第7話 能力者の影
(・・・・彼奴、あんな笑顔で微笑むのか?家ではただの面倒掛かる奴だと思ってたが・・・・てゆうか可愛いとか言うよりも美しいの方が正しい・・・・って!何を考えているんだ俺は!)
「えぇと、麻理さん?その手を離していたd」
ゴキンッ!
「お(;゜∇゜)ぉぉぉぉぉ!?」
「誰?この女の子・・・・」
「オチツケ!オレハオマエニナニモワルイコトハs」
グググ・・・・!
「アァッ!ヤメテ!」
「剣介、お弁当忘れてた筈じゃない?」
「ソウダ!ワスレテタヨ!チョットオレヲヒッパッテキリヤ!」
「構わないけど・・・・。「ガシッ」 えいっ!」
ドゴン!
キリヤが剣介の右腕を掴んで思いっきり引っ張ると麻理の手から離れたが勢いが強すぎて教室後ろの黒板に剣介が頭から刺さってしまった。
「あ」
隣の教室では前の黒板から剣介の頭が出てきてる状態で隣の教室は大騒ぎだ。
「有り難うございます、キリヤ」
「敬語無って言ったのは誰だっけっ!」
ズボ!
「イテテテ。助かったよ」
「はい、お弁当」
キリヤが何事も無かったように剣介に弁当を渡すと麻理が鬼の形相で歩み寄っていく。
「ケンちゃん。私と2人でチームの筈よね?」
「ちょ、ちょっと待て!確かにそうだが、なにも暴力は無いだろ!」
「私に何も言わずに他の女の子といちゃついてるなんて・・・・」
「はぁ?何言ってるんだ、キリヤはただの馬鹿だぞ?」
「あぁ!馬鹿とは何よ、馬鹿とは!」
ドゲシ!
「許さない・・・・」
「うわぁ!キリヤ逃げるぞ!」
「え?きゃっ」
お姫様抱っこでキリヤを持ち上げた剣介は魔力で肩をなんとかしているようたが長くは持たないだろう。
「け、剣介何をしてるんですか!?」
「お姫様抱っこならぬ、女神様抱っこだ!」
そう叫んだ剣介は教室から飛び出して普通の人間には分からないように跳躍魔法を使って一目散に麻理から逃げ出した。
その後に続いて麻理も跳躍魔法を使って追う。
「へぇ。器用なことするなぁ2人共・・・・っと、近くに魔物か。俺は出なくても良いな」
埃だらけで野次馬が集まっている2年1組の教室。
出ていった3人の背中を見ながら1人の男子生徒が呟いて小さな魔方陣が書かれた紙をポケットから取り出して手を翳すと魔方陣の中心から光の玉が出てきて3人の後を追いかける。
「さぁ、剣介。お前の力を見せてくれ」
◇
「待てぇ!」
「待てと言われて止まるような真面目君じゃ無いんでね!」
屋根と屋根を伝って逃げ続ける剣介に対して麻理は飛行魔法を使って上空から追う。
「何で剣介は空を飛ぶ魔法を使わないの?」
「俺はその魔法が苦手でな。だからこうして跳躍魔法をーー」
「剣介!何か近くに居る!」
「何!?何処!」
「此方!たぶん、あの橋の下!」
「よし、掴まってろ!」
ドン!
足の裏に魔力を集中300m近くを一気に跳躍する。それを見た麻理も空中を蹴るようにして加速した。
「キリヤ、あれか?どうみてもただの子供の集団にしか見えないんだが」
「何処見てるの?馬鹿。川を見て」
「ぬ?何だあれ?」
ウネウネと川の流れに逆らうように動く半透明な何かが其処に居た。
「水属性の魔物よ。しかも強力な」
「ま、麻理!?待ってくれ今はーー」
「今は喧嘩なんてしてる暇は無いから、後でね」
トッ。
橋の上に着地した剣介はキリヤを降ろして肩を回す。麻理は腰に添えていた≪笹貫≫を抜いて川に先っ刃を向ける。
「痛・・・・。麻理、少しは加減しろよ」
「ふん」
「キリヤ、肩を入れてくれないか?」
「こう?」
ゴキン!ゴキ!
「おぉう。駄目だ、むしろ狂ったみたい」
最早剣介の肩は感覚が無くなっている。
「兎に角彼奴が有害か確認しよう」
「いいえ、その必要は無いわ」
ザパァ!
「ギィィィィァァァァァ!!」
龍の形をした水の塊が剣介達を目掛けて水の刃を飛ばした。