すると突然、光が差し込んできた。
ドアが開いたのだった。
だれか来た……ナミ?でも見つかってはいけない。そう思って声を抑えた。
しかし、嗚咽が止まらなかった。涙は止まったが。
ヌゥッとソファの後ろに顔が来た。真っ暗だったため、顔なんかわからなかった。
もしや……!?
「おば……け?」
そうつぶやくと、黒いものはため息をついた。そして部屋の電気をつけた。
「ゾロさん!どうしてここがわかったんですか!しかも……しかもここは女部屋ですよ?」
急いで猫姿に戻ると、棚の上に上って毛を逆立て、フゥーッ!とうなった。
「バカ。そんだけ大声で泣いてりゃァわかるだろ。丸聞こえだ。耳障りなんだよ。」
「なっ……!ひどいですっ!もっと素直になれないんですか?なぐさめに来たとか。」
「慰めに来るか。お前のために。」
「じゃあなんでここに来たんですか。」
「なんとなくだ。」
ゾロがぶっきらぼうに答えた。
「急に走って行きやがるから。迷子にでもなるんじゃねェかと思って。」
ルリはまともに受け止めた。
「そうですか。ありがとうございます。」
「……仲間になりたくなかったんだろ。」
ゾロがボソッといった。
ルリはズキンと胸が痛くなった。
「……」
答えなかった。ウソはあまり付きたくない。
「……あの、すいません。わたしはもう眠りたいので……」
ルリは耐え切れなくなり、目を合わせないようにしていった。
ゾロはしばらくルリを見つめたあと、黙って部屋を出て行った。