小説『魔導戦記リリカルなのはStrikerS〜鉄の巨人と魔法少女達〜』
作者:明神()

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隊舎入り口で待つようにとなのはから言われ、着いてまもなく少年がやってきた。

神とやらが以前の記憶・肉体ごと転生さえてくれたせだろう、彼らが自己紹介する前に彼らの情報を持っている。

「貴方が斉藤陸曹ですね?自分はエリオ・モンディアル三等陸士です」

そういうエリオ、十歳にしてよく出来た子だ。

話していなかったがカズヒロはレジアスのトンでも技で(権力の力技)でアルトのテスターだからと相応の地位と言うことで陸曹の肩書きを持つ。でも実際は殆ど徹夜で士官学校の内容を頭にインストールしている素人だ。

隊長陣には情報が行渡っているからといって部下にもと言うわけではないらしい。

「あぁ〜、エリオ君?固いのは抜きで良い」

「はぁ?そうですか」

いずれ、エリオにも説明するだろう事を考えながらカズヒロは歩を進める。




魔法戦記リリカルなのはStrikerS〜鉄の巨人と魔法少女達〜
2:打ち抜くのが真骨頂ですから



十歳の少年少女が一人ずつって、ミッドチルダは就職年齢制限とか無いの?

アニメでは見たことがあったが実際に見てみるとかなり違和感覚える。ミスとはいえ過労死するほど働いた身
としてはオッサン爺さんオバサンばかりの職場だったからだろうか?いや、機動六課の平均年齢が低すぎるんだと無理に納得するカズヒロである。

「一つ連絡事項があってね、今日から機動六課に配属になった」

「斉藤カズヒロ、新型のテスターで階級はあって無い様なもんだ。一様陸曹ってことになってるが気にしない
で固いの抜きで」

お決まりの自己紹介、訓練着でこれもやは単なるジャージだろとか思っていたりする。

「スバル・ナカジマ二等陸士です」

「同じくティアナ・ランスター二等陸士です」

「キャロ・ル・ルシエ三等陸士とフリードです」

「きゅっくる〜」

エリオはさっき聞いたので省略。

やっぱり平均年齢は低い、皆十代だ。どうなってんの?

「なのはさん、新型って?」

オレンジ髪のツインテール少女、ティアナ・ランスターがなのはに尋ねる。

「それは見てもらったほうが早いかな?と言うことでカズくん?」

なのはが答えながらウィンクする。つまり、展開しろと。

「アルト、装甲展開」

『了解』

促されるままに装甲を展開、外見はアルトアイゼンとなる。って言ってもミッドチルダにスパロボなんて存在
するわけもなく、フォワードから見た感想はロボットだろう。

「わぁ!」

「ってロボット!?」

「これもデバイスなんですか?」

「なんだか、カッコいいです」

「きゅっくる〜」

四者四様の感想だ。

短い青い髪のボーイッシュな少女・スバルは目を輝かせ、ティアナは仰天して、エリオは聞き返している。そ
して最後の少女、キャロに至っては何かズレている・・・うん。

「それじゃ、カズくんの準備が整ったところで軽い模擬繊いって見ようか?」

何ソレ聞いてないと言おうとした時だ、なのはから念話で『皆より少し上のトレーニングプログラム、アルト
くんを使って見せて』と言われた。

しぶしぶ了解し、廃墟を想定したフィールドマップに入る。

やはり、目新しいものには誰しも興味があるようだ。





『さっき話したとおり、フォワードのみんながやっているガジェット殲滅戦になるんだけど難度レベルはA。陸士部隊の実戦想定レベルだよ』

「了解」

円筒状のポストのような自立兵器が現れるといっせいに散開して散っていく。実機から得たデータを元に性能
も再現され、最低レベルでもAMFまで再現されている。

カズヒロが挑むのはレベルA、実機と対して変わらず、攻撃もしてくる。

『アルトくんのデータ採取もあるから全力で、それじゃスタート!』

なのはが合図を告げると同時にブザーがなる。ソレと同時スラスターを全開、一気にガジェット・ドローンとの距離を縮める。

「アルト、最初はステークだ。」

ガジェットが攻撃を撃ち掛けるが、“避ける”こともせずに突っ込む。

ソレをモニターで観戦しているフォワード四人となのは、遅れてきたメカニックのシャリオことシャーリーと
ヴィータとフェイト。

「あ、危ない!」

レーザーが放たれたにも関わらず突っ込むカズヒロにスバルだけでなくほか三人も声を上げそうになるが、

「シャーリー、ガジェットの攻撃レベルは?」

「最高値です。流石は地上本部秘蔵の新型ですよ」

「レーザーを弾いてた・・・装甲そのものも防御魔法と同じ効果を持っているんだね」

「あたしらのバリアジャケットとは少し違うみてーだけどな」

息を呑んで見守るフォワード陣とは違い、隊長陣及びメカニックは分析しながら観戦している。

「パンチ?」

「戦い方は、スバル。アンタと似ているわね」

カズヒロがガジェットの一機へ拳を突き立てたところを見て、スバルとティアナが呟く。

「それだけじゃねぇ」

「え?」

ズガン!とヴィータが呟いた直後に激鉄音が響いて、ガジェットが爆発した。

「どちらかと言うとヴィータ副隊長に似ているかな」

なのはがそう言って視線を戻す。






『警告・残段数2』

アルトからの知らせに、カズヒロは少しばかり考えた。

まだガジェットに四回しかステークを使ってない。一発につき一回では燃費が悪いが、その分威力は保障済み、さてどうしたものか。

(そうそう、カートリッジは使えんか)

そういう事だろう、実際にあの研究員から聞いた話では試作された物も似たような仕様で今のアルト以上の肉体負荷から採用が見送られたと言う。

「まぁ、ブーストからステークでも十分な威力はある。それにっ!」

無造作に三連ヴァリアブルキャノンを壁面に放つと貫通し、先で爆発した。

レーダーから一つ光点が消えたのを確認し、呟いた。

「・・・牽制用の武装って嘘だな」




「アレが・・・」

「斉藤陸曹の力?」

「正確にはアルトアイゼンの、だな。」

呟いたエリオとキャロにヴィータが訂正するように言った。

「ソレってどういうことですか?」

「アイツ自身魔力はねぇ」

「「「「えぇ!?」」」」

ヴィータの一言にフォワード一同が驚いた。当然だろう、魔力ゼロの人間が魔力保有者と同等かそれ以上の動
きを見せている。

「アルトアイゼンは魔力保有者じゃなくても圧倒的な火力による正面突破をコンセプトにしたデバイスだから、使い手次第なの」

シャーリーによる補足説明を聞いたフォワード、もう一度視線をモニターに戻すとクレイモアで残りのガジェットを一掃するカズヒロが映っている。

『コレで終わりですか?』

「んー、そうだよ。でも危険行動目立ちすぎ」

『突っ込んで打ち抜くのがアルトの真骨頂ですから』

-2-
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