小説『Gods ~舞い降りた女神様~』
作者:ダーク根暗フィア()

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第12話 そうだ、学舎に行こう




「お邪魔しまーす!」

靴を吐き捨てるなりいきなり我が家に進入する怪力女。無邪気(?)に走る足音が破滅の音に聞こえる。まぁ、兎に角ドアを破壊されなくて良かった。

「走んなよまったく。・・・・キリヤのには気付いてないのか?」

俺はキリヤのハイサイレッグアーマーと麻理を交互に見る。
どうやら彼奴マジで気付いてないみたいだ。ハッハッハッ!馬鹿め!怪力め!ツインテールめ!ナイスバディーめ!

「ケンちゃーん!コーヒー頂戴!」

「ホント、遠慮無いよなお前・・・・。待ってろ、今出す」

ダダダ!
俺は麻理が居るリビングには行かず風呂場に向かって疾走。キリヤと麻理に走るなって言ったがやむを得ん。

「・・・・キリヤ、聞こえるか?」

浴室ドア越しに小声でキリヤを呼ぶ。今はドアに張り付いているような状態、端から見たらただの変人だ。

「何?」

「風呂上がったらすぐに自分の部屋で大人しくしていてくれ」

「えぇ?何?聞こえーー」

「頼んだぞ!」



「ふぃぃー。ケンちゃんのコーヒーは美味しいねー。ヴォジョレーかな?」

「それ違うだろ。で?何の用だよ」

「んー?あのねー、今日ケンちゃんと一緒に居たあの人(女)の事を聞きたくて」

「あぁ、その事な。彼奴は・・・・何と言うか・・・・」

(ヤバイ!コイツ目が据わってやがる!)

剣介の頭の中では小さな2頭身剣介ズがあたふたと走り回っている。

「ねぇ」

(何でこんなに怒ってるんだよ・・・・。兎に角、彼奴に会わせるわけにはーー)

「剣介、背中流してくれる?」

「え?」

「キリヤァァァァ!」

リビングに現れたバスタオル1枚の一糸纏わぬ姿のキリヤ。
華奢な四肢は雪のように白く、昼間に魔法無しで水龍(12m)を軽々しく飛び越えたとは思えない。そして引き締まった体のラインは剣介の視線の釘付けにした。特に豊満な胸に。

(彼奴、あんなにスタイル良かったのか。鎧着けてるから分からなかったがーーってぇ!いかん!こんな俺でも男なんだ!気にしてしまうのは男性の性(さが)であって視線が中々外せないと言うか!うわぁぁ!何を考えているんだ俺は!?)

混乱で頭の中に居た小さな2頭身剣介ズが頭に更に小さな剣介をピヨピヨさせている。

「あ、えと、き、キリヤ?背中を流すって・・・・?」

「私、アースガルズの他の女神に何時も背中を流して貰ってたの。だからお願い」

「ケンちゃん、アースガルズって?女神って?」

「ま、待て。コイツはイギリスの留学生でーー」

「私はアースガルズの女神、貴女も知るヴァルキリーです」

「女神・・・・。ヴァルキリー・・・・。アースガルズ・・・・。ケンちゃん、この人は女神なの?」

「えっとだな・・・・。これはーーぃぎぃ!?」

剣介の喉元を襲った鋭い衝撃。足が床から離れ、呼吸が制限される。

「かっーーはっ!?」

「女神と同棲・・・・ケンちゃんは私にも話してくれなかったのね」

(話したらこうなっただろうが!く、苦し・・・・)

「剣介!しっかりして!」

ふにょん。
ピッキィーーーーーーーン!!

(何とぉ!?)

剣介の背中に柔らかな圧力。剣介の飛びかけた意識が謎の擬音と共に完全に覚醒した。

「な、何やってるの!」

「剣介を離して!死んじゃうわ!」

剣介にしがみついたキリヤが剣介を引っ張り、首を掴んだ麻理も引っ張る。

「止めろお前ら!俺の体が壊れちまう!あっ、止めて!」

「「離しなさい!」」

「えぇい!止めんか!変換ーー旋風!」

ビュォォォォ!

「きゃっ!」

「あうっ!」

剣介を中心に竜巻が巻き起こり、2人を吹き飛ばす。

「いい加減にしろお前ら!其処に座れ!あ、いや待て」

ちょっと首の角度がおかしくなった剣介が2人を説教しようと座布団を取り出すとふとあることを思い付いた。

「突然だがキリヤ、学校に通え」

「学校?確か学舎・・・・」

「此処の生活に慣れるにはそれが良い」

「・・・・そうね、学舎に行くわ」

「凄く急な展開ねケンちゃん」

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