第二十五話
「限界までぶち殺す!!」
龍音が言い放った。
「ふ、ふはははは!!戯けが、殺れるものなら殺ってみるがよい!!」
「あぁ、殺ってやる!!スカーレッド・ノヴァの能力。今日行った召喚の回数×50%、自分の魔力を上げ、相手の魔力を下げる!!俺は今日、クロウ、龍亞、シューティング・スター、スカーレッド・ノヴァを召喚したので、200%ジャックの魔力を上げ、信長のを下げる!!」
「ちぃ………!!」
ジャック能力魔力が大幅に上がり、信長のがガッツリ下がったのが目に見えてわかる。
「さらに、シューティング・スターの能力、今日行った召喚の回数の分だけ、シューティング・スターの分身を呼び出せる。よって、四体の分身を呼び出す」
遊星の後ろに赤、青、黄、緑の分身が現れた。
「気は熟した!!行け、なのは、フェイト、はやて」
「「「はい!!」」」
三人は空中に並び、デバイスを構えた。
「全力全壊!スターライト…!」
「雷光一閃!プラズマザンバー…!」
「響け終焉の笛!ラグナロク…!」
「「「ブレイカァァァァァァァ!!!」」」
桜、金、白の魔法が信長を包む。
「ヌォォォォ!!」
「次、ジャック!!」
ジャックは手足を折り畳み紅蓮の炎を惑い突進する。
「グァァァァァァァ!!」
信長はジャックに吹き飛ばされた。
「まだだ、虎!!」
「分かってるって。エリス!!」
『了解。オーバードライブ!!』
「『ザ・ソード!!』」
虎とエリスがそう叫ぶと、金のオーラを惑い、背後から金の剣が無数に現れた。(カンピオーネ!!の黄金の剣を想像してください)
「魔を退けんとする剣たちよ、我に従い、彼の者に断罪を与えよ!!」
剣の先が全て信長に向き、回りを取り囲んだ。
「アンリミテッド・スティンガー・ソード!!」
その一声で剣が一斉に信長を串刺しにした。
「グ…………ガハ………………」
だが、剣の間から赤黒い煙が出てきた。
『ワレハシナヌ!!ナニガアッテモダ!!』
「遊星!!殺ってくれ」
五体の遊星がVの字になって影に突っ込んでいく。
『無駄なことd………グァァァァァァァ!!』
一体目の緑が通過すると、影は苦しそうにした。
『グァァァァァァァァァァァ!!』
次々と分身が通過していく。そのたびに反応が大きくなっていくところを見ると、ダメージが与えられているのが分かる。
『ガァァァァァァ!!』
遊星が通過した直後、影が信長のからだの中に戻り、
『テンカフメツノショウドトカセ!!』
あのときの魔法を放った。
「だが!?」
「……………わかった、すまない!!スカーレッド・ノヴァとシューティング・スターのもうひとつの能力。二人の魔力を一時的に空にすることにより、相手の魔法を全て無効にする!!なお、その魔力は日付が変更したときに回復する」
『ナ……………ニ……………!?』
信長?は無効化されたことに驚いているのか、一歩も動かない。
「あぁ。ユーノ、縛れ!!」
「うん!!アルケミックバインド!!」
ユーノは自分のバインドの中でも最高峰の硬さバインドで信長を縛った。
「光の中では見えないものが、暗闇の中ではよく見える」
龍音は呪文を唱えると共にゆっくりと浮かび上がった。
「雨風晴れ、寒さから降う(こう)不幸は、全て天の仕業」
辺りが夜になる。いや夜になったように見えた。その夜空に、黄色い小さな光が現れる。星だ。
「海流の様な星座に、人は燃えるように、凍えるように三度願いを願う」
龍音の近くに直径一メートルはあろう魔力球が大量に浮いている。ざっと五十はある。
「一群の煌めき」
刑は下された。
「五十星団!!」
魔力球は全て信長?に落とされ、大きな爆音と共に光を放つ。全て落ち終わると、そこは半径百メートル程のクレーターになっていた。その中心には信長がいた。見ると、影は消えたみたいだ。
「我は……第……六天魔………王…織田………信…長なり……………」
信長は立ち上がった。だがもう魔力は感じられない。影に使われたのだ。
「虎、アギトやるぞ」
「おう!!」
「わかったよ。でも何で俺だ?」
「龍に並び立つ者は虎って相場が決まってるだろ?」
「成る程。なら殺りますか」
虎は剣を構えた。
「あぁ」
龍もアギトとユニゾンし、刀を構える。
「「『龍虎十文字!!』」」
紅と黄金が交わり、信長を切り裂いた。
「………………是非もなし」
信長は後ろに倒れていき、光の粒子になって消えた。
長く、辛い戦いは幕を閉じたのだ。
「あ……………」
「どうしたんだ?龍」
「ボーバン捕まえてないじゃん」
「「「「「「あ〜〜〜〜!!」」」」」」
龍音の一言で全員が気付いた。すると、
『タツネ執務統括官、クロノです』
「ボーバンは?」
『彼らしき人骨が発見したので解析してみると、ターメル・ボーバン本人でした』
龍音は一瞬驚きの表情を見せたが、直ぐに切り替えた。
『どうします?』
「墓を造ってやれ。仮にも人間だからな」
『はい』
そこで通信は切れた。これで本当に戦いは終わったのだ。