どうでもいい作者の一言!
只今絶賛期末テスト中。まぁ、カンニングの鬼と呼ばれたこの僕なら勉強せずとも良いのだが。
第13話 校長!
コンコン。
静寂に包まれた部屋に響くノック。窓から外を覗くその部屋の主、黒いスーツをビシッと決めた初老の男が、座っている椅子をくるりと回して立ち上がる。
「入りたまえ」
『げっ、居たのかよ・・・・。失礼しまーす!』
ガチャ。
何やら重い足取りで部屋に入ってきた黒髪ツンツンの少年。そしてそれとは対称的に軽めの足取りで同じく部屋に入ってきた金髪ロングヘアーの少女。此方は隣の少年が制服なのに男物のコートとジーパンとかなり異彩を放っている。
「む!?これはもしや!とわぁ!!」
初老の男が放物線を描くように跳躍。入ってきた2人の前に着地すると緩んだネクタイを締め、真顔でこう言い放った。
「金髪の巨乳美少女・・・・素晴らしい!」
「え・・・・?」
「ちょっと、私の握力検査をさせて貰えませんか?」
両手をワキワキと嫌らしい手つきで動かし、金髪の少女に迫る初老の男。
一方の金髪の少女は自分の胸の事を言ってると解ると両手で胸を隠すようにしてあからさまに引いた。
「ウヒョヒョヒョヒョ!たまらんのう金髪の巨乳美少女が怯える姿も!ウヒョヒョヒョヒョ!たまらんのぉぉぉ!!」
「・・・・はぁ~~・・・・。校長、いきなりセクハラに走るのはどうかと思うんですが」
少年が頭を掻きながら言うと初老の男、校長がまた真顔でこう言い放った。
「光明君。ーー彼女は何カッ「(怒)!」
メギョッ!
校長の顔面にコークスクリュー・ブローが命中。頭を中心に回転しながら窓の外へ飛ばされた校長。剣介はその光景を冷ややかな眼差しで一瞥すると踵を返す。
「キリヤ、帰ろう。あのエロ校長が帰ってきていたとは知らなかった」
「エロ校長とは何だ、エロ校長とは!」
剣介が溜め息をつき、嫌々振り返ると校長が机の上でワインをグラスに注いでいた。
「エロ校長・・・・」
「おぉうっ。もっと言ってくれ!」
キリヤが言った『エロ校長』は別段艶かしい口調でも何でも無かったが、校長は何故か身を震わせ、興奮していた。
「相変わらず変態ですね。エロ校長と言うより変態校長に変えます」
「ふん、誉め言葉として受け取っておこう」
校長は剣介の一言でキリッと表情を真剣(仕事モード)に変えるとワインを飲み干し、両腕を組んで応接ソファに座る。剣介とキリヤも後に続いて座る。
「さて、久々の校長をこなしますかね。まぁ、座って」
校長と向き合って座る。
「キリヤ君。と言ったかな?私はこの学校の長(おさ)、別瀬 龍彦(べつせ たつひこ)だ。宜しく」
「宜しくお願いします」
「で、どうでしたか?5か月間、良い旅で?」
「あぁ。ヨーロッパは金髪の巨乳美女達がわんさか居たよ。いやぁ、たまらんかった。と、脱線したな。えーと、この書類をサインをすれば完了だ」
校長は胸ポケットから眼鏡を取り出し、応接テーブルの下から1枚の書類を取り出すとキリヤにペンを渡して、書く所を指差す。
「私の事、何も聞かないんですね」
「まぁね。ほら、其処に名前を書いて」
「あ、剣介。私苗字なんて無いんだけど」
「マジか?あーーーー。よし、決めた。フロムアースってのはどうだ?From アースガルズを捩った」
「良いじゃないか」
「じゃあそれで・・・・・・・・書けた」
「はい、じゃあこれで君もこの学校の一員だ。制服と教科書、その他の物も隣の部屋にあるから持っていきたまえ。因みに光明君と同じクラスだから安心してくれ」
「ありがとうございます」
校長と握手を交わしたキリヤが校長室の隣の部屋に入っていく。
剣介は改めて校長室を見渡す。様々な賞やトロフィーが飾られた棚の上には歴代の校長の写真が飾られていて剣介は何時も見ると笑ってしまう。
「やっぱり可笑しいよな、歴代の校長達。皆決まって禿げてるしな」
校長が自分の髪を弄りだす。初老ではあるがまだまだ禿げたりはしないだろう。
「校長。何時も不思議に思うんですが、用意とか情報とか早いですよね。何か特別な『能力』でもあるんですか?」
「おいおい、何を言ってるんだ?私の情報網を舐めて貰っては困るよ?能力ではなく、『特技』だ」
「相変わらず曖昧な回答で」
「剣介ー、荷物持ってー」
「呼んでいるぞ?」
「・・・・失礼しました」
くるりと回れ右で踵を返し、キリヤが居る隣の部屋に入る剣介。
「しかし、女神が生徒とは・・・・。面白いな“此方の世界”は・・・・」
校長の手にはいつの間にかワイングラスがあった。