ルリは扉を開けてバルコニーに出てきた。
ゾロが寝息を立てながら寝ていた。みな、自分のするべきことをしていた。……ゾロは何もないのか。
ルリはゴーイングメリー号のかわいらしい羊の頭の上に座って月を見た。
嗚呼、どうして気が付かなかったんだろう―明日がその満月の日ではないか。
ぷっくりとふくらんだきれいな月を見ながらため息をついた。
「よぅしっ!ルリが『麦わら海賊団に入った記念』で明日外で宴をするぞー!」
自分が強引にいれたくせに勝手に記念にしないでほしい。
明日の宴は私が主人公だ。……逃げるわけにはいかない。
最後に自分の村を見ていきたいから、と言って逃げるか。それとも出たくないといって出ないか―
優しいルリは出ないといけないとわかっていた。
それとも―腹を割って満月の日のことを話すか。
でも、そしたらもう仲間としては受け入れてくれなくなるかもしれない。
今回の決断は難しかった。
「あっ、ルリー。中に入ったほうがいいわよ。……嵐が来るから。」
ナミがドアを開けて言った。
小さくうなずくと、入っていった。
ゾロは、また寝息を立て始めた。片目を開けて、ルリの悲しい背中を見ていたのだった。