第3話 未知との遭遇?
カツーン・・・・カツーン・・・・カツーン。
ビヴロストを歩く純白の影。キリヤの足音が響いている。
「ミズガルズ・・・・。そう言えば生きた人間に会うのは初めてだった」
キリヤがビヴロストに足を踏み入れるのは初めて。時々立ち止まってビヴロストの下を覗き込んだりと、女神であってもこういう時等は人間と変わらない女の子になるようだ。
ゴゴゴゴ!
突然キリヤを襲った激しい揺れ。
「な、何?何なの!?」
ズル!
「あ!」
あまりの揺れに足が滑り、ビヴロストから落ちてしまった。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
◆
「ぬわんだぁとぉぉぉぉぉぉ!?」
「あーあ。今時弁当を落とすとか、ケンちゃんダサいわよ」
学校は昼休み。俺はいざ昼飯を食わんとバッグを開けると其処には弁当の姿が無かった。Oh my god.
「うるっせぇ。はぁ、探しに行くか・・・・」
「私も行くー」
「いや、落とした場所は見当ついてるからすぐに帰ってくるよ」
俺は教室の窓から身を投げ出して着地する。因みに、俺が出た教室は1階だ。
「さてと、誰かに食われたりする前に見付けますか!」
◇
場所は朝に俺と麻理が悪霊を退治した所。其処でお目当ての物を発見した俺は弁当に近付く。
「お、あったあった。弄くられた形跡は・・・・無いな。いやぁ、これでようやく昼飯にありつけるぜ。ーーん?」
とても強い気配、そうだな、例えるなら全身の神経がゾクゾクするような感じが何処からか俺に向かっている。しかもかなりの高速でだ。
「今度は何だ?魔物か?しかし何処からーー」
ヒュゥゥゥゥ・・・・。
「は?ーーはぁ!?」
何か風を切る音がして空を見上げると、白い何かが此方に向かって落ちてきていた。
「え、ええ?えええ?ちょ、は?」
ヒュゥゥゥゥ!
「な、何だありゃ!?もしかして、人!?」
その人と思しきものの落下予測地点まで約25m。あの高さでは間に合わない!
「クソ!間に合わねぇ!こうなったら!」
剣介が目を閉じる。
「使いたくなかったけど!≪属性変換≫!」
剣介が目を一気に見開く。その眼は、能力者が能力を公使した際に必ず起こる変化、白眼と黒目の色が反転していた。
「変換ーー氷結!」
ビュォォォォ!
剣介が手を地に付けるとたちまち落下予測地点に巨大な雪の山が現れた。
ドフ!
その雪の山に落下。5mはあった雪山は瞬時に溶け、落ちてきたものの正体を露にする。
「女の子?」
純白の鎧ドレスを纏った美少女が倒れていた。彼女は気絶しているようで反応が無い。
「えぇと・・・・誰だ?ーー鎧ドレス?何処かの能力者か?しっかし、怪しいな。起こさない方が良いのか?でも此処に放っておく訳にもいかねえよなぁ・・・・。しゃあねぇ・・・・・・・・・プルルル、プルルル、プル『あ、もっしー!ケンちゃん?どうしたの?』
「あぁ、麻理。ちょっとお願いがあってさ、先生に午後の授業は出れないって伝えてくれるか?急用が出来ちまって」
『えぇー。急用って悪霊?』
「まぁ、違うとは思うんだが・・・・。兎に角伝えてくれ。悪いな」
『ちょっと待って、けっきょk「プツ」
(空から女が降ってきたなんて信じねぇよなぁ。兎に角、一旦俺の家で様子を見るか)
「よいしょ。ふーん、案外鎧ドレスは軽いな」
俺はこの何者かを抱き抱えて家に少し急ぎ足で帰った。
そしてこの後、また此処に弁当を取りにくる羽目になったのは語るまでも無い。