小説『Gods ~舞い降りた女神様~』
作者:ダーク根暗フィア()

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第4話 氷結剣山!



「う~~ん。参ったな。家に連れてきたは良いけど、どうすれば良いかなぁ」

あれから1時間。リビングのソファーに寝かした彼女は目を覚ます気配は無い。
てゆうか、彼女の鎧ドレスが異様に気になるんだが。

「しっかし、不思議な鎧だ。スカートの布は見たことないし、金属は傷1つ見付からない。能力者か?それに何処の人だろ?金髪は・・・・イギリス?」

彼女の能力は何だ?物質の生成?

「う~~ん・・・・ん?」

何か力を感じる。悪しき者が発する気配や力じゃない。これはーー

「地下からか」

俺の家には地下室がある。これは俺の父親が秘密に作っておいたもので、ある物を保管している。
それは俺の武器、≪レイヴニル≫ともう1つ。後者の方は誰にも明かしていない。

「久々だな。地下に行くのは」



光明家地下室。厳重に施錠をされた扉は剣介が手を翳しただけで南京錠やら鎖やらが弾け飛ぶ。

「魔法は便利だな」

開いた扉の奥、2mの高さはある金庫が姿を現す。これには先程の扉と違って簡単には開けられないように幾つもの魔方陣が張られている。
それに人差し指でちょんと触れると、魔方陣は光の粒子となって消え去った。
その瞬間、金庫が独りでに開いた。

「3年ぶり、≪レイヴニル≫、そして≪戦女神の剣(ヴァルキュリアブレイド)≫」

ボロっちい布に包まれたロングソードが1つ、刀身の幅が隣のロングソードの2倍以上はあるツーハンデッドソードが立て掛けられていた。
剣介はその2つを取り出してリビングに上がった。

「・・・・この≪戦女神の剣(ヴァルキュリアブレイド)≫の輝き、彼女に反応しているのか?だとしたらこの娘は・・・・」

「うん・・・・」

「あ、起きた」と言おうとした剣介の喉に起きた彼女の人差し指が触れていた。

「え、えと・・・・は、ハロー?」

「・・・・」

「ア、アーユーオーケぇ!?」

ドン!
指先から放たれた攻撃性の魔力が剣介を吹き飛ばす。

「ぐ!?・・・うぶ・・・・」

ピく、ピクピク、ピく・・・・。

「・・・・あっ。もしかして、死んだの?」

起きた彼女、キリヤがぐったりと項垂れている剣介の肩を揺さぶる。

「わ、私、何て事を・・・・初めて会った方を殺してしまうなんて・・・・。ごめんなさい」

キリヤが剣介を抱き抱えてソファに寝かせる。
ふとソファの脇に目をやると布に包まれた2本の剣が転がっていた。
キリヤはその内の1本、ツーハンデッドソードを手に取った。

「これは・・・・まさか!」

パリィン!
キリヤが何かを悟った瞬間、ソファの後ろの大きな窓が割れ、硝子の破片がキリヤに襲いかかる。

「あぶねぇ!」

「きゃっ」

間一髪。死んだふりをしていた剣介がキリヤを庇いながら2人で倒れる。

〔アァ。強イ魔力カンジル〕

「アァァ・・・・」

「あ、貴方生きてーー」

「悪霊とリビングデッドだと!?しかもこんなに!」

〔オマエノ魂ヨコセ〕

「誰がやるかよ!来い!≪レイヴニル≫!」

剣介がロングソードに向かって手を伸ばすと包んでいた布が剥がれ、鞘に収まった≪レイヴニル≫が剣介目掛けて飛んできた。

「この野郎共が。窓割った分消えてもらうぜ!」

チャキ。
剣介が≪レイヴニル≫の柄を握る。呼吸を整え、鞘から一気に引き抜く。

「・・・・ッハァ!もう魔力が半分持っていかれちまった。行くぜ≪レイヴニル≫!≪属性変換≫!変換ーー氷結!」

ビュォォォォ!
≪レイヴニル≫の眩しく輝く刀身に氷属性の魔力が纏い、蒼白く発光する。

「行くぜぇ!『氷結剣山』!」

ズガガガガガガッ!
≪レイヴニル≫の剣先を床に突き刺すと床から突き出た氷の刃が悪霊達に向かって行く。

「もう死んでるけど死ねぇぇぇぇ!!」

ジャキィン!
悪霊達を氷の刃が貫く。

〔オオオオオオオ・・・・!〕

「オオオオオオオ・・・・!」

悪霊は霧散し、リビングデッドは白骨化してから霧散した。

「凄い・・・・」

「はぁ、はぁ、はぁ、ざまあ見やがれ・・・・う・・・・」

ドサッ。
魔力が底をついた剣介は膝から崩れ落ちる。

「あ!大丈夫ですか!?」

「んあぁ、駄目そう・・・・。そうだ・・・・食い物は・・・・好きに食べててく・・・・れ」

ガクン。

「え、え?あの・・・・」

「・・・・」

「な、何なんですかぁ!この状況はぁ!」

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