小説『Gods ~舞い降りた女神様~』
作者:ダーク根暗フィア()

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作者から一言。
えぇと、突然ですが、本作で剣介が使用している≪レイヴニル≫。あれは北欧神話のグローアがその息子に教え、身柄を拘束されてもその手錠・足枷から身を解き放つ呪術の『レイヴニルの炎』とは別物です。
名前の由来は僕が武器の名前を考えていた時に響きが良いという理由で文字を適当に繋げたんです。そして昨日たまたま調べてみたら既に使われていた名前だったと言うことです。
本当ですよ!?適当に繋げたらこうなったんですから!
あ、あと最後に、最近はバイト三昧なので更新ペースがかなり乱れてます。




第27話 キリヤ、初めての告白(され側)




「・・・・」

時はG騒ぎから数時間後。
いつも通りに授業が終わり、部活に行く者は部活へ、帰る者は帰る時刻。
そしていつも通りに剣介と麻理の3人で1階の昇降口に向かっていたキリヤが自分のロッカーを開けて沈黙した。

「・・・・」

「?どうしたキリヤ?爆弾でも見付けたか?」

「そんなわけ無いでしょーケンちゃん。キリヤさんどうしたのー?」

「これ・・・・」

「「ん?・・・・ラブレター?」」

見事にハモった2人。そう、キリヤの手には果たし状のようなラブレターらしき物があった。

「「いや、果たし状でしょ」」

そして互いに互いをツッコム剣介と麻理。

「あの、剣介。これはこの前剣介が貰ったのと同じ物?」

「いやぁ、見た目では果たし状だな。仕方ない、開けよう」

カサ。
今回は開けやすい果たし状タイプの為綺麗に開けることができた剣介。中身は筆で書かれたのであろう墨が良い感じで滲んでいた。

「何々?『初めましてキリヤさん。突然のお手紙をお許し下さい。今回、俺は貴女にこの胸に秘めた想いを伝えるためにお手紙を書かせて戴きました。放課後に体育館裏で待つ。 2年9組 佐藤 匠』・・・・体育館裏で待つとか、彼処は人気だなぁ。てゆうか、文面の最後がもろ果たし状じゃねぇか」

「面白い手紙ー」

「何処が!?」

「と、兎に角、私はどうすれば良いの?」

「とりあえず会ってみればー?私とケンちゃんは待ってるからー」

「いや、俺は帰るぞ」と言いたくても麻理に腕を超握力で掴まれて言えず、痛みに耐えながらコクコクと頷くことしか出来ない哀れ剣介。

「分かったわ。行ってくる」

剣介から貰った白のメンズスニーカー(剣介が買った時にサイズを間違えて使ってなかった物。新品)を履いて体育館裏に走っていくキリヤ。
そしてその後をコソコソと追跡する麻理(剣介を引きずっている)。

「何処に行く気だ?離してくれ」

ズザザザザザ・・・・。

「ヤダー。行くよーケンちゃん」

「ああああああ。制服が破ける」



体育館裏。

「き、キリヤさん!」

「はい」

「ぼ、僕とつ、つつつ、付き合って下さい!」

「ごめんなさい」

「ぁぁぁ!!」

間髪入れずにキリヤのごめんなさいが炸裂。

「そ、そそそ、そんなぁ!お願いだよ!僕と付き合って下さい!」

「嫌です!」

「お願いします!」

(そう言われても・・・・)

キリヤが頑なに断るには理由が在った。
まず1つは、キリヤでも判る相手のキモさ。
相手は佐藤匠という、河口北東高で一番の「キモオタ」と呼ばれており、私生活でもかなりの不潔である。そして変態。
そして2つに、キリヤは既に剣介に恋心を抱いていて他の男には興味が無いということである。

「私には既に好きな人が居るんです。悪いですけど帰らせてもらえませんか?」

「・・・・」

「では、私はこれで」

「キリヤさぁぁぁぁん!!」

「キャア!」

ドサ!
何を抑えられなくなったのか、キモオタ匠がキリヤを押し倒した。
キリヤにキモオタ匠の100kgを超す体重がのし掛かる。そしてキモオタ匠が嫌がるキリヤの唇に唾液でベットリと湿った唇を近付ける。

「イヤァァァア!嫌だ!止めて!」

「キリヤさん!貴女は、僕だけを見てくれ!」

「~~~~~~~~~~!!!」

キリヤの唇にキモオタ匠の唇が触れそうになったその時。

「下衆が」

バキィ!
キモオタ匠の右頬に何かがめり込み、キモオタ匠を吹き飛ばした。

「痛ぁぁぁぁあいいいい!!」

「ぁ、ぁぁ。剣介・・・・」

「フゥゥ・・・・」

「剣・・・・介?」



時と場所は変わって体育館裏の花壇。
前に剣介が告白された時にキリヤと麻理が息を潜めていた花壇と言えば判るだろう。

「相変わらずキモオタねー」

「俺は別に彼奴の味方じゃ無いけど、言い過ぎじゃねぇか?」

「だってさー、彼奴がどれだけ不潔で変態か知ってるでしょ?」

「んまぁ、そうだけど・・・・ふぅぁぁぁあ」

「欠伸しなーい」

いかにも気だるそうに寝っ転がって携帯でパズ〇ラを遊ぶ剣介。

「よし、7コンボ」

「ねぇー、ケンちゃんは気にならないのー?」

「別に?興味ないし、帰っていい?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「もしも良いっていったら?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

「・・・・遠慮してますね」

「そう。解れば良いのー。解れば」

「へいへい」

「キャア!」

「!?ケンちゃん!キリヤさんが!」

「何だぁ?」

麻理に頭をぶっ叩かれながらも双眼鏡を手にし、キリヤを見る。
その瞬間、剣介の頭に血が上った。

「あんの糞下衆キモオタ野郎・・・・許さねぇ」

バキャ!
ワナワナと力んで震える右手から弾けた双眼鏡。

「け、ケンちゃん?どうしたの?」

「・・・・」

「ちょ、ケンちゃん!?」

ザッ。ダン!
麻理の声は届かず、剣介は屈伸体勢から一気にキリヤのもとに跳躍。

「ケンちゃん!?何する気!」

麻理も慌てて剣介の後を追う。
そして剣介は空中で前回りに回転しながら静かにキリヤとキモオタ匠の2人の横に着地。

「キリヤさん!貴女は、僕だけを見てくれ!」

「下衆が」

バキィ!
そしてキモオタ匠の右頬をサッカーボールを蹴るように右足で蹴り飛ばす。

「痛ぁぁぁぁあいいいい!!」

剣介の目の前でキモオタ匠が痛みに悶える。それを剣介はまるで汚い物を見るような眼で見下ろす。

「ぁ、ぁぁ。剣介・・・・」

「フゥゥ・・・・」

「剣・・・・介?」

「だ、誰なんだよお前は!僕とキリヤさんとの愛を邪魔するのは!」

「黙れ下衆が。テメェは愛なんて知らない家畜以下の下衆野郎だ。今から俺がお前に愛を教えてやる」

ザ、ザ、ザ、ザ・・・・。
1歩。また1歩とキモオタ匠に近付いていく剣介。

「ひ、ヒアァィィィィ!」

キモオタ匠は右頬をさすりながら後ずさる。

「俺の『家族』に手を出したのが間違いだったな・・・・恨むなら自分を恨め」

「や、ヤメーー」

「キリヤが止めてと言ったときはテメェは止めたか?」

ドス!

「グボォオ!?」

キモオタ匠の贅肉だらけの腹に剣介の爪先蹴りが捩じ込まれる。
キモオタ匠は目を何度も白眼にしかけ、意識が飛びそうになる。

「ほら、起きろ」

ドス!バキィ!バシバシ!
キモオタ匠をアイアンクローで持ち上げて空いた片手で殴る。
キモオタ匠は涙を流して謝罪し、剣介は無表情でキモオタ匠を痛みつけていた。

「ふふふ、あはははははは!あははははははははは!」

剣介の口角が、とても邪悪に歪んでいた。

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