船につくと、ウソップがルリの体をタオルで拭いた。
「……本当に冷たいな。」
意識が途絶えていて、体を拭いているのにも気が付かなかった。魂が抜けた空っぽの体のようだ。
そして、ベッドにルリをそっと置いて、毛布をかけた。
暖炉の火が燃えていた。パチパチと音を鳴らす。
その様子をわずかに開いたドアの隙間からゾロが見ていた。
「何回も心配させんじゃねェよ。猫野郎め。」
そうつぶやくと、歩いて行った。
ナミがバケツを持ってきて、タオルを湯でぬらしながら言った。
「ウソップ、ルリの調子はどう?」
「ダメだ。だいぶ弱り切っている。呼吸もやっとしているような感じだ。」
絞り終わった後、タオルをルリの額に置いた。そして、頬をさすった。
「どうしてこの船に乗りたがらないのかしら。いいやつばかりなのに。それをルリも知っているはずよ。」
「……何か理由があるんだろ。」
そっとしておいてやろうぜ。ウソップはそういうと部屋を出て行った。
「うん。」
ナミも心配そうにルリを見ながら出て行った。
そして、ルリが恐れていた夜がやってきたのだった。