部屋の中に戻ったあとでも、ルリは浮かない顔で窓から月を眺めていた。
「みんなで馬場抜きしようぜ。」
ルフィが提案した。
……馬場抜き?
顔だけルフィの持つ四角いカードを見た。
「それが馬場抜きというのですか?」
「違うよ。これはトランプだ。知らないか?」
トランプという言葉自体も知らなかった。誰とも遊んだことがないのだから当然だった。
呆然とした顔をしていたのかいつのまに食器洗いを済ませたサンジが丁寧に教えてくれた。
なんとなく内容は把握できた。
「では、一緒にやりましょう。」
その言葉を聞いたサンジは顔を緩ませると、トランプを分け始めた。
分け終わったあと、人間姿になった。さすがに猫姿ではできないだろう。
「少し、みなさんがやっているところを見せていただけますか。」
ルフィ→ゾロ→ナミ→ウソップ→サンジという順番で始めた。
みんな楽しそうに笑いながらやっている。
そんなみんなの姿をみていると、ルリは心臓をうたれたかのようにいたくなった。
ルリは立ち上がると、人間姿のまま部屋を飛び出た。