軽い物になってしまう気がして、俺は納得がいかない。

 この際、自己満足でも何でもいい。俺は、目の前で助けられる生命があったら助ける。後からもっと効率の良い方法を思い付いて後悔したとしても、それはそれだ。

 今回の戦いで、俺が兵士達を生き返らせた事だって、少なくとも無駄ではなかった……はずだ。

 俺の寿命は幾らか縮んだだろうが、納得している事だから問題ない。

 だったら、いいさ。

『……兄ちゃん!』

「ん……?」

 あの声は……。

『エイト兄ちゃん!』

 やっぱりダイの声だ。

『エイト!』

『エイトさん!』

 ポップとマァムの声も……。

 どうやら、俺の意識が戻り始めているらしい。だったら、さっさと目を覚まそう……。



「……ん……」

 やたらと重く感じる瞼を開くと、視界はやや霞んでいるが、心配そうに俺を覗きこむダイとポップとマァムの顔が見えた。

「あっ!エイト兄ちゃんっ!」

「良かったぁ、目が覚めたのね!」

「ふぅ、焦ったぜ……!まるで死んでるみたいに眠ってるんだもんなぁ」

 ダイは顔を輝かせ、マァムは安堵の息を吐き、ポップは額を拭う。

「……お前ら、無事だったか……良かった」

 と、俺が思った事を口に出した次の瞬間――

「それはこっちの台詞だよっ!!」

「オレ達の心配してる場合じゃねえだろっ!?」

「そうよっ!エイトさんの方がよっぽど危ない状態だったのよ!?」

 3人に揃って猛反撃を喰らってしまった……。

 いや、確かにかなりの生命力を削って『ザオラル』を連発したから、死ぬ1歩手前だった事は違いないが……何もそこまで怒鳴らなくてもいいじゃないか。

「……す、すまん。それはそうと……俺はどのくらい寝ていた?」

「えっと……百獣魔団が撤退してから、まだ1時間ぐらいかな?」

 ダイが指を折って数えながら答えた。見ればポップやマァムも頷いているから、間違いないだろう。

 道理で、意識が戻っても身体が全然動かない訳だ……殆ど回復していない。

「失礼するぞ」

 ノックに次いで声が掛かり、ドアが開く。そこから、王冠をかぶり、豪華なマントを羽織ったおおらかそうな顔の老人が、騎士と兵士を数名伴って入って来た。先ず間違いなくロモス王だろう。

「王様!」

 ダイがそう言って跪こうとする。が、ロモス王がそれを手で制した。

「よいのだ、ダイ。ポップとマァムもそのままで構わんよ。兵士からエイト殿が目を覚ましたと知らせを受け、押し掛けてしまった。どうして、エイト殿に礼を言いたくてな」

 ロモス王は俺の方を見ながら、俺が寝ているベッドの傍に歩み寄って来た。

「ロモス王、こんな状態で拝謁するご無礼をお許し下さい……何分、今は身体が言う事を聞かず……」

「何を言うのだ、そなたには感謝こそすれ、咎め立てする事など何1つありはしない。そなたは、我が国の兵士達の命を救ってくれた……我が愛する国民達を……どれほど感謝してもし足りぬ!本当に、ありがとう!!」

 厳粛な面持ちで、ロモス王は膝をついて頭を下げてくる。それに続いて、騎士と兵士達も跪いていく。

「我々からも、感謝を申し上げたい!」

「我らの同胞を救って下さり、誠にありがとうございました!」

「貴方のおかげで、我らは仲間を失わずに済みました!」

「「「ありがとうございました!エイト殿!!」」」

「あ……いや、その……」

 口々に感謝の言葉を言われて、俺は戸惑った。こんな風に大勢の人に感謝されたのは、前世も含めて初めての事だからだ。

 跪いて頭を下げるロモス王、騎士達、兵士達を前に、やや混乱気味の俺から出たのは――

「ど、どういたしまして……?」

 合っている様な間違っている様な、そんな微妙な台詞だった。

「エイトさん……」

「そうなんだけど……何か違くねえか?」

 ああ、マァムとポップにも呆れられた……。

「……ぷっ、アハハハハっ!」

「「「「「ハハハハハっ!!」」」」」

 ダイが笑い出したのを皮切りに、その場にいた全員が笑い出した。

「……ぅぅ」

 俺が居た堪れない気分になったのは、言うまでもない。しかも、居た堪れないのに身体は1ミリも動かないのだから生殺しだ。

 暫く俺は、羞恥に耐えるしかなかった……。



 さて、その後の事だが――

 ダイ達は戦勝の英雄として新しい装備を貰い、それを着てロモス国民達の前にお披露目され、讃えられる事となった。俺はベッドから動けないので、お披露目を免れた。そもそも英雄なんて柄じゃない。仮に動けたとしても遠慮させてもらう。

 後で聞いた話だが、ロモス王は今回の戦いにおけるダイの功績を鑑み、“勇者ダイ”を名乗る事を認めたという。しかし、ダイは折角の申し出を断った……。

「オレ1人じゃ、勝てなかった……ポップ、マァム、ゴメちゃん、エイト兄ちゃん……それにお城のみんなが力を合わせたから勝てたんだ!オレが勇者だって言うなら、みんなが勇者だよ……!だから……だから、せめてもう少し強くなって、みんなに迷惑を掛けずに戦えるようになるまで……“勇者”なんて呼ばないで下さい」

 ロモス王の申し出を断る時、ダイはそう言ったそうだ。ついこの間まで、勇者に憧れる元気なチビ助だったのに……今は、そんな立派な事が言えるようになったかと思うと、何だか無性に嬉しくなってしまった。流石はバランとソアラの息子、心身共に成長が早い。

 ポップが初め、ダイに加勢に行くのを拒んだ話も聞いた。他ならぬポップ自身からな。聞いた時は流石に驚いたが、今までとは見違える様な良い顔をしていたのを見て、ポップが“アバンの使徒”として仲間を想う精神に目覚めたと確信できたので、俺から咎める事はしなかった。

 アバンさんは、ポップがいずれこうして一皮剥けて輝く事が分かっていたという事か……底の知れない人だ。

 そうして1つの戦いを経て成長したダイ・ポップ・マァムの3人は、ロモス王に船を手配してもらい、一足先にパプニカ王国に向かった。

 俺は休養の為にロモスに残る。ロモス王のご厚意で、身体が回復するまで城に滞在して良い事になったのだ。多分、3日もあれば、動ける程度には回復できるだろう。

 初め、ダイ達は俺が回復するまでロモスに居ると言っていたが、時間の無駄遣いだからと言って聞かせ、先に行かせた。身体さえ回復すれば、俺は『ルーラ』であっという間にパプニカに行けるから、現地で合流すればいい訳だしな。

 だが、パプニカにも侵攻している魔王軍がいるはずだ。早いトコ身体を回復させて、ダイ達に追い付かなければ……。



 こうして、ロモス王国での魔王軍との戦いはダイ達の勝利に終わった――。




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