第二十七話
三提督と話してから数日、特に変わった事もなく、ただ平凡な日常が過ぎていった。一つ変わった事があったと言えば、周りの先生から「白神がいきなり真面目になった」とか「落ち着いた」なとと、虎の変貌ぶりについて言われた事位だ。そんなある日の休日。家で仕事をしていると、
『もしもし、龍お兄ちゃん?』
「ん?なのはか。どうした?」
『これから翠屋でお茶会するんだけど、どうかなと思って』
「そうか。てか俺なんかが行って良いのか?」
『大丈夫なの。と言うかむしろ来てほしいくらい』
「わかった。なら今は二時半だから………………三時には顔を出すわ」
『わかったの♪待ってるよ』
「あぁ」
そう言って電話を切った。さて、ユーノとザフィーラ、アルフはミッドで仕事。ゼスト隊のメンバーはジェイルを説得、勧誘。なら今いるのは…………
「ん?どうした、龍」
「仕事ないなら帰るぞ。予習終わってないんだし」
呑気にお茶とせんべいで和んでいたアギト(子供ver)と仕事机で宿題をしていた虎がいた。
「これから翠屋でなのは達がお茶会するらしいけど、行くか?」
「行く!!」
「………………………………行くわ」
「虎、今の間は?」
「予習かお茶会か迷った」
真面目になったな〜〜、お前は。
「ならさっさと準備しろよ」
「おう!!」
「了解」
三十分だったらお菓子は作れないから………
「龍音、これはなんだ?」
と虎が何かを持ってきた。それは、つい一昨日に作ったアイスケーキ(31のを参照)だった。
「それだ!!」
「な、何が…………あぁ、あいつらに持ってくやつか」
という訳でお土産も準備を終え、俺、虎、アギトの三人で翠屋に向かった。
「ちわ〜っす」
「あら、龍君、虎君、アギトちゃんいらっしゃい。なのは達なら奥にいるわよ」
翠屋に入ると、桃子さんが出迎えてくれた。
「そうですか。そうだ、虎」
「あぁ。桃子さん、これお土産です」
「ありがとうね。さ、入って」
「「「はい」」」
俺達は奥へと向かった。
なのは達は、一番奥のテーブル席に座っていた。
「あ!!龍お兄ちゃん!!」
「よ」
なのはの声に気づいたのか、残りのメンバーも振り向き、礼をする。
「お前ら、そんな畏まらなくて良いんだぞ。普通にフレンドリーに頼む」
「「「「は、はい」」」」
まぁいきなりは無理か。てかアギトは?
「ショーケースの前で佇んでる。てかすでに五個くらいケーキやらを頼んでたな」
行動速いな…………まぁ良いか。
「まぁ話しはなんか頼んでからだな」
「あぁ」
俺はブラックコーヒーとチーズケーキ、虎は紅茶とモンブラン、アギトはショートケーキにチョコケーキ、チーズケーキ、モンブラン、シュークリーム、ミルクティを注文した。
「んで、俺をこのお茶会に呼んだと言うことは、何かあるわけだよな」
「「「「「……………………」」」」」
5人は黙りこんだ。沈黙は肯定だ、何かあるというわけか。
「あの、龍音さん」
「どうした?月村」
「私とアリサちゃんを管理局に入れてもらえないでしょうか?」
……………………………はい?いま局員になりたいって言ったよな?間違いじゃないよな?
「はい」
だよな…………
「あんまりオススメ出来ないな。ただでさえ戦場は危険だs「裏方として入りたいのよ私たちは」裏方?…………あぁ、オペレーターとかのことか?バニングス」
「えぇ。すずかはデバイスマスターに、私はオペレーターになりたいのよ」
「そう言うことか。どちらにせよ、オススメは出来ないな。だが、二人にそれなりの覚悟があればの話だがな。やる気はあるんだな?」
「「はい!!」」
二人の瞳は真っ直ぐだった。何の揺るぎもなく、ただ真っ直ぐに俺を見据えている。
「わかった。虎、エイミィとシャーリーに連絡いれとけ。ってまたやってるし…………。てかここ盆ミスだ」
「了解。……………こうか?」
「あぁ。連絡頼んだぞ」
「はいはい」
そう言うと虎はまた数学のワークに目線を落とした。
「白神、あんたそれ……………高校の範囲のよ!?どんだけ進んでんのよ!!」
「「「「え!?」」」」
アリサの言葉に残りのメンバーもワークを覗く。その瞬間、固まった。
「ん?ベクトルのことか?まぁ、独学で魔法を考えてるからな、これくらいは普通だ。因みにそこのアギトはハーバードなら余裕じゃないか?」
「「「「「……………………………」」」」」
虎の言葉に再び固まる5人。
「ん?何の話だ?」
アギトは話しについてきていないみたいだった。
「さてと、仕事もあるし今日は帰るわ」
「あぁ。また明日な」
「あいよ」
虎はそういい残して帰っていった。
「「「「「………………………………」」」」」
まだ固まっていたのか……………お前らは。
「うんま〜〜〜♪」
まだ食ってたのか……………お前は。
「「「「「は!?今まで一体」」」」」
やっと戻ったか。
「そう言えば龍さん、今度の休み暇ですか?」
「あぁ、休みだがどうした?」
「ほんなら、みんなでどこか行きません?」
「は、はやて!?そんな迷惑だよ。龍音さんに」
「いや、良いと思うぞ。なら行きたいところを5人で決めておいてくれ。車は俺が出すから。あと人数もな?」
「「「「「はい!!」」」」」
「んじゃ、飯の支度もあるから帰るわ。宿題しとけよ」
「「「「「は〜い」」」」」
俺は、まだ食っていたアギトを引きずり、お代を支払って家に帰った。余談だが、アギト一人で6000円かかったのはまた別の話し。